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★終焉
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「アンドリュー様、大変です」
突如近衛兵のフィンがやってきた。
「フィン。どうした!? やけに狼狽しているけど、何があったんだ。かいつまんで説明してくれ」
フィンはあわてふためいている。
「はい。アンドリュー様。隣国モナールが我が国に侵攻を開始したのです」
聞いていなかった。
確かに、モナール帝国がレガローグの領土を欲しがっていたのは知っていた。
まさか本当に侵攻してくるとは夢にも思わなかった。
「大変になりましたわね」
イザベラの顔も引きつっている。
「イザベラ。大丈夫だ。お前は俺の命よりも大切な存在だ。絶対に護るぞ!」
「頼もしいですわ、アンドリュー様」
イザベラは抱きついてきた。
「とにかく、フィン。城のまもりを固めるようにはしているだろうな?」
「いえ、それが既に敵に包囲されました」
「何っ!?」
城が既にモナール軍に包囲されただと?
「それに、アンドリュー様。国王陛下と共に賞金首にかけられています」
『影武者?』
俺は影武者を作ることにした。
そして、俺とイザベラは国外へ逃亡すれば良い。
「おい、フィン」
「はい、なんでしょうアンドリュー様」
「アレクとシェーラはいないか?」
「アレクとシェーラですか?」
「そうだ」
アレクは俺と体型も似ているし、顔も若干似ている。
シェーラはイザベラに体型がそっくりだ。顔は似ていないが、メイクで誤魔化せば何とかなる。
「はい。しかし、アレクは捕まってしまいました」
「なっ! 何だと?」
「敵は奇襲をかけてきました。こちらが身構えるよりも早く襲いかかってきました」
くっ……。
「アレクが捕まったか。じゃあグレンを出せ!」
グレンは俺よりも遥かに身長が高いが、三白眼という共通点がある。
「グレンも既に捕まりました」
「なっ!!」
「我々が捕虜になるのも時間の問題です」
「父上は?」
「国王陛下様も既に捕まってしまったのなではないでしょうか。兎にも角にも城が陥落するのも時間の問題です」
「何ぃ!?」
と、その時。
「敵だ!」
という聞き慣れない声がした。
「何者だ!」
俺は大声で叫んだ。
数人の武装した男が俺の執務室に入ってきた。
「あなたがレガローグの王太子のアンドリューだな?」
「貴様一体何者だ!」
「モナール帝国の者だ。皇帝陛下の命令です。あなたを捕まえにきました」
「なぬっ」
「そして、こちらは王太子妃でしょうか?」
別の男がイザベラを指さした。
イザベラが危ない!!
「貴様! イザベラだけには指一本触れさせないぞ!」
「しかし、もうあなたがたには猶予はありません」
「連行です!」
「何ぃ」
俺はモナールの兵士に両脇を取られた。
イザベラもまた、捕まってしまった。
「イザベラは関係ないだろ」
悪あがきもしておくものだ。このままではイザベラが危ない。
イザベラだけは護りたい。
「王太子妃ゆえ、彼女にも来てもらう」
俺たちはそのまま手足を縛られてしまった。
そして、馬車に乗せられた。
俺たちの姿はまるで芋虫のようだった。
城は赤々と燃えていた。
気づけばモナール帝国まで連行され、牢屋に入れられた。
牢屋には父上も母上もいた。
なぜ、こうなったのだろうか?
しかも、ここは独房。
イザベラとも引き離されてしまった。
愛するイザベラ……護れなかった……。
まさか、自分が囚人になるなど夢にも思わなかった。
ああ……イザベラ。
これは恐らくエドワードの裏切りに違いない。
エドワードはモナールに内通していたのだろう。
情報が全て漏れている。
エドワード。ふざけるな!!
俺は鉄格子を思い切り蹴った。
「おい、見張り番!」
「何ですか。アンドリュー」
「葉巻を寄越せ!」
「残念ながらここでは葉巻は据吸えません」
何ぃ?
葉巻を吸わないとストレスが溜まって仕方がない!!
イライラフルMAX!!
「あなたはもう王太子ではないのです」
そを、なのわかっちゃいるさ。
「近々帝国裁判があるので、それに出廷してもらう。それまで大人しくしているんだな」
クソ、クソ、クソクソ、クソ
俺は鉄格子を蹴った。
葉巻も吸えない。自由もない。イザベラとも抱き合えない。
俺は哀れな子猫ちゃんに成り下がってしまった。
突如近衛兵のフィンがやってきた。
「フィン。どうした!? やけに狼狽しているけど、何があったんだ。かいつまんで説明してくれ」
フィンはあわてふためいている。
「はい。アンドリュー様。隣国モナールが我が国に侵攻を開始したのです」
聞いていなかった。
確かに、モナール帝国がレガローグの領土を欲しがっていたのは知っていた。
まさか本当に侵攻してくるとは夢にも思わなかった。
「大変になりましたわね」
イザベラの顔も引きつっている。
「イザベラ。大丈夫だ。お前は俺の命よりも大切な存在だ。絶対に護るぞ!」
「頼もしいですわ、アンドリュー様」
イザベラは抱きついてきた。
「とにかく、フィン。城のまもりを固めるようにはしているだろうな?」
「いえ、それが既に敵に包囲されました」
「何っ!?」
城が既にモナール軍に包囲されただと?
「それに、アンドリュー様。国王陛下と共に賞金首にかけられています」
『影武者?』
俺は影武者を作ることにした。
そして、俺とイザベラは国外へ逃亡すれば良い。
「おい、フィン」
「はい、なんでしょうアンドリュー様」
「アレクとシェーラはいないか?」
「アレクとシェーラですか?」
「そうだ」
アレクは俺と体型も似ているし、顔も若干似ている。
シェーラはイザベラに体型がそっくりだ。顔は似ていないが、メイクで誤魔化せば何とかなる。
「はい。しかし、アレクは捕まってしまいました」
「なっ! 何だと?」
「敵は奇襲をかけてきました。こちらが身構えるよりも早く襲いかかってきました」
くっ……。
「アレクが捕まったか。じゃあグレンを出せ!」
グレンは俺よりも遥かに身長が高いが、三白眼という共通点がある。
「グレンも既に捕まりました」
「なっ!!」
「我々が捕虜になるのも時間の問題です」
「父上は?」
「国王陛下様も既に捕まってしまったのなではないでしょうか。兎にも角にも城が陥落するのも時間の問題です」
「何ぃ!?」
と、その時。
「敵だ!」
という聞き慣れない声がした。
「何者だ!」
俺は大声で叫んだ。
数人の武装した男が俺の執務室に入ってきた。
「あなたがレガローグの王太子のアンドリューだな?」
「貴様一体何者だ!」
「モナール帝国の者だ。皇帝陛下の命令です。あなたを捕まえにきました」
「なぬっ」
「そして、こちらは王太子妃でしょうか?」
別の男がイザベラを指さした。
イザベラが危ない!!
「貴様! イザベラだけには指一本触れさせないぞ!」
「しかし、もうあなたがたには猶予はありません」
「連行です!」
「何ぃ」
俺はモナールの兵士に両脇を取られた。
イザベラもまた、捕まってしまった。
「イザベラは関係ないだろ」
悪あがきもしておくものだ。このままではイザベラが危ない。
イザベラだけは護りたい。
「王太子妃ゆえ、彼女にも来てもらう」
俺たちはそのまま手足を縛られてしまった。
そして、馬車に乗せられた。
俺たちの姿はまるで芋虫のようだった。
城は赤々と燃えていた。
気づけばモナール帝国まで連行され、牢屋に入れられた。
牢屋には父上も母上もいた。
なぜ、こうなったのだろうか?
しかも、ここは独房。
イザベラとも引き離されてしまった。
愛するイザベラ……護れなかった……。
まさか、自分が囚人になるなど夢にも思わなかった。
ああ……イザベラ。
これは恐らくエドワードの裏切りに違いない。
エドワードはモナールに内通していたのだろう。
情報が全て漏れている。
エドワード。ふざけるな!!
俺は鉄格子を思い切り蹴った。
「おい、見張り番!」
「何ですか。アンドリュー」
「葉巻を寄越せ!」
「残念ながらここでは葉巻は据吸えません」
何ぃ?
葉巻を吸わないとストレスが溜まって仕方がない!!
イライラフルMAX!!
「あなたはもう王太子ではないのです」
そを、なのわかっちゃいるさ。
「近々帝国裁判があるので、それに出廷してもらう。それまで大人しくしているんだな」
クソ、クソ、クソクソ、クソ
俺は鉄格子を蹴った。
葉巻も吸えない。自由もない。イザベラとも抱き合えない。
俺は哀れな子猫ちゃんに成り下がってしまった。
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