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中級冒険者の章

第103話 そのセリフは死亡フラグ

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 ギルとウサ吉の三人でドキドキワクワクな冒険をして大満足なボクだったが、やはりというかなんというか、最後の最後でいつも通りな展開が待っていたのだ。どうやらボクはこうなる運命なのかもしれない……。

「ううむ……思ったより貧相な体なのじゃ。このチ〇ポで本当にビアンカを堕としたのかえ? フニャフニャなのじゃ」

 ボクは色々なジャンルのエッチなゲームを嗜むが、ダンジョンRPGモノはかなり好きだ。主人公が仲間と恋仲になってイチャラブエッチをしたり、ダンジョンモンスターとエッチしたり、ダンジョントラップに引っ掛かったヒロインがエチエチにされたりと、そういうエッチなやつが好きなのだ。例えば変なスイッチを踏んでしまった美人エルフを襲うローパー、四肢を拘束され服を溶かされ、抵抗出来ずにグチョグチョにされてしまうのは凄く興奮する。良いよね♪

 でもボクがその立場になるとは思ってもみなかったぞ。こういう時は臨機応変に対応出来るように慌てずにチャンスを伺うのだ。

「ううぅ、恥ずかしいですぅ」

 ビリビリと服を破かれてしまい、ボクのムキムキマッチョなボディが晒されてしまった。いつもは凛々しい愛棒さんだけど、このシチュエーションはお気に召さないのかしょんぼりとしております。

 やっぱり男としては女性を押し倒してわからせるようなプレイがしたい訳ですよ。この前だって自慢の愛棒が七海さんをグチョグチョに……ってあれ、ボクのエッチは8割くらいの確率で女性上位だったな。もしかしてボクの体から女性を興奮させるフェロモンでも出ているのだろうか?

 ビアンカちゃんの身代わりで罰を受けると言ったはいいけど、これからボクはどうなってしまうのだろうか。ワクワクドキドキ。……あれ、ちょっとだけ期待しているボクがいる。もしかして女性上位なプレイをやり過ぎて調教されてしまったのか?

「おにーちゃんをバカにしないで、おにーちゃんはやれば出来る子なんだからね! それに勃起しないのはあんたがお子ちゃまだからよ」

「ぐぬぬ……言わせておけばお子ちゃまお子ちゃま言いおって。妾の色気を見せてやるのじゃ!」

「っ!?」

 シンシア様が豪快に服を脱ぎ捨て全裸になってしまった。いや、全裸じゃなかった。何故か黒いニーソックスだけ装備したままです。もしかしてボクの好みを知っているのか!?

 褐色ロリエルフなのかと思ったら、ブラとパンツの部分だけが白くなっている。幼少期の夏休み、幼馴染の女の子と市民プール通いをしていたのを思い出した。名前も思い出せないあの子はビキニタイプの水着を好むおませな子だった。一緒にお風呂に入った時、日焼けが作り出した芸術的なグラデーションを目の当たりにしたボクは、思わず見入ってしまった事を思い出した。

 ぷっくりと膨らんだシミ一つない純白の小山にピンク色の宝石が輝いている。そして視線を下に移動すると、穢れの知らぬプニプニダンジョンがボクを待ち構えていた。あの日、幼いボクが何も考えずにお風呂場で見た未知のプニプニダンジョンと同じだった。このダンジョンを攻略って事か……!?

 ボクには七海さんという愛すべき女性がいる。ちょっとヤンデレチックだけど大好きな彼女だ。だけど今のボクは一流冒険者であり、冒険者とはダンジョン攻略するのがお仕事です。つまり何が言いたいかといえば、これは浮気とかそういうのではなく、冒険者の使命なのです!

「にょほほほ。どうじゃ、見惚れて声も出ぬか。もっと近くで見せてやろうかの。ほれほれ、くぱぁなのじゃ」

「…………はぁはぁ」

 ロリエルフのプニプニダンジョンが目の前に広がっている。小っちゃい手で『くぱぁ』と広げられた凶悪なダンジョンは、今までにないくらいの大冒険を予感させた。

 ビアンカちゃんの身代わりなのに、こんな美味しい思いをしていいのかと不安になってしまう。大丈夫ですかね?

「きゃはっ、おにーちゃんやる気出て来たね! いいよいいよ、シンシアなんかやっつけちゃえー!」

「ふへへ、負けませんよー! …………でも、これって良いんですかね? あんまり罰になってないような気がするんですけど……」

 バキバキでやる気満々な愛棒さんに水を差すようで悪いけど、気になって聞いてしまった。美味しい話には裏があるって聞くからね。

「お主には幸せの薬の材料になってもらうのじゃ」

「なっ、なんですと?」

 可愛いお口から飛び出した驚愕の事実にドキッとしてしまった。幸せの薬の材料ってどういう事ですか? もしや猟奇的なやつとか? ボクはそういうスプラッターなのはNGなので遠慮したいです。

 そんな怯えるボクの顔を見てクスっと笑ったシンシア様が愛棒を軽く握った。ボクはロリコンさんじゃないのに、シンシア様の小さなお手手でムニュムニュされると興奮してしまう。

 ずっしりと重いボクのお稲荷さんをタプタプしながらシンシア様が囁いた。

「安心せい、必要なのはここに詰まった精液なのじゃ。プリプリに煮詰まったゼリーのような精液、子宮に出されたら一発で孕まされてしまいそうな濃ゆい精液が必要なのじゃ。ビアンカに奪われた薬の弁償はお主の体で支払って貰う。空っぽになるまで全部搾り取ってやるから覚悟せい♡」

「はぁはぁ……ボクは負けません……シンシア様がどんなにエロい事をしようとも、ボクは簡単に負けたりイったりしませんからねっ!」

 気付いたらそんな言葉を発していた。生粋のエンターテイナーであるボクはここが勝負どころだと思ったのだ。幸せの薬の材料が精液とかキモイけど、今はそんな事はどうでもいい。相手はボクのお宝を奪おうとする凶悪なダンジョン、そう簡単にやられる訳にはいかなかった。だけどその前に確認しておかなければならない事がある。

「一つ確認だ…………。別に、シンシア様を倒してイカせてしまっても構わんのだろう?」

「にょほほほほ、こやつ言いおったわ! その威勢がいつまで持つか楽しみなのじゃ。妾の前にひれ伏すがいいわ!」

「あはっ、何だかんだ言いながらおにーちゃんやる気満々だねっ!」

 ふふ、一度言ってみたかったんですよこのセリフ。ボクの大好きなゲームに出て来るカッコイイキャラの名セリフです。あの強敵に挑む姿は痺れました!

 そうしてボクはダンジョン攻略に挑むのでした。そう、この時はまだ普通のダンジョン攻略だと思っていた。まさかあんな目に遭うなんて……。






――そのダンジョンはあまりにも狭く、あまりにもキツく、侵入者を容赦なく絞め殺す凶悪なダンジョンだった。

「き、キツイっ! もう少し力を抜いてくださいっ、ああ、そんなにゴシゴシしないでぇ」

「なんじゃなんじゃ、妾をイカせるとか威勢のいい事をいっておいてこのザマかえ? ほれほれ、もっと妾を楽しませてみせい」



――七海さんと同じで騎乗スキルのレベルが高い……これがサキュバスの館と並ぶ凶悪なダンジョンと噂される古代エルフの街を治めるエリートの実力…………!!

「あっ、らめっ、そんなパンパンしちゃ……あうっ、ビアンカちゃんに聞かれちゃう、パチュンパチュンってエッチな音が聞こえちゃうよぉ」

「にょほほほ! こやつなかなか立派なモノを持ってる癖に随分と敏感なのじゃ。ほれほら、情けない顔をもっとビアンカに見せてやるのじゃ」



――本当に処女だったのかと思う巧みな腰使いに防戦一方だった。ルナ様との特訓が無意味だったんじゃないかと思うくらいに簡単にやられてしまった。

「――っ!!」

「んほっ……熱い、熱いぞ……妾の奥にドクドクと出ておるわ♡ んっ……ビアンカの言ったように凄く濃厚じゃの……それにあれだけ出したのに全然垂れて来ないのじゃ。んっ……これは掻き出すのに苦労しそうじゃのぉ。早くしないと孕んでしまうわい♡」

「っ!?」



 セルフくぱぁした状態で小さな指先をダンジョンに侵入させたシンシア様、床に置かれたガラス瓶にユウタソウルを入れようとクチュクチュしていた。これが幸せの薬を作るための儀式……エロい! ゴムさえあればもっと簡単に採取出来るだろうけど、それを教えるのは無粋だろう。この光景を見て確信しました。

 いやらしく格闘するシンシア様の姿を見ながらボクは思った。こりゃ勝てねぇ……と。威勢のいい事を言っておいてアレだけど、情けない事に言い訳出来ないくらいボロ負けでした。だってさ、こんな美少女ロリエルフにヌポヌポされたら勝てる訳ないじゃん? しかもニーソックスを履いてるんだよ。ダメぽ。

 ルナ様ごめんなさい、せっかく鍛えて貰ったのに負けちゃいました。

「んっ、予想以上に採取出来たのじゃ。でもちょっと期待外れじゃのぉ。あのビアンカが選んだ伴侶というからどんな性豪かと思いきや、とんだ早漏じゃったのじゃ。長くて太い逞しいモノを持っているのに早漏じゃ宝の持ち腐れってやつかの? にょほほほほ!」

「な、なんですと?」

 このエルフがフニャフニャになった愛棒さんを撫でながらそんな事を言って来た。確かにボクは少しだけ敏感かもしれない。だけどまだこれからなのだ。早漏エルフと違ってボクは童貞卒業したばかりだからまだまだ伸びしろがいっぱいあるのです。

 このままでいいのか? ここで幼女エルフに屈していいのか?

「おにーちゃんがんばえー! おにーちゃんまけうなー!」

「――っ!」

 ビアンカちゃんの応援する声が聞こえた。それは日曜日の朝ニチアサにやってる女児向けアニメの魔女っ子を応援する幼女のような声援だった。そうだボクはこんなところで負ける訳にはいかないのだ! まだいけるか、愛棒?

 拘束されて自分のペースで攻略出来ず、尚且つ時魔法を封印されてしまっている不利な状況ではあるが、相手が油断しているのならチャンスはあるはずだ。ちなみに、時魔法は練習不足なのか手で触らないと使えないのです。

 そんなボクを嘲笑うかのようにシンシア様が何かを持ってきた。それを見た瞬間、思わず悲鳴を上げそうになってしまった。

「妾は優しいからのぉ、早く採取が終わるように手助けをしてやろうかの。ほれ、これが何かわかるかえ?」

「そ、それはダメですっ! むりむり、死んじゃうー!!」

「ほぉ、お主はこれが何か知っておるのか。そうじゃ、これはマジカルバイアグーラの成分を抽出し濃縮した特別なローションよ。そしてこれが……」

「感度3000倍チェリー……!」

 透明なローションと金色に輝くチェリーを見た瞬間、ボクは死を覚悟した。どうやらボクの冒険もこれが最後のようだ。

 ギル、ウサ吉、楽しかったよ……。来世でも友達になろうな!

 いやらしくチェリーを咥えたシンシア様のお口がボクに迫った。



   ◇



――時間切れでユウタが消えた部屋では二人の女が楽しそうに話をしていた。

「きゃはっ、おにーちゃんったら面白かったね。クールローションと着色したチェリーなのにあんなに感じちゃって」

「にょほほほ、実に愛いやつだったのじゃ。『もうらめぇ、シコシコしないでぇ』って何度も言っておったぞ。ビアンカの気持ちが少し分かったかもしれないのじゃ」

「いひひ、おにーちゃんはビアンカちゃんのだからね。今回はお詫びのために貸してあげたんだから、勘違いしちゃダメだかんね」

「うむうむ、分かっておる。これで幸せの薬をパクった件は許してやるのじゃ」

 古代エルフの森にビアンカが居たのは偶然ではなかった。ユウタが赤いゲートをくぐり抜けてウサ吉と出会った頃、サキュバスの館で待っていたビアンカはユウタがハズレを引いたことを察した。そしてユウタの匂いが古代エルフの森にある事を受けて急いで向かったのだ。

 吸血姫の城と古代エルフの森はユウタにとって鬼門と言える場所であり、ひ弱なユウタじゃどんなに頑張っても無残な死を迎える危険な場所だった。

 だけどユウタは持ち前の運の良さで奇跡的にウサ吉と出会い、ギルという頼れる仲間が出来た事で安堵したビアンカであったが、運が良いのか悪いのか、ユウタ一行は古代エルフの街へ進んでしまった。古代エルフの街にはシンシアが居る。夏子に要求された幸せの薬をプレゼントするために強引に奪い取ったという事もあり、シンシアには負い目を感じていたのだ。ビアンカ本人は奪ったのではなく借りただけと思っているが……。

 ユウタにはビアンカの伴侶という称号がある。シンシア程の強者であれば称号など一発で見抜けるだろう。この称号を見られたらユウタが何をされるか分からなかった。だから先回してシンシアに頭を下げたのだ。結果的にユウタを貸す事で手打ちになったが、ユウタはそのことを知らなかった。

「むふー。これだけあればいっぱい作れそうなのじゃ」

「いっぱい作ったら1個頂戴ね。おにーちゃんにプレゼントするんだから」

「よかろう。でもビアンカはあの男のアフターフォローをしっかりするのじゃぞ。お主のせいで酷い目に遭ったのじゃからな。いや、結構嬉しそうにしておったような? むむっ、あやつはドMなのかもしれないのぉ」

「きゃはっ、そんなの言われなくても大丈夫だって。んじゃ、おにーちゃんのところへ行ってくるね。またね~」

 これはユウタの知らない裏話……。だけどたぶん、本人は凄い冒険をしたと喜んでいる事だろう。
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