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クロムとの再会

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中肉中背の茶髪の男性が現れた。

彼こそが弓部隊の隊長クロムだ。


「クロム様。また宜しくお願い致しますわ」

ハーマイオニーは深々とお辞儀をした。


「クロム、ハーマイオニーを頼む」

「わかりました。シモンズ侯爵」

クロムは敬礼をした。


「では、ハーマイオニー。部隊の部屋へ行くぞ」

「はい」


ハーマイオニーは謁見の間を後にした。

「ハーマイオニー。私を覚えているか?」


「勿論ですわ、クロム様」

「きみは女騎士の四天王と呼ばれていたからな。噂には聞いていたぞ。ゴンザレス公爵と婚約破棄をしたと」

なぜ……なぜクロムまで婚約破棄を知っているのか?

ハーマイオニーの婚約破棄はもはや国中が知っていると思っても良い。

もしかしたら、マリアも知っているのかもしれない。


「はい。その通りです」


王城は広い。

ハイヴァランド帝国の王城に次いで二番目に広い王城だ。


王城の広さがその国の国力を物語っている。

ちなみに、ヴェルシム王国とハイヴァランド帝国は親交がある。


度々皇帝のアーサーがヴェルシム王国に足を運んでいるようだ。


それは、ハーマイオニーも知っていた。


「ハーマイオニー。実は隣国モヴァーラ帝国が攻めてくるという話がある」

え!?

と思った。


モヴァーラ帝国も親交のあった国。なぜ?

「モヴァーラ帝国が侵攻してくるんですか?」

「そうだ。僕もにわには信じがたいけれど、皇帝が変わってからなぜか侵攻を仕掛けてくるとか」

そう言えば、モヴァーラ帝国の皇帝は変わった。

先帝が亡くなってから、長男が皇帝の座についた。

その長男……マーシヴァルはヴェルシム王国をなぜか嫌っていた。

そう。ヴェルシム王国は漁業も農業も栄えていて、街も発展している。

それが気に食わなかったようだ。

モヴァーラ帝国は主に山岳地帯。

農業も漁業もとてもできたものではない。


経済も窮乏化してきて、現在衰退をしている。

先帝は何とかして国を良くしようと努めたが、マーシヴァルは戦争で解決しようとしている。


マーシヴァルは金持ちに媚び諂い、貧乏人には容赦ないと聞く。

なぜなら、貧乏になったのは自己責任だからだ……だという。


「マーシヴァルは強欲でも知られる」

確かにそうだ。

マーシヴァルは金銀財宝を身体中に身に纏い、豪華な服装をしている。

地味だった先帝とはまるで大違い……。

「二男のレイモンドが継承すれば違ったんだろうけどな」

レイモンドは社交的で優しい人。


それゆえ、マーシヴァルに婚約者を奪われてしまったのだ。


婚約者を奪われた。

そう。今のハーマイオニーのように。
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