説明を要求します!

水姫

文字の大きさ
上 下
2 / 19
幼少期

誕生際

しおりを挟む
「父様凄いです」

「そうだな。あっ、 はしゃぎすぎて迷子になるなよ」

「分かってますよ。そんなにお子ちゃまではありません」

「ん?本当か?まだ夜中に一人でトイレに行けないのにか?」

「それはいっては駄目です。夜中が暗すぎるのが悪いのです」

「はっはっは、拗ねるな。好きなもの買ってやるから」

「拗ねてません。が、本当ですか?じゃああれ食べたいです。あとあれと、あれも。あっ、あそこはなんですか?」

「おいおい、落ち着きなさい。全部回ってやるから」

「父様こっちです!あれ?父様?」
やってしまいました。迷子です。
精神が年齢に引っ張られてしまいました。
とりあえず、父様を探しましょう。
「父様~。父様~。」
駄目です、人が多すぎて見つかりそうにありません。
このまま会えなかったらどうしましょう。
魔法の効果もあまり持ちません。父様が側にいてこそです。

「君迷子?」

ふと声をかけられました。顔をあげてみます。
父様に少し似ている少年です。少し年上でしょうか?

「父様とはぐれてしまいました」素直に言います。
悪い感じはしませんでした。それと、父様に少し似ているからでしょうか、安心感がありました。

「そっか、君の父様を探す手伝いをしよう」

「本当ですか?ありがとうございます!」

「名前はなんて言うのかな?」

「えーと、ハリスです」

「君の名前だよ?」

「あっ、私はソフィアと言います」

「ソフィアね。父様の特徴はあるかな?」

「金髪に私と同じラピスラズリの瞳です」

「ん?ねぇ、ソフィアの瞳は茶色だよ?」

「えっ、えっと、間違いました。茶色の瞳です」

「ふーん。分かった探してみよう」

「はい!お願いします」

「待ってる間向こうで私とお話しないか?」

んー、知らない人にはついていっちゃ駄目だけど、親切な人だし、父様に似ているし、大丈夫かな「はい!」

「ん、じゃあ行こうか」

手を引かれて入ったお店は高級感溢れるお店でした。
美味しい紅茶とケーキを食べながらしばらく話しているとどこかで父様の声がします。

「父様!父様が見つかったので失礼します。探してくださってありがとうございました」
私はお礼を言うと父様の声がした方に駆け寄ります。
父様です。間違いではありませんでした。

「父様!」

「ソフィー!ソフィア!離れたら駄目だろ」
額に汗を浮かべる珍しい父様を見ました。

「ごめんなさい」
怒っている父様は初めてです。素直に謝りました。

「大丈夫か?何もなかったか?」

「んーと、父様に少し似ている人とお話ししました」

「はっ、それは本当か?」どうしたのでしょう?

「はい、雰囲気とかも似てた気がします。名前はえーと、ロンダートだったかな」

「(まずいな)ソフィーそろそろ帰ろうか」

「えっ、でもまだ楽しめていません」

「また連れてきてあげよう」

「……分かりました」

「ほら、行こうか」

「はい」

この時私たちは気付きませんでした。
先ほど別れたあの少年が私たちの方を見ていることに。護衛の方が「殿下!?」と呟いていることに。



しおりを挟む

処理中です...