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新生編
神獣
しおりを挟む天界には門が幾つかある。
下界と繋がる門、異界へと繋がる門、神々の神殿へと繋がる門。
今グレース達が居るのは、下界門を置く巨大な社。
その社からグレースは駆け出して中央の本殿へ向かった。
あぁ、堪んない。
何だろね?この爽快感。
朱雀の執着と縋るその姿が可愛すぎるな。全く。
俺の好みで言えば、あのピショットって奴が好みかなぁ?
泣かせたらどうなるか考えるとゾクゾクする。
でもビクトラに組み敷かれて、追い詰められるのもいいね。
はぁ、楽しみだ!
「ねぇ、グレース。最後はアンタに返すからさ、それまでは俺に空気を吸わせてよ。悪い様にはしないからさ。」
ハハハッ!やっと縛りが無くなった。仮初でも自由だ!
ツッキーには感謝しかないね!俺の身体は何処まで快楽を貪れるのかな?あぁ、あの躾のなってない皇帝も、いつかちゃぁんと躾けて、この借りを返さなきゃ。日本人だしね。忘れている様で忘れ無い。覚えておいで。じっくり真綿で締めて縛ってイかせてあげるよ。
ルンルンとスキップしながら本殿へとグレースは向かう。
「ツッキーーあーそーぼーー!」
本殿土間で大声で月読命を呼ぶ。
スススと足袋の擦れる音と共に兎が出てきた。
「あれ?兎様?あ、因幡の!?うわぁーー!可愛いー!」
「初めまして、グレースと言います。」
兎は赤い目でグレースを見ると、その白い毛でモフモフした短い指を口元に持っていくと、「しーーー!」と注意し、手招きをしてグレースを本殿に招き入れた。
「なんで、声落とすの?」
「いま、儀式中なんです。お静かに!」
「ご、ごめんなさい!」
グレースは中庭の縁側に着くと腰を落とす。
そして、何処からとも無くお茶やお菓子を白兎が出してくれた。
後ろに立っていた白兎も、グレースの横に座るとお茶を啜り出した。
「ここでお待ちくださいな。」
「ありがとう。でもさ、そんな時間も無いんだよなぁ。」
「どう、されたんですか?」
「あの、知ってるか分からないんだけど聞いも良いですか?」
白兎はコクと頷いた。
「俺はさ、朱雀に肉体を作ってあげたいんだ。」
「でも、方法が分かんなくて。」
白兎はお茶を吹き出した。
「え?そんなに変な事きいた?」
「い、いへ。」
「方法知ってますか?」
「あ、あの。まず確認なんですが良いですか?」
白兎が姿勢を正してグレースに向き合った。
「グレース殿は肉体を得た神獣や、その後世界がどうなるかご存知ですか?」
グレースは首を傾け答えた。
「人界でも力が使えるようになる?世界はどうなるか、、は分からない。」
「力を行使出来るようになるのは、副次的効果でしかありません。」
「人間になるんですよ!?神が!」
「与えられた役割を放棄するのは禁忌です。」
「でも、白虎も青龍?も今あっちの世界で人間してますよね?」
「あぁ、原始の二柱ですか。」
「原始の二柱?」
「そうです。こちらの世界の二柱は本殿に神玉として公務を全うされています。」
「原始の二柱は、その。。禁を破って放逐されたと聞きます。」
「流れ着いてテュルケット神の世界で肉体を得たのでしょう。」
「え?神様居なくなって、同じ神様が産まれたの?」
「神々が存在するには何が必要か、それは信仰です。」
「四神様は太古より人間達に信仰された神々です。無くてはならない。信仰も厚ければ時間はかかりますが、また生まれます。」
「しかし、不在のあいだは人界が荒れ、天災が多ければ人も死ぬ。信仰心も失われ神々が存在する事は難しくなります。神々と人は繋がっているのです。」
「そっか。朱雀に肉体はあげれないのか。」
「でもなぁ、今回の旅には必要なんだよな。」
「借りに、肉体を得たとして、その身体に膨大な神力を常に抑え込む必要があります。それは簡単な事ではないんですよ。」
グレースは天を仰いで考えた。
何故、神々は朱雀を側に付けてくれたのか。
朱雀はこちらで待機しなくてはならないのではないか?
そう考えると、神々の真意がわからなくなった。
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