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中級冒険者の章

第86話 ルナ様はBカップでした

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 LEDイルミネーションで飾り付けされたクリスマスムード一色な街中、行き交う人々はキラキラと光り輝く幻想的な世界に吸い寄せられ自然と足を止めてしまう。人々の視線の先では、まるで物語の世界から飛び出して来たとしか思えない一組のカップルが頬を寄せ合い写真を撮っていた。

 一人は背の高い女性。黄金色に輝く髪に優しい笑顔、その慈愛に満ちた笑みは隣の美少女に注がれていた。その美少女は背が低く、アニメでしか見た事のないような銀髪を緩く巻き、カメラを構えてニコニコと笑っていた。そのあどけない表情はまさに可憐の一言であり、誰もが足を止めて魅入ってしまっていた。


『すごい綺麗~』

『あの銀髪の子可愛い~』

『てぇてぇ』

『もしかしてあの金髪の人、モデルの……?』

『尊い……』


 そんな大注目を浴びているにも関わらず、二人は自分達の世界に浸っていた。



   ◇



 ルナ様を思い浮かべて変身魔法を使ったのはいいものの、どうやら賢さが足りないせいで顔と愛棒さんはユウタのままになってしまった。つまりルナ様コスプレをしたユウタの出来上がりという訳です。

 そして予想外だったのが効果時間である。てっきりすぐに変身解除出来ると思っていたのだが、どうやっても元の姿に戻れないのである。七海さんにスッキリさせてもらったけどダメでした。あれぇ?

 今日はクリスマスイブ。恋人と過ごす初めてのビッグイベントなのに変身が解除できないのだった。ビアンカちゃんは変身解除できないことを知っていたな。知っていて教えてくれなかったのだろう。たぶんクリスマスデートをダメにするために!

『うへへ、バレたか~。でもまあ、アソコだけは男の子だから良かったね♪ その魔法はギルドに行くか、24時間経過すると解除されるから安心してね~』

 どこからかビアンカちゃんの声が聞こえた気がした。



 そんな感じで男に戻るのを諦めたボク達はクリスマスデートをする事にした。女装でデートとかちょっと恥ずかしいけど、ルナ様のコスメセットのお陰で究極の美少女に大変身ですよ。新しい自分に目覚めちゃったかもしれない。

「じゃあ撮りますよ~。あっ、七海さんもう少し顔を寄せて下さい。あっ、いいかも」

「はぁはぁ……ユウ君いい匂いするね。クンカクンカ、もうホテルいこっか?」

「ちょっ、ダメですよぉ。それに服を買いに行くんですよね? せっかくのクリスマスデートなんですからホテルは最後ですよ」

「そんな事言ってもユウ君が悪いんだよ。こんなに可愛い男の子なユウ君が……はぁはぁ、こんな可愛くなっちゃって、私レズじゃないけど、ユウ君なら全然オッケーだよ……はぁはぁ」

「くすぐったいですよぉ~」

 七海さんが発情してしまいました。ボクも罪な男になりましたねぇ。

 大きなクリスマスツリーの下でイチャイチャタイムです。ルナ様コスプレもなかなかいいかもしれません。でもね、ツンツンおっぱいの先っぽが服に擦れて痛いのだ。今は男物の洋服にコートを着込んでいます。残念ながらルナ様のエチエチドレスはノーブラノーパンだったのです。ドレスでお出掛けは寒すぎて無理でした。

 こうなったらボクがリードしてお洋服を買いに行くしかない!

 ボクの魅力にメロメロな七海さんを引っ張り、前に行ったあのオシャンティーな洋服屋さんに向かいました。でも何故だろうか、周りの人の視線が七海さんじゃなくてボクに向いているのだ。もしかして男だってバレた!?




「お、おおおお!? ななちゃんが飛びっきりの美少女を連れてる!? はわわわ、誰っすかその美少女は!? っていうかななちゃんもめちゃくそ綺麗なんすけど、えええええぇぇえええ!?」

 褐色ギャル店長のレモンちゃんがボク達を見て驚いていた。まあその気持ちは良く分かります。アニメの世界から飛び出して来たかのような銀髪の妖精ルナ様、そして美女の七海さんがルナ様のコスメセットで究極完全体になったのだ。非の打ち所がない美しさ。

 そんな顎が外れんばかりに驚くレモンちゃんに近づき、小声で挨拶です。

「レモンちゃんこんばんは。この子……ユウ君だよ?」

「こんばんは。ユウタですー!」

「え…………? ななちゃんの彼ピ? えええええぇぇえええ!?」

 どうやら詳しく説明する必要がありそうだ。まあ七海さんに任せておけばいいよね♪




 ボクは一人で洋服を探すフリをして二人を見た。七海さんがレモンちゃんに説明しています。どんな説明をしているのか知らないけど、時々七海さんの目が青く光っているのが見えた。もしかして七海さん、催眠魔法でゴリ押しですか? 確かにレモンちゃんは賢さが低そうだけど、効果あるのかな……。

 どうやら説得が完了したらしく、二人がボクのところへやってきた。

「ちょっとお化粧直しして来るから、ユウ君はレモンちゃんにコーディネートしてもらってね。下着とかも頼んであるから宜しくね」

「はーい!」

 きっとトイレなのだろう。だってルナ様のコスメセットでメイクは完璧だからね。アイドルのような美しさを持つ七海さんだってトイレに行くのです。察してあげましょう。それにボクは知っています。愛棒さんの激しい責めで七海さんのダンジョンからクリアスライムがプシャーって大放出されるのを見ました。あれはスタンピードに違いない。

「さて、まずは下着っからっすよ~」

「ご、ゴクリ……」

 前回と同じ試着室に連れ込まれたボクはレモンちゃんと二人きりになってしまった。ボクはどちらかと言うと白ギャルが好きなんだけど、褐色ギャルもいいかも♪

「じゃあ胸のサイズ測るから脱いでね~」

「はーい」

 別に恥ずかしい事じゃないと頭では理解できるが緊張してしまう。男物のシャツを脱ぎ捨てると、ルナ様と同じツンツンなおっぱいがプルンと揺れた。ふむ、やはり緊張しているのか先っぽが硬くなってますね。

「うひゃー、これが天王寺の最新技術っすか~。うぇ、このおっぱいどうなってるんすか!? えええ、触っても偽物だって分からないっすよー」

「ちょっ、そんな強く揉まないで下さぃ、はうっ、先っぽ痛いから……やっ」

「あっゴメンゴメン。でも驚きだね~、この髪だってウィッグじゃないんでしょ? うわ、すご~いサラサラ」

 どうやら催眠魔法でボクの女装を最新技術って事で誤魔化しているようだ。まあ普通に考えてイケメン細マッチョなボクが銀髪ツンツンおっぱい美少女になったら驚きだもんね。

 それにしても七海さんの催眠魔法は万能だな。ボクのテレポートスキルは出先からビュビューンと帰って来るくらいしか役に立ってない。それもまあ便利ではあるけど、なかなか活用出来ていないのが現状なのです。どこか遠くに地点登録して気軽に遊びに行けるようにしようかな。南の島とかいいよね!

 レモンちゃんにおっぱいをモミモミされながらそんな事を考えていたら、愛棒さんからエマージェンシーコールが届いた。『ユウタ応答せよ、ユウタ応答せよ、我ぴんちー!』ってやつです。

「ちょっ、どこ触ってるんですか、あっ、そこは敏感だからダメですよぉ」

「うわぁ~ほんとに男の子なんだね。あれあれ、ちょっと硬くなってきたよ?」

「そ、それはレモンちゃんが触るからですよぉ、はうっ」

 褐色ギャルに背後から襲われる姿が鏡に映っていた。それはまるでルナ様が痴漢されているような姿にドキドキしてしまうのだった。さすがに愛棒さんを攻略されるのはマズいと思ったので手で妨害しました。

 メジャーでおっぱいを測定してセクシーなブラを試着したり、可愛い系の洋服をレモンちゃんが選んでくれました。どうやらカッコイイ系より可愛い系の方がいいらしい。ロリ系アイドルを狙えそうだな……。

 いつの間にか戻って来た七海さんにお披露目です。

「うわぁ、凄いよユウ君!! えっ、どうしよう、私の旦那様ってこんなに可愛いの? ヤバい、興奮してきたよ」

「えへへ、可愛いですか? ピースピース!」

 ゴスロリドレスっぽいエチエチコスチュームはスカートが短くてエロ可愛い。女装に抵抗が無くなったボクは決めポーズを披露しちゃいます。メスガキっぽい感じでピースしちゃいます。この絶対領域を見た男達はムラムラする事間違い無しだな。我ながらエロいと思う。

「ねぇ、ななちゃん。マジでコスプレしないっすか? これなら本気で天下取れるっすよ!?」

「ダメです。ユウ君は私のだから他の人に可愛いユウ君は見せてあげません。よし、じゃあそろそろ行こうか。レモンちゃんお会計お願いね」

「ぐぬぬ……気が変わったらいつでも言ってくださいね!」

 どうやらレモンちゃんは冬の有明を狙っていたらしい。でも締め切りなんてとっくの昔に終わってるだろうし、そもそも寒い冬空の下でエチエチ衣装は耐えられないと思う。夏ならいいかもしれない……。七海さんを説得してみようかな!

「お待たせユウ君。早くご飯食べてホテル行こうね」

「は、はいっ」

 女性からホテルに行こうって言われるには変な感じがする……まあ今更か!

 でもボクはお気楽に考え過ぎていた。あの七海さんがプランニングしたデートが普通じゃない事くらい少し考えれば分かったはずなのに……。

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