10 / 16
魔法の枕
しおりを挟む
枕が変わると眠れない。そんな話を聞く事もあるが、幸いにして私とは無縁の言葉であった。それは、私が割合、何処であろうと寝れてしまうたちだから。
だから、新しい枕を買おうと思った事も無かった。けれど、それも向こうの世界の話だ。
この世界に来て旅を始めてから、私は枕を使っていない。旅暮らしの間、枕を持っていると邪魔になる為、持ち歩いていないのだ。だから如何に〝魔法の枕〟と銘打たれていても、普段なら買う事は無かっただろう。
けれど、その時の私はつい吸い込まれる様に枕に手を伸ばしていた。それは、別段特別な枕には見えなかった。だけど、それでも私が手を伸ばしたのは、それが向こうの世界で使っていたものと瓜二つであったからに他ならない。ふと、懐かしさを感じて手に取ってしまったのだ。
だけど、それが間違いであったのだろう。私はその〝魔法の枕〟に懐かれてしまったのだから。
後から聞いた話によれば、その枕は持ち主を選ぶ枕なのだという。そして、その持ち主の睡眠を補佐し、寝ている間に傷病を治す魔法の枕なのだとか。だから、枕に選ばれたのは幸運だと言われたのだけれど、その魔法に見合う出費を強いられた私にとっては、不運の象徴に思えてならなかった。
ただ、誤解されるといけないので補足しておこう。その枕は出費に見合う性能であったのだと。
だから、新しい枕を買おうと思った事も無かった。けれど、それも向こうの世界の話だ。
この世界に来て旅を始めてから、私は枕を使っていない。旅暮らしの間、枕を持っていると邪魔になる為、持ち歩いていないのだ。だから如何に〝魔法の枕〟と銘打たれていても、普段なら買う事は無かっただろう。
けれど、その時の私はつい吸い込まれる様に枕に手を伸ばしていた。それは、別段特別な枕には見えなかった。だけど、それでも私が手を伸ばしたのは、それが向こうの世界で使っていたものと瓜二つであったからに他ならない。ふと、懐かしさを感じて手に取ってしまったのだ。
だけど、それが間違いであったのだろう。私はその〝魔法の枕〟に懐かれてしまったのだから。
後から聞いた話によれば、その枕は持ち主を選ぶ枕なのだという。そして、その持ち主の睡眠を補佐し、寝ている間に傷病を治す魔法の枕なのだとか。だから、枕に選ばれたのは幸運だと言われたのだけれど、その魔法に見合う出費を強いられた私にとっては、不運の象徴に思えてならなかった。
ただ、誤解されるといけないので補足しておこう。その枕は出費に見合う性能であったのだと。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う
月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
強奪系触手おじさん
兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる