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第293話 ―― 夢子Side ―― 動き出した運命(前編)

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――清淑せいしゅくなる神代かみしろの血には神が宿る。汝、至高の種を求め神の子を孕み……。



 神代の家に生まれてから今日まで、この言葉を何度聞いただろうか。笑ってしまいそうだが、私達の祖先を辿れば神様に辿り着くらしい。そして先祖代々伝わるこの言葉を信じて血を絶やさず繁栄してきたのが我が神代家だ。この胡散臭い言い伝えも中途半端なところで終わっており、神の子を孕んでどうしろと言うのだろうか? この科学が発展した世界において神様は何をもたらしてくれるのかと聞いてみたいくらいである。

 言い伝えを解明しようとした祖母が言うには、我が神代家はずっと女系家族であり、男の子が生まれた記録は無いらしい。そのため神の子というのは男児の事を指しているのではないかと言われていた。

 そんな馬鹿らしい言い伝えを守っている神代家ではあるが、世間からは清く正しい一族として認められている。嘘や詐欺が横行する現代社会において、異常なまでに清廉潔白を重んじて生活する事が出来るのは何故か。それは狂っているくらいに言い伝えを信じて生きて来たからである。

 別に私は言い伝えが悪いとは思わない。清く正しく生きる事は誇らしい事であり、決して悪い事では無いのだから。でもこんな体に調教されてしまった私は一言くらい先祖に小言を言ってもバチは当たらないだろう。

『夢子ちゃん、清淑な女の子はイっても淫らな姿を見せてはダメですよ? そんなはしたない姿じゃ神様は振り向いてくれません』

 この言葉を初めて言われたのはいつだっただろうか。



   ◇



 我が神代家は裕福な家庭である。幼い頃から欲しい物は何でも買って貰えたし、参拝に訪れる人からはお姫様のように可愛がられた。友達からも尊敬されたし、私は世界一の幸せ者なんだと思っていた。

 そんな世間知らずのお姫様が初潮を迎えた頃、母から一人の女性を紹介された。

「初めまして夢子さん。今日から夢子さんの教育担当になるともえです。神様の子を孕めるようにしっかりと励みましょうね」

「はい!」

 幼い頃の私は言い伝えについて知ってはいたが、どこか絵本の中に出て来る物語のようにしか思っていなかった。そして、言い伝えを守って生きる神代家の恐ろしさも理解していなかったのだ。

 私の教育担当になった巴さんは綺麗な女性だった。当時の私よりも十歳くらい年上だろうか、長い三つ編みが特徴的で垂れ目の優しそうなお姉さんにドキドキしたのを覚えている。巴さんは神代家の人間ではなく、古くから神代家を支える信者の一族らしい。

「では今日からエッチのお勉強をしますよ。神代家に生まれたからにはいつでも妊娠可能な状態でなければなりません。それと同時に清淑でなければならないのです。分かりましたか?」

 エッチについては少し理解していた。男性とセックスすれば子供が出来るという簡単なものであるが、学校の同級生とキャッキャとスキンシップをして快楽を得たのは内緒である。もちろん相手は女の子だ。

 子供ながらにエッチに興味津々な私は、巴さんからどんな事を教えて貰えるのかとワクワクしながら嘘を吐いた。

「ん~、良く分かりません!」

「じゃあ先生がお手本を見せてあげますね」

 そう言った巴さんが全裸になり一つ一つ丁寧に女の仕組みを教えてくれた。幼い私とは違う大人の体。初めて見る母親以外の恥部は見惚れてしまうくらいに綺麗だった。

「女性が妊娠をするためにはおマンコを濡らす必要があります。このおマンコに空いた小さな穴、膣と呼ばれる穴の奥に男性のおちんちんを挿入してピュッピュと精液を出して貰うと妊娠が出来ます。分かりましたか?」

「あ、それ知ってます! 学校の先生が教えてくれました。エッチをする前にはいっぱいおマンコをクチュクチュして濡らさないとダメって言ってました」

「ええ、その通りです。この男性の少ない世界において至高の種を持つ殿方が何時現れるか分かりません。千載一遇のチャンスをものにするためにも、神代の女は常に膣を濡らして準備しないとダメなのです」

「ええええ!? おマンコをクチュクチュして生活しろって事ですか? そのぉ、お母様には内緒だけど、一回だけオナニーした事あるんです。頭が真っ白になっちゃうくらい気持ち良くて怖かったです。お股もヌルヌルになっちゃったし……」

 これは嘘だ。本当は毎日のように隠れてオナニーに励んでいた。知らないフリをしたらどんな素敵な事を教えて貰えるのかとワクワクして嘘を吐いたのだ。小さな指先を股の溝に沿ってスリスリすれば甘く蕩けるような快楽が脳を破壊する。あの快楽に勝るものはこの世に存在するのかと子供ながらに思った。

 そんな私の嘘を信じたのか分からないが、巴さんが私の頭を優しく撫でた。

「怖い事なんて何もありません。最初は痺れるような快楽かもしれませんが、徐々に蕩けるような気持ち良さになっていきますよ。まずは気持ち良くなれるように訓練をしましょう」

「はいっ!」

 今日から隠れてオナニーしないで良いんだと思った私は満面の笑みを浮かべた。だけど、巴さんの口から伝えられた次の言葉は理解しがたいものだった。

「いいお返事ですね。では僭越ながら私が夢子さんの到達すべき姿をお見せしましょう。このボタンのスイッチを入れて下さい」

「これですか? 入れましたー」

「ええ、ありがとうございます」

 手渡されたピンク色の四角い物体、長方形のそれには押しボタンスイッチがあった。大人の玩具なんていう物があるなんて知らなかった私は言われた通りにスイッチを押した。押した途端、どこからともなくブブブブブブという鈍い音が聞こえて来た。

 音は聞こえるけど何も起こらない。戸惑う私は首を傾げて巴さんを見つめた。

「あら、不思議そうな顔をしていますね。じゃあ種明かしをしてあげます。こちらに来て下さい」

 ベッドの上に移動した巴さんがM字に股を開いて大事なところを見せてくれた。先ほどはチラっとしか見えなかった秘所が丸見えであり、薄っすら毛の生えたおマンコからはヌルヌルした愛液がコポリと垂れて来た。

 驚く私に気分を良くした巴さんは笑みを深め、種明かしをしてくれた。

「では夢子さん、私のおマンコに指を入れてみて下さい」

「で、でもっ……」

「遠慮は要りません。さあ……」

 初めて見る大人のおマンコ。私のおマンコと違って肉厚でプックリとした大人マンコ。どんな感触なのか気になった私は好奇心に負けて触ってみる事にした。

 荒くなる息に気付かぬまま顔を近づけ大人マンコをくぱぁと広げた。中はピンク色に染まり小さな穴からはトロトロのエッチなお汁が湧き出ている。そしてよく見ると膣穴が小刻みに震えているのだ。

「い、いきますよ」

 思わずゴクリと生唾を飲み込み人差し指をゆっくりと膣穴に挿入する。自分の膣穴には怖くて指を入れた事がなく、初めて入る他人の体の中に興奮を覚えた。まるで生き物に食べられてしまったかのように飲み込まれた私の指先が硬いモノに当たると激しい振動が伝わって来た。驚いた私は思わず指を抜こうとしたが、ギュッと膣壁に押しつぶされ、抜く事が出来なかった。

「分かりますか? 私のおマンコには震える玩具、ローターが仕込んであったのです。先ほど夢子さんに入れて貰ったスイッチでブルブルと震えています。このままイクところをお見せしてもいいのですが、せっかくですからここの突起をクリクリして下さい。それでイクところをお見せします」

 そう言われた途端、私の空いた手が掴まれておマンコに持っていかれた。指先に当たる大きな突起は痛い程に勃起しており、この突起をクチュクチュしろと言っているのだ。

 この突起をクチュクチュしたらどうなるか、それは私が身を持って知っている。毎晩クチュクチュして楽しんでいる私はこの突起が一番快楽を与えてくれる事を知っているのだ。だけど私の幼い突起と違い、この大きな突起はフードから顔を出して真っ赤に充血している。きっと子供マンコのクリちゃんとは比べ物にならない程の快楽を身に受けるであろう巴さんを見てゴクリと喉が鳴った。

「好きなようにイジメて下さい。でも私の顔から目を離しちゃダメですよ」

「わ、分かりました。い、いきますよ?」

 言われた通り巴さんの顔を見つめるとニコリと微笑んだ。そして恐る恐るクリちゃんを指先で押し潰した。小指の先くらいに大きくなったクリちゃんはビンビンに勃起しており、私の指の腹にプニュンと沈んだ。

「だ、大丈夫ですか?」

「ええ、とても気持ちいいです。さあ、遠慮は要りません。好きなだけイジメて下さい。クリちゃんを抓ったり引っ搔いたり、おちんちんに見立ててシコシコしてくれていいのですよ」

「っ!」

 こんなに腫れ上がった突起を触ったのに表情一つ変えない巴さんを見て胸がモヤモヤとした。自分の幼い突起は指が掠っただけで痺れるような快楽を与えてくれるのに……。これが大人の余裕なのかとカチンと来た私は遠慮を忘れてイジメる作業に熱中した。

 ヌルヌルの愛液を指に纏わせクチュクチュと激しく擦り、絞り出すようにシコシコと指で摘まんで押し潰した。私だったら気絶しそうな責めにも顔色一つ変えずにニコニコと微笑む巴さんだったが、クリちゃんを指の腹でグリグリと円を描くように擦った次の瞬間、膣穴に埋まった指が折れるのではないかという締め付けが始まり、プシャーとお漏らししたように潮が噴き出した。

「キャッ!? オシッコ……? えっ、もしかして巴さんイってるんですか……?」

 初めて見る女体の神秘、生暖かい飛沫を顔に受けて私は思った。巴さんは無表情なのにイっている。我慢している訳でもなく、自然体のまま絶頂していたのだ。

「んふっ♡ さすが夢子様で御座います。とても良いお手前でした」

 潮を噴き出す程の快楽を得たというのに顔色一つ変えずニコニコと笑っている巴さんを見て背筋に冷たいものが走った。本当に彼女はイったのか? いや、それは間違いないだろう。でも本当にそんな事は出来るのか? 絶頂したのに痴態を晒さないなんて……。

「これが到達すべき姿でございます。さあ夢子さん、今日からビシバシ鍛えて行きますので私と同じように清淑な女の子になるお勉強をしましょうね。そしてゆくゆくは神様の子を孕むのです」

「到達すべき姿……」

 その時私は初めて理解した。言い伝えを守る神代家の恐ろしさというものを……。
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