神々にもてあそばれて転生したら神様扱いされました。

咲狛洋々

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新生編

喰うか喰われるかのバトル勃発

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 グレースは鬼子母神に早速結界を張った部屋を用意してもらい、朱雀を迎えにいった。

「よぅ、小鳥ちゃん。良い子に待て、出来てたか?」

人界への門の隅で朱雀はずっとグレースが去った方を見つめて待っていた。その背後からグレースに声をかけられてビクリと朱雀が震えた。

「グレース、遅かったではないか。我は、また置いて行かれたのかと思ったぞ。」

ショボンと肩を落とした朱雀は、真紅に所々金や藍の色を含んだ羽を震わせた。金の瞳に涙が溜まっていく。

「かーわいいったらないね、こーんなデカい図体して」

指先で目をなぞると、目尻から涙が溢れた。
グレースは朱雀の頭を、むんずと掴むと口元に寄せて舐めとった。

「いいか、良い子にしてたご褒美をあげよう。」

朱雀はキョトンとしてグレースの顔を屈んだ状態で見つめた。

「ご褒美とは?なんだ?」

指を三本立てて言った。

「とーーっても良いものだ。た•だ•し、条件が三つある。」

朱雀は怪訝な顔をして不貞腐れた。

「プレゼントなのに、条件をつけるのか?」

「そうだよ。これが呑めなきゃ旅にも連れて行かないよ?お前はここでずっとハウスだ。」

この言葉に朱雀は二つ返事で頷いた。

「まず一つ、俺の命令は絶対服従。二つ、旅の間はお前だけの物にはなれない。三つ、お前の要求や願望は旅の最後に聞いてやる。」

朱雀はブワっと焔を纏ってグレースににじり寄った。

「どういう事だ!グレースは我の物!他のものにはやらん!他の物になるのならば、我と共に灰にする!」

こわっ!コイツマジで拗れてんな。
ヨシヨシ。調教師としての腕が鳴るなぁ。

「どーどー。おちつけ。これから旅だ。分かるね?」

朱雀は目をギラギラさせて頷いた。

「そこで、俺は誰かを番にしたり、されたりはしない。」
「何故なら、それどころじゃないからだ。」
「しかしだ、あっちの世界で何と無くだが、俺は嫌な気がしてる。」

朱雀は焔を治め、グレースの両手を握った。

「何が不安だ?我が取り払おう。」

「多分たけど、俺は人界では普通には受肉出来ないんじゃないかと思ってる。」

俺はこの胸にある魔道具が邪魔をして、受肉出来ないと知った。
神々も下手に手が出せない程、魂に深く杭が刺さり、外せば魂の霧散は避けられないだろうと。けれど、もう一つ受肉の方法ならば受肉は可能らしい。天界なら、俺の仮の肉体はただの肉。受肉してなくても朱雀が肉体の細胞を含めば仮の身体を朱雀も持てるらしい。朱雀は神核を持ってるから人界に行けば仮の身体で受肉できる。で、人界で俺は男を食い放題で、肉体の維持をする。完璧!

「な!!ならば我はグレースに触れていられるではないか!」

鳥なのに。耳と尻尾が見える。可愛いけどな、ウザいな。

「だから!鳥頭!それじゃ調和出来ないって分からないかな?何のために旅に出るのかその頭に叩きこんであげようか?」

怒りに呼応する様に、グレースの周りで光が弾け蒼い炎が立ち昇る。

「わ、悪かった。話を聞く」

オドオドと朱雀はグレースの足元に正座した。

素戔嗚尊スサノオノミコトによれば、肉体の交わり。特にその場所の魔粒子に馴染んだ肉体と交わる事で肉体は維持出来るはずだと。」

朱雀はまたも怒りに震えていたが、何とか抑え声を絞り出した。

「グッグレースが、他の物と交わるのを我に指を咥えて見ていろと言うのか!?」

へぇ、良く理解できたね。
お馬鹿で可愛い俺の小鳥。
その綺麗な赤髪が真っ白になるまで
嫉妬して、狂ってごらんよ。
そしたら俺が可愛がってあげるからさ。

「そうだよ。これは君への指導さ。忍耐力を身に着けるためのね。」
「それが出来たら、旅の最後に俺はお前の物になってやる。そんな願いだって聞いてやってもいい。さぁどうする?」

ぐぬぬぬぬぬ

そんな効果音が聞こえるほどに、朱雀は悩んで悩んで、鼻水垂らして泣き出して結論を出した。

「じゅっ、、グス、じゅにく、ウグッ、したい。」

やっぱり俺の朱雀は良い子だね。
さ、食べてあげよう。

「朱雀、受肉の仕方は知ってるの?」

「グレースの肉を、、グスッ、グスッ、ウゥ、喰う事だ。」

え!?違うくないか!?
喰うの意味が違う!!
やっぱり馬鹿だったかーーー。
せめてカラス程度の知能は欲しかったぞーー!

「う、うん。まぁ意味は違うけど、音は合ってる。」

朱雀はパチパチと瞬きして考え倦ねた。
グレースはそっと両手で朱雀の頬を包むと目を合わせて、
朱雀を支配する様に問いかける。

「朱雀、俺を喰いたいか?それとも喰われたいか?」
「俺は可愛いお前を喰いたい。」
「食べさせて?」

その言葉に朱雀はムッとして叫んだ。

「わ、我が受肉するのだ!我はグレースを喰いたい!」

馬鹿やろう!良い雰囲気で童貞捨てようと思ったのに!
この鳥頭!焼き鳥!低脳!単細胞め!!!

「分かってないね。俺はね、コレをお前に喰わせてアンアン言わせたがってんだよ?」

朱雀の手をドレープドレスの内側に滑り込ませ、グレースの芯に触れさせた。

「きっと美味しいはずだ。どう?食べたくない?」

グレースがフッと耳元に息を吹きかけると、朱雀はボゥっと焔を纏いグレースを突き飛ばした。

「お、お前は誰だ!!!グレースではないな!」

今更!鈍いにも程がある!恐竜か!?

「おぉい!テメェそこからかよ!ふざけんなよ!この鳥頭!」
「ちょ、マジ一回殴らせろ!マジ俺の誘惑に使った精神力返せ!」
「振り出しかよ!マジコイツポンコツだわ!」

お互い掴み合い殴り合いをして、神々が騒然としているのが分かったが、腹立たしさが消えない。殺したいほど腹が立つ。

「我をポンコツだと!お前は誰だ!グレースならばそんな事言わぬ!」

その言葉にカッとなりグレースは朱雀を押し倒して口腔に舌を無理矢理捻じ込んだ。親指を口に突っ込み上顎の牙を押しあげ、横向きに顔をずらして奥の奥まで舌を入れ込み、朱雀の舌を何度を舐め上げ吸い上げた。朱雀のグレースを掴む腕の力が緩まると、グレースはそっと唇を離した。

「俺、グレースだ。朱雀の知ってるグレースはまだ眠ってる。だから、旅が終わればお前に返してやるよ。」

グレースは我慢出来ずに涙を零した。
その涙は七色に光って朱雀の頬に落ちては流れた。

「だから、それまで俺で我慢しといてよ。」

朱雀の胸はトクトクとまるで人の心臓の様な音をさせてる。
受肉要らないじゃん。
ねぇ、あんたも、本能の化身みたいな俺は嫌いかな?
離れないって言ったのにね。
早速捨てられたよ。グレース。悲しいね。
グレース、今は君の声が聞きたいよ。
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