大丈夫のその先は…

水姫

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初めまして

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「初めまして、実来です」
お母さんに促されるように自己紹介をした。どうやら私には父と兄が2人できるらしい。

お母さん幸せそうだな…。

兄2人は私をずっと見ているが気にしないふりをして今できる精一杯の笑顔でいた。バレませんように、バレませんように。

自己紹介も程程に食事がスタートした。
吐きそう…、なんとか食べられそうなものを選んだもののとてもじゃないが食べきれそうにない。

「実来ちゃん大丈夫かい?」義父から声をかけられて、
「大丈夫ですよ。どうしたんですか?」笑って誤魔化した。お母さんに迷惑はかけられない。やっと幸せになれるんだから。

「…私は内科医をやっているんだ。もし、体調が悪かったら気軽に訪ねてね。○○病院だよ」嘘…、お医者さんだなんて。続く言葉は私の耳に入ってこなかった。

吐き気を抑えてゆっくり食べきった時には全員の食事は既に終わっていて、皆の視線を受けていたことに初めて気が付いた。

「やっぱり体調が悪いんじゃないのか?」
「ごめんなさい、朝からちょっと…だけど薬のんでゆっくり休めば大丈夫です」嘘に嘘をつくとなにも上手く行かない。


私の体調のこともあって食事会が終わると直ぐに解散になった。
「上手くやれると思ってたんだけどなぁ…」
「うん?」
「なんでもないよ」お母さんの邪魔しちゃったな…。


明日からは一緒に住むことになるらしい。今まで以上に気を付けないと…。



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