7 / 9
両親に報告 マーニャ視点
しおりを挟む
マーニャはカントン家に着いた。
両親に報告するためだ。
勿論、ジョフレイと結婚が決まった事を。
妊娠していた事も勿論親には内緒だった。
「これはこれはマーニャお嬢様。よくぞお戻りで」
執事のアルフだ。
身長がマーニャより低く、白髪で白い髭を蓄えたいる。
「ええ、アルフ。私は婚約したの」
「婚約?」
アルフは目線を上げた。
「そうです。ローレンシア侯爵令息のジョフレイ様と婚約しましたの」
「そうですか」
「それにね。私のお腹の中には新しい命が宿っているの」
「な……なんと。ご主人さまはそれを知っているのですか?」
「知らないわ。だから、報告に行くの」
「それを知ったら、ご主人さまはさぞ驚かれると思いますな」
アルクは髭を触りながら言った。
「じゃあ、早速報告に行くわ」
マーニャはそう言って階段を昇った。
マーニャは父、グレンの元に向かった。
グレンとはローレンシア家の執事と同じ名前だ。
その事からも、ジョフレイとは運命的なものを感じていた。
マーニャは父、グレンの執務室に入った。
部屋の暖炉には火がついていた。
確かに、晩秋の今はとても寒い。
「お父様。とっても嬉しいお知らせですわ」
「おおー、マーニャ。嬉しいお知らせとは何だね?」
茶色い髪の大柄な男性が目の前にいる。
お腹も出ている。
この男こそ、マーニャの父、グレンだ。
「はい、お父様。実はローレンシア侯爵令息のジョフレイ様と婚約が成立しました」
そう言って左手を高々と挙げた。
「ん? でも待てよ? ジョフレイ様は確かエマヌエラ嬢と婚約していたのではないか?」
「はい。でも、ジョフレイ様は家同士の繋がりで婚約者がいることに違和感を感じていたみたいです。それで、ジョフレイ様はエマヌエラと婚約を破棄し、私を選んでくれたんです」
「そうだったのか……」
「ジョフレイ様はエマヌエラの分厚い唇、低い声、高過ぎる身長……。そもそも、エマヌエラはジョフレイ様より身長が高い時点で終わっているんですよ、お父様」
「確かにエマヌエラは女性にしては身長が高いな」
「エマヌエラは結婚できない運命なんです。あの身長だと、王侯貴族、誰もが引いてしまいますわよ」
グレンは葉巻に火をつけた。
「確かに、誰にも相手にされないかもしれないな」
「それと……」
「まだ何かあるのかね?」
「私……妊娠しているんです」
「何だと?」
グレンの目の色が変わった。
そして、椅子から立ち上り、テーブルを激しく揺らした。
「はい。勿論、ジョフレイ様の子供ですわ」
「いわゆるデキ婚ってやつか? けしからん!!」
「す……すみません」
まさか謝る羽目になるとは思わなかった。
素直に結婚を喜んでくれると思っていた。
「すみません……じゃない!! つまりは遊んでいたら、できてしまったってことだよな? まさか婚前に行為に及んでいたとはな」
そう言って椅子に座った。
そして、葉巻を口に含み、勢いよく煙を吐き出した。
煙は天井に向かって立ち上った。
「お父様……。申し訳ありません。でも、それが私とジョフレイ様の意思なんです」
「まさか妊娠していたなんてな。マリアナとグレイとレベッカが聞いたら何というだろう?」
マリアナは母。グレイは兄。レベッカは姉だ。
ちなみに、カントン家は長子に継承権があるため、女性ではあるものの、姉のレベッカが継承することになっている。
こんな時ばかりは、自分が長子でなくて良かったと思っている。
コンコン。
「失礼致します」
入ってきたのは侍女のユラだった。
「ユラ。マリアナとグレイとクレシダを連れてきてくれ。至急だ」
「わかりました。でも、グレイ様もクレシダ様も仕事です」
「構わん!! 今はそれどころではない。おおごとなのだ」
「わかりました」
とはいえ、グレイはアロー公爵家で令息の警護をしている。
クレシダもアロー家で侍女を務めている。
アロー家は近い。
ほんの数時間で行ってこれる。
コンコン。
そこに、オレンジ色の髪をお団子にし、尖った鼻に吊り上がった目。
母のマリアナだ。
「あら、マーニャ、どうしたの?」
「こいつ、妊娠しているみたいだ。お前からも何か言ってやれ」
「まぁ、マーニャ。妊娠しているの?」
マリアナが訝しげな顔をした。
「はい、お母様。私はジョフレイ様の子供を身ごもりました」
「な……何ですって?」
「申し訳ありません!!」
マーニャは土下座をした。
「そう言えば、ジョフレイ様は婚約者がいたはず? そう、シモンチーニ男爵令嬢の……」
「そうです。エマヌエラとジョフレイ様は婚約していました。でも、ジョフレイ様は婚約者が家と家の間で決められているのはあまりにも不本意だということで」
「そう……だったのね。で……エマヌエラはジョフレイ様と婚約を白紙撤回したのね?」
「そうです」
「まぁ……。その原因があなただったり?」
「一応そうなんですが……」
わかっていた。
自分が原因でジョフレイがエマヌエラと婚約を破棄したことを。
「でも、仕方ないわね。婚約者が予め決められているのは」
「ですよね?」
「私は結婚、認めるわ」
「何だ? お前はそう言うのか?」
「そうですわ。基本、下位貴族は婚約者が決められていないようだけど、シモンチーニ家は元を正すとローレンシア侯爵家と親戚筋にあるからね」
「つっ……」
グレンは舌打ちをした。
小一時間して、ドアが鳴った。
「入れ!」
茶髪の男女が部屋に入ってきた。
兄のグレイと姉のクレシダだ。
「お前ら、よく聞け」
と言ってマーニャを指さした。
エヘンと喉を鳴らし、グレンは続けた。
「マーニャは妊娠をしている。お前ら、どう思うか? ちなみに子供はジョフレイ様の子供だぞ」
「デキ婚ですか? お父様」
と、クレシダ。
「そうだ。遊ぶに遊んで妊娠してしまったのだよ」
「恥ずかしいな」
と、グレイ。
「申し訳ありません。お兄様、お姉様」
クレシダは「仕方ないわね」という顔でこちらを見ている。
グレイの顔は明らかに憤っていた。
「なあ、マーニャよ」
「はい、お兄様」
「エマヌエラはどうしたんだ?」
「はい。エマヌエラはジョフレイ様と婚約を破棄しました」
「婚約破棄をさせた? とんでもない話だ」
「そうだな。まぁ、こんな奴とは親子の縁を切りたいほどだ」
「良いですわ。私が出ていけば良いんですね?」
「わかっているじゃないか!!」
と、グレン。
「出ていってくれ。我々のためにも」
と、グレイ。
「さようなら、お父様、お母様、お兄様、お姉さま」
そう言ってマーニャは執務室を出た。
晩秋の空は曇っていた。
秋晴れとは程遠かった。
マーニャは馬車に乗り、ローレンシア家へ向かった。
両親に報告するためだ。
勿論、ジョフレイと結婚が決まった事を。
妊娠していた事も勿論親には内緒だった。
「これはこれはマーニャお嬢様。よくぞお戻りで」
執事のアルフだ。
身長がマーニャより低く、白髪で白い髭を蓄えたいる。
「ええ、アルフ。私は婚約したの」
「婚約?」
アルフは目線を上げた。
「そうです。ローレンシア侯爵令息のジョフレイ様と婚約しましたの」
「そうですか」
「それにね。私のお腹の中には新しい命が宿っているの」
「な……なんと。ご主人さまはそれを知っているのですか?」
「知らないわ。だから、報告に行くの」
「それを知ったら、ご主人さまはさぞ驚かれると思いますな」
アルクは髭を触りながら言った。
「じゃあ、早速報告に行くわ」
マーニャはそう言って階段を昇った。
マーニャは父、グレンの元に向かった。
グレンとはローレンシア家の執事と同じ名前だ。
その事からも、ジョフレイとは運命的なものを感じていた。
マーニャは父、グレンの執務室に入った。
部屋の暖炉には火がついていた。
確かに、晩秋の今はとても寒い。
「お父様。とっても嬉しいお知らせですわ」
「おおー、マーニャ。嬉しいお知らせとは何だね?」
茶色い髪の大柄な男性が目の前にいる。
お腹も出ている。
この男こそ、マーニャの父、グレンだ。
「はい、お父様。実はローレンシア侯爵令息のジョフレイ様と婚約が成立しました」
そう言って左手を高々と挙げた。
「ん? でも待てよ? ジョフレイ様は確かエマヌエラ嬢と婚約していたのではないか?」
「はい。でも、ジョフレイ様は家同士の繋がりで婚約者がいることに違和感を感じていたみたいです。それで、ジョフレイ様はエマヌエラと婚約を破棄し、私を選んでくれたんです」
「そうだったのか……」
「ジョフレイ様はエマヌエラの分厚い唇、低い声、高過ぎる身長……。そもそも、エマヌエラはジョフレイ様より身長が高い時点で終わっているんですよ、お父様」
「確かにエマヌエラは女性にしては身長が高いな」
「エマヌエラは結婚できない運命なんです。あの身長だと、王侯貴族、誰もが引いてしまいますわよ」
グレンは葉巻に火をつけた。
「確かに、誰にも相手にされないかもしれないな」
「それと……」
「まだ何かあるのかね?」
「私……妊娠しているんです」
「何だと?」
グレンの目の色が変わった。
そして、椅子から立ち上り、テーブルを激しく揺らした。
「はい。勿論、ジョフレイ様の子供ですわ」
「いわゆるデキ婚ってやつか? けしからん!!」
「す……すみません」
まさか謝る羽目になるとは思わなかった。
素直に結婚を喜んでくれると思っていた。
「すみません……じゃない!! つまりは遊んでいたら、できてしまったってことだよな? まさか婚前に行為に及んでいたとはな」
そう言って椅子に座った。
そして、葉巻を口に含み、勢いよく煙を吐き出した。
煙は天井に向かって立ち上った。
「お父様……。申し訳ありません。でも、それが私とジョフレイ様の意思なんです」
「まさか妊娠していたなんてな。マリアナとグレイとレベッカが聞いたら何というだろう?」
マリアナは母。グレイは兄。レベッカは姉だ。
ちなみに、カントン家は長子に継承権があるため、女性ではあるものの、姉のレベッカが継承することになっている。
こんな時ばかりは、自分が長子でなくて良かったと思っている。
コンコン。
「失礼致します」
入ってきたのは侍女のユラだった。
「ユラ。マリアナとグレイとクレシダを連れてきてくれ。至急だ」
「わかりました。でも、グレイ様もクレシダ様も仕事です」
「構わん!! 今はそれどころではない。おおごとなのだ」
「わかりました」
とはいえ、グレイはアロー公爵家で令息の警護をしている。
クレシダもアロー家で侍女を務めている。
アロー家は近い。
ほんの数時間で行ってこれる。
コンコン。
そこに、オレンジ色の髪をお団子にし、尖った鼻に吊り上がった目。
母のマリアナだ。
「あら、マーニャ、どうしたの?」
「こいつ、妊娠しているみたいだ。お前からも何か言ってやれ」
「まぁ、マーニャ。妊娠しているの?」
マリアナが訝しげな顔をした。
「はい、お母様。私はジョフレイ様の子供を身ごもりました」
「な……何ですって?」
「申し訳ありません!!」
マーニャは土下座をした。
「そう言えば、ジョフレイ様は婚約者がいたはず? そう、シモンチーニ男爵令嬢の……」
「そうです。エマヌエラとジョフレイ様は婚約していました。でも、ジョフレイ様は婚約者が家と家の間で決められているのはあまりにも不本意だということで」
「そう……だったのね。で……エマヌエラはジョフレイ様と婚約を白紙撤回したのね?」
「そうです」
「まぁ……。その原因があなただったり?」
「一応そうなんですが……」
わかっていた。
自分が原因でジョフレイがエマヌエラと婚約を破棄したことを。
「でも、仕方ないわね。婚約者が予め決められているのは」
「ですよね?」
「私は結婚、認めるわ」
「何だ? お前はそう言うのか?」
「そうですわ。基本、下位貴族は婚約者が決められていないようだけど、シモンチーニ家は元を正すとローレンシア侯爵家と親戚筋にあるからね」
「つっ……」
グレンは舌打ちをした。
小一時間して、ドアが鳴った。
「入れ!」
茶髪の男女が部屋に入ってきた。
兄のグレイと姉のクレシダだ。
「お前ら、よく聞け」
と言ってマーニャを指さした。
エヘンと喉を鳴らし、グレンは続けた。
「マーニャは妊娠をしている。お前ら、どう思うか? ちなみに子供はジョフレイ様の子供だぞ」
「デキ婚ですか? お父様」
と、クレシダ。
「そうだ。遊ぶに遊んで妊娠してしまったのだよ」
「恥ずかしいな」
と、グレイ。
「申し訳ありません。お兄様、お姉様」
クレシダは「仕方ないわね」という顔でこちらを見ている。
グレイの顔は明らかに憤っていた。
「なあ、マーニャよ」
「はい、お兄様」
「エマヌエラはどうしたんだ?」
「はい。エマヌエラはジョフレイ様と婚約を破棄しました」
「婚約破棄をさせた? とんでもない話だ」
「そうだな。まぁ、こんな奴とは親子の縁を切りたいほどだ」
「良いですわ。私が出ていけば良いんですね?」
「わかっているじゃないか!!」
と、グレン。
「出ていってくれ。我々のためにも」
と、グレイ。
「さようなら、お父様、お母様、お兄様、お姉さま」
そう言ってマーニャは執務室を出た。
晩秋の空は曇っていた。
秋晴れとは程遠かった。
マーニャは馬車に乗り、ローレンシア家へ向かった。
0
お気に入りに追加
86
あなたにおすすめの小説
冷遇された王妃は自由を望む
空橋彩
恋愛
父を亡くした幼き王子クランに頼まれて王妃として召し上げられたオーラリア。
流行病と戦い、王に、国民に尽くしてきた。
異世界から現れた聖女のおかげで流行病は終息に向かい、王宮に戻ってきてみれば、納得していない者たちから軽んじられ、冷遇された。
夫であるクランは表情があまり変わらず、女性に対してもあまり興味を示さなかった。厳しい所もあり、臣下からは『氷の貴公子』と呼ばれているほどに冷たいところがあった。
そんな彼が聖女を大切にしているようで、オーラリアの待遇がどんどん悪くなっていった。
自分の人生よりも、クランを優先していたオーラリアはある日気づいてしまった。
[もう、彼に私は必要ないんだ]と
数人の信頼できる仲間たちと協力しあい、『離婚』して、自分の人生を取り戻そうとするお話。
貴族設定、病気の治療設定など出てきますが全てフィクションです。私の世界ではこうなのだな、という方向でお楽しみいただけたらと思います。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした
基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。
その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。
身分の低い者を見下すこともしない。
母国では国民に人気のあった王女だった。
しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。
小国からやってきた王女を見下していた。
極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。
ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。
いや、侍女は『そこにある』のだという。
なにもかけられていないハンガーを指差して。
ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。
「へぇ、あぁそう」
夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。
今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。
いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた
奏千歌
恋愛
[ディエム家の双子姉妹]
どうして、こんな事になってしまったのか。
妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。
パーティー中に婚約破棄された私ですが、実は国王陛下の娘だったようです〜理不尽に婚約破棄した伯爵令息に陛下の雷が落ちました〜
雪島 由
恋愛
生まれた時から家族も帰る場所もお金も何もかもがない環境で生まれたセラは幸運なことにメイドを務めていた伯爵家の息子と婚約を交わしていた。
だが、貴族が集まるパーティーで高らかに宣言されたのは婚約破棄。
平民ごときでは釣り合わないらしい。
笑い者にされ、生まれた環境を馬鹿にされたセラが言い返そうとした時。パーティー会場に聞こえた声は国王陛下のもの。
何故かその声からは怒りが溢れて出ていた。
かつて「お前の力なんぞ不要だっ」と追放された聖女の末裔は、国は救うけれど王子の心までは救えない。
当麻月菜
恋愛
「浄化の力を持つ聖女よ、どうか我が国をお救いください」
「......ねえ、それやったら、私に何か利点があるの?」
聖なる力を持つ姫巫女(略して聖女)の末裔サーシャの前に突如現れ、そんな願いを口にしたのは、見目麗しいプラチナブロンドの髪を持つ王子様だった。
だが、ちょっと待った!!
実はサーシャの曾祖母は「お前のその力なんぞ不要だわっ」と言われ、自国ライボスアの女王に追放された過去を持つ。そしてそのまま国境近くの森の中で、ひっそりとあばら家暮らしを余儀なくされていたりもする。
そんな扱いを受けているサーシャに、どの面下げてそんなことが言えるのだろうか。
......と言っても、腐っても聖女の末裔であるサーシャは、嫌々ながらも王都にて浄化の義を行うことにする。
万物を穢れを払うことができる聖女は、瘴気に侵された国を救うことなど意図も容易いこと。
でも王子のたった一つの願いだけは、叶えることができなかった。
などという重いテーマのお話に思えるけれど、要は(自称)イケメン種馬王子アズレイトが、あまのじゃく聖女を頑張って口説くお話です。
※一話の文字数は少な目ですがマメに更新したいと思いますので、最後までお付き合いいただければ幸いです。
処刑直前ですが得意の転移魔法で離脱します~私に罪を被せた公爵令嬢は絶対許しませんので~
インバーターエアコン
恋愛
王宮で働く少女ナナ。王様の誕生日パーティーに普段通りに給仕をしていた彼女だったが、突然第一王子の暗殺未遂事件が起きる。
ナナは最初、それを他人事のように見ていたが……。
「この女よ! 王子を殺そうと毒を盛ったのは!」
「はい?」
叫んだのは第二王子の婚約者であるビリアだった。
王位を巡る争いに巻き込まれ、王子暗殺未遂の罪を着せられるナナだったが、相手が貴族でも、彼女はやられたままで終わる女ではなかった。
(私をドロドロした内争に巻き込んだ罪は贖ってもらいますので……)
得意の転移魔法でその場を離脱し反撃を始める。
相手が悪かったことに、ビリアは間もなく気付くこととなる。
(本編完結)家族にも婚約者にも愛されなかった私は・・・・・・従姉妹がそんなに大事ですか?
青空一夏
恋愛
私はラバジェ伯爵家のソフィ。婚約者はクランシー・ブリス侯爵子息だ。彼はとても優しい、優しすぎるかもしれないほどに。けれど、その優しさが向けられているのは私ではない。
私には従姉妹のココ・バークレー男爵令嬢がいるのだけれど、病弱な彼女を必ずクランシー様は夜会でエスコートする。それを私の家族も当然のように考えていた。私はパーティ会場で心ない噂話の餌食になる。それは愛し合う二人を私が邪魔しているというような話だったり、私に落ち度があってクランシー様から大事にされていないのではないか、という憶測だったり。だから私は・・・・・・
これは家族にも婚約者にも愛されなかった私が、自らの意思で成功を勝ち取る物語。
※貴族のいる異世界。歴史的配慮はないですし、いろいろご都合主義です。
※途中タグの追加や削除もありえます。
※表紙は青空作成AIイラストです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる