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王都編
これからのこと(2)
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サワサワと柔らかい何かが頬を撫でては消えてゆく。
小川の音、小鳥の鳴き声、羽虫の羽音が聞こえる。
グレースは目覚めると、先程いた場所ではない事に気づいた。
—— あれ、ここどこだろ。確か燃える鳥を見て、、、意識飛んでた?
ぼーっと辺りを見回すと、そこには赤髪に金の瞳、神経質そうだが清潔感のある美丈夫が立っていた。
「…まさかあの鳥って事ないよね?」
眠気眼でその男に声をかけた。
「我は朱雀。主人を守護する者。怖がらなくていい。」
耐性ができたのか、もうなんとも思わなくなってしまった。
慣れってこわいわー。そんで彼がここまで運んでくれたのかな?
「そ、そう。宜しくお願いします。朱雀さん。」
とりあえず、ツッキーの代わりに誰か居てくれたことに安心した。グレースはニコリと微笑んだが、朱雀はグッと何かを飲み込み苦悶していた。朱雀ゆっくり近寄りグレースに優しいハグをする。
あぁ、火の鳥だから暖かいのかな?そんな事をぼんやりと考えていた。朱雀の髪はとても柔らかくてふわふわだ。あぁ、頬を撫でたのは彼だったのか。そう思うとなんだかくすぐったくて、フフッと笑ってしまった。
「朱雀でいい。グレース。」
「ん?呼び方?うーん。でもねー、慣れないからさ。朱雀さんって呼ばせて?」
自分より20センチ以上は背の高い朱雀を困り顔で見上げた。
朱雀はウッと息を止めると上を見上げてつぶやいた。
「…わかった。早く慣れてくれ。」
「頑張るよ。それより、お腹空いたな。なんか無いかな?」
「腹が減ったのか?何か食い物を探してこよう。待っていろ」
そう言うとスッと姿を消して何処かへ行ってしまった。
おぉう。相変わらず凄いな神様。変幻自在で神出鬼没、これが日本でなら友達になって遊ぶんだけどなー。
帝都までの道のりやら、これからどうしたらいいか朱雀さんに聞いたらわかるのかな?ツッキーは帝都に行けって言ってたな。とりあえず帝都を目指そう。あんなでもツッキー何気にサポートしてくれてたんだな。朱雀さんにはまだ不安があるけど、とりあえずの行き先も決まったし、仲良くやれるといいなぁ。
そんな事を考えながら窓の外に目をやった。
「んがっ!!!え?な、、なんで?」
窓の外には何百人もの騎士が片膝をつき、グレースのいる小屋を取り囲んでいた。
「え?嘘でしょ?ちょっと!ヘルプ!誰か!」
声にならない声で叫んで頭を抱えた。
弾みで窓際のテーブルの上にあるグラスを倒してし割ってしまう。外で跪く騎士達はその音に顔を上げて小屋の中の様子を伺った。
「た、隊長、お声をお掛けした方が良いのでしょうか?」
前列に並ぶ副参謀のホルーが声をかけた。
ビクトラは片膝をついたまま、小屋を見つめ何かを決めた様に咳払いをした。
「ゴホッ。テュルケット様、お目覚めでしょうか。」
深く、通る声に威嚇や畏怖の気配はなく、柔らかな声が小屋周辺に響いた。
「昨晩、川沿いにてお倒れになられました御身を不敬ながらこちらへと移させて頂きました。我が名は魔道大国タイレーン、魔導騎士隊大隊長の任を預かりますビクトラ•ライディと申します…ご気分は如何でございますでしょうか?」
普段の高圧的で冷淡なビクトラはそこにはいなかった。
ただただ壊物を扱うよな丁寧な態度で、グレースに問いかけた。
しかし、小屋の中ではそれとは別の問題にグレースは卒倒しかけていた。
小川の音、小鳥の鳴き声、羽虫の羽音が聞こえる。
グレースは目覚めると、先程いた場所ではない事に気づいた。
—— あれ、ここどこだろ。確か燃える鳥を見て、、、意識飛んでた?
ぼーっと辺りを見回すと、そこには赤髪に金の瞳、神経質そうだが清潔感のある美丈夫が立っていた。
「…まさかあの鳥って事ないよね?」
眠気眼でその男に声をかけた。
「我は朱雀。主人を守護する者。怖がらなくていい。」
耐性ができたのか、もうなんとも思わなくなってしまった。
慣れってこわいわー。そんで彼がここまで運んでくれたのかな?
「そ、そう。宜しくお願いします。朱雀さん。」
とりあえず、ツッキーの代わりに誰か居てくれたことに安心した。グレースはニコリと微笑んだが、朱雀はグッと何かを飲み込み苦悶していた。朱雀ゆっくり近寄りグレースに優しいハグをする。
あぁ、火の鳥だから暖かいのかな?そんな事をぼんやりと考えていた。朱雀の髪はとても柔らかくてふわふわだ。あぁ、頬を撫でたのは彼だったのか。そう思うとなんだかくすぐったくて、フフッと笑ってしまった。
「朱雀でいい。グレース。」
「ん?呼び方?うーん。でもねー、慣れないからさ。朱雀さんって呼ばせて?」
自分より20センチ以上は背の高い朱雀を困り顔で見上げた。
朱雀はウッと息を止めると上を見上げてつぶやいた。
「…わかった。早く慣れてくれ。」
「頑張るよ。それより、お腹空いたな。なんか無いかな?」
「腹が減ったのか?何か食い物を探してこよう。待っていろ」
そう言うとスッと姿を消して何処かへ行ってしまった。
おぉう。相変わらず凄いな神様。変幻自在で神出鬼没、これが日本でなら友達になって遊ぶんだけどなー。
帝都までの道のりやら、これからどうしたらいいか朱雀さんに聞いたらわかるのかな?ツッキーは帝都に行けって言ってたな。とりあえず帝都を目指そう。あんなでもツッキー何気にサポートしてくれてたんだな。朱雀さんにはまだ不安があるけど、とりあえずの行き先も決まったし、仲良くやれるといいなぁ。
そんな事を考えながら窓の外に目をやった。
「んがっ!!!え?な、、なんで?」
窓の外には何百人もの騎士が片膝をつき、グレースのいる小屋を取り囲んでいた。
「え?嘘でしょ?ちょっと!ヘルプ!誰か!」
声にならない声で叫んで頭を抱えた。
弾みで窓際のテーブルの上にあるグラスを倒してし割ってしまう。外で跪く騎士達はその音に顔を上げて小屋の中の様子を伺った。
「た、隊長、お声をお掛けした方が良いのでしょうか?」
前列に並ぶ副参謀のホルーが声をかけた。
ビクトラは片膝をついたまま、小屋を見つめ何かを決めた様に咳払いをした。
「ゴホッ。テュルケット様、お目覚めでしょうか。」
深く、通る声に威嚇や畏怖の気配はなく、柔らかな声が小屋周辺に響いた。
「昨晩、川沿いにてお倒れになられました御身を不敬ながらこちらへと移させて頂きました。我が名は魔道大国タイレーン、魔導騎士隊大隊長の任を預かりますビクトラ•ライディと申します…ご気分は如何でございますでしょうか?」
普段の高圧的で冷淡なビクトラはそこにはいなかった。
ただただ壊物を扱うよな丁寧な態度で、グレースに問いかけた。
しかし、小屋の中ではそれとは別の問題にグレースは卒倒しかけていた。
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