50 / 200
心の枷編
初めての友
しおりを挟む
グレースが神として生まれ変わってから一週間が過ぎ、巡行の準備が
本格的に進められている帝都ではお祭り騒ぎが続いている。騎士隊員と
の地獄の夜が明けた次の日から、グレースは新皇帝、大司教や上級貴
族、大臣達との謁見と会談を行いこれまでの経緯やこれからの事を話し
合い、粗方の行動目標を決めた。
そして、太陽神が皇帝一族への加護を消しこの地より天界へ戻ってしま
った為に唯一神の座が空いた事、代替わりとして天界より現人神として
グレースが降臨した、と言う嘘を皇帝が史実として残す事を発表。それにより代替わりの信憑性は高まり、上級貴族の大袈裟な演出で民衆はそ
れを真実として受け入れた。事実、グレースが意識を取り戻してから魔粒子の過剰発生や魔粒子の混濁による淀みが改善されたと、各地に派兵
されている部隊や、領主から報告が上がり始めたのもグレース容認の後
押しに一役買っていただろう。
「調和を与える宵闇の神、グレース•クラリスがタイレーン35代皇帝サリューン•タイレーンに加護を授けます。これより、タイレーン一族は我が寵を受けし者達、これより以降家名をクラリスとする事を許します。その身に恥じぬよう研鑽を積み、民と国土に安寧を。」
教会が保管する宝刀の白剣で、サリューン皇帝の額と心臓、両肩を鋒で
触れて己の魔粒子に誓いを立てさせる。
「我、35代皇帝サリューン•クラリスは神の加護を以て、我命、我光を民と我等が大地の為に惜しまぬ事を誓う。寵愛の加護、謹んでお受け致します。」
まだ50歳と幼いらしい(まさかの成人が60歳でびっくりだ。ヴィク
達も100歳普通に超えてたし。)皇帝は、俺の初めての友達になった。
皇帝との会談で、初めて会った時はエルザードに激似で嫌悪感しか無か
ったけど、誠心誠意の謝罪と魔道具の解除を必ずすると約束をしてくれ
た。それに俺の真実を知っても帝国としてバックアップしてくれると約束してくれたから、俺はサリューンを受け入れた。
夜になって、都にも聞いてみたけどまだ受け入れられないみたいで何にも返事してくれなかった。その事をサリューンに伝えたら、それから毎日花と謝罪の言葉やこれからの未来について語った手紙をくれて、俺も手紙の返事やなんかをしてみたり、お茶や好きな事とか話していたら友達ってこんな感じなのかな?そう思って「友になりたい」と伝えたら、泣きながら頷いてくれた。俺の初めての友達。
なんだか、嬉しくてその日の夜は朱雀を優しく可愛がってしまった。きっとサリューンならこの帝国を良い国にしてくれると思う。俺も頑張ろう。
そうサリューンと関わった日々を思い出しながら最大演出を繰り出す準備をする。
大聖堂の中央、湧水を囲って造られた禊の聖域の真ん中にグレースは立っている。前日にビクトラや朱雀達と練習に練習を重ねてやっと完成した、御業バージョン1.0をお披露目してグレースが皇帝の後見となった事をアピールする為に。
右手に黒、左手に白の魔粒子を作り大聖堂の高い天井に飛ばす。すると、白の魔粒子は天井や神台に据えられたそれぞれの魔石にぶつかって赤、緑、青の魔粒子へと色が分解されて飛び散り、その魔粒子が黒の魔粒子にぶつかると黄、赤紫、群青の魔粒子が生み出されて弾け飛んだ。濃淡のある美しい光の雨が降る。参列者に降り注がれた光は奇跡を与えた。身体に不具合のある者は改善し、不完全変体の獣人は完全変体を遂げる。騎士隊、魔道隊、近衛騎士隊、特務隊の面々もこの地に降り立った時の如きグレースの輝きと美しさに目を細め、地獄を知った者はあの日の恐怖を忘れた。朱雀は演出要員とし背後で羽根を広げグレースを抱き上げる。そっと腕にグレースを座らせて炎鳥が従えている事を見せつけた。
「これより、私は巡行の旅にでます。きっと困難に満ちた物となるでしょう。しかし、必ずや調和と安寧を齎します。今ここに帯同者へ加護を与えます。」
予定の無かった進行に関係者は慌てた。
「ビクトラ•ライディ、リャーレ•ガードナ、アガット•ボーゲン、サリザンド•クレエスカ、ソレス•バーバント、ルーナ•サージェリー」
「前へ。」
ビクトラとリャーレは黙ってグレースの前へと歩み出し跪き首を垂れた。
「怯えずに。是非前へ。」
他の面々も戦々恐々としながら前へ進み出て、ビクトラとリャーレの後ろに並んで首を垂れた。
「ビクトラ•ハイトゥーレ•ライディ」
「リャーレ•ガードナ•トハマイカ」
「アガット•フォーン•ボーゲン」
「サリザンド•ダナンタ•クレエスカ」
「ソレス•デュレッド•バーバント」
「ルーナ•ベレドンナ•サージェリー」
ビクトラ、リャーレ以外の名指しされた面々は固まった。
何故真名を知っているのか?強制隷属されたのか?
動けずにいると柔らかな声が響く。
「真名に加護と権能を授けました。貴方達を縛りその命を奪う者はいないでしょう。我神名、グレース•カムイ•クラリスの名の下に友となり、与えたその力、私の為に示してください、絶対的な力であると。」
聖堂が喝采と咆哮でビリビリと揺れる。
アガット達は内心「やられた」と衝撃を受けたが、隷属された訳では無く、最大の弱点であり魔粒子核と繋がる真名が守られたと言う事に感動し、本能がグレースに服従する事を求め、皆それに従った。
本格的に進められている帝都ではお祭り騒ぎが続いている。騎士隊員と
の地獄の夜が明けた次の日から、グレースは新皇帝、大司教や上級貴
族、大臣達との謁見と会談を行いこれまでの経緯やこれからの事を話し
合い、粗方の行動目標を決めた。
そして、太陽神が皇帝一族への加護を消しこの地より天界へ戻ってしま
った為に唯一神の座が空いた事、代替わりとして天界より現人神として
グレースが降臨した、と言う嘘を皇帝が史実として残す事を発表。それにより代替わりの信憑性は高まり、上級貴族の大袈裟な演出で民衆はそ
れを真実として受け入れた。事実、グレースが意識を取り戻してから魔粒子の過剰発生や魔粒子の混濁による淀みが改善されたと、各地に派兵
されている部隊や、領主から報告が上がり始めたのもグレース容認の後
押しに一役買っていただろう。
「調和を与える宵闇の神、グレース•クラリスがタイレーン35代皇帝サリューン•タイレーンに加護を授けます。これより、タイレーン一族は我が寵を受けし者達、これより以降家名をクラリスとする事を許します。その身に恥じぬよう研鑽を積み、民と国土に安寧を。」
教会が保管する宝刀の白剣で、サリューン皇帝の額と心臓、両肩を鋒で
触れて己の魔粒子に誓いを立てさせる。
「我、35代皇帝サリューン•クラリスは神の加護を以て、我命、我光を民と我等が大地の為に惜しまぬ事を誓う。寵愛の加護、謹んでお受け致します。」
まだ50歳と幼いらしい(まさかの成人が60歳でびっくりだ。ヴィク
達も100歳普通に超えてたし。)皇帝は、俺の初めての友達になった。
皇帝との会談で、初めて会った時はエルザードに激似で嫌悪感しか無か
ったけど、誠心誠意の謝罪と魔道具の解除を必ずすると約束をしてくれ
た。それに俺の真実を知っても帝国としてバックアップしてくれると約束してくれたから、俺はサリューンを受け入れた。
夜になって、都にも聞いてみたけどまだ受け入れられないみたいで何にも返事してくれなかった。その事をサリューンに伝えたら、それから毎日花と謝罪の言葉やこれからの未来について語った手紙をくれて、俺も手紙の返事やなんかをしてみたり、お茶や好きな事とか話していたら友達ってこんな感じなのかな?そう思って「友になりたい」と伝えたら、泣きながら頷いてくれた。俺の初めての友達。
なんだか、嬉しくてその日の夜は朱雀を優しく可愛がってしまった。きっとサリューンならこの帝国を良い国にしてくれると思う。俺も頑張ろう。
そうサリューンと関わった日々を思い出しながら最大演出を繰り出す準備をする。
大聖堂の中央、湧水を囲って造られた禊の聖域の真ん中にグレースは立っている。前日にビクトラや朱雀達と練習に練習を重ねてやっと完成した、御業バージョン1.0をお披露目してグレースが皇帝の後見となった事をアピールする為に。
右手に黒、左手に白の魔粒子を作り大聖堂の高い天井に飛ばす。すると、白の魔粒子は天井や神台に据えられたそれぞれの魔石にぶつかって赤、緑、青の魔粒子へと色が分解されて飛び散り、その魔粒子が黒の魔粒子にぶつかると黄、赤紫、群青の魔粒子が生み出されて弾け飛んだ。濃淡のある美しい光の雨が降る。参列者に降り注がれた光は奇跡を与えた。身体に不具合のある者は改善し、不完全変体の獣人は完全変体を遂げる。騎士隊、魔道隊、近衛騎士隊、特務隊の面々もこの地に降り立った時の如きグレースの輝きと美しさに目を細め、地獄を知った者はあの日の恐怖を忘れた。朱雀は演出要員とし背後で羽根を広げグレースを抱き上げる。そっと腕にグレースを座らせて炎鳥が従えている事を見せつけた。
「これより、私は巡行の旅にでます。きっと困難に満ちた物となるでしょう。しかし、必ずや調和と安寧を齎します。今ここに帯同者へ加護を与えます。」
予定の無かった進行に関係者は慌てた。
「ビクトラ•ライディ、リャーレ•ガードナ、アガット•ボーゲン、サリザンド•クレエスカ、ソレス•バーバント、ルーナ•サージェリー」
「前へ。」
ビクトラとリャーレは黙ってグレースの前へと歩み出し跪き首を垂れた。
「怯えずに。是非前へ。」
他の面々も戦々恐々としながら前へ進み出て、ビクトラとリャーレの後ろに並んで首を垂れた。
「ビクトラ•ハイトゥーレ•ライディ」
「リャーレ•ガードナ•トハマイカ」
「アガット•フォーン•ボーゲン」
「サリザンド•ダナンタ•クレエスカ」
「ソレス•デュレッド•バーバント」
「ルーナ•ベレドンナ•サージェリー」
ビクトラ、リャーレ以外の名指しされた面々は固まった。
何故真名を知っているのか?強制隷属されたのか?
動けずにいると柔らかな声が響く。
「真名に加護と権能を授けました。貴方達を縛りその命を奪う者はいないでしょう。我神名、グレース•カムイ•クラリスの名の下に友となり、与えたその力、私の為に示してください、絶対的な力であると。」
聖堂が喝采と咆哮でビリビリと揺れる。
アガット達は内心「やられた」と衝撃を受けたが、隷属された訳では無く、最大の弱点であり魔粒子核と繋がる真名が守られたと言う事に感動し、本能がグレースに服従する事を求め、皆それに従った。
0
お気に入りに追加
274
あなたにおすすめの小説
18禁BLゲームの攻略対象の弟に転生したら皆(攻略対象)が追ってくるんですが?!
雪白 ひな
BL
ごく普通?の男子高校生がBLゲームに転生しちゃいます!
誤字がありましたらコメントで教えて下さると嬉しいです!!
感想書いてくれたら嬉しいです✨やる気スイッチにします!
それと少しでもこの作品を面白いなど思ってくれたら、拡散もお願いします!!
投稿する日にちは2日に1話にします!
先生を誰が先に孕ませるかゲーム
及川雨音
BL
複数ショタ×おっぱい有りマッチョ両性具有先生総受け
おっぱいとおしりがデカいむちむちエロボディー!
強姦凌辱調教洗脳脅迫誘導だけど愛があるから大丈夫!
ヤンデレ気味なショタたちに毎日日替わりで犯されます!
【書いていくうちに注意事項変わりますので、確認してからお読みいただくよう、お願い致します】
*先生の肉体は淫乱なのですぐ従順になります。
*淫語強要されます。
*複数プレイ多め、基本は一対一です。ギャラリーがいるのはプレイの一環です。ある意味チームプレイです。
*詳しい女性器・生理描写が有ります。
*ゴミを漁る、トイレ盗撮、ハッキングなど犯罪とストーカー行為をナチュラルにしています。
*相手により小スカ、飲尿、おもらし、強制放尿有ります。
*相手により赤ちゃんプレイ、授乳プレイ有ります。
*パイズリ有り。
*オモチャ、拘束器具、クスコ、尿道カテーテル、緊縛、口枷、吸引機、貞操帯もどき使います。
*相手によりフィストファック有ります。
*集団ぶっかけ有り。
*ごく一般的な行動でも攻めにとってはNTRだと感じるシーン有ります。
*二穴責め有り
*金玉舐め有り
*潮吹き有り
勇者の股間触ったらエライことになった
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。
町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。
オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。
僧侶に転生しましたが、魔王に淫紋を付けられた上、スケベな彼氏も勇者に転生したので、恥ずかしながら毎日エロ調教されながら旅しています
ピンクくらげ
BL
両性具有の僧侶に転生した俺ユウヤは、魔王に捕まり、淫紋を刻まれてしまった。
その魔王は、なんと転生前に、俺の事を監禁調教したレイプ魔だった。こいつも一緒に転生してしまったなんて!
しかし、恋人だったマサトが勇者に転生して助けに現れた。(残念ながら、こいつもスケベ)
それからというもの、エロ勇者と2人きりのパーティで、毎日勇者から性的悪戯を受けながら冒険している。
ある時は、淫術のかけられた防具を着させられたり、ある時は催淫作用のあるスライムを身体中に貼り付けられたり。
元恋人のエロエロ勇者と、押しに弱い両性具有の僧侶、元強姦魔の魔王が織りなす三角関係調教ラブ❤︎
世界を救うよりもユウヤとセックスしたい勇者、世界を滅ぼすよりもユウヤを調教したい魔王。
魔王に捕まったり、勇者に助けられたりして、エロストーリー進行します。
勇者パートはアホエロ、ラブイチャ風味。魔王パートは、調教、背徳官能風味でお送りします。
召喚された美人サラリーマンは性欲悪魔兄弟達にイカされる
KUMA
BL
朱刃音碧(あかばねあおい)30歳。
ある有名な大人の玩具の開発部門で、働くサラリーマン。
ある日暇をモテ余す悪魔達に、逆召喚され混乱する余裕もなく悪魔達にセックスされる。
性欲悪魔(8人攻め)×人間
エロいリーマンに悪魔達は釘付け…『お前は俺達のもの。』
【R18】奴隷に堕ちた騎士
蒼い月
BL
気持ちはR25くらい。妖精族の騎士の美青年が①野盗に捕らえられて調教され②闇オークションにかけられて輪姦され③落札したご主人様に毎日めちゃくちゃに犯され④奴隷品評会で他の奴隷たちの特殊プレイを尻目に乱交し⑤縁あって一緒に自由の身になった両性具有の奴隷少年とよしよし百合セックスをしながらそっと暮らす話。9割は愛のないスケベですが、1割は救済用ラブ。サブヒロインは主人公とくっ付くまで大分可哀想な感じなので、地雷の気配を感じた方は読み飛ばしてください。
※主人公は9割突っ込まれてアンアン言わされる側ですが、終盤1割は突っ込む側なので、攻守逆転が苦手な方はご注意ください。
誤字報告は近況ボードにお願いします。無理やり何となくハピエンですが、不幸な方が抜けたり萌えたりする方は3章くらいまでをおススメします。
※無事に完結しました!
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる