狼と人間、そして半獣の

咲狛洋々

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獣語 躍動編

閑話 天気雨のち豪雨(5)

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 カイサンを離れて半年が経ち、やっと纏まった休みが取れた

リンは父と兄弟の墓参りをした後、カイサンに向かう為に

一人馬に乗りザギ経由でカイサンを目指した。

3日掛けてカイサンに到着すると、リンは商会の建物にある

自室に向かった。


「お帰りなさいませ、オーナー」

「ただいまぁ~。なんか伝言入ってる?」

「……」

「ん?何、どうかした?」


俯きうんざりとした顔の秘書の顔を見て、リンは近寄ると

声を掛けた。


「何…なんかあったの?」

「いえ…」

「何?はっきり言いなよ」

「…オーナーがロードルーに戻られて二ヶ月を過ぎた頃から
でしょうか?毎日…ある男性がお見えになりまして…」

「誰?」

「…ご存知、フォクスローラボ所長のサリザンド•ルクレーヌさん
ですよ…店に来てはオーナーはいつ戻るのか…そればかりで…」


リンは驚き、口をあんぐりと開けたまま秘書の顔を見つめたが、

何とも言えない喜びが湧いて出て、ヘラリと笑っている。

そんなリンに、秘書はムッとして預かった鞄をリンに

突き返すと堰を切った様に文句を言い出した。


「毎日ですよ⁉︎まだだと言っても毎日来るんです!
本当に何なんですか?あの方!今日もきっと来ますよ…はぁ…」


苦笑いしながらリンは秘書に鞄を押し付けると、ソファに

ドカリと座ってウィンクした。


「それも今日までさ!ご苦労様!」

「…オーナー…あの方とはどういうご関係なんです?」

「僕の男だよ」

「……は?」

「さて、シャワーでも浴びるかな。昨日から寝ずに馬を
走らせたからドロドロ。さっぱりしたい」

浴室に向かうリンの肩を秘書は掴むと、問い正した。


「え?ちょっ…本気ですか?」

「何がよ」

「え?オーナーの恋人なんですか?あの人⁉︎」

「そうだけど?」

「いやいやいやいや!絶対やめた方が良いですよ!」

「何でさ」

「あの執着の仕方…恋人同士でもあそこまではなりませんよ?」


その言葉を聞いて、リンは首を傾げながら秘書を見ると


「彼も僕も初めての恋愛だからじゃない?
わかんないんだよ。距離の詰め方が。それに彼、
男としての自分に自信が無いんだ。まぁ、そこも
僕にとっては可愛いんだけどね」


そう言って、スタスタと浴室に入って行った。

秘書は唖然として立ち尽くしていたが、リンがシャワーから

出た時には部屋には居らず、その日の内にリンとサリザンドの

関係は店中のスタッフに知れ渡っていた。


 カイサンの夏はザーナンドやロードルーに比べると格段に

過ごしやすく、ベランダで柔らかい光を放つ太陽を見ながら

リンはカイサンに別荘でも建てようかと考えていた。


何処らへんが良いかな…静かで誰にも邪魔されない

場所がいいな。

サリザンドと朝から晩までイチャイチャして、

飽きたら草原か森…林でもいい、散歩するんだ。

手を繋いだり、腰に手を回したりなんかしてさ。

彼は僕だけに夢中で、僕を見る周りの男にきっと

嫉妬して、夜は寝かしてはくれなくなるね。

ふふ。いいね、両思いか…。

研究に打ち込む彼を甲斐甲斐しく世話する僕…。

僕はきっと良い奥さんになれる筈さ…そんな姿がさ~

容易に想像できるよね~?ふふ。彼に愛されている僕程

幸せなフェフもいやしないだろうな。


恋に恋する状態とはまさにこの事。とは言え、

リンはサリザンドと言う人間の性格や周りの状況が

見えなくなる程愚かでは無かった。

きっとこのままでは、彼は研究を辞めてしまうだろうと

頭の片隅では危惧もしていて、毎夜眠る前にはどうやって

彼を冷静にさせつつお互いの想いを繋ぎ合わせるかを考えた。


 うとうとと、ベランダのカウチで船を漕ぐリンの肩に何かが

触れて、リンはビクリとして目が覚めた。


「リン」

「サリザンド⁉︎」

「悪いな、疲れているんだろ…起こしちまったな」

「びっくりした!いつ来たの?」

「たった今だ。お前の秘書に通して貰ったんだ」

「サリザンド!やっと会えた」

振り返り、カウチに膝を立てて背もたれ越しにリンは

サリザンドに抱きついた。彼の少し香る汗の匂いに

疲れも相まってか思わず下半身が反応してしまい、

リンはもじもじしながら離れようとした。

だが、サリザンドはリンを抱きしめ離さず、そのまま

抱き上げると部屋に入りベッドの上に倒れ込んだ。


「リン、リン…会いたかった…会いたかった」

「サリー…僕もだ。僕も君に会いたくて寝ずに馬を走らせたんだ」

「ありがとう…疲れただろ?」

「うん…疲れてる…でも眠りたく無いんだよね。少しでも
君を見ていたいから」


その言葉に、サリザンドは目に涙を溜めてリンを見つめた。


「今日リンに会えるまで、何故ここまで惹かれるのか、
考えれば考える程分からなくなって、もしかしたら
次にリンに会ったなら、気持ちが冷めるのではないか?
会えないから、俺はリンを求めていると自分自身に暗示を掛けて
居るのではないか?そう思ったんだ…」

「馬鹿だね…君は本当に」

「最初の一つ目…僕の初めてのキスを君にあげる」


少し窶れたサリザンドの頬に手を当てて、リンは

そっとキスをした。サリザンドもそのキスに応える様に

口を開けると舌でリンの唇をなぞり深くキスをする。


「リン、俺の可愛いリン…愛してる。全部俺の物だ…誰にも
譲らない…俺だけを見てくれ」


やっぱりリンは俺の光だった。愛してる。

この言葉すら陳腐に感じるけれど、それ以上の言葉が無い。

俺は彼を愛しているんだ。


「次の初めてはデートだ…僕はバージンだけどさ…
君と居るだけで興奮しちゃった…ほら…こんなだよ。
でも…最後の初めては夜がいい…それまで一つずつ君に
プレゼントするよ僕の初めてをね」


膨らんだズボンの股を見て、サリザンドはベッドに仰向けに

なると布団を頭まで被り悶えだし、苦し気にリンに擦り寄った。


「あぁっ…クソっ!耐えられるかよ…なぁ、今すぐ欲しい」

「だーめ!綺麗な夜景の見えるホテルを取ってあるんだ…
二人で夜をそこで過ごそうよ…良いだろ?」

「…大事にしたいけど、壊したい…お前を愛してるんだ」


リンはベッドから降りると、ジャケットを手に取り

部屋の扉を開けた。


「置いてくよ!僕の全部が貰えなくてもいいの?」


チラリとシャツのボタンを外し、白い胸元をチラリと見せた。


「今日は暑いからね、ボタンは3つ目位までは開けようかな?」


悪戯なリンに振り回されて、サリザンドは深い溜息を吐くと

リンの後を追った。


 旧市街のお洒落なカフェでお茶をして、昼食は屋台の串焼きを

二人で分け合った。そして休日を楽しむカップル達の中で、リンと

サリザンドも手を繋ぎ、肩を寄せ合いデートを楽しんでいる。


サリザンド、意外と紳士なんだよねぇ。

びっくり。

大した額じゃないけど、食事やお茶代を払ってくれて、

人とぶつかりそうになったら庇ってくれた。

前を歩いていても、時々僕に振り返って歩く速度を合わせて

くれる。嬉しいよね、こう言うのってさ~!

デートがこんなに楽しいなんて!サリザンドだからかな?

ふふふ。むふふふ、夜が楽しみじゃないか!


 太陽が傾きだして、二人は何処と無くギクシャクしながら

国内随一を誇るホテル〈サブァンラ〉の荘厳なエントランスに

足を踏み入れた。


僕はここでヴァージンを彼にあげるんだ。

55年間…僕は沢山恋をしたけど、それはナイトに

憧れを抱く様な幼い物だったんだよね。

だから僕の初恋は間違いなくサリザンドなんだ。

嬉しいよね…身体を許したい人に愛してるって、離したくないって

想って貰えるなんてさ。

でも、痛いのかな…サリザンド、ああ見えて結構モテると

影から報告を貰ったから、経験は豊富そう…お互い初めてより

良いだろうけど…複雑。


「リン様、ご無沙汰しております」

「やぁ、マフェット!二日間世話になるね!」

「ありがとうございます。快適にお過ごし頂ける様、
スタッフ一同心を込めてお二人のお世話をさせて頂きます」

「宜しくね!早速部屋に案内してよ」

「はい、ではこちらに」


ホテルのオーナー、マフェット•ベルモンテに案内されて、

二人は最上階のエグゼクティブスイートに入った。

リンからしてみれば、商会の自室と大して変わらなかったが、

サリザンドはその豪華な部屋に、少し意気消沈していた。


「どうしたのさ、サリー」

「いや…俺じゃこんな部屋は取ってやれないなと思ってさ」

「ばっかじゃないの?僕は商人だよ?金儲けのプロだ…そして
君は僕を魅了してやまない才能の塊だ!君の男は誰をも
羨む程の金と力を持ってる…そんな男を従わせる事が出来るのは
サリザンド、君だけなんだよ?僕はね、君にアピールしてるんだ…
こんな優良物件はそうそう居無いぞってね!」

