女性だらけの世界に迷い込んだショタが、年上のお姉さん達に色々されてドロドロに溶かされるまで

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第143話 レビューは難しいです

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「夏子さんはどうしたんですか?」

 配信が終わってリビングに戻って来たら、桜さんとアリスさんが仲良くソファーでお茶していました。

「先生は今日、メグちゃんのところに行っています」

「恵美さんのところですか。珍しいですね」

 そう言えば恵美さんとは『ホストクラブユウタ』で別れたきりです。朝になっても起きて来なかったので放置して帰ってしまったのでした。だって恵美はNG行為のお尻クチュクチュをしたからね!

「どうやら風邪を引いたらしく、お仕事終わってから看病に向かいました」

「えっ、大丈夫なんですか?」

「安心して下さい、全裸でエアコン付けたまま寝てたのが原因だそうです。微熱だって言っていましたが、今日は泊まって来るそうです」

「……大事にならなくて良かったです」

 やっぱり起こしてから帰るのが正解だったのか。いや、あの時はお尻クチュクチュがあったし……。今度恵美さんに会ったらごめんなさいしよう。

「だからユウタさん、今晩はアリスさんと二人でマッサージしてあげますね」

「楽しみですわ~!」

「お、お手柔らかにお願いします……」

 二人がワクワクした顔で見つめて来ます。ああ、どんなマッサージをされてしまうのだろうか……。





 3人で仲良く夕飯の用意をします。どうやらサンガリー食品から立派なウナギが送られて来たのでした。パッケージには国産天然ウナギと書かれています。つまりウナギを食べて精を付け、沢山ピュッピュしろよって事ですね。

 真空パックされたウナギの蒲焼をお湯で温めた後、フライパンで皮をカリっと焼いて行きます。もう匂いからして美味しそうですよ。

「あ、アリスさん、ボクもお手伝いしますよー! 焼くのなら出来そうな気がしますー」

「ダメですわユウコちゃん、お料理は譲れませんの。でもそうですわね、ユウコちゃんにはご飯をよそって貰おうかしら」

「くっ、分かりましたー!」

 どうやらボクの料理レベルではウナギの調理は無理なようです。なのでほとんどをアリスさんがやりました。お料理教室に通っているのに出番が無いだと!?

 しょんぼりしちゃいましたけど、気を取り直して立派な重箱に炊き立てのご飯をよそい、ウナギのタレを掛けます。そしてアリスさんが丁寧に焼き上げたメインのウナギちゃんを豪勢に2枚も乗っけちゃいますよ!!

 よし、これからレビューの撮影を開始します。この結果次第では、サンガリー食品から新しいお仕事が貰えるかもしれませんからね。





「す、凄いです。ふっくらと焼き上がった肉厚なウナギに香ばしい山椒の香り、甘辛いタレがテカテカと輝いています。まるで……、えっと、あの、その……、そう、重箱の宝石箱やー!!」

「……」

「……」

 カメラに向かって渾身のレビューとしようとしましたが、上手く出来ませんでした。うん、今のはダメだなって自分でも分かります。

「……無理やり良い感じにレビューしようとするのはダメだと思います」

「ぷふっ、重箱の宝石箱って何ですの? ユウタちゃんってば可笑しいですわ」

「うう、こんなはずじゃ無かったんですよー。あのあの、リテイクおっけーですか?」

「ダメです」

「この感じがユウタちゃんっぽくて好きですわ」

「はうぅ」

 ボクの正面にはカメラを構える桜さんが居ます。そして桜さんの隣にアリスさんが座っているのでした。ボクは一人で重箱の蓋をパカッと開き、渾身のレビューをスタートさせたところで失敗してしまったのです。

 こうなったらこのまま続けるしかない!!

「う、うわ~、凄い良い匂いで美味しそうですね。このタレの匂いが食欲をそそります。そして見て下さいこのウナギを! さすがサンガリー食品さんですね。美味しそうです」

「ユウタさん、さっきから美味しそうばっかりですよ?」

「ありきたりなレビューですわ」

「こ、これから凄いレビューをしますから期待しててくださいっ!」

 どうやら今日のレビュー動画は二人のツッコミも入るようです。つまり審査員ですね、ビシッと決めますよ!

「ではでは、このウナギちゃんにも『マジカルバイアグーラ』を振り掛けますよー! はい、ゴリゴリ~♪」

 ミルをゴリゴリと動かし、ウナギちゃんの上に振り掛けます。山椒と合わさっているので、あんまり味に影響は無いかもしれません。

 よし、温かいうちに頂きますよ。お箸で一口掬い、お上品にお口へ運びます。

 肉厚な食感とパリッとした皮、そしてタレのしみ込んだご飯が口の中で混ざり合い、甘辛さと山椒の良い香りが鼻から抜けます。美味い、美味すぎる!!

 体の底から湧き上がる情熱、この気持ちをレビューしよう!!!

 正面のカメラに視線を合わせ、視聴者が唸るメッセージを伝えます。届け、ボクの思い!!

「んほー! おいひぃの~!!!」

「ふふっ、笑わせないで下さい」

「何ですのそれは。ユウタちゃんったら可笑しいですわ」

 な、なんてことだ。凄いレビューをしようと思ったのに、全然違う言葉が出てしまった。アリスさんの調理したご飯は、まるで琴音さんのお料理に匹敵する美味しさです。

 これはやばいぞ、このままじゃお笑い芸人っぽい感じのレビューになっちゃいます。そう、ボクのクールでイケメンなイメージが崩れてしまうのです!

「ち、違うんです! このお料理が美味しすぎて変な声が出ちゃったんです。そうだ、二人も食べて見て下さい! きっと同じ言葉が出て来ますよ」

「ふふ、じゃあバニーちゃんお願いします」

「ええ、分かりましたわ」

 ボクとアリスさんの席を入れ替え、アリスさんが桜さんの正面に座ります。そしてバニーガール姿のアリスさんが重箱をパカッと開けてレビューを始めました。ふふ、どんなレビューになるのか楽しみですねぇ。



「大きくて肉厚な身は、さすが愛知県産のウナギですわね。早速頂いてみましょう」

 なるほど、ウナギの産地を紹介するんですね。愛知県産って聞くだけで美味しそうな気がします。

 アリスさんがお箸でお上品に切り分け、背筋をピーンと伸ばしてお口にウナギを運びます。いつものアヘ顔なアリスさんと違い、まるで良家のお嬢様のような振る舞いです。でもおっぱいが半分露出したバニーさんですけどね!

「臭みが一切無いウナギの身とパリッと香ばしく焼き上がった皮、さすがサンガリー食品さんが厳選したウナギですわね。そしてこの山椒の香りは紀州和歌山のものでしょう。驚くほどの芳醇な香りと突き抜けるような爽やかな香りは……」

 あ、あれぇ?

 ボクと同じものを食べてるはずなのに、『んほー!』とかそう言う感想が出て来ません。しかもスポンサーのサンガリー食品を褒めるレビューです。ボクの『美味しいです!!』って感想と全然違いますよ。

「……このウナギやタレ、山椒の香りを邪魔せずに、そっと寄り添う『マジカルバイアグーラ』はどのお料理にも合いそうです。さすがサンガリー食品ですわ」

「さすがバニーちゃんですね。ユウタさんどうでしたか?」

「ぐぬぬ……負けましたー」

 どうやらアリスさんはヒィヒィ言わせてあげないとダメなようですね。べ、別にレビューで勝てないから愛棒で復讐しようとか、そんなんじゃ無いですからねっ!

 それから3人で仲良くお夕飯を頂きました。やっぱりアリスさんのお料理は上手ですね。ちなみに、桜さんも『んほー!』っていう感想はありませんでした。……解せぬ。
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