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晩餐会
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晩餐会が開かれようとしている。
サラが体格が良く、顎ひげを伸ばした男性を連れていた。
「ハーマイオニー様」
「どうしたの? サラ」
「私、ハイヴァランド帝国の近衛騎士、アンドリュー様と交際する事になりましたわ」
「初めまして。近衛騎士のアンドリューと申します。貴賓室でお見合いをし、交際が決まりました」
「宜しくお願いします。サラはわたくしの大切な侍女です」
ハーマイオニーは深々と頭を下げた。
サラが交際。
本当にめでたい話。
そんなハーマイオニーもアーサーから求婚されている。
モヴァーラ帝国の侵攻を阻止する事も大切だが、それ以上にアーサーの気持ちに答えたかった。
「実はね……」
ハーマイオニーはサラにアーサーから求婚された事を伝える事にした。
「なんですか?」
「皇帝陛下と婚約したの」
「え!?」
「それでね、モヴァーラ帝国の宣戦布告に対応してくれるらしいの」
「本当ですか?」
「そうよ」
「そうだな。モヴァーラ帝国は栄えているヴェルシムを狙っているからな」
「そうです。モヴァーラ帝国はそうなんです」
「肥沃な土地が欲しいのはわかる。しかし、侵攻はよくない」
アンドリューは鼻髭を弄っている。
「本当に悪夢だわ」
「ま、マーシヴァル皇帝も貴族に言われるがままに動いているみたいだからな。平民や底辺の意見など聞かない奴だと聞く」
「そうなんです。強気を助け、弱きをくじく。あり得ない話だわ」
「普通、逆だけどな」
「強いものに媚びて弱者を切り捨てる。絶対にやってはいけない事だわ」
「平民の声にも耳を傾ける。それこそ真の王侯貴族というやつだな」
アンドリューは続けた。
「我が皇帝陛下はまさに弱者に優しい。私が『なぜ弱者に手を差し述べるのか』と聞けば『誰でも弱者になりうるからだ』と答えた。流石は我が国の皇帝陛下だ」
さらに続けた。
「平民の声にも積極的に応じる。皇帝陛下は我が国の誇り」
脳ある鷹は爪を隠す。
大国を率いる皇帝なだけに、弱者にやさしい。
そして、王侯貴族に媚びない。
★☆★☆
晩餐会が始まろうとしている。
テーブルの上には野菜から肉から魚から何でも並んでいる。
これだけの巨大な国なのだ。
すべてハイヴァランド帝国で採れたものなのだろう。
ハーマイオニーはアーサーの隣に座っている。
目の前にはこの国の宰相らしき人物がいる。
アンドリューとサラは斜向いに座っている。
そこへ宰相らしき人物が立ち上がった。
「本日はお忙しい中お集まり頂き、誠にありがとうございます。この晩餐会に於きまして、皇帝陛下より重大な発表があります」
そこへ、アーサーが立ち上がった。
そして、ハーマイオニーにも立ち上がるように促した。
「私はヴェルシム王国のシモンズ侯爵令嬢、ハーマイオニーと結婚することにしました」
サラが体格が良く、顎ひげを伸ばした男性を連れていた。
「ハーマイオニー様」
「どうしたの? サラ」
「私、ハイヴァランド帝国の近衛騎士、アンドリュー様と交際する事になりましたわ」
「初めまして。近衛騎士のアンドリューと申します。貴賓室でお見合いをし、交際が決まりました」
「宜しくお願いします。サラはわたくしの大切な侍女です」
ハーマイオニーは深々と頭を下げた。
サラが交際。
本当にめでたい話。
そんなハーマイオニーもアーサーから求婚されている。
モヴァーラ帝国の侵攻を阻止する事も大切だが、それ以上にアーサーの気持ちに答えたかった。
「実はね……」
ハーマイオニーはサラにアーサーから求婚された事を伝える事にした。
「なんですか?」
「皇帝陛下と婚約したの」
「え!?」
「それでね、モヴァーラ帝国の宣戦布告に対応してくれるらしいの」
「本当ですか?」
「そうよ」
「そうだな。モヴァーラ帝国は栄えているヴェルシムを狙っているからな」
「そうです。モヴァーラ帝国はそうなんです」
「肥沃な土地が欲しいのはわかる。しかし、侵攻はよくない」
アンドリューは鼻髭を弄っている。
「本当に悪夢だわ」
「ま、マーシヴァル皇帝も貴族に言われるがままに動いているみたいだからな。平民や底辺の意見など聞かない奴だと聞く」
「そうなんです。強気を助け、弱きをくじく。あり得ない話だわ」
「普通、逆だけどな」
「強いものに媚びて弱者を切り捨てる。絶対にやってはいけない事だわ」
「平民の声にも耳を傾ける。それこそ真の王侯貴族というやつだな」
アンドリューは続けた。
「我が皇帝陛下はまさに弱者に優しい。私が『なぜ弱者に手を差し述べるのか』と聞けば『誰でも弱者になりうるからだ』と答えた。流石は我が国の皇帝陛下だ」
さらに続けた。
「平民の声にも積極的に応じる。皇帝陛下は我が国の誇り」
脳ある鷹は爪を隠す。
大国を率いる皇帝なだけに、弱者にやさしい。
そして、王侯貴族に媚びない。
★☆★☆
晩餐会が始まろうとしている。
テーブルの上には野菜から肉から魚から何でも並んでいる。
これだけの巨大な国なのだ。
すべてハイヴァランド帝国で採れたものなのだろう。
ハーマイオニーはアーサーの隣に座っている。
目の前にはこの国の宰相らしき人物がいる。
アンドリューとサラは斜向いに座っている。
そこへ宰相らしき人物が立ち上がった。
「本日はお忙しい中お集まり頂き、誠にありがとうございます。この晩餐会に於きまして、皇帝陛下より重大な発表があります」
そこへ、アーサーが立ち上がった。
そして、ハーマイオニーにも立ち上がるように促した。
「私はヴェルシム王国のシモンズ侯爵令嬢、ハーマイオニーと結婚することにしました」
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