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第三章 魔法と神力と神聖儀式

7 初めては俺 〜ダダフォンと聖女の花 1

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「フロリア様、こちらは?」

 結局、ドレスは隣の仕立て屋で既製品を買う事にしたフロリア。
店の中は入り口付近に既製品のドレスや装飾品が並んでいて、奥にはオーダー用のフィッテングルームが並んでいた。

「サーシャベルさんにおまかせー!」

「もうっ、フロリア様がお召しになるのですから、お気に召す物をお選びになって下さいませ」

「んー。だって全部ピンクとか黄色とかでさ、私、可愛いでしょ?アピールが凄い色の物ばっかりなんだもん。白とか、グレーとか落ち着いた色の物が良いんだけどなー」

 フロリアはソファに座るダダフォンの膝の上で、玩具になっていた。

「嬢ちゃん、すげぇな!」

フロリアの首元に魔力を流したり、魔法を当てたりしてフロリアの体を調べていたが、幾つかの異質な点にダダフォンは感嘆した。

「ん?」

「いや、普通魔力っては消耗品なんだよ。核から生産されて体を巡ると、使われなかった物は汚染物として排出されるか、溜まって澱になるんだ。けど、嬢ちゃんの魔力は使われなかったもんが神力に昇華されてんだ。教会要らずだな」

「普通は教会で浄化するんでしょ?」

「あぁ、教会の司祭や助祭が汚染物質を取り込み代わりに浄化するんだ」

「助祭さん達はどうやって浄化するの?」

「光魔法だ」

「光?あぁ、お兄ちゃんの加護持ちって事ね」

「まぁ、そうだな。だが、魔獣や魔人の汚染魔力はそれじゃ浄化出来ない。そこで俺達聖騎士の登場だ」

「何で聖騎士はそれが出来るの?何魔法?」

「同じ光魔法だが、俺達のは加護や属性じゃねぇ。生まれながらに光の力を持った魔力を魔力核が生み出してんだ」

「へー!そんな事あるんだ。それってなんで?」

「ん?あぁ、まぁ俺達のは所謂バグだな。それより、魔人に襲われたんだったな。聖女様」

「らしいね。私は覚えてないから知らないけど。ど紫のベッタベタなやつ。あれ全身ぶっ被ってたんだけど、臭いしなかなか落ちなくて面倒だったよー」

それを聞いて、ダダフォンは眉を顰め顔を覗き込んだ。

「それでお前生きてたって言うのか?」

フロリアは両手を広げると振り返り「ね?」と言って、膝の上で飛び跳ねている。意外と弾力があり、アルバートやハリィの様に骨張っていないその脚の座り心地の良さに、フロリアはニコニコしていた。

「それによぉ、お前全属性持ちって辛くねぇか?」

「ん?何だって多い方が良いんじゃないの?」

「ハカナームト神の所為なのか、フェリラーデ神の所為なのかは知らねぇが、こんなに加護やら祝福やら属性が着いてちゃ死期も早まるってもんだろ。まぁ神体だから死にゃしねぇんだろうが」

「え″っ⁉︎」

「いいか、魔力に属性が付くだけでまず魔力核に通常の0.3倍程負荷が掛かる。それはな、常に魔力と属性に感応出来る感応魔力を生み出しているからだ」

「加護は関係なくない?」

「魔力を感応させる上で加護は絶対必要だ。魔力を放出、使用する事に神の力は関係ないが、属性魔法を使うとなれば話は別だ。属性を変化させる為の感応魔力の消費が多けりゃ心臓にも負担になるし、魔力核への負荷は2倍程に上昇する」

「属性魔力だけじゃ使えないんだね?」

「感応な。属性は、その属性に魔力を変化させる素質があるってだけで、魔力に属性が含まれてる訳じゃねぇし、魔力を使えばその属性になるって訳じゃねぇんだ」

 そしてダダフォンは続ける。属性が2つ、3つと付いていても同時使用は余程が無くてはしない、使用出来ても1、2発の発現が限界だと言い、もしそれ以上を連発使用したら魔力の生産がすぐに追いつかなくなり気を失うと説明した。

フロリアは自分の手を眺めながら、どうやったら属性魔法になるのだろうかと考えた。ダダフォンは、そんなフロリアを見て、テーブルにグラスの水を垂らして説明した事の図を書いた。

「簡単に言えば、水属性があっても蛇口を捻るだけじゃ水は出ねぇんだ。感応させる為に神の力を借りる。例えば、空いてるそっちのグラス貸してみな」

フロリアは膝から降りるとグラスを手に取りダダフォンに手渡した。

「何する?」

「まぁ見てな」

ダダフォンはグラスにポケットから取り出した何かの種子をコロンと入れると手を翳し、祝詞を唱えた。

「我が加護神ザザナームよ我が魔力に応え賜え、与え賜え。芽吹けアペリオ

グラスの中で、ポンっと種から芽が出てムクムク育つとグラスの中にワサワサとカイワレの様な植物が溢れ花を咲かせた。

「わぁぁ!凄い!花束みたい!これ、お花の種?」

「いや、ピカラッツって木の実で塩漬けされたツマミだ」

「……何で花が咲くのよ。ってかどっから出した⁉︎」

「花が咲くのは俺がそうイメージしたからだ」

「ツマミから花。知らなきゃロマンチックなのに……」

「まぁ、神の加護と、俺の持つ属性が一致してると思う通りに作用する。もし、加護神がレネベント神だったらグラスの中でこいつは木炭の様な墨になってたろうし、オーフェンタール神なら水風船みたいに膨らんで中に水を溜め込んでたろうな。その感応反応は加護神の神位と魔力量、属性の数や相性で状態は変わる」

そう言うと、他にシャナアムト神の加護とトルトレスの加護を持つダダフォンは対象を同じくして、同じ属性を使った場合の魔法発動や結果を見せた。

「習ったけど良く分からなかったんだよね!実際みるとよく分かった!」

「そーだろ?ハリィじゃこうはならねぇからな。あいつの組み合わせヒデェから」

 フロリアは、ハリィと聞いてピクリと眉を動かしたが作り笑いをしながら「そっか」と呟いてグラスを手に取った。

「何だ。まだハリィにどう思われてんのか考えてんのか?」

「ちがうっ。何でパパやアルバートさんはおじちゃんみたいに教えてくれなかったんだろうって思ったの……いっぱい時間あったけど、教科書の内容やお貴族様のマナー位しか教えてくれなかった」

シュンとして、フロリアはグラスの花をツンツン突いてその香りを嗅いだ。

「そりゃそーだろ。嬢ちゃんの理解度や日々の生活態度見て必要なもんから教えようとしてたんだろうし。それがあったから俺が教えた事が理解出来たはずだぜ?」

「んー。私馬鹿だから実践向きなんだと思うんだよね。トライアンドエラーで勉強するタイプだから」

「成程なぁ。でも、アルとハリィの事だ。嬢ちゃんの属性と加護、魔力量や核の大きさを考えて教えなかったんだろうよ。俺ですら分かったんだ。アルなら直ぐに気付いた筈だ。実践させると死ぬかもってな」

「……でもこの身体死なないよ?」

「わかんねぇだろ。神体なんて物を持ってる奴がこの世にいねぇんだからよ」

「確かに」

「トライアンドエラーで2度目はありませんなんて事になってみろ。トライしたくねぇに決まってんじゃねぇか」

 ダダフォンはフロリアの頭に手を乗せると、ガシガシと撫でながら「やってみるか」と聞いた。

「いいの⁉︎」

「あぁ。初めてか?」

「うん!魔法使うの初めて!」

「初めては俺か!そりゃ嬉しいねぇ!優しく教えてやっから」

ニカッと笑うダダフォンはまるであどけない少年の様で、そこに下卑た意思が無いのは分かっていたが、フロリアはジトリと睨むとポカリとダダフォンの肩を叩いた。

「エロ親父!」

「いや、お前の頭ん中がエロなんだろ」

「パパが言ったらエロくない!おじちゃんだからエロい!」

プンプンと怒るフロリアを見て、ダダフォンはガハハと笑う。そんな2人をサーシャベルは微笑まし気にみつめていた。

「ほら、やってみるぞ。そうだな……1番加護の強いだろうフェリラーデ神と、お前何月生まれだ?」

「さぁ?知らない」

「え?マジかよ。そうか、そうなると……取り敢えずベストマッチな風。なぁ、そこのお姉ちゃん、なんか要らねぇリボンとか紐とかねぇか?」

 急に声を掛けられた店員は、慌ててダダフォンに近寄り声を掛けた。

「どの様な物をお探しですか?」

「何でも良いんだ。ラッピング用のリボンの切れ端とか、紐をちょっとくれねぇか?」

「あ、はぁ。しょ、少々お待ち下さい」

 店員はカウンターに入ると何やらゴソゴソとリボンを数種類集めると戻ってきた。

「どちらが宜しいですか?」

「嬢ちゃん、2本選びな」

「んー。緑のやつと、白!」

「ふーん、マセてんな」

「なんで?」

「ハリィと嬢ちゃんの目の色じゃねーか」

「ちがっ!そんなの考えても無かったよ!綺麗だから選んだだけなのにっ」

「へーへー。ありがとな、姉ちゃん」

 ダダフォンはフロリアを膝の上に抱き直すと、背後から覆い被さる様にして両手を添えた。

「いいか、まず体の中で冷たいと感じる流れを探してみな」

「冷たい…冷たい?」

「そう、体温とは違う、皮膚に近い所で全身を包んでいる様な冷たい物だ」

「神力とは違うね。これかな……」

「ならそれが右から左に体を巡っていると思って、それに合わせてシャナアムト神の神色しんしょくの緑を想像するんだ」

「緑」

「加護神が魔法を使う上で絶対上位になる。加護神が属性を使うと考えるんだ。想像しろ、フェリラーデ神が風を使ってリボンを結ぶ」

「うん」

「復唱するんだ。我が加護神フェリラーデよ、我が魔力に応え賜え、結び賜え結びリガレ

「我が加護神フェリラーデよ、我が魔力に応え賜え、結び賜え結びリガレ

フロリアの手のひらを風が包み、持っていたリボンをクルクルと宙に浮かせた。それをフロリアは嬉しそうに見ていて、ダダフォンは耳元で教える。

「良いぞ、上手いな。そのまま、リボンの端と端がくっついて結ばれるのをイメージしろ。ゆっくり、ゆっくりだ」

「うん!」

風はリボンを絡ませて一つに纏めると、シュルシュルと一本のリボンへとくっつけた。そして、次第に蝶々結びの様にして一つのリボンの形が出来上がった。フロリアは初めての魔法が嬉しくて、思わず声を上げた。

「出来たっ!嬉しい!すっごく嬉しい‼︎おじちゃん見て!フローがあれやったんだよ?サーシャベルさんっ、見て!みんな見て見て!」

フロリアは膝から降りると、ぴょんぴょんと飛びながら宙に浮かぶリボンに手を伸ばした。

「ははっ!喜んでくれて何よりだ!」

「おじちゃん、教えてくれてありがとっ!おじちゃんとサーシャベルさんにこのリボンあげるっ!」

 すごいっ!魔法って楽しいっ!わぁ、本当に綺麗。このリボンをダダフォンさんがサーシャベルさんにあげたら喜んでくれるんじゃない?祝福は出来なかったけど、プレゼントしたいなっ!初めての魔法を。
 その瞬間、リボンがパンッと弾けて、緑のグリッターをまぶした様な細い紐になるとビンっと張って、ダダフォンとサーシャベルの手首に巻きついた。そして糸は縮みだして2人をぐんっと引き寄せていく。

