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カタリーナ王女の行方
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エレオノーレはカタリーナ捜索を手伝う事にした。
街中にはカタリーナ王女の捜索ポスターが貼られた。
尖った鷲鼻に、分厚い唇は王族の特徴らしい。
事実、国王がこのような顔立ちをしている。
カタリーナ王女はメガネをかけていて、知的に見える。
カタリーナ王女の発見には100万ソトの懸賞金がかけられている。
「実はね」
「なんですか? パウル王子殿下」
「兄上はこんなときも呑気に葉巻を吸ってお菓子を食べているんです」
空気が読めない。
まさに、サウルらしいと思った。
「それは困った話ですわ」
「全く手伝う気にもならないらしい」
パウルはため息をついた。
確かにため息をつきたくもなる。
一軒、一軒訪ねて歩く。
本当はランニングをしたかったが、カタリーナ王女が行方不明ともなれば捜索活動を手伝わないわけにはいかない。
「カタリーナ王女殿下ですか? 見ていませんね。どうしたんですか? 行方不明なんですか?」
「そうなんです。お願いします。少しでも知っている情報が……些細な情報でも良いんです。教えていただけないでしょうか?」
「生憎……です」
「そうですか」
そればかりだ。
何も情報は掴めず。
それでも、諦めずに情報提供を呼びかけている。
また、次の家を訪問する。
「すみません。カタリーナ王女殿下が行方不明になってしまいました」
「それは大変だ」
「何か情報はありますか?」
「う~ん。ヒントになるかどうかはわからないけれど……」
「ヒントですか? どんな些細な情報でも構いません」
「最近、組織的に活動している集団がいてな」
組織とはこれまた怪しげな話が出てきた。男は続けた。
「その組織に捕まると何でも身代金目的に王侯貴族を拉致、誘拐するという話だ」
「そうなんですか。ありがとうございます」
エレオノーレは男に頭を下げた。
組織。確かにそれらしい噂は聞いていた。
実際に身代金目的に王侯貴族を狙い、拉致、誘拐を働いていた事件があったからだ。
いずれも犯人は平民だった。
パウルと落ち合った。
「何か収穫はあったかい?」
エレオノーレは今しがた聞いた怪しい集団の話をした。
「組織か。臭うな、それ」
「ですよね。で、王子殿下は何か情報はあったんですか?」
「ああ、あったよ」
「やはり、王侯貴族を人質にして身代金を要求するというやつだ」
とはいえ、そこで引っかかる。
今までの事例だと狙われるのは大概子供。
カタリーナ王女は成人した立派な大人なのだ。
それに、王族が拉致、誘拐されるというのも、今回が始めてなのだ。
そこで、立派な髭をたくわえた大柄な男が近づいてきた。
「パウル王子殿下」
「何ですか?」
「カタリーナ王女の行方についてですが」
「何かご存知で?」
「ザキソン伯爵と一緒にいるところを最後に目撃しました」
「本当ですか?」
「本当です」
エレオノーレは「なぜ?」
と思った。
ザキソン伯爵がなぜカタリーナ王女と一緒にいるのだろう?
まさか、カタリーナ王女を攫ったのはザキソン伯爵という事なのか。
頭の中にはクエスチョンマークがふらふらと泳いでいた。
街中にはカタリーナ王女の捜索ポスターが貼られた。
尖った鷲鼻に、分厚い唇は王族の特徴らしい。
事実、国王がこのような顔立ちをしている。
カタリーナ王女はメガネをかけていて、知的に見える。
カタリーナ王女の発見には100万ソトの懸賞金がかけられている。
「実はね」
「なんですか? パウル王子殿下」
「兄上はこんなときも呑気に葉巻を吸ってお菓子を食べているんです」
空気が読めない。
まさに、サウルらしいと思った。
「それは困った話ですわ」
「全く手伝う気にもならないらしい」
パウルはため息をついた。
確かにため息をつきたくもなる。
一軒、一軒訪ねて歩く。
本当はランニングをしたかったが、カタリーナ王女が行方不明ともなれば捜索活動を手伝わないわけにはいかない。
「カタリーナ王女殿下ですか? 見ていませんね。どうしたんですか? 行方不明なんですか?」
「そうなんです。お願いします。少しでも知っている情報が……些細な情報でも良いんです。教えていただけないでしょうか?」
「生憎……です」
「そうですか」
そればかりだ。
何も情報は掴めず。
それでも、諦めずに情報提供を呼びかけている。
また、次の家を訪問する。
「すみません。カタリーナ王女殿下が行方不明になってしまいました」
「それは大変だ」
「何か情報はありますか?」
「う~ん。ヒントになるかどうかはわからないけれど……」
「ヒントですか? どんな些細な情報でも構いません」
「最近、組織的に活動している集団がいてな」
組織とはこれまた怪しげな話が出てきた。男は続けた。
「その組織に捕まると何でも身代金目的に王侯貴族を拉致、誘拐するという話だ」
「そうなんですか。ありがとうございます」
エレオノーレは男に頭を下げた。
組織。確かにそれらしい噂は聞いていた。
実際に身代金目的に王侯貴族を狙い、拉致、誘拐を働いていた事件があったからだ。
いずれも犯人は平民だった。
パウルと落ち合った。
「何か収穫はあったかい?」
エレオノーレは今しがた聞いた怪しい集団の話をした。
「組織か。臭うな、それ」
「ですよね。で、王子殿下は何か情報はあったんですか?」
「ああ、あったよ」
「やはり、王侯貴族を人質にして身代金を要求するというやつだ」
とはいえ、そこで引っかかる。
今までの事例だと狙われるのは大概子供。
カタリーナ王女は成人した立派な大人なのだ。
それに、王族が拉致、誘拐されるというのも、今回が始めてなのだ。
そこで、立派な髭をたくわえた大柄な男が近づいてきた。
「パウル王子殿下」
「何ですか?」
「カタリーナ王女の行方についてですが」
「何かご存知で?」
「ザキソン伯爵と一緒にいるところを最後に目撃しました」
「本当ですか?」
「本当です」
エレオノーレは「なぜ?」
と思った。
ザキソン伯爵がなぜカタリーナ王女と一緒にいるのだろう?
まさか、カタリーナ王女を攫ったのはザキソン伯爵という事なのか。
頭の中にはクエスチョンマークがふらふらと泳いでいた。
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