狼と人間、そして半獣の

咲狛洋々

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獣語 躍動編

これで終わりなのか

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 さて、俺は今何故かロードルーの王宮にいる訳なんだが。一体何がどうなっているのか。ウィラーとか言う爺さんが現れたと思ったらあっという間に捕まって、ファルは偉いさんと話があるとかでロイ隊長に俺を預けて何処かへ行ってしまった。そしてロイ隊長はと言うと、これまた俺を王宮に連れてくると、変な魔法陣が床一面に描かれた場所に俺を放置して何処かへ行ってしまった。

「うーん。爺さんが捕まったって事は終わったのか?なら何で俺はこんな所にいるのかな?」

 釈然としない、俺は全ての流れを説明されていた訳じゃないからよく良く状況が掴めないのだが、先生やバシャールに居るヤンさんって人、そして俺が捕まったらアウトなんだよな?俺がここに閉じ込められていると言う事は、もしかして先生捕まった⁉︎

「ぼんやりしてっからなー先生」

 でも、先生なら何かこう、急死に一生を得る的な?悪運が強いって言うかぬらりくらりと不運から抜け出す様な所があるからな。まぁ、大丈夫っしょ。
 だがしかし、俺は一体いつまでここに?暇だぜ。はぁ、最近じゃ3分刈り位に伸びた髪がチクチクして痒いんだよなぁ。シャンプーしてぇ、それに先生、日本でシェービングフォームとか買ってねぇかなぁ。こっちの髭剃りメスみたいなナイフだからすっげぇ荒れるんだよ。はぁ、そう考えたら、やっぱり地球はいいよなぁ。まぁ、こっちの世界の方が生きてるって実感はするけど。


 孝臣ケードは次第に自身が閉じ込められている空間に慣れ、床にゴロンと寝転ぶと、腕を枕に独り言を言い出した。

「くぁっ……はぁ。ファル、何してんのかなぁ」

「女の子かなぁ、男の子かな……あ、この世界男しか居ないんだったな。女の子だったら、美人になったんだろうになぁ」

「神様ねぇ。本当に居るなら会いてぇもんだ。会えたらどうする?まぁ、まずは文句だよな。ウィラーって爺さんの責任取ってくれって言うよな。こんだけ大混乱なんだし。そしてあれよ、こっちの世界に来た時にもうちょっと俺をイケメンにしてくれてもいいよなぁ?こっちの獣人みたいに筋肉つかねぇし、彫りが深い訳でもねぇしなぁ。それとあの青い目とか、赤い目、金目に緑!良いよなぁ~俺焦げ茶色だし」

 そんな独り言を言い続けた時だった。

「ケード、お腹が空いていませんか?朝食を持ってきました」

ロイが部屋の扉を開けて入ってきた。その手には、銀プレートに何皿か乗せてあり、どれも良い匂いを漂わせていた。

「隊長~~!遅いよ。俺飽きちゃったよここ」

「すまないなケード。だが、今暫くここで耐えて欲しい。ケードを失う訳には行かないんだ」

「まぁ良いけどさぁ、せめてファル呼んで貰えません?」

「ファルファータ領事官は今、陛下達と作戦本部に詰めています」

ちぇっ、俺抜きでお仕事かよ。はぁ、俺のカミさんは有能だなぁ。けどなぁ。俺はどうしたってファルの前に立つと甘えちまうんだよ。こう、母性が滲み出てるって言うの?安心するんだよな。

「はぁ。分かったよ……でもさ、何でも良いんだ。退屈を凌げる物を貸してもらえないかな?いや、分かってるんだ。皆んなそれどころじゃないって……でも、俺は外にいない方が良さそうだし」

「そうですね。待ってて下さい。騎士団で使ってるガルドットと言うボードゲームがあるので、それを持ってきましょう。軍略を学ぶ為に幹部候補の隊員が休みの日や休憩時間に使っているから、それなりにやり込める筈ですよ」

「お、楽しそう!」

 その時だった。足元の魔法陣が光り出して、一瞬何かに俺の足首が掴まれた。

「ギャーーーー!!何だよこれっ!」

「ケード‼︎下がって下さい」

その手は、しわくちゃで今にもぽっきり折れちまうんじゃ無いかと不安になる程だった。それに、手の甲や腕に浮かぶ青黒い血管や、紫掛かったぷっくりと浮かんでいる血管が、妙に生々しくて俺は鳥肌が全身に立ったのを感じた。

「チェインドホール!」

 ロイが魔力を魔法陣に流すと、ビシリッと音を立てて何かが固まる様な音がした。そして、ケードがロイの背中越しに魔法陣を見ると、そこにはジタバタと動く、肘より上の腕が6本あった。

「怖っ!な、何これ!」

「どれが本物かわかりませんけど、ウィラー本人もしくはダミーです」

「うぇっ?ウィラーって爺さん捕まったんじゃないの?」

「幽体離脱、もしくはダミーの体に乗り移り逃走しました。作戦失敗で、陛下も含めて皆混乱しています」

「まぁじかよ!あ、そう言えばさ、あの人どうしてる?」

「あの人?」

「アルハイドだよ!」

「あぁ。その者は今、ここと同じ様に完全に外部と接触が断たれた部屋にいますよ」

「ならさぁ、俺をそっちに行かしてくれません?ボードゲーム1人でやってもつまらないでしょ」

「……」

 あ、呆れてる?そ、そうだよね。俺を狙ってる奴の所にターゲットの俺がひょこひょこ出向いて、何してるんだってかんじだよな?

「上に掛け合ってみます。ケード、もしその許可が下りたら……話を聞いてもらえませんか?」

「話し?」

「えぇ、ウィラーの居所を掴むきっかけとなるかも知れません。我々には口を開きませんが、貴方ならもしかしたら…」

 確かに、あいつは俺と話した時はなんて言うか普通だったんだよな。警戒するでも、襲いかかる風でもなくてさ。ま、暇してるし俺にも出来る事があるなら是非!

「あぁ!や、やるよ。アルハイドと話をさせてくれ」















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