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第236話 神風とは
しおりを挟む一人で露天風呂に入って心も体もリフレッシュしたボクは、ミウちゃんと一緒に遅い朝食を食べに行く事になりました。でも残念ながら美奈子さんはお仕事に戻るそうです。ちなみに、お風呂から出て来た二人はご機嫌な感じがしたので仲直り出来たっぽい。金髪と黒髪の湯上り美女が並ぶと凄い破壊力でした。空っぽになった愛棒がピクンと一瞬だけ反応しましたよ。
お馴染みの朝食会場に行くと雪乃ママが優雅にティーカップを傾けていました。ふむ、雪乃ママは疲れた様子がありませんね。しっかり休めたのだろう……。ボクは少し寝不足な感じです。お風呂に入ったら余計に眠くなっちゃいました。
「おはようございますー」
「おはようユウタくん、昨日はありがとね。フローラも喜んでいたわよ」
「えへへ。お役に立てて光栄です」
どうやら接待は大成功だったようですね。日本とアメリカに新たな友好が結ばれたのです。遂にボクもワールドワイドなイケメンにランクアップですよ。ワールドワイドと言えばユウタ・コーラの販売はどうなりますかね? 今度姫ちゃん先輩に聞いてみよう。
「ママったらユウタに無茶ばっかりさせて、あーしにも相談して欲しかったんだけど?」
「うふふ、急にフローラが来る事になったから相談出来なかったのよ。それに美羽はお出掛けしてたじゃないの」
「ママは絶対に知っててフローラおばさん呼んだよね?」
「アーアーきこえな~い。全然聞こえませ~ん」
「めっちゃ白々しい……」
両手で耳を塞いでアーアーする雪乃ママが可愛いです。プリプリと怒るミウちゃんと耳を塞いで顔をフリフリする雪乃ママ、可愛い親子喧嘩にボクはニッコリと笑ってしまうのでした。親子っていうより姉妹にしか見えないけどね!
そんなこんなでボクとミウちゃんは仲良く朝ご飯です。今日は珍しく和食ですよー!
「いただきますー!」
やっぱり日本人は和食ですよね。今朝のメニューは鯖の塩焼きにあさりのお味噌汁、トロロ芋に牡蠣のバター炒め、そしてウナギの蒲焼がありますよ。もうそろそろお昼だけど、朝からこんな豪勢で良いのかと思ってしまいます。
まずはあさりのお味噌汁をズズズっと飲むと胃に優しい味が染み渡ります。お酒を飲んだ次の日にはあさりのお味噌汁ですよね。トロロ芋に醤油を少し入れてグルグルとかき混ぜる。あれ、トロロを見ていたらアリスさんの言葉を思い出した。これをオナホに入れて愛棒をイジメるって言っていたような……ガクガクブルブル。
怖い事は忘れてトロロご飯を頂きましょう。ふむ、ネバネバだけど元気が出る味がしますね!
「ユウタくんおいしい? たくさん食べてね~」
「はいっ! これ凄くおいひぃです~」
お次は牡蠣のバター炒めです。お上品に食べてみると牡蠣の身がプリプリで、噛むと中からジュワ~っとエキスが口いっぱいに広がります。むむっ、ウナギもふっくらと焼き上がってウマウマですよ! 琴音さんのお料理と同じくらい美味しいかもしれないぞ。
昨晩はかなり激しい運動をしたからなのか、ボクの体が栄養を求めているのが分かった。でもこれって精の付く食べ物ばっかりなような……?
隣に座るミウちゃんのご飯を見たら、厚切りトーストにスクランブルエッグ、ハムとサラダにヨーグルトです。しかも量がめっちゃ少ないのです。まあお昼に近い時間だからそれくらいで良いのか。ボクだけ特別メニューなようですね。美味しいから全然オッケーですよ。
「ユウタくんにはこれをあげます」
お腹いっぱいになるまでモキュモキュと食べた後、雪乃ママから錠剤を渡されました。ピンク色の丸い小さな錠剤です。最近やたらとピンク色に縁があるような……?
「むむっ、これは何ですか?」
「お肌の調子とかを良くするサプリメントよ。昨日は夜更かししちゃったでしょ? これを飲むとお肌が潤って体の中から元気になるのよ~」
「ほほう?」
セレブな雪乃ママが愛用するサプリですか。きっとお高いやつに違いないですね。お水でゴックンしました。う~む、何やらお腹の中がポカポカしているような……?
食後に紅茶を頂いてまったりとしていると、雪乃ママからお話がありました。
「今日からちょっとお出掛けするから、ユウタくんは美羽とゆっくりすると良いわ。ソフィアさんが夜には編集が完了するって言っていたし、二人で見たらどうかしら?」
「もう完成ですか!? ミウちゃん一緒に見ましょう」
「うん! あーしもどんな内容なのか楽しみだよー」
もしかしたら雪乃ママが気を利かせてくれたのかもしれませんね。あれ、そう言えば千代ちゃんはどこに居るのかな? ボクの愛するエチエチ美少女JKが気になりますね……。
◇
ご飯を食べ終わってまったりしたい気持ちもありますが今はミウちゃんとの絆を深めましょう。エロゲだとヒロインとの好感度を上げてイチャイチャが始まりますが、ボクはチートキャラなので既にイチャイチャからスタートだったのだ。恋愛シミュレーションゲームのような甘酸っぱい恋愛してみたかったけど、ヘタレなボクじゃ気になる女の子にアタック出来ずにストーリーが始まらないような気がする。
という事で、ミウちゃんのお部屋にお邪魔しますー!
「おおー! 前に来た時よりも本が増えましたね~」
デスクの上にはビジネス書がいっぱいあった。『サルでもわかる経営学』とか『英会話の極意』なんていう難しそうな本が山積みなのだ。あれ、下の方に薄い本があるぞ。『大人しい男の子をイジメるテクニック読本』『ショタが甘くねだるまで③』ですか!? ボクは見なかった事にしました。でもディービ先生の新刊と思われるやつはちょっと気になります!!
「あーしもこれからはママの手伝いをするからね。ちょっと勉強してるんだー」
「ミウちゃん凄いですね。ボクに何かお手伝い出来る事があったら言って下さいね!」
「ありがと! その時が来たら遠慮なくお願いするねー」
嬉しそうにピースサインでニコっと笑うミウちゃんが可愛いです。もっとミウちゃんとイチャイチャ出来る素敵なイベントは無いかな~と部屋を見渡したところ、部屋の一角に撮影ブースっぽいところがありました。ライトに照らされて白い布が垂れ下がっています。あと立派なカメラがありますよ? レンズがゴツイやつ!!
それを見た瞬間ボクの脳内に住み着くユウタハムスターが勢い良くヒマワリの種を食べ出した。こんなに可愛いお嫁さんがいるのだから撮影するしかないっしょ!!
「えへへ、あのですねミウちゃん。ちょっとお願いがあるんですけど……」
ボクの下心満載の提案を聞いたミウちゃんが嬉しそうに笑った。
――パシャパシャ♪ パシャパシャ♪
「いいよいいよー! ミウちゃん可愛いっ、最高ですぅー!!」
ボクはカメラのシャッターを切りまくった。クローゼットにしまってあった衣装から選んだのは制服をベースにしたフリフリが際立つ可愛い衣装です。実際の学校の制服とは違ったデザインが可愛らしくて、アイドルみたいなやつです。他にもアニメで出て来そうなエチエチなやつもありました。でもアイドルのように綺麗なミウちゃんにはこの制服が似合うと思ったのです。
アイドル衣装を纏ったミウちゃんの破壊力は抜群だった。金髪のツインテールにはキラキラと光るアクセサリーが散りばめられ、動く度に光を反射して輝いて見える。実際にこんなアイドルが居たら売れっ子間違い無しですよ。そんなアイドルとホテルの密室で1対1の個人撮影会、興奮するー!
「この衣装いいでしょ~。少し前に流行ったアイドルアニメのコスプレなんだー。百合ライブっていうの知ってる?」
「えっと……アニメ見てなかったので知らないですけど、本物のアイドルみたいで可愛いですー!!」
どうやらアニメのコスプレらしいです。詳しく聞いてみたところ学校に通う主人公がスクールアイドルを目指す王道ストーリーで、元アイドルで複雑な過去を持つツンデレな先輩を説得するところから始まるそうです。その主人公のライブ衣装らしい。百合ライブ……きっとアイドルを目指す過程で恋に落ちてイチャイチャするんでしょ? 百合ってあるもんね!
「あはは、ありがと! じゃあユウタのために歌ってあげるね~」
そう言ったミウちゃんがスマホから音楽を流してマイクを持って何かのお歌を歌ってくれています。ふむふむ、軽快なテンポでノリノリになる良い曲ですね。振り付けも完全にコピーに出来ているらしくキャピキャピと動き回っている。それにしてもミウちゃんは歌も上手ですねぇ。
ボクだけのソロコンサートが始まりました。スマホから流れる軽快な音楽に合わせてダンスを踊るミウちゃん、そんなアイドルをボクは色々なアングルからカメラで撮りまくった。回転する時にフワッと揺れるミニスカートの中身を撮るためにボクは床に這いつくばってローアングラーにクラスチェンジです! むむっ!? 水色のパンツが見えた気がした!!
