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晩餐会に呼ばれて
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「リンジー。よく来たね」
笑顔で出迎えてくれたのはマックス王子だった。
「はい、マックス王子殿下」
リンジーは笑顔になった。
「先日はヤンとキャサリンの婚約だったね。実はもう一組結婚する人がいるんだ」
「え!?」
リンジーは目を丸くした。
「そう。きみの伯母上が平民男性との婚約が決定したんだ」
嘘!?
リンジーは母親からそんな話は聞いていない。
なぜ、マックス王子の方が情報が早いのか小一時間考え込んでしまった。
「実はね、本当はシモン家だけで秘密にしておこう、という話だったんだけど、父上に挨拶があって。そして父上の口から王侯貴族に話して欲しいという事になったんだ」
なるほど、と思った。
「でも、なぜ結婚が許されたんです?」
「それはやはりヤンとキャサリンの結婚かな? それでやっと平民と貴族の結婚が叶ったんだよ」
「そうだったんですか」
リンジーは片方の手に拳を握り、もう片方の手の掌を叩いた。
「実におめでたい話だよね。今日はヤンとキャサリンの結婚の報告と、きみの伯母上の結婚の話をするための晩餐会さ。めでたいでしょ?」
「そうですね。で、イベイラとサイラス王子殿下は結婚したんですか?」
「結婚したけど、もうハミルトンにはいないよ」
「え~!? そうだったんですの?」
リンジーは両手で口を塞いだ。
驚いた。まさかハミルトン王国から出ていってしまったなんて。
「あの二人は国外追放さ。当然の報いだ。不倫略奪婚。そんなのが国にのうのうと居座っては欲しくない」
確かに。略奪婚をした王子など自国にいられるはずがない。
「さあ。そんな愚者どもの事は置いておいて、今宵も楽しみましょ」
マックスはリンジーの肩を叩いた。
「はい、マックス王子殿下。楽しみます」
そこへカミュ夫妻が現れた。
「リンジー」
キャサリンだ。
今日のキャサリンは髪の毛の色にあわせたうぐいす色のドレスを身に纏っている。
レースで覆われ、小さな宝石が散りばめてある。
非常に似合っていた。
「キャサリン、そのドレス似合うよ」
「ありがとう。このドレスは結婚祝いに……ってカミュ侯爵夫人が新調してくれたの」
キャサリンは嬉しそうだ。
「結婚生活、慣れた?」
キャサリンはヤンの両親とカミュ邸で生活している。
「うん。お陰様で」
「良かったあ!!」
「どうも!!」
ヤンが現れた。
「ヤン。キャサリンがやっと生活に慣れたみたいね」
「まあ、そうだな」
ヤンも嬉しそう。
「ところで、今日もサイラス王子殿下とイベイラ夫人が来ていないけど、あの二人、何かあったの?」
晩餐会や舞踏会にいつも二人は参加していた。
それが出てこないとなると、流石に心配になるだろう。
ヤンはどうやら二人の事情を知らないみたいだ。
「実はね、あの二人、不倫していたの」
「え? 本当に!? それはまずいね」
「それで私、サイラス王子殿下との婚約が破棄になってしまったんだけど」
「で、二人はどうなったの?」
「一応結婚したみたいだけど、国外退去みたいよ」
「え!?」
ヤンは目が点状態だ。
「もうハミルトンにいないの?」
「そうよ」
「どこへ行ったの?」
「そこまでは聞いていないわ!」
「当たり前よ。既婚者に手を出して、一方的に婚約破棄なんて罰が当たったんだわ」
とキャサリン。
キャサリンの顔が憤懣に満ちている。
「その事で悲しい思いをしたんだね、リンジー」
「そうなの」
「リンジー。見返してやろうぜ。だってきみにはマックス王子殿下がいるだろ!?」
え!?
一体どうしてマックス王子殿下が!?
「いやだ、ヤンったら。マックス王子殿下はわたくしを慰めてくれているだけで、私に好意があるかどうかはわからないわよ」
マックス王子はサイラス王子の代わりではない。
マックス王子にはマックス王子の好きな人がいる、とリンジーは思っている。
「でも、寡黙なマックス王子がなぜリンジーの前に来ると多弁になるんだい?」
「それは……」
自分でもわらなかった。
「リンジー。マックス王子が嫌いか?」
「勿論嫌いじゃないわ」
「呼んだかい?」
マックス王子が来た。
「いえいえ。マックス王子がリンジーの事……」
「いえ、何でもないんです」
リンジーは遮るように言った。
「僕はリンジーが好きだよ。やっぱり王侯貴族互いに嫌い合っていたら、内乱がおきるからね」
「リンジー。ちょっと話がある」
マックス王子がリンジーの手を取って、その場を後にした。
「リンジー。今日は僕の隣に座って欲しい」
リンジーは胸がドキドキしてしまった。
――マックス王子殿下の隣にわたくしが座って良いのかしら?
「いやかい?」
「い、いいえ。そんな事はありませんわ」
「じゃあ、今夜はよろしくね」
「は……はい」
晩餐会が始まった。
晩餐会には国中の王侯貴族が招待された。
リンジーはマックスの隣に座った。
国王の隣の隣だ。
なんと、リンジーの伯母クレメンティーナがいた。
「今宵はお忙しい中お集まり頂いてありがとうございます」
国王の挨拶から始まった。
「今日は我が国にとってめでたい話がありまして、晩餐会を開かせてもらいました」
国王がそう言うと、どよめきと万雷の拍手が鳴った。
「今回は平民の方とのご結婚が2件あります」
再び拍手喝采。
「カミュ侯爵ご令息のヤンさんと平民のキャサリンさんが結婚しました」
ヤンとキャサリンが立ち上がり、深々と頭を下げた。
「そして。長年の恋を実らせたのがシモン公爵実姉のクレメンティーナさんと平民のアンドレイさんです」
二人は立ち上がり、カミュ夫妻同様、深々と頭を下げた。
「ここに祝の宴を」
晩餐会が終わると……。
リンジーは再びマックスに呼び出された。
「リンジー。そろそろ僕の気持ちに応えてもらいたい」
マックスは円を描いた。
すると、バラの花束が出てきた。
笑顔で出迎えてくれたのはマックス王子だった。
「はい、マックス王子殿下」
リンジーは笑顔になった。
「先日はヤンとキャサリンの婚約だったね。実はもう一組結婚する人がいるんだ」
「え!?」
リンジーは目を丸くした。
「そう。きみの伯母上が平民男性との婚約が決定したんだ」
嘘!?
リンジーは母親からそんな話は聞いていない。
なぜ、マックス王子の方が情報が早いのか小一時間考え込んでしまった。
「実はね、本当はシモン家だけで秘密にしておこう、という話だったんだけど、父上に挨拶があって。そして父上の口から王侯貴族に話して欲しいという事になったんだ」
なるほど、と思った。
「でも、なぜ結婚が許されたんです?」
「それはやはりヤンとキャサリンの結婚かな? それでやっと平民と貴族の結婚が叶ったんだよ」
「そうだったんですか」
リンジーは片方の手に拳を握り、もう片方の手の掌を叩いた。
「実におめでたい話だよね。今日はヤンとキャサリンの結婚の報告と、きみの伯母上の結婚の話をするための晩餐会さ。めでたいでしょ?」
「そうですね。で、イベイラとサイラス王子殿下は結婚したんですか?」
「結婚したけど、もうハミルトンにはいないよ」
「え~!? そうだったんですの?」
リンジーは両手で口を塞いだ。
驚いた。まさかハミルトン王国から出ていってしまったなんて。
「あの二人は国外追放さ。当然の報いだ。不倫略奪婚。そんなのが国にのうのうと居座っては欲しくない」
確かに。略奪婚をした王子など自国にいられるはずがない。
「さあ。そんな愚者どもの事は置いておいて、今宵も楽しみましょ」
マックスはリンジーの肩を叩いた。
「はい、マックス王子殿下。楽しみます」
そこへカミュ夫妻が現れた。
「リンジー」
キャサリンだ。
今日のキャサリンは髪の毛の色にあわせたうぐいす色のドレスを身に纏っている。
レースで覆われ、小さな宝石が散りばめてある。
非常に似合っていた。
「キャサリン、そのドレス似合うよ」
「ありがとう。このドレスは結婚祝いに……ってカミュ侯爵夫人が新調してくれたの」
キャサリンは嬉しそうだ。
「結婚生活、慣れた?」
キャサリンはヤンの両親とカミュ邸で生活している。
「うん。お陰様で」
「良かったあ!!」
「どうも!!」
ヤンが現れた。
「ヤン。キャサリンがやっと生活に慣れたみたいね」
「まあ、そうだな」
ヤンも嬉しそう。
「ところで、今日もサイラス王子殿下とイベイラ夫人が来ていないけど、あの二人、何かあったの?」
晩餐会や舞踏会にいつも二人は参加していた。
それが出てこないとなると、流石に心配になるだろう。
ヤンはどうやら二人の事情を知らないみたいだ。
「実はね、あの二人、不倫していたの」
「え? 本当に!? それはまずいね」
「それで私、サイラス王子殿下との婚約が破棄になってしまったんだけど」
「で、二人はどうなったの?」
「一応結婚したみたいだけど、国外退去みたいよ」
「え!?」
ヤンは目が点状態だ。
「もうハミルトンにいないの?」
「そうよ」
「どこへ行ったの?」
「そこまでは聞いていないわ!」
「当たり前よ。既婚者に手を出して、一方的に婚約破棄なんて罰が当たったんだわ」
とキャサリン。
キャサリンの顔が憤懣に満ちている。
「その事で悲しい思いをしたんだね、リンジー」
「そうなの」
「リンジー。見返してやろうぜ。だってきみにはマックス王子殿下がいるだろ!?」
え!?
一体どうしてマックス王子殿下が!?
「いやだ、ヤンったら。マックス王子殿下はわたくしを慰めてくれているだけで、私に好意があるかどうかはわからないわよ」
マックス王子はサイラス王子の代わりではない。
マックス王子にはマックス王子の好きな人がいる、とリンジーは思っている。
「でも、寡黙なマックス王子がなぜリンジーの前に来ると多弁になるんだい?」
「それは……」
自分でもわらなかった。
「リンジー。マックス王子が嫌いか?」
「勿論嫌いじゃないわ」
「呼んだかい?」
マックス王子が来た。
「いえいえ。マックス王子がリンジーの事……」
「いえ、何でもないんです」
リンジーは遮るように言った。
「僕はリンジーが好きだよ。やっぱり王侯貴族互いに嫌い合っていたら、内乱がおきるからね」
「リンジー。ちょっと話がある」
マックス王子がリンジーの手を取って、その場を後にした。
「リンジー。今日は僕の隣に座って欲しい」
リンジーは胸がドキドキしてしまった。
――マックス王子殿下の隣にわたくしが座って良いのかしら?
「いやかい?」
「い、いいえ。そんな事はありませんわ」
「じゃあ、今夜はよろしくね」
「は……はい」
晩餐会が始まった。
晩餐会には国中の王侯貴族が招待された。
リンジーはマックスの隣に座った。
国王の隣の隣だ。
なんと、リンジーの伯母クレメンティーナがいた。
「今宵はお忙しい中お集まり頂いてありがとうございます」
国王の挨拶から始まった。
「今日は我が国にとってめでたい話がありまして、晩餐会を開かせてもらいました」
国王がそう言うと、どよめきと万雷の拍手が鳴った。
「今回は平民の方とのご結婚が2件あります」
再び拍手喝采。
「カミュ侯爵ご令息のヤンさんと平民のキャサリンさんが結婚しました」
ヤンとキャサリンが立ち上がり、深々と頭を下げた。
「そして。長年の恋を実らせたのがシモン公爵実姉のクレメンティーナさんと平民のアンドレイさんです」
二人は立ち上がり、カミュ夫妻同様、深々と頭を下げた。
「ここに祝の宴を」
晩餐会が終わると……。
リンジーは再びマックスに呼び出された。
「リンジー。そろそろ僕の気持ちに応えてもらいたい」
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