「うぉっ!」

「きゃあっ!」

「おじちゃん⁉︎サーシャベルさんっ!ど、どうしよう!あっ、あれ?なんで、どうしよう!」

「大丈夫だ嬢ちゃん、落ち着け!」

 フロリアは混乱して、2人を繋ぐ紐を切ろうと鋏を取った。

「切るな!これは加護だっ!落ち着け!」

加護⁉︎え、嘘。魔法を使ったんだよね?それが何で加護になるの?えっと、これはこのままで良いのかな?

「え、でもっ」

2人は向き合う様に縛られると、ぐいぐいとその紐は力が強くなって行く。

「ははっ、まさかなぁ。俺達にフェリラーデ神の加護が貰えるなんて思わなかったぜ」

「えぇ、あなたっ、それって。きゃっ!」

「フェリラーデ神は調愛、結びと済生の女神。俺達を結んでくれたんだよ」

「……こんなっ、苦しい状況でっじょ、冗談言わないで下さる?」

 ダダフォンはサーシャベルの腰を紐の下から抱き寄せると、その肩に頭を乗せて囁いた。

「黙って聞いてくれ、悪かった。全部俺が悪かった……あ、あ、んんっ、なんだ、その」

「何ですの急にっ!くっ、苦しっ」

「愛してる」

「はっ⁉︎」

ギュンッと2人を縛る紐が更に2人を縛り上げると、パラパラと神力の欠片となって地面に落ちた。しかし、フロリアには2人の手首にしっかりと緑色の紐の様な物が繋がっているのが見えていた。

「はぁっこ、怖かった。おじちゃんとサーシャベルさん殺すかと思ったっ!も、もう、魔法いらないっ、使わない!」

鋏を持ったままカタカタと震えるフロリアの手を、ダダフォンは掴むとそっと鋏を取り上げテーブルに置いた。

「嬢ちゃんはやっぱり女神なんだな。魔力を神力に変えちまったんだ。俺達の事を途中想ったろ」

たったそれだけで?何、幸せになったらいいなーレベルであれなの?ちょっとチートも過ぎると凶器なんですけど‼︎でも、本当2人が死ななくて良かったよぉ!

「う、うん。綺麗に出来たから、2人にあげたくなって、喜んでほしいな、幸せになってって思ったの……まさかあんな事になるなんて。魔法コワイ」

「いや、すげぇよ。嬢ちゃんは聖女でも上神した神でも無いのにその力が使える。それってつまりはこの世界その物って事じゃねぇのか?」

「いや、そんなスケールデカい話し要らないから!」

「人間の魔力や人生を守護する様な加護ってのは神しか与えらんねぇ恩寵だ。それは全ての生き物の頂点であり、守る側の者の役目だ。教会が与える様な一時的な目くらましの様な加護とは訳が違う。そんでもって、聖女ってのは神が認めるだけじゃなれねぇんだ。この世界が人間と世界と神を繋ぐパイプだと受け入れなきゃなれねぇ。だから幾ら神託が降りても、歴代の聖女候補達は聖女になれなかったんだ。それに、歴代聖女は嬢ちゃんみたいに加護や祝福を与えられるが、それはどれも神に聖願、祈祷、降下の儀と手筈を踏んででしか許されなかった物だ。それを嬢ちゃんは1人でやっちまったんだよ!すげぇよ!」

やめてーー!途中何言ってるかわかんないし!あぁっ、もうっ!どんどん人間から離れていくじゃんっ、お願いだからこれ以上は!これ以上は!

 フロリアは混乱しつつ、また心の中に湧き立つネガティブな妄想に頭を悩ませた。

「パパやアルバートさんにまた迷惑かけちゃう……どうしよう。教会に行った方がいいのかな」

そんなフロリアを見て、サーシャベルは小さな手を握ると額をコツンと合わせると優しい声で慰めた。

「フロリア様。大人になると強く思います、結局何の為に生きているのだろうと。そして探してしまうのです……何か、誰か、必要としてくれないかと。その理由が貴女様である事を、トルソン様も、フェルダーン様もきっと嬉しく思うはずですわ。存分に迷惑をお掛けください。本領を発揮出来る場を得られるのは、騎士にとってこの上もない喜びなのですから」

 分かってる。前世の聖だってそうだったから。でもね、守られる側、助けられる側って辛いんだよ?自分がダメな奴だから助けてもらわないと何も出来ないんだ、もっと強ければ、もっと勉強していれば。そう思っちゃうんだよ。

「まぁ、この嬢ちゃんにそれが出来りゃ苦労しねぇわな!」

「ダダフォンッ!フロリア様のお気持ちを考えてご覧なさいな!」

「無駄だよ、無駄っ!いいか、嬢ちゃん。男ってのはよ、馬鹿で単純なんだよ。その中でも騎士ってやつは馬鹿オブ馬鹿の集まりなんだ〈助けて〉その一言で火の中水の中なんだよ。ハリィなら尚更だ。あいつも、嬢ちゃんも互いがいなきゃ死ぬ程辛ぇんだろ?なら甘えとけ、それだけで男ってのは笑ってられんだから」

 あ、今すっごくおじちゃん尊敬しちゃった。
いっつもお馬鹿な事言って私を苛立たせるナンバーワンな人だったけど中身超イケメンじゃん。実際は無いけど惚れそうな位頼もしい!魔法教えてくれたり、背中押してくれたり。おじちゃんが上司ってのは頼もしい!でもサボり癖は直した方が良いよ。

「うん。ダダフォンのおじちゃん、ありがと」

「あぁ、子供じゃねぇって分かってるが、中身もどう考えてもガキだからなぁ。俺も強く言えねぇんだよなぁ、まぁあれだ。あんまり1人で考え込むなよ?」

「仕方ないじゃん。生まれて何年も経ってないフロリアの神魂と聖の魂が引っ張り合って、大人と同じように色々考えられるけど、子供の感情の起伏には負けるんだもん」

「面倒くせぇなぁ」

「……はぁ。今日帰りたくない。三者面談が待ってそうだし」

「「三者面談?」」

「パパとアルバートさんと私。主に私が怒られる面談。でも、どう考えても今日の事で私が怒られる要素って無いと思うんだよね……なのにさ、アルバートさん野良猫捕まえるみたいに首掴むし、怖いし。お家帰りたくないな」

 ダダフォンとサーシャベルは顔を見合わせると困った様に笑った。そして「散歩に行くか」と言って、サーシャベルの買ったドレスを着て3人で店を出た。
 三人はまだ知らない。この散歩が更にアルバートの逆鱗に触れる事を。気持ちが前向きになったフロリアは、ダダフォンとサーシャベルの手をしっかりと握ってキングズガーデンへと向かった。




「師団長……フロー達の帰りが遅くはありませんか?」

「……怒りが頂点にたっして爆発すると、人間どうなるんだろうな」

「……」

「俺は、同じ事を何度も言わせる奴と、学習しない奴、人を怒らせて楽しむ愉快犯が嫌いなんだ。そういう奴はクローヴェル神の神罰を喰らって未来永劫冥府で彷徨うべきだと思っている。ハリィ、どう思う」

真顔で、腕を組んだまま扉の前に立ち続けるアルバート。ハリィは背後に渦巻く毒々しい魔力の渦にドキドキしながら、窓から通りを見下ろしフロリアを探している。

 あぁっ!フロー早く帰って来てください!……いえっ、今日だけは許します!司令官のご自宅に避難してくださいっ!


ダダフォンとフロリアの頭上に雷が落ちるまで、後30分。




悪い顔のダダフォン•ヴォルフ



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