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★自業自得 エマニュエル視点
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外はなごり雪。
エマニュエルとジェシカはエマニュエルの部屋でパイプを吸っている。
学園の卒業式も終わり、二人は結婚した。
結婚式は王族が結婚する大会館で盛大に行われた。
結婚式には各国各界の人が参加した。
王太子、エマニュエル。
そして、ジェシカ。
「エマニュエル様。私と結婚してくれてありがとうございます」
「いや~、いいんだよ、ジェシカ。俺はジェシカを心底愛したんだからな」
ジェシカは嬉しそうな顔をしている。
結婚式にはオライリー公爵は来なかった。
招待はしたが、お祝いにはかけつけてくれなかった。
それもそのはずだろう。自分の愛娘が婚約破棄されたのだから。
エマニュエルは大きく息を吐いた。
このパイプの匂いが心地よい。
と、そこへ
ドアをノックする音がした。
「はい」
「エマニュエル様」
側近の一人が部屋に入ってきた。
クルトだった。
「どうした、クルト」
「はい。国王陛下がお呼びです」
「何!?」
一体何なのだろう?
何の用があるというのだろう?
「謁見の間へ」
「わかった。今行く」
「行っちゃうの? エマニュエル様」
「ああ。父上が何の要件があるのか知りたいからな」
「なんか嫌な予感がするわ」
「大丈夫だって。俺たちは無事結婚できただろ?」
「そうね」
エマニュエルは謁見の間に行った。
「エマニュエル様。国王陛下がお呼びです。どうぞお入り下さい」
兵士の一人が言った。
中に入ると、国王の顔が憤懣に満ちていた。
エマニュエルはゴクリと唾を飲み込んだ。
「父上。ただ今参りました」
「エマニュエル!!」
「はい」
「お前、私に嘘をついたな?」
「嘘……ですか?」
「これは兵士から聞いた」
「いや~、あの、カイルは嘘つきじゃないですか?」
「誤魔化すな!!」
「カイルは私が信用を置く兵士の1人。嘘などつくはずもない」
「お前。本当はアレクシアと婚約中にジェシカと交際していたな?」
「いや、だからその件は潔癖だと言ったじゃないですか~」
「嘘をつくな。お前今視線が泳いでいるぞ」
――クソッタレが。
俺は嘘をつくのが下手くそなのか?
「いや、だから、既にアレクシアとは婚約破棄しましたって」
「しかし、カイルは言っていたぞ。アレクシアがお前と婚約破棄前に付き合っていたとな」
「いや……だからそのぉ……」
「問答無用!!」
ひっ……。
父とて容赦は無い。
「どうした? 真実なのかい?」
「は……はい」
降参だ。
「お前と妻のジェシカ。二人は王籍離脱してもらう。そして、財産もすべて没収!」
「そ…そんな」
「因果応報だ!!」
★☆★☆
裸一貫にされてしまったエマニュエル夫妻。
「ねぇ、エマニュエル様。どうしてこうなるの?」
「しくじった」
「信じられないわ」
「ごめんな、ジェシカ」
「良いですわ。私達は平民になることで無罪放免になったのだから」
「そうだな。宝石もドレスも無い。この服は囚人が着る服だ」
「明日、何食べれば良い? それからまた野宿?」
「そうだな。今夜は野宿だ」
「なごり雪のこんな寒い中野宿?」
「仕方ない」
雪は容赦なく降る。
寒い……。
暖が欲しい。
もう、暖炉のある部屋には戻れない。
しんしんと積もる雪。
二人は凍えるような寒さの中、食べ物を求めさまよい歩く。
エマニュエルとジェシカはエマニュエルの部屋でパイプを吸っている。
学園の卒業式も終わり、二人は結婚した。
結婚式は王族が結婚する大会館で盛大に行われた。
結婚式には各国各界の人が参加した。
王太子、エマニュエル。
そして、ジェシカ。
「エマニュエル様。私と結婚してくれてありがとうございます」
「いや~、いいんだよ、ジェシカ。俺はジェシカを心底愛したんだからな」
ジェシカは嬉しそうな顔をしている。
結婚式にはオライリー公爵は来なかった。
招待はしたが、お祝いにはかけつけてくれなかった。
それもそのはずだろう。自分の愛娘が婚約破棄されたのだから。
エマニュエルは大きく息を吐いた。
このパイプの匂いが心地よい。
と、そこへ
ドアをノックする音がした。
「はい」
「エマニュエル様」
側近の一人が部屋に入ってきた。
クルトだった。
「どうした、クルト」
「はい。国王陛下がお呼びです」
「何!?」
一体何なのだろう?
何の用があるというのだろう?
「謁見の間へ」
「わかった。今行く」
「行っちゃうの? エマニュエル様」
「ああ。父上が何の要件があるのか知りたいからな」
「なんか嫌な予感がするわ」
「大丈夫だって。俺たちは無事結婚できただろ?」
「そうね」
エマニュエルは謁見の間に行った。
「エマニュエル様。国王陛下がお呼びです。どうぞお入り下さい」
兵士の一人が言った。
中に入ると、国王の顔が憤懣に満ちていた。
エマニュエルはゴクリと唾を飲み込んだ。
「父上。ただ今参りました」
「エマニュエル!!」
「はい」
「お前、私に嘘をついたな?」
「嘘……ですか?」
「これは兵士から聞いた」
「いや~、あの、カイルは嘘つきじゃないですか?」
「誤魔化すな!!」
「カイルは私が信用を置く兵士の1人。嘘などつくはずもない」
「お前。本当はアレクシアと婚約中にジェシカと交際していたな?」
「いや、だからその件は潔癖だと言ったじゃないですか~」
「嘘をつくな。お前今視線が泳いでいるぞ」
――クソッタレが。
俺は嘘をつくのが下手くそなのか?
「いや、だから、既にアレクシアとは婚約破棄しましたって」
「しかし、カイルは言っていたぞ。アレクシアがお前と婚約破棄前に付き合っていたとな」
「いや……だからそのぉ……」
「問答無用!!」
ひっ……。
父とて容赦は無い。
「どうした? 真実なのかい?」
「は……はい」
降参だ。
「お前と妻のジェシカ。二人は王籍離脱してもらう。そして、財産もすべて没収!」
「そ…そんな」
「因果応報だ!!」
★☆★☆
裸一貫にされてしまったエマニュエル夫妻。
「ねぇ、エマニュエル様。どうしてこうなるの?」
「しくじった」
「信じられないわ」
「ごめんな、ジェシカ」
「良いですわ。私達は平民になることで無罪放免になったのだから」
「そうだな。宝石もドレスも無い。この服は囚人が着る服だ」
「明日、何食べれば良い? それからまた野宿?」
「そうだな。今夜は野宿だ」
「なごり雪のこんな寒い中野宿?」
「仕方ない」
雪は容赦なく降る。
寒い……。
暖が欲しい。
もう、暖炉のある部屋には戻れない。
しんしんと積もる雪。
二人は凍えるような寒さの中、食べ物を求めさまよい歩く。
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