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夢
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その晩、エレオノーレは夢を見た。
また、いつもの夢かと思いきや、何かが違う。
そこは貧民が暮らすスラム街だった。
皆、骨と皮しか無いようにやせていた。
エレオノーレもまた、骨と皮しか無かった。
明日食べ物にありつけるかどうかわからなかった。
食べ物は国からの配給に頼っていた。
エレオノーレは幼児だった。
他に4人のきょうだいがいた。
エレオノーレは末っ子だった。
年齢はまだ4歳。
父親はエレオノーレが生まれて 間もなくして亡くなった。
「ママ。明日食べられなかったら、私死んじゃう!!」
「ごめんね、リサ。お母さんが病弱なばかりにあなたたちをこんな目にあわせてしまって」
亡くなった父親と病弱な母。
エレオノーレの名前はリサと言った。
この国の国王は厳しかった。
弱者切り捨てだった。
病弱や障がい者は死んでくれ、という風潮だった。
しかし、国王は自ら贅沢をしていた……と母から聞いていた。
「ママ。どうして王様はケチなの?」
三男のケント。
「国王陛下は弱肉強食で、優生思想だからね。こんな病弱な私は切り捨てされているの」
母親もまた、骨と皮しかない。
病弱ながらに、5人の子育てをしていた。
残念ながら、長男は餓死。
4人のきょうだいも大分弱ってきていた。
服はみすぼらしい服。
ビリビリに破け、汚れている。
それでも、他に着る服が無いので、仕方なく着ていた。
「ママ。お腹すいた」
長女のケイト。
「お国がご飯をくれるかどうかだよね」
「僕もお腹すいた。もう3日も食べていない」
二男のロバート。
「ママ……もう駄目」
エレオノーレは明らかに衰弱していた。
この見るからに栄養失調の身体は見るに耐えなかった。
「リサ!!」
「ママ……お腹……すい……た」
そこで目が覚めた。
ハッ!!
この夢は!?
単なる悪夢ではない。
前世の自分だった。
前世の自分は栄養失調で死んでいた。
今とは真逆の体型……。
(ご飯にありつけずに死んだんだっけ)
たった4年の人生だった。
(兄ちゃん、姉ちゃん……ママ……みんな……)
今は公爵令嬢として食べ物には不自由していないが、この時は毎日空腹と闘っていた。
今は元気な父親、母親がいる。
着るものも困らない。
恵まれているんだな……と思った。
なまじ食べ物にありつけるがために食べ過ぎていた。
一度太った身体は元には戻らない。
しかし、前世のような痩せ方も好まない。
国王は弱者にとことん冷たかった。
自分は贅沢をしていたというのに……。
自分の富を貧民に分け与えてくれれば良いのに……。
そして、富裕層優遇だった。
なぜか、富裕層からは高額な税金を取らず、庶民から高額な税金を取り上げていたのだ。
王国の名前は確かエリック王国。
しかし、エリックは既に滅びていた。
国王のやり方に納得いかない庶民が革命を起こしたのだ。
(元は貧民のわたくしが王太子殿下と婚約……なんだか夢物語みたいな話ね)
また、いつもの夢かと思いきや、何かが違う。
そこは貧民が暮らすスラム街だった。
皆、骨と皮しか無いようにやせていた。
エレオノーレもまた、骨と皮しか無かった。
明日食べ物にありつけるかどうかわからなかった。
食べ物は国からの配給に頼っていた。
エレオノーレは幼児だった。
他に4人のきょうだいがいた。
エレオノーレは末っ子だった。
年齢はまだ4歳。
父親はエレオノーレが生まれて 間もなくして亡くなった。
「ママ。明日食べられなかったら、私死んじゃう!!」
「ごめんね、リサ。お母さんが病弱なばかりにあなたたちをこんな目にあわせてしまって」
亡くなった父親と病弱な母。
エレオノーレの名前はリサと言った。
この国の国王は厳しかった。
弱者切り捨てだった。
病弱や障がい者は死んでくれ、という風潮だった。
しかし、国王は自ら贅沢をしていた……と母から聞いていた。
「ママ。どうして王様はケチなの?」
三男のケント。
「国王陛下は弱肉強食で、優生思想だからね。こんな病弱な私は切り捨てされているの」
母親もまた、骨と皮しかない。
病弱ながらに、5人の子育てをしていた。
残念ながら、長男は餓死。
4人のきょうだいも大分弱ってきていた。
服はみすぼらしい服。
ビリビリに破け、汚れている。
それでも、他に着る服が無いので、仕方なく着ていた。
「ママ。お腹すいた」
長女のケイト。
「お国がご飯をくれるかどうかだよね」
「僕もお腹すいた。もう3日も食べていない」
二男のロバート。
「ママ……もう駄目」
エレオノーレは明らかに衰弱していた。
この見るからに栄養失調の身体は見るに耐えなかった。
「リサ!!」
「ママ……お腹……すい……た」
そこで目が覚めた。
ハッ!!
この夢は!?
単なる悪夢ではない。
前世の自分だった。
前世の自分は栄養失調で死んでいた。
今とは真逆の体型……。
(ご飯にありつけずに死んだんだっけ)
たった4年の人生だった。
(兄ちゃん、姉ちゃん……ママ……みんな……)
今は公爵令嬢として食べ物には不自由していないが、この時は毎日空腹と闘っていた。
今は元気な父親、母親がいる。
着るものも困らない。
恵まれているんだな……と思った。
なまじ食べ物にありつけるがために食べ過ぎていた。
一度太った身体は元には戻らない。
しかし、前世のような痩せ方も好まない。
国王は弱者にとことん冷たかった。
自分は贅沢をしていたというのに……。
自分の富を貧民に分け与えてくれれば良いのに……。
そして、富裕層優遇だった。
なぜか、富裕層からは高額な税金を取らず、庶民から高額な税金を取り上げていたのだ。
王国の名前は確かエリック王国。
しかし、エリックは既に滅びていた。
国王のやり方に納得いかない庶民が革命を起こしたのだ。
(元は貧民のわたくしが王太子殿下と婚約……なんだか夢物語みたいな話ね)
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