こんな展開知りません!

水姫

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そして…

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あの日から絶望で何も考えられない、考えたくない。シアは巧妙に隠し通しているようで、公務以外は私の側を離れないのに誰も私を探していない。甲斐甲斐しく世話をやくシアから与えられるものを受け入れるだけの生活だ。

何故誰も気付いてくれないのだろうか。あぁ、そうだった私は終身刑された身だ。…食事も喉を通らないのに、どうして生きているのだろう。
「ふふリア、可愛い私のリア何を考えているんだい?」思考が下に下にと沈んでいくなかシアの声だけがひどく鮮明で、私の意識を引き上げる。

「…私は何故生きているのかしら」ふと、呟いて気付いてしまった。こんなの人形と変わらない。私である必要もない。何故?シアは私に何を求めているのだろうか。

「あぁ、リア。そんなこと言わないでおくれ。私には君だけなのだから。私の唯一…」シアには私だけ?そんなはずない。彼は王太子で次期国王だ。何より民に慕われている。私とは…違う。あの時の蔑むような視線が今でも鮮明に思い出される。誰も信じてくれなかった…。信じていた友人にも…所詮私はその程度の人だったのだ。


「……そろそろかな(ぼそっ)。リアこっち向いてごらん」その声とシアの瞳に私の意識は深く沈んでいった。




「おはよう、リア。よく眠れた?」あれ?夢?…妙にリアルで酷く恐ろしい夢だった。でも思い出すことができない。あれ?思い出そうとしているだけなのに体がガタガタと震え出して止まらない。
「大丈夫?こわいでも見たのかな?…ほら、こっちおいで」

暖かい温もり。昔から慣れ親しんだシアの匂い。…落ち着く。

「…もう、大丈夫」
「そっか、残念」


……シアはこんなに優しかっただろうか。
いや、昔から私を大切にしてくれていた。

あの時彼は何故私を見捨てた?
いや、あれはだった。

あれ?離れてしまったのは私?
私はシアがいないと生きられないのに?

あぁ、私はなんて愚かで救いようがない…。

「ごめんなさい」
「ん?どうしたんだい急に」気が付くと口から謝罪の言葉が出ていた。

シアだけが私を愛して、見捨てないでいてくれる。
家族にもこんなに愛情を貰った記憶はない。
私の世界はシアだけ、それだけで良かったんだわ…。

「…今頃気が付いたの?遅過ぎるけれど、可愛いリアだから許してあげるよ。でも、もう2度と離れないでね」
「…こんな私でも側にいていいの?」
「何を言うかと思ったら…、怒れられたいの?」
「いいえ、許して私にはシアしかいないの。もう2度と離れないわ」何処かで魔力が動く気配がしたけれど、気にならなかった。シアがいる、私にはそれだけで良いのだから。




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