6 / 13
クロムとの再会
しおりを挟む
中肉中背の茶髪の男性が現れた。
彼こそが弓部隊の隊長クロムだ。
「クロム様。また宜しくお願い致しますわ」
ハーマイオニーは深々とお辞儀をした。
「クロム、ハーマイオニーを頼む」
「わかりました。シモンズ侯爵」
クロムは敬礼をした。
「では、ハーマイオニー。部隊の部屋へ行くぞ」
「はい」
ハーマイオニーは謁見の間を後にした。
「ハーマイオニー。私を覚えているか?」
「勿論ですわ、クロム様」
「きみは女騎士の四天王と呼ばれていたからな。噂には聞いていたぞ。ゴンザレス公爵と婚約破棄をしたと」
なぜ……なぜクロムまで婚約破棄を知っているのか?
ハーマイオニーの婚約破棄はもはや国中が知っていると思っても良い。
もしかしたら、マリアも知っているのかもしれない。
「はい。その通りです」
王城は広い。
ハイヴァランド帝国の王城に次いで二番目に広い王城だ。
王城の広さがその国の国力を物語っている。
ちなみに、ヴェルシム王国とハイヴァランド帝国は親交がある。
度々皇帝のアーサーがヴェルシム王国に足を運んでいるようだ。
それは、ハーマイオニーも知っていた。
「ハーマイオニー。実は隣国モヴァーラ帝国が攻めてくるという話がある」
え!?
と思った。
モヴァーラ帝国も親交のあった国。なぜ?
「モヴァーラ帝国が侵攻してくるんですか?」
「そうだ。僕もにわには信じがたいけれど、皇帝が変わってからなぜか侵攻を仕掛けてくるとか」
そう言えば、モヴァーラ帝国の皇帝は変わった。
先帝が亡くなってから、長男が皇帝の座についた。
その長男……マーシヴァルはヴェルシム王国をなぜか嫌っていた。
そう。ヴェルシム王国は漁業も農業も栄えていて、街も発展している。
それが気に食わなかったようだ。
モヴァーラ帝国は主に山岳地帯。
農業も漁業もとてもできたものではない。
経済も窮乏化してきて、現在衰退をしている。
先帝は何とかして国を良くしようと努めたが、マーシヴァルは戦争で解決しようとしている。
マーシヴァルは金持ちに媚び諂い、貧乏人には容赦ないと聞く。
なぜなら、貧乏になったのは自己責任だからだ……だという。
「マーシヴァルは強欲でも知られる」
確かにそうだ。
マーシヴァルは金銀財宝を身体中に身に纏い、豪華な服装をしている。
地味だった先帝とはまるで大違い……。
「二男のレイモンドが継承すれば違ったんだろうけどな」
レイモンドは社交的で優しい人。
それゆえ、マーシヴァルに婚約者を奪われてしまったのだ。
婚約者を奪われた。
そう。今のハーマイオニーのように。
彼こそが弓部隊の隊長クロムだ。
「クロム様。また宜しくお願い致しますわ」
ハーマイオニーは深々とお辞儀をした。
「クロム、ハーマイオニーを頼む」
「わかりました。シモンズ侯爵」
クロムは敬礼をした。
「では、ハーマイオニー。部隊の部屋へ行くぞ」
「はい」
ハーマイオニーは謁見の間を後にした。
「ハーマイオニー。私を覚えているか?」
「勿論ですわ、クロム様」
「きみは女騎士の四天王と呼ばれていたからな。噂には聞いていたぞ。ゴンザレス公爵と婚約破棄をしたと」
なぜ……なぜクロムまで婚約破棄を知っているのか?
ハーマイオニーの婚約破棄はもはや国中が知っていると思っても良い。
もしかしたら、マリアも知っているのかもしれない。
「はい。その通りです」
王城は広い。
ハイヴァランド帝国の王城に次いで二番目に広い王城だ。
王城の広さがその国の国力を物語っている。
ちなみに、ヴェルシム王国とハイヴァランド帝国は親交がある。
度々皇帝のアーサーがヴェルシム王国に足を運んでいるようだ。
それは、ハーマイオニーも知っていた。
「ハーマイオニー。実は隣国モヴァーラ帝国が攻めてくるという話がある」
え!?
と思った。
モヴァーラ帝国も親交のあった国。なぜ?
「モヴァーラ帝国が侵攻してくるんですか?」
「そうだ。僕もにわには信じがたいけれど、皇帝が変わってからなぜか侵攻を仕掛けてくるとか」
そう言えば、モヴァーラ帝国の皇帝は変わった。
先帝が亡くなってから、長男が皇帝の座についた。
その長男……マーシヴァルはヴェルシム王国をなぜか嫌っていた。
そう。ヴェルシム王国は漁業も農業も栄えていて、街も発展している。
それが気に食わなかったようだ。
モヴァーラ帝国は主に山岳地帯。
農業も漁業もとてもできたものではない。
経済も窮乏化してきて、現在衰退をしている。
先帝は何とかして国を良くしようと努めたが、マーシヴァルは戦争で解決しようとしている。
マーシヴァルは金持ちに媚び諂い、貧乏人には容赦ないと聞く。
なぜなら、貧乏になったのは自己責任だからだ……だという。
「マーシヴァルは強欲でも知られる」
確かにそうだ。
マーシヴァルは金銀財宝を身体中に身に纏い、豪華な服装をしている。
地味だった先帝とはまるで大違い……。
「二男のレイモンドが継承すれば違ったんだろうけどな」
レイモンドは社交的で優しい人。
それゆえ、マーシヴァルに婚約者を奪われてしまったのだ。
婚約者を奪われた。
そう。今のハーマイオニーのように。
1
お気に入りに追加
367
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は、いつでも婚約破棄を受け付けている。
ao_narou
恋愛
自身の愛する婚約者――ソレイル・ディ・ア・ユースリアと平民の美少女ナナリーの密会を知ってしまった悪役令嬢――エリザベス・ディ・カディアスは、自身の思いに蓋をしてソレイルのため「わたくしはいつでも、あなたからの婚約破棄をお受けいたしますわ」と言葉にする。
その度に困惑を隠せないソレイルはエリザベスの真意に気付くのか……また、ナナリーとの浮気の真相は……。
ちょっとだけ変わった悪役令嬢の恋物語です。
クズな義妹に婚約者を寝取られた悪役令嬢は、ショックのあまり前世の記憶を思い出し、死亡イベントを回避します。
無名 -ムメイ-
恋愛
クズな義妹に婚約者を寝取られ、自殺にまで追い込まれた悪役令嬢に転生したので、迫りくる死亡イベントを回避して、義妹にざまぁしてやります。
7話で完結。
【完結】妹のせいで貧乏くじを引いてますが、幸せになります
禅
恋愛
妹が関わるとロクなことがないアリーシャ。そのため、学校生活も後ろ指をさされる生活。
せめて普通に許嫁と結婚を……と思っていたら、父の失態で祖父より年上の男爵と結婚させられることに。そして、許嫁はふわカワな妹を選ぶ始末。
普通に幸せになりたかっただけなのに、どうしてこんなことに……
唯一の味方は学友のシーナのみ。
アリーシャは幸せをつかめるのか。
※小説家になろうにも投稿中
【完結】地味と連呼された侯爵令嬢は、華麗に王太子をざまぁする。
佐倉穂波
恋愛
夜会の最中、フレアは婚約者の王太子ダニエルに婚約破棄を言い渡された。さらに「地味」と連呼された上に、殺人未遂を犯したと断罪されてしまう。
しかし彼女は動じない。
何故なら彼女は──
*どうしようもない愚かな男を書きたい欲求に駆られて書いたお話です。
婚約破棄された令嬢は変人公爵に嫁がされる ~新婚生活を嘲笑いにきた? 夫がかわゆすぎて今それどころじゃないんですが!!
杓子ねこ
恋愛
侯爵令嬢テオドシーネは、王太子の婚約者として花嫁修業に励んできた。
しかしその努力が裏目に出てしまい、王太子ピエトロに浮気され、浮気相手への嫌がらせを理由に婚約破棄された挙句、変人と名高いクイア公爵のもとへ嫁がされることに。
対面した当主シエルフィリードは馬のかぶりものをして、噂どおりの奇人……と思ったら、馬の下から出てきたのは超絶美少年?
でもあなたかなり年上のはずですよね? 年下にしか見えませんが? どうして涙ぐんでるんですか?
え、王太子殿下が新婚生活を嘲笑いにきた? 公爵様がかわゆすぎていまそれどころじゃないんですが!!
恋を知らなかった生真面目令嬢がきゅんきゅんしながら引きこもり公爵を育成するお話です。
本編11話+番外編。
※「小説家になろう」でも掲載しています。
婚約破棄により婚約者の薬のルートは途絶えました
マルローネ
恋愛
子爵令嬢であり、薬士でもあったエリアスは有名な侯爵家の当主と婚約することになった。
しかし、当主からの身勝手な浮気により婚約破棄を言われてしまう。
エリアスは突然のことに悲しんだが王家の親戚であるブラック公爵家により助けられた。
また、彼女の薬士としての腕前は想像を絶するものであり……
婚約破棄をした侯爵家当主はもろにその影響を被るのだった。
【完結】小悪魔笑顔の令嬢は断罪した令息たちの奇妙な行動のわけを知りたい
宇水涼麻
恋愛
ポーリィナは卒業パーティーで断罪され王子との婚約を破棄された。
その翌日、王子と一緒になってポーリィナを断罪していた高位貴族の子息たちがポーリィナに面会を求める手紙が早馬にて届けられた。
あのようなことをして面会を求めてくるとは??
断罪をした者たちと会いたくないけど、面会に来る理由が気になる。だって普通じゃありえない。
ポーリィナは興味に勝てず、彼らと会うことにしてみた。
一万文字程度の短め予定。編集改編手直しのため、連載にしました。
リクエストをいただき、男性視点も入れたので思いの外長くなりました。
毎日更新いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる