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第173話 ――スミレSide―― 幸運MAXな頼りになる後輩ちゃん
しおりを挟む「ちょっと岩崎さん、貴方さっきからボーっとして全然手が動いていかないじゃない? ほんと困るわ~」
「す、すみません部長……」
「例の冬の新作ビールのCMの件どうなってるのかしら? ユウタにCM出て貰うって言ったのは貴方でしょう? ちゃんと責任持ってやってくれないと困るのよ~」
「あ、あれは飲み会の場でユウタの話題が盛り上がっただけで、部長が勝手に……」
「な~に~? 私が悪いって言うの? 貴方達が困ってそうだったからせっかく提案してあげたのに、使えないわね~。ふん、もう良いわ。さっさとユウタと契約して来なさい。この企画が頓挫したら……貴方ヤバイわよ?」
「くっ……」
あームカつくムカつくムカつくムカつくムカつく!!!!
何だあのクソババアは!!
何がせっかく提案してあげたよ!!
こっちが楽しく飲んでる場でサンガリー広報はユウタとコラボ出来て良いよねーって盛り上がってただけなのに、ユウタの事も知らないで勝手に企画会議に出したのお前だろ!!
それを勝手に私の立案にしやがって……!!!
「先輩、大丈夫っすか?」
内心でイライラMAXな私を心配してくれたのは優しい後輩である千代ちゃん。小っちゃくて子犬系な笑顔が癒される良い子だ。下手したら小学生に見えるロリロリボディなくせに爆乳と言っても過言ではない大きなお胸が恐ろしい子……。
「……もうダメかもー」
「そりゃユウタ様はサンガリーと契約してるんだからうちと契約してくれる訳ないっすよね。何で企画通ったんすかね?」
「どうやら上層部にユウタ様のファンが居るらしいわ。お近づきになれるかもって欲が出たっぽい。あとババアが強引にねじ込んだって噂」
「あちゃー」
上層部は腐ってるしパワハラばっかりだけど、千代ちゃんに矛先が向かないように私が盾になってきた。こんな可愛い後輩があのババアにイジメられるのなんて絶対にダメだ。千代ちゃんもこんな感じで慰めてくれるから耐えてこれたけど、もうダメかもしれない……。
「はぁ……本当に転職しようかな……」
数日前にユウタ様のレイプをしてしまってからというもの、私の運命が大きく変わってしまった。ユウタ様の関係者という恵美様の会社で働けるかもしれないのだ。これはチャンスなのかも?
「先輩が居なくなったらウチも転職するっす! どこまでも着いて行くっすよ!!」
「千代ちゃん……。そうだ、ランチ一緒にどう? ちょっと話しておきたい事があるんだー」
「わかりました。それならマッキュが食べたいっす!」
「あはは、千代ちゃんは本当にマッキュが好きね~」
会社から少し離れた場所にあるハンバーガーチェーン店に二人でランチに来た。お昼時なので混んでるけど、二人ならカウンター席でも大丈夫よね。小さな後輩ちゃんと並んでハンバーガーを頬張る。
「あれ、先輩はバーガーだけで良いんすか?」
「うん、ちょっと食欲無くてね。千代ちゃんはビッグマッキュセットか~」
「そうっす! でも来週から始まる月見マッキュが気になるっす。今年はタマゴと一緒にすき焼きの味わいが楽しめる、コク旨すき焼きマッキュが新発売っすよ」
「へぇ~。色々とあるのねー」
千代ちゃんは小さなボディのどこに入るのかと思うくらい良く食べる子なのでした。きっと栄養が全部おっぱいに行ってるんだと思う。このロリロリフェイスに巨乳なのは凄い……。
チーズマッキュをモキュモキュと食べながらこれからの事を考える。そう、明日は例の面接があるのだ。受かった訳でもないけど、千代ちゃんにだけは伝えようと思った。
この子は素直で良い子だし、無闇矢鱈に吹聴するような子じゃない。
「あのね千代ちゃん、実は私……転職しようかなって考えてるの」
「おおっ!? 遂にですか! ウチも着いて行くっす!!」
「いや、あのね。まだ受かった訳じゃないし、受かったとしても千代ちゃんまで採用して貰えるか分からないし……」
「絶対大丈夫っす! ウチも一緒に面接に連れてってくださいっす!」
「いやいやいやいや、そりゃあ千代ちゃんが一緒なら心強いけど先方にも伝えてないし」
「分かりました。ウチも面接の申し込みするので連絡先を教えて下さいっす」
「はぁ……」
千代ちゃんは一言で言えば頑固なのよね。自分の中で決めたらそれに向かって全力なところが良い所であり悪い所でもある。こんな私を慕ってくれるのは嬉しいけど、どうしよう……。
「こういうのは即断即決っすよ。ウチが先方とやり取りしますので任せて欲しいっす!」
ロリな千代ちゃんはどうして自信満々なのかわからない。こうなったらもう無理だ。確か綾香さんの連絡先は貰っていたはず……。
「え、ええっと。じゃあ連絡してあげるけど、断られても知らないからね? 私だって受かった訳じゃ無いんだから。……ちょっと待ってね、連絡するから」
「はい、オッケーっす!!」
はぁ……大丈夫かな。まあダメなら断ってくれるよね。スマホから綾香さんに電話を掛けた。
『もしもし?』
「こんにちは、岩崎スミレです。今お時間大丈夫でしょうか?」
『はい、大丈夫ですよ』
「実は……」
私は綾香さんにありのままを伝えました。慕ってくれている後輩の女の子が一緒に転職したい、是非応募させて欲しいと言っている事を。
一応先輩として千代ちゃんがしっかりとした人物で人格も問題なし。私としても尊敬できる後輩って事をアピールしました。
『分かりました、では明日の面接に連れて来て下さい。あ、履歴書は忘れずにお願いしますね』
「あ、ありがとうございます! でも恵美様に確認しないで大丈夫でしょうか?」
『恵美様は放って置いて大丈夫ですよ。明日の件でウキウキしてますのでどうせ伝えても忘れちゃいます』
「は、はぁ……」
電話はあっけなく終わってしまった。あの恵美様と秘書の綾香さんは只者じゃない雰囲気を感じていたけど、もしかしたら大物なのかもしれない。
恵美様の会社を調べて見たけど、かなり大きな会社だった。大きな病院を2つも経営しているらしい。経営も安定してるし会社的には良さそうだ。
「先輩先輩、どうでしたか!?」
「あ、うん。明日一緒に面接してくれるって。履歴書を忘れずにね?」
「やったー! さすが先輩っす!! 絶対に合格して地獄から脱出するっすよ♪」
「うん! でも本当に良いの? もし受かっても今の会社より規模は小さいし将来はどうなるか分からないわよ?」
「ん~、大丈夫っす。何かキュピーンと感じるものがあったっすよ。この感じを信じて悪い事なんて一回も無かったっすからね!」
「そ、そう……」
上司には恵まれなかったけど、良い後輩にはめぐり逢えたかもしれない。一人で面接っていうのも怖かったけど、千代ちゃんと一緒なら何とかなるような気がしてきた。まあ千代ちゃんだけ合格ってオチがあるかもしれないけど、こんな会社にこの子が居るよりは良いわよね。
◇
そして翌日、遂に面接の日がやって来た。でも大丈夫、隣には笑顔溢れる頼もしい後輩ちゃんがいるのだから。一人じゃないっていうだけで心が軽くなる。
「えへへ、ちょっと気合入れてお化粧して来たっす!」
「あ、うん……。ちょっとだけ濃いかなぁ? でもまあ大丈夫か。履歴書は持って来た?」
「バッチリっす! ……でも先輩、このマンションで面接っすか?」
「そうらしい……」
二人で立派な高層マンションを見上げる。てっきり会社のオフィスで面接かと思っていたからまさかこんなところだったなんて……。
このまま見上げていても埒が明かないわね。受付のお姉さんに連絡して貰いエレベーターに乗り込み指定された部屋に着いた。
「行くわよ千代ちゃん。心の準備は大丈夫?」
「はい、オッケーっす! 今なら憧れのユウタ様に会っても平常心で居られる自信があるっすよ」
「あ、言うの忘れてた……」
千代ちゃんに本物のユウタ様が居る事を伝えるのを忘れていた事に驚いてドアチャイムを押してしまった。ま、まあ本人が大丈夫って言ってたし、良いよね♪
そしてガチャリと音が鳴り玄関ドアが開いた。そこには……。
「あ、スミレさんいらっしゃいませ~。あれ、一人じゃなかったんですね? まあこんなところに居るのもアレなのでどうぞどうぞ~」
「お、お邪魔します~」
「はわわわわわわわ。先輩、本物っす。本物のユウタ様が降臨されましたですよ? あれ、これは夢っすか? もしかしてウチは死んじゃったんすか? あわわわわわわわわ」
ねぇ千代ちゃん、さっきと言ってる事が全然違うけど大丈夫?
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