「リン…俺」

「楽しかったね、今日1日」

「…あぁ、今までに無い程な」

「初めてのデートに、初めての馬の相乗り。初めて僕は
心を預ける…君に」


それまで気後れしていたサリザンドだったが、リンが

相当の覚悟を以って、今夜自分に抱かれようとしている事を

感じ、何とも言えない気持ちが心をぎゅっと締め付けた。


「俺は何をあげられるかな…今日した事はどれも初めてじゃない」

「なら君の心と人生、そして君の研究を…僕の為に捧げてよ」

「もうとっくに捧げてる…」


抱き合いキスをしながら、夜景を見る事なくベッドに傾れ込み、

互いの服を破り捨てる様に脱がせ合うと、サリザンドは首筋から

足先までキスをして、その身体の緊張が解けるまでただ肌を

撫でる様に触れた。


「サリー…セックスってこんなにもどかしい物なの?」

「いや、これからだ」


サリザンドはリンの足元に移動すると、太腿に舌を這わせ

リンの物を口に含んだ。


「え⁉︎汚いよ!ちょっ!まっ…あぁっ!やっ…熱い」

「…」


舌で転がす様に舐めて吸い上げると、ゆっくりと頭を動かした。

そして、口を離すと真剣な眼差しをリンに向けて言った。


「一度達っとけ」

「あぁっ!無理だって!やだよ!口の中とか汚いよ!」

「リン、俺はお前のを貰う。汚かろうが関係ない…
出せ」


獣以上に獣の様な鋭い視線と、身体が凍るかと思える程低今声は、

リンを支配した。股下から、その口に自身を咥え込み見つめる

眼差しからリンは目が離せなかった。


「あっ…あぁ…あぁぁ…ダメ、ダメ、嫌っ!んんんっ!イクっ!
ふぇっ、んん、うーーーっ!」


恥ずかしさと戸惑いで、思わずリンは泣き出した。

しかしサリザンドは、そんな事はお構い無しにリンをまだ

口内で嬲っている。そしてまだ硬い下の口の結びを解く様に、

入り口を指でなぞりながらゆっくりと差し入れしていた。

卑猥な音は部屋に響き渡り、リンの鋭い聴覚はその音だけで

性感帯を刺激する。


 それから何度か果てたのに、サリザンドは中に入れる事なく

ただリンに快感を与え続けた。魔力回路のツボを押さえて

魔力を半身に溜め込ませる。そして真っ赤に充血した物を喉の奥で

刺激した。そんな初心者には拷問に近い愛撫をし続けている。


「サリー、なんでぇ?ふぇっ、なんでっ、ぐすっ、なんでぇ」

「なんだ。気持ち良く無いか?何度もイッてるみたいだけど」


もう思考が麻痺して、何が何だかよく分からなくなったリンは

手を伸ばし足を抱え込むと、指先で入り口を広げ懇願した。


「お願い、僕のっ僕の中に入れて!中に来てよっ!」

「なんだよ、ヴァージンなんて嘘か?」

「頭がおかしいんだ、頭が、身体がむずむずして熱い、熱いっ!」


サリザンドはリンの耳元に口を当てると囁いた。


「堕ちろ」


その言葉に、リンの視界はスパークするかの様に点滅している。

もう、何も考えられなかった。獣の力が本能的に現れサリザンドを

押さえつけると唸りながら彼の物を飲み込んだ。


「はぁぁぁ…あ゛あ゛っ…あ゛っ!」

「はぁ…お前…やはり…くっ、獣だな…くそっ!どうなってんだ!」


たった数回リンが腰をくねらせただけで、サリザンドは簡単に

リンの中に果ててしまい、呆然としている。

だが、満足いかないリンは尚もサリザンドにキスをしながら

腰を落とし狂った様に跳ねていた。


「サリザンドっ…グゥァオッウォン…まだ足りない!」

「くそっ!負けるか!」


こうして、リンの初めては無事捧げられたのだが、余りにも

ロマンチックとは程遠い夜が、じわりじわりとサリザンドの

眠れる悪魔を呼び起こしていった。





次話で閑話は完結予定です。
宜しくお願いします!




















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