19 / 19
事実2
継承権
しおりを挟む
帝国への帰路は思ったより快適で短かったです。エルフがおさめる国、皇族が前世持ちとあって、発展具合もなにもかもが違いました。狭い世界で生きていたんだとしみじみ感じましたね、はい。
そうこうしてるうちに到着したようで皇太子様にエスコートされる様に城の中へと歩みを進めました。
「凄い…」
「ふふ、それは光栄ですね」心の声が出ていたようで顔が赤くなるのが分かりました。恥ずかしい。
「久しぶりだけれど何も変わっていないのね…あっ、エマ!」
「姫様!?」突然消えて突然現れた皇女なんて驚きしかないでしょうね。今考えると母様は少し…いえやめておきましょう。
皇太子様に案内されるまま皇帝の執務室へとたどり着きました。その間メイド?乳母?のエマさんにそれはそれは小言を言われ続けた母様はお城に入ったときとは違いだいぶしゅんとしていましたね。やはり、母様の扱いが慣れている…。
「失礼します。今お時間よろしいですか?」
ノックの後返答はそれはそれは重低音で従えるものの声。後で聞くと皇帝にもなると人の目があると息子にすら態度を崩すことは許されないのだとか。平凡な私には難しい…。
皇帝の仕事も一段落し、人払いをするとさっきまでそこにいた厳格な君主はもういなかった。久しぶりにみる娘に安堵と少しの怒り…。母様はもう少し周りをみるべきだったんだと思います。だってこんなに愛されていて…、でもそれとこれとは話が別です。私は平凡なんです!だれがなんと言おうと皇女ではないんですよ!
「それで、継承権の話だが…」来ました。避けては通れないやつ。いや、母様だけが持つ分には私は何も言わないんですけど、娘の私にまであるとなると話が変わってきますよね。
「…もうこの国には帰ってこないつもりでいました。父上との最後の挨拶もあの時に済ませたつもりで…。今私は愛する夫と娘がいます。家もあちらの国に、そしてなにより夫は公爵位を与えられ宰相として立つことになるでしょう」母様のこんな立派な姿は初めて見ます。その凛とした態度に空気が緊張するのを感じました。
「そうか…。しかし、元々はそなたが皇太子となるはずだったのだ」今はイディスが皇太子として立ってくれたからなんとかなったが、そう簡単なことではなかったこともそなたなら分かるであろう?
…まってまってまって。母様皇位継承権第一だったの!?聞いてない聞いてない。平凡が良いって話だったじゃん。どゆことですか。
「母様、私その話知らないのですが…」私の小さくても響く声で母様ははっとしたようで、先程までとはうって変わっていつもの母様。
「ごめんなさいね。突然のことだらけで混乱するだろうと思って…。また時間ができたら詳しく説明するわ」そういえばまだ皇帝様の話の途中でした。危ない、危ない。いくらお祖父様といえど、不敬になりますよね。
「…やっと国内も落ち着いてきた。再び荒れることは望まぬのだが。…本当にこの国に残ることはしないのだな?」
「ええ、申し訳ないとは思っています。ですが、これが最後の我が儘だと思って聞き入れていただけませんか?必要であれば正式に発表してくださって構いません」
「分かった。そなたも兄に感謝するのだな。すまぬな、イディスよ、もう少しだけ頑張ってくれ」
「仕方ありませんね。レイアには今まで苦労させられましたし、可愛い妹の為ならあと一回くらい…」
「ありがとう!お兄様!大好き!」調子のいい母様に昔から母様を知る人も溜め息がでてます。なんとかなったようでなによりなんですけど、私はまだ許してませんよ?
それからいくつか確認をして、書類をまとめて…ようやく長い1日が終わりそうです。
「では、今日はここまでだ。部屋まで案内してやってくれ。ソフィアといったかのぉ?色んなことがあって疲れただろう。ゆっくり休んで明日は元気な姿を見せておくれ。それと!私のことはお祖父様と呼んでくれ。初めての孫なのに皇帝とは…(寂しいではないか)」
思わず、笑ってしまいそうになりましたが、無事お祖父様に挨拶をして今日は一段落…。後は部屋でじっくり母様から話を聞こうと思います。逃げようなんて許さないですからね。チラッ
そうこうしてるうちに到着したようで皇太子様にエスコートされる様に城の中へと歩みを進めました。
「凄い…」
「ふふ、それは光栄ですね」心の声が出ていたようで顔が赤くなるのが分かりました。恥ずかしい。
「久しぶりだけれど何も変わっていないのね…あっ、エマ!」
「姫様!?」突然消えて突然現れた皇女なんて驚きしかないでしょうね。今考えると母様は少し…いえやめておきましょう。
皇太子様に案内されるまま皇帝の執務室へとたどり着きました。その間メイド?乳母?のエマさんにそれはそれは小言を言われ続けた母様はお城に入ったときとは違いだいぶしゅんとしていましたね。やはり、母様の扱いが慣れている…。
「失礼します。今お時間よろしいですか?」
ノックの後返答はそれはそれは重低音で従えるものの声。後で聞くと皇帝にもなると人の目があると息子にすら態度を崩すことは許されないのだとか。平凡な私には難しい…。
皇帝の仕事も一段落し、人払いをするとさっきまでそこにいた厳格な君主はもういなかった。久しぶりにみる娘に安堵と少しの怒り…。母様はもう少し周りをみるべきだったんだと思います。だってこんなに愛されていて…、でもそれとこれとは話が別です。私は平凡なんです!だれがなんと言おうと皇女ではないんですよ!
「それで、継承権の話だが…」来ました。避けては通れないやつ。いや、母様だけが持つ分には私は何も言わないんですけど、娘の私にまであるとなると話が変わってきますよね。
「…もうこの国には帰ってこないつもりでいました。父上との最後の挨拶もあの時に済ませたつもりで…。今私は愛する夫と娘がいます。家もあちらの国に、そしてなにより夫は公爵位を与えられ宰相として立つことになるでしょう」母様のこんな立派な姿は初めて見ます。その凛とした態度に空気が緊張するのを感じました。
「そうか…。しかし、元々はそなたが皇太子となるはずだったのだ」今はイディスが皇太子として立ってくれたからなんとかなったが、そう簡単なことではなかったこともそなたなら分かるであろう?
…まってまってまって。母様皇位継承権第一だったの!?聞いてない聞いてない。平凡が良いって話だったじゃん。どゆことですか。
「母様、私その話知らないのですが…」私の小さくても響く声で母様ははっとしたようで、先程までとはうって変わっていつもの母様。
「ごめんなさいね。突然のことだらけで混乱するだろうと思って…。また時間ができたら詳しく説明するわ」そういえばまだ皇帝様の話の途中でした。危ない、危ない。いくらお祖父様といえど、不敬になりますよね。
「…やっと国内も落ち着いてきた。再び荒れることは望まぬのだが。…本当にこの国に残ることはしないのだな?」
「ええ、申し訳ないとは思っています。ですが、これが最後の我が儘だと思って聞き入れていただけませんか?必要であれば正式に発表してくださって構いません」
「分かった。そなたも兄に感謝するのだな。すまぬな、イディスよ、もう少しだけ頑張ってくれ」
「仕方ありませんね。レイアには今まで苦労させられましたし、可愛い妹の為ならあと一回くらい…」
「ありがとう!お兄様!大好き!」調子のいい母様に昔から母様を知る人も溜め息がでてます。なんとかなったようでなによりなんですけど、私はまだ許してませんよ?
それからいくつか確認をして、書類をまとめて…ようやく長い1日が終わりそうです。
「では、今日はここまでだ。部屋まで案内してやってくれ。ソフィアといったかのぉ?色んなことがあって疲れただろう。ゆっくり休んで明日は元気な姿を見せておくれ。それと!私のことはお祖父様と呼んでくれ。初めての孫なのに皇帝とは…(寂しいではないか)」
思わず、笑ってしまいそうになりましたが、無事お祖父様に挨拶をして今日は一段落…。後は部屋でじっくり母様から話を聞こうと思います。逃げようなんて許さないですからね。チラッ
10
お気に入りに追加
25
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
結婚記念日をスルーされたので、離婚しても良いですか?
秋月一花
恋愛
本日、結婚記念日を迎えた。三周年のお祝いに、料理長が腕を振るってくれた。私は夫であるマハロを待っていた。……いつまで経っても帰ってこない、彼を。
……結婚記念日を過ぎてから帰って来た彼は、私との結婚記念日を覚えていないようだった。身体が弱いという幼馴染の見舞いに行って、そのまま食事をして戻って来たみたいだ。
彼と結婚してからずっとそう。私がデートをしてみたい、と言えば了承してくれるものの、当日幼馴染の女性が体調を崩して「後で埋め合わせするから」と彼女の元へ向かってしまう。埋め合わせなんて、この三年一度もされたことがありませんが?
もう我慢の限界というものです。
「離婚してください」
「一体何を言っているんだ、君は……そんなこと、出来るはずないだろう?」
白い結婚のため、可能ですよ? 知らないのですか?
あなたと離婚して、私は第二の人生を歩みます。
※カクヨム様にも投稿しています。
貴方が側妃を望んだのです
cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。
「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。
誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。
※2022年6月12日。一部書き足しました。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
史実などに基づいたものではない事をご理解ください。
※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。
表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。
※更新していくうえでタグは幾つか増えます。
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる