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水姫

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事実2

継承権

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帝国への帰路は思ったより快適で短かったです。エルフがおさめる国、皇族が前世持ちとあって、発展具合もなにもかもが違いました。狭い世界で生きていたんだとしみじみ感じましたね、はい。


そうこうしてるうちに到着したようで皇太子様にエスコートされる様に城の中へと歩みを進めました。
「凄い…」
「ふふ、それは光栄ですね」心の声が出ていたようで顔が赤くなるのが分かりました。恥ずかしい。

「久しぶりだけれど何も変わっていないのね…あっ、エマ!」
「姫様!?」突然消えて突然現れた皇女なんて驚きしかないでしょうね。今考えると母様は少し…いえやめておきましょう。


皇太子様に案内されるまま皇帝の執務室へとたどり着きました。その間メイド?乳母?のエマさんにそれはそれは小言を言われ続けた母様はお城に入ったときとは違いだいぶしゅんとしていましたね。やはり、母様の扱いが慣れている…。


「失礼します。今お時間よろしいですか?」
ノックの後返答はそれはそれは重低音で従えるものの声。後で聞くと皇帝にもなると人の目があると息子にすら態度を崩すことは許されないのだとか。平凡な私には難しい…。


皇帝の仕事も一段落し、人払いをするとさっきまでそこにいた厳格な君主はもういなかった。久しぶりにみる娘に安堵と少しの怒り…。母様はもう少し周りをみるべきだったんだと思います。だってこんなに愛されていて…、でもそれとこれとは話が別です。私は平凡なんです!だれがなんと言おうと皇女ではないんですよ!


「それで、継承権の話だが…」来ました。避けては通れないやつ。いや、母様だけが持つ分には私は何も言わないんですけど、娘の私にまであるとなると話が変わってきますよね。

「…もうこの国には帰ってこないつもりでいました。父上との最後の挨拶もあの時に済ませたつもりで…。今私は愛する夫と娘がいます。家もあちらの国に、そしてなにより夫は公爵位を与えられ宰相として立つことになるでしょう」母様のこんな立派な姿は初めて見ます。その凛とした態度に空気が緊張するのを感じました。

「そうか…。しかし、元々はそなたが皇太子となるはずだったのだ」今はイディスが皇太子として立ってくれたからなんとかなったが、そう簡単なことではなかったこともそなたなら分かるであろう?

…まってまってまって。母様皇位継承権第一だったの!?聞いてない聞いてない。平凡が良いって話だったじゃん。どゆことですか。

「母様、私その話知らないのですが…」私の小さくても響く声で母様ははっとしたようで、先程までとはうって変わっていつもの母様。
「ごめんなさいね。突然のことだらけで混乱するだろうと思って…。また時間ができたら詳しく説明するわ」そういえばまだ皇帝様の話の途中でした。危ない、危ない。いくらお祖父様といえど、不敬になりますよね。

「…やっと国内も落ち着いてきた。再び荒れることは望まぬのだが。…本当にこの国に残ることはしないのだな?」

「ええ、申し訳ないとは思っています。ですが、これが最後の我が儘だと思って聞き入れていただけませんか?必要であれば正式に発表してくださって構いません」

「分かった。そなたも兄に感謝するのだな。すまぬな、イディスよ、もう少しだけ頑張ってくれ」

「仕方ありませんね。レイアには今まで苦労させられましたし、可愛い妹の為ならあと一回くらい…」

「ありがとう!お兄様!大好き!」調子のいい母様に昔から母様を知る人も溜め息がでてます。なんとかなったようでなによりなんですけど、私はまだ許してませんよ?

それからいくつか確認をして、書類をまとめて…ようやく長い1日が終わりそうです。

「では、今日はここまでだ。部屋まで案内してやってくれ。ソフィアといったかのぉ?色んなことがあって疲れただろう。ゆっくり休んで明日は元気な姿を見せておくれ。それと!私のことはお祖父様と呼んでくれ。初めての孫なのに皇帝とは…(寂しいではないか)」

思わず、笑ってしまいそうになりましたが、無事お祖父様に挨拶をして今日は一段落…。後は部屋でじっくり母様から話を聞こうと思います。逃げようなんて許さないですからね。チラッ
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