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ダイエット

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エレオノーレは家族と別に食事をしている。

肥満は遺伝だが、隔世遺伝だった。

父方祖父で、先代ドヴォルザーク家の当主が丸々と肥えていた。

顔は父親似で高い鼻に、尖った顎。

髪や目は母親似で銀髪にエメラルドグリーンの瞳。

母親の家系には肥満は誰もいない。

従姉妹もまた太めの人がいる。

皮肉にも、体型は父方に似てしまった。


祖父は肥満ゆえの病気に罹患し、この世を去った。

二の舞いにはなりたくない。


野菜中心の食生活だ。

そして、炭水化物は控えめに。


リサの時は野菜も食べられなかった……。

配給されるのはいつもパンだった。

肉や魚は全く口にできなかった。


エレオノーレは魚が苦手だった。

骨が苦手だったからだ。

しかし、太ってしまったら、そうは言ってられない。

肉より魚を中心に食べている。


「お姉さま」

弟のルイだ。

「なあに? ルイ」

「お姉様は本当は揚げ物が食べたいんですよね?」

鶏の唐揚げは大好物。

でも、食べるわけにはいかない。

「勿論食べたいわ。でも、食べたら太るから……」


揚げ物は太る。それは知っていた。

もうこれ以上太るわけにはいかない。

太ったら、一生結婚できない。


前世は勿論、揚げ物は食べたことはなかった。

でも、揚げ物は知っていた。



毎日運動も欠かさない。

兎に角走った。

ランニングこそが良いダイエット法だと思った。


悔しい!

いつかサウルとヴィルジニアを見返してやるんだ!!

そして、いつか誰かと結婚をするんだ!!

結婚どころか生きることさえもできなかった前世。

結婚をして、家庭を持つのは悲願だ。








☆★☆★










この日も走る。

街中まで繰り出す。

雨の日も走る。

この日は小雨がぱらついていた。

しかし、雨ごときで運動をしないわけにはいかない。


走る。ひたすら走る。

公園を走ると、ランナーが多い。


ランナーが多いとモチベーションも上がる。

良い刺激を受けるのだ。


そして、邸に戻るとクールダウンをする。


いつもこの繰り返し。


痩せれば絶対に運気は開ける!

そう信じていた。


執事のトーマスからも言われていた。


エレオノーレは痩せれば絶対に美人だと。

今はまんまるお月様のような顔。

鏡を見る度にガッカリしていた。

これでは魅力無いな……と痛感した。


勿論、筋トレもした。


雨が強い日は有酸素運動は足踏みをしていた。

そして、筋トレをしていた。


筋トレと有酸素運動を交互にすると良い……とも聞いていた。

邸で運動をする時はルイも付き合ってくれた。

今までは身体を動かすことを余りしなかったが、運動をするにつれて身体を動かすのが楽しくて楽しくて仕方なくなった。
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