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ひよっこ冒険者の章

第14話 合コン!

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『かんぱ~い!』

 人生初の合コンがスタートした。今日はリミッター解除して倒れるまで飲むのも辞さない覚悟であります。いや、倒れたらそこで童貞終了にならないからダメだ。耐える!

 合コンのお作法とか知らないけど、ノリと勢いで頑張りますー!

「初めまして、白梅4年の舞子まいこと言います。えっと、まだ就職決まってなくてヤバいので良いところあったら紹介してくださーい!」

 ふむ、最初は舞子お姉さんですか。少し芋っぽいというか素朴なお姉さんです。一番奥に座ったミッチーの前に座っています。茶髪のセミロングが素敵ですね。むむっ、なかなか大きなお胸を隠していますね? 笑顔が可愛いお姉さんは大好物です。良きかな。

 どうやら就職活動に苦戦しているらしい。ボクが大金持ちだったら『ボクのところに永久就職する?』って言ってキュンとなるシチュエーションが見られただろう。無念。

「え、えっと、その、志穂しほって言います。えっと、こう見えても25歳ですぅ。よ、よよよ、よろしくおねがいしますー!」

 背が小さくて妹系な女の子がちんまりと座っていた。黒いサラサラのストレートヘアが魅力的な可愛い女の子です。でもボクよりも5つも年上らしい。バグってるね?

 彼女はホッシーの前の席に座っています。

「っていうかどうして先輩が合コンに来てるんですか? 居酒屋で飲み会って言ってませんでしたっけ?」

「姫ちゃんこそ未成年なのにこんなとこ来ちゃダメだとおもいま~す!」

 ボクのバイト先に居る可愛い後輩の姫ちゃんが合コンに現れた。彼女は白梅女子に通っていたのか……。

「もしかしてユウの彼女か?」

「あはは、違いますよ~。確かに先輩は良い人ですけど、弟みたいな感じですね~」

「…………」

 姫ちゃんの何気ない一言でボクのハートがブロークンしてしまった。バイト先で良く揶揄からかわれているのはボクの事が好きなのかと思っていました。

 でもそんな事は無かったのだ。っていうか弟って酷くないですかね。ボクの方が年上なのに……。

「もう姫ちゃんそんな言い方しちゃ可哀想でしょー。ユウタ君って言うのね、元気出して~」

「ううぅ……舞子さんありがとうございます」

 舞子さんがほんのりと頬を赤くしてボクを見つめていた。席が離れているけどボクを心配してくれる良い人だ。よし、舞子さんを狙おうかな!?

「でもユウタ君って可愛いわね、なんて言うか……私の中のSな心がムクムクと湧き上がって来る……はぁはぁ、ユウタ君の泣き顔とか見たくなっちゃう」

「…………えっ?」

 ボクの理解者かと思ったら変態だった。しかもダメなやつ。

「あちゃー、舞子先輩のスイッチ入っちゃった。ごめんね先輩、舞子先輩って超ドSなの」

「舞子ちゃん、メッ! はしたないですよ」

「ううぅ……でもでも、ユウタ君ってすっごく良い声で泣きそうなの! お尻をこうXXXR18XXXR18すると――むぐっ!?」

「舞子ちゃんはユウタ君に近付いちゃダメです。分かりましたね?」

 小っちゃい志穂さんにお口を塞がれた舞子さんがコクコクと頷いていた。何故だろう、ボクのお尻がキュっとしたのだった。




 それから合コンは楽しく進んだ。最初の舞子さんの発言で気まずい感じになるかと思ったら、どうやらうちの男連中は喜んでいた。きっと舞子さんが自分を狙わないと知って余裕なのだろう。ボクは生贄にされたのだ。

 ボクも普段飲まない日本酒を舞子さんに勧められて飲んでいる。どうやらボクは舞子さんにロックオンされてしまったらしく、しきりにお尻を触ろうと迫ってくるのである。もしかしてボクの上がった魅力はお尻だったのだろうか?

 舞子さんの魔の手から逃げるように話題を変えて見た。

「そう言えばミッチー先輩ってオカルト研究部でしたよね。何か面白い話とかないですか~?」

 志穂さんと楽しそうに会話しているところ申し訳ないけど、ボクは強引に話題を振って見た。だって舞子さんが姫ちゃんとホッシーにボクのお尻の素晴らしさを淡々と語っているのだ。話題を変えたかったのです。

 舞子さんルートに入れば簡単に童貞卒業出来るかもしれないけど、その対価として失ってはいけないナニカを差し出す必要があるだろう。ボクには無理です。

 ちなみに、自己紹介で知ったけどミッチーさんは4年生で先輩でした。既に就職先も決まっているらしく、舞子さんが羨ましそうにしていた。チラチラとボクを見たって何もないですよ?

「フハハハハハ、良いだろう。最近ネットの掲示板で面白い話があるんだ。夜眠ると夢の中でダンジョンを冒険出来るらしい」

「前にユウが気になってた不思議なダンジョンだな」

「えへへ、冒険とか憧れますよねー!」

 ミッチー先輩は顔が赤かった。志穂さんにビールを注いで貰って嬉しそうにグビグビとお酒を飲んでおり、上機嫌で話してくれた。もしかしてミッチー先輩、ロリコンさんですか?

 でもまさかここで例の掲示板の話になるとは思わなかった。ホッシーが不思議なダンジョンを知っていたのはミッチー先輩から仕入れた情報だったのか。つまりホッシーは冒険者じゃないという訳だ。たぶん。

「先輩も男の子なんですね。男の子って冒険とか大好きですもんね~」

「あら姫ちゃん、私だって冒険は大好きよ~? まだ未経験だけど、私ならユウタ君の隠しダンジョンだって攻略出来る気がするの~。だから……ね、ユウタ君どうかな? 私ならきっと幸せにしてあげられると思うの」

「ぴゃわー! ぼ、ボクはそういうの無理っていうか、その、困りますぅ」

「ああ、凄い。ユウタ君最高よ~。その困った顔も可愛いわ~。食べちゃいたい」

「舞子ちゃん、メッ! ドン引きですよ?」

 何ですか隠しダンジョンって? ボクの人生ストーリーはノーマルですからね、そういうのが好きな人は別作品でお願いしますー!

 っていうかどうして舞子さんはそっちの方向に進むんですかね? 止めて欲しいです。話題を戻そう。

「ボクもそれ読んでみましたけど、創作にしてはリアリティありましたよね。現実でスキルが使えるようになるとか言ってたし色々と妄想しちゃいますよねー」

「うふふ、私もユウタ君で色々と妄想しちゃうわ~」

 ボクはスルースキルを覚えた。

「それなんだが、実はオカルト研究部で掲示板に書き込んだ人と接触する事に成功したんだ」

「おおっ!?」

「うふふ、私もユウタ君に接触しちゃおうかしら~?」

「舞子ちゃん、メッ!」

「今日の舞子先輩ヤバいですね。こんなになるの初めて見ました。先輩モテモテですね」

「良かったなユウ」

 ダメだ、ミッチー先輩が凄い事を言ってるのに舞子さんのせいで全然進まない。それにホッシーがボクと舞子さんをくっつけようと後押ししてくる。姫ちゃんも嬉しそうだった。

 舞子さんは素敵な女性かもしれないけど、ボクにも選ぶ権利はあります! よし、話の続きだ。

「それでそれで、書き込んだ人と会ってどうだったんですか!? やっぱり妄想ですか?」

「うーむ……オカルト研究部に所属する俺が言うのもアレなんだが……あれは本物だったのだろうか……」

「ちょっ、勿体ぶらないで教えてくださいよミッチー先輩~」

「そうだそうだー! ユウタ君も勿体ぶらないで触らせろー!!」

 誰か飢えた女豹をどうにかして下さい。

「それなんだがな、彼は『炎の息』というスキルだと言っていた。何やら夢の世界でガチャから手に入れたらしい。これが動画だ」

 ミッチー先輩がスマホを取り出して動画を見せてくれました。

「ご、ゴクリ……」

 ミッチー先輩が見せてくれた動画には、中年くらいの男性が大きく息を吸った後、大きな炎を噴き出した。ブワーっと凄い勢いで噴出する炎は、まるで火炎放射器のようだった。

 口から炎を吐くというのは不可能じゃないだろう。口にガスを貯めてライターの火を強くするとかそういう事なら出来ると思う。やらないけどね。

 だけど動画のコレはガスを仕込む予備動作も火器を使用する場面もなく、息を吸っただけで炎を噴き出したのだ。

「えっ、これCGじゃないの?」

「す、凄いね姫ちゃん」

「確かに凄いけど、現実じゃ何も役に立たないスキルだな」

「ボクは鑑定スキルとか欲しいなー」

「私はユウタ君のお尻がいいな~」

 鑑定スキルがあったら女性のスリーサイズとか分かる気がする。でも姫ちゃんはEカップって知ってるから無くてもいいか!

「先輩、また私のおっぱいガン見してましたね? 今日は先輩の奢りですからね」

「そんなー! 酷いよ姫ちゃん~」

 どうしてボクが姫ちゃんの胸を見た事がバレたのだろう。もしかしてチートスキルか!?

「ミッチーくん。私もその夢の世界に行って冒険してみたいんだけど、どうやったら入れるの?」

 志穂さんがミッチー先輩に食いついた。もしかしたら志穂さんはミッチー先輩狙いなのかもしれない。背の高いミッチー先輩と小柄な志穂さん、もし二人がニャンニャンしたら犯罪的な絵面になりそうだ。

「私もユウタ君の隠しダンジョンを冒険してみたいでーす!」

「舞子ちゃんそろそろ黙ろう? ね?」

「しゅん……」

 酔っ払った舞子さんも志穂さんには敵わないらしい。ウケル。

「あー、えーっと、その、な。あるにはあるらしいんだ。けどこれはちょっと、その……」

 ミッチー先輩がボク達の顔を伺いながら言葉を濁した。っていうかマジで夢の世界に行ける方法があるのか!?

「ぶーぶー、勿体ぶらないで教えてよー!」

「そうですよミッチーくん。私も気になりますっ!」

「ここまで来て話さないのは良くないですよー。ね、先輩?」

「ボクに知りたいですー」

「教えてくれミッチー!」

 みんなの言葉を受けたミッチー先輩が顔を赤くした後、大きく深呼吸して話し出した。

「はぁ…………言っておくがこれはその、情報提供者から聞いた話だからな? 俺の妄想でも何でもなく、全部聞いた話って事を信じてくれよ?」

 自分に言い訳をしているようなミッチー先輩が面白い。そして遂に答えを言った。







「異性とその…………繋がったまま寝ると二人で同じ夢の世界に入れるらしい。手を繋ぐとかそういうんじゃなく、分かるだろ? アレだよアレ。隣同士で寝るだけじゃダメらしく、ちゃんと繋がったままじゃないとダメ…………って、俺は何を言っているんだ」







 衝撃的な内容にボクは口を大きく開けて驚いた。

「やだもう、ミッチーくんセクハラは良くないですよ。メッ!」

「ミッチーもそういう話するんだな~」

「えっ? アレってその、アレ!? え、待って、ええ?」

「ねーねーユウタ君、私が入れる方でも夢の世界に行けるのかな~? ちょっと一発実験してみよっか!」

「ぴゃわー、助けて下さい。ボクはノーマルですぅ」

 一瞬ボクが夢の世界に行けるという事を舞子さんにバレているのかと思ったけど、舞子さんはボクのお尻をニャンニャンしたいだけだった。

 でももしこれが本当だとしたら…………ゴクリ。

 ボクが実験する日は来るのだろうか?




※後書き※
もし、もしもですが、万が一にもユウタ君の隠しダンジョンが攻略されてしまうところが見たいという読者の方が居ましたら、『女性だらけの世界に迷い込んだショタが、年上のお姉さん達に色々されてドロドロに溶かされるまで』という作者の別作品をどうぞ。
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