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第一章 転生と始まり

小休止 私はイナバ

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 わたしはイナバ。ふろりあちゃんが付けてくれた名前なんだ。でも、あんまりかわいくないから、わたしはキライ。それに、わたしにはいやなことがあるの。


「パパ、おしごと たいへんれすか?あるまーとさんに いじわる されてましぇんか?」

「フロリア様、もうお昼ご飯は食べましたか?パパはお仕事頑張っていますよ(うぁーー!ドォォォォォォン!パキンッ!ゴォォォォ)」


ふろりあちゃん。わたしとはぜんぜんお話ししてくれないのに、この人ばかりにお話しするの。

ずるい。

でも、このひとのまりょくのせいで、わたしはふろりあちゃんの言葉を、この人の言葉を 2人につたえないといけない。いやだな。


「パパ、うしろ ごーごー いってるよ?」

「おや、五月蝿かったですね。ちょっと待っていてください(煩いですよ、ゴミ虫が。人と話をしているんです、静かにして下さい)(……はいっ!)」

「わー!パパすごーーい!みんなをだまらせたねー!」

「ふふふ。そんな事ありませんよ。フロリア様には敵いません」

「パパ、こんばんの ごはんは なにが いいですか?」

「おや、フロリア様がお作りに?」

「このまえ さんどいっちつくった。きょうは なにが いいですか?」

 わたし、知ってるんだから。ふろりあちゃん、つくれるっていっておいて、さんどいっちしか つくれないんだよ?

 でも、いいなぁ。わたしにも おくちがあったらな。


「聖!そのガキ言葉をやめろ。背中がムズムズして気持ちが悪い」

「な、なんであるまーとさん きこえてる⁉︎」

「お前の脳内は俺に筒抜けなんだって事、忘れたのか?この鳥頭め」

「いなばしゃん、あるまーとさんにはおしえなくて いいですよ」


うふふ!おばかな ふろりあちゃん。
私がつたえなくても、つたわってるのに、もうわすれたのね。これがとりあたま、なのね?おぼえたわ!

 まいにち、まいにち。いやなことばかりだけど、パパとあるばーとさんは、やっぱりふろりあちゃんにやさしくて、私はそれもいやになってきたの。私もお話ししたいのに。
でも、そんな日がある日突然終わったの。

 そう、神様が現れたから。私は怖くてパパにつたえなきゃって、いつものようにちからをこめて「気付いて」って言ったけど、全然お話しできなかった。フロリアちゃんの力はぐんぐんおおきくなって、私の力も強くなった。何とかパパに連絡しなくちゃ。

 結局全然パパに連絡出来ないでいるの。どうしよう?

 真っ暗できらきらした場所で、私とフロリアちゃんは抱き合いながら耐えたわ。綺麗で怖い神様が私を睨むから、私はフロリアちゃんを守らなきゃって思ったのに、思ったのに。すごく力が抜けて、最後に見たのは真っ黒な神様がパパの力を奪った所だったの。

フロリアちゃん、逃げて。逃げて。
大好きなフロリアちゃん、パパはきっと泣いているわ。



「あれぇ?イナバさんのお目め、キラキラ無くなっちゃった」

「……ふん。小賢しい」

「クローヴェルそれを寄越せ。フェリラーデ、後で我が力を込めてやろう」

「?う、うん。折角パパと連絡出来るか試そうと思ったのに……壊れちゃったのかな」


 そしてこの後、イナバは大きな役割を果たすのだが、それはまだ先の事であった。




※※※※ ※※※※ ※※※※ ※※※※ ※※※※ ※※※※ ※※※※ ※※※※ ※※※※ 

閑話の章を作る予定で書いておりましたが、小休止のお話として投下致します。









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感想 18

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