アイドルに興味が無かったボクだけど、アイドル衣装のミウちゃんを撮影するのは凄く楽しいです。アイドルの追っかけをする人の気持ちが分かったかもしれない。
「はい、終わり~。どうだった?」
薄っすらと汗を浮かべたミウちゃんは輝いて見えた。ミウちゃんならスクールアイドルにだってなれるような気がする。ふむ、ボクが女装してユニット組もうかな?
「最高に可愛いかったですー! お歌も上手だったし、本物のアイドルみたいでしたー!」
「あーしはユウタだけのアイドルだよっ! っていうかユウタ、写真撮るのはいいけどあからさまにパンチラ狙ってたでしょ? めっちゃウケル!」
「そ、そそそそんな事ないですにょ? たまたまですよぉ~」
興奮のあまりローアングラーになっちゃったけどミウちゃんにはバレバレでした。ミウちゃんが可愛いのが悪いよねっ!
「別にあーしのパンツなんていくらでも見せてあげるって。ほら、こんな感じー?」
そう言ったミウちゃんがペロリとスカートをたくし上げた。もうパンツが丸見えですよ。白くて細いスラっとした足と水色のパンツがとても美しいです。でも残念ながらミウちゃんは大きな勘違いをしています。
「とてもセクシーですけど、ミウちゃんは男心が分かっていませんねー」
「えっ、どゆこと?」
ポカーンとしているミウちゃんに男心をくすぐるポイントを教えてあげましょう!
「まず男性はパンツ丸見えよりも一瞬のパンチラに興奮するのですー。今ミウちゃんが踊ってくれた時にスカートがフワっと揺れた際にチラッと見える水色が大興奮なのです! 見えそうで見えない、そんな興奮を男の子は追い求めているのです!!」
「ふ~ん?」
くっ、まるで理解出来ないという顔をされてしまいました。きっと男性諸君は理解してくれると思うけど、このミウちゃんを納得させるのは難しいのか……? そういえばミウちゃんは自分の『見て見てTube』のチャンネルで普通に全裸になっていましたね。チラ見せという概念が存在しないのかもしれない。
こうなったら全力で伝えるしかない、このチラリズムの極意を!!
「例えばですね、可愛いJKが階段を登っています。短いスカートで無警戒にお尻をフリフリしながら登っているのです。そんなJKを見た男性は自然とスカートの裾に視線が行き、一瞬のパンチラが起こる可能性に賭けてガン見するんですよー! JKがニーソックスを装備していたらベリーグッドです。白い太ももとニーソ、そしてミニスカが織りなす魅惑の絶対領域が男性を誘惑するのですー!!」
「ん~、そうなん?」
「あ、あとはですね、JKが道端を歩いていると神の悪戯がたまに起こるのです。通称神風と呼ばれるそれは、可愛いJKを狙い撃ちにするかの如く、スカートを狙ってフワ~っと優しい風が吹くのです。もうお分かりですね? そう、パンチラが起こるのですー!! 委員長タイプの地味なJKのスカートがチラッと捲れて黒いセクシーパンツが見えた時には大興奮ですよ!! えっ、あの委員長があんな大胆な下着を!? ってやつですよー!!!」
ボクは必死に伝えた。JKのパンチラが如何に男心をくすぐるかと言う事を!!
「あっ、うん。……っていうかユウタ、JK好き過ぎっしょ! めっちゃウケル~」
「そ、そんな事ないですぅ~! ボクはJKが好きなんじゃ無くて制服が好きなんですぅ~!! だからミウちゃんも大好きなんですぅ~」
「うはっ、めっちゃ早口じゃん! もう、しょうがないなぁ。ほら、これでいいっしょ?」
「……」
ミウちゃんが投げやりな感じでスカートをチラチラさせている。違う、違うんだよミウちゃん!! 同じチラチラでも恥じらいとかハプニングがないとグッと来ないのです!! あっ、でもギャルが揶揄うように見せつけて来るのは別腹ですからね? そう考えると今のミウちゃんはギャルっぽい感じでグッと来るぞ。
でもこれじゃダメだと思った。全人類男子代表と言っても過言では無いボクは、男心をくすぐるポイントと言うのを伝える義務があると思うのです。だから……。
「分かりました。今から配信やりましょう!! ボクが男心のくすぐるポイントを解説してあげますよーっ!!」
「えっ、マジで? めっちゃ面白そうー!! やろやろ~」
そうしてボクは、ミウちゃんと一緒に『見て見てTube』の生放送を行う事にしたのでした。
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