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ざまあな話 ピアス ※ジョージ視点

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ジョージは意気揚々とした気分で宝石屋にいる。

「また借金を作ってしまった!!」

軽く舌を出した。

借金の領収書を無造作にコートのポケットに突っ込んだ。


借金は雪だるま式に膨らんでいった。

借金は主に妻のエカテリーナへのピアスのプレゼントだった。


借金してもなお、ジョージはピアスを買っていた。


エカテリーナはピアスが大好きだ。

「ピアスが無ければ生きていけない」

とまで言っている。

しかも、婚約指輪よりもピアスを喜ぶのだから不思議だ。


ゆえに、いつもピアスをプレゼントしているのだ。

勿論、サプライズ。


この日もまたピアスをお買い上げ。

アメジストのピアスだ。


「毎度あり!!」

ピアスを購入し、邸に戻る。


帰り道は雪が散らついていた。


ここ、ジムリード王国はツンドラ地帯。

一度雪が降ると長いのだ。


吐く息が白く濁る。

は~と手に息を吹きかけ匂いをかいだ。

パイプの匂いがする。


一人、暗い夜道を行く。

人っ子一人いない。


幸い、ハムネット領は治安が良いので、追い剥ぎなど出ない。


白い息を吐きながら邸に着いた。


邸に着くと、妻のエカテリーナが待っていた。

「ジョージ様。お帰りなさい」

「ああ、ただいま、エカテリーナ」


ジョージはコートを脱いだ。

と、その時、何かがポロリとポケットからこぼれ落ちた。


「何? これ」 

エカテリーナはそれを拾い上げ、見た。


と、その刹那、エカテリーナの顔色が変わった。


「なっ……何これ!?」

エカテリーナはこれみよがしに紙を見せてきた。

何と、ポケットから落ちたのは借金の証明書だった。

瞬間、ジョージはエカテリーナからコートを奪った。

そして、ポケットに手を突っ込んだ。


穴があいている!!


嘘っ!?


「うっ……嘘よね? ジョージ様。借金だなんて」

「あ……」

図星をつかれ、絶句してしまった。

「なぜ借金を!?」

「す……すまない」

「このピアスも借金して買ったものなの?」

エカテリーナは自分の耳のピアスを指差しながら言った。


「そんなに無理をしないで下さいな、ジョージ様」

エカテリーナは猫なで声を出した。


「しゃっ……借金ですと!?」

声を聞いていたのは執事のドラコだった。


「ドラコ。父上には黙っていてもらえないか?」

「いえ。そうもいきません」














☆★☆★











翌朝。二人は家族会議に呼ばれた。

体格の良い、立派な顎髭を蓄えた男がいる。

父のシリウスだ。


「ドラコから聞いた。お前、借金があるんだってな」

言い訳はできない。

なぜなら、事実だから。


「借金をしてわたくしのためにピアスを贈ってくれていたのです。お義父様。ジョージ様を赦してあげて下さいませ」


「赦せんよ、エカテリーナ。申し訳ないが、我がハムネット家と縁を切らせてもらう。次期ハムネット家を継承するのは妹のリサだ」

「待ってください。リサは女性です!」

「仕方ない話だ。悪いのはお前なんだからな」


二人はその後家を追われ、港町バッファローに行った。
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