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第18章 新章(仮)
第655話 君の名は からのぉ 君に決めた
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旅の道連れが1匹増えたケビン一行は、今度こそラミアを見つけ出すために森の探索を続ける。
そのような中で、ティナが気になっているのはラミアの棲息地よりもスライムのステータスだ。ぶっちゃけ、ティナの中ではケビンの始めたモン娘探険隊よりも、目の前にいる不思議生物Xの方が重要度が高かったりする。
それについては、ニーナも同様な考えを持っている。スライムが仮に暴れでもしたら、まず後衛職であるニーナでは抑えることができない上に、1番の足手まといとなってしまうからだ。
そのような注目の的であるスライムは、今現在ケビンの頭の上で食事を続けている。これがポロポロと食べカスを落とすような行為であれば、ケビンとて頭から下りろと言えるのだが、スライムの食事は体の中に取り込んでから吸収する形である。元より食べカスなんて落ちようがない。
ゆえに、ケビンもその行為自体は許容している部分があるのだが、ぶっちゃけてしまえば、あまり機嫌を損ねたくないというのが根底にあったことも否めない。
「ケビン君、そのスライムってどのくらい強いの? ステータスを見たなら教えてよ」
「どのくらいって言ったら……まぁ、間違いなく全滅レベル?」
ケビンの放った何気ない一言によって、一同は驚愕する。
「とりあえず、全滅する前にティナたちは逃がすけど」
「ケビン君一人だけだったら勝てるってこと?」
「平行線かなー……魔法は実体験で吸収されることがわかったし、こっちの攻撃は斬撃しかききそうにない。かと言って、スライムの攻撃はタックルが基本だから、避けることに集中したら当たる確率が減ると思う。仮に当たったとしても、攻撃に魔法を使わないから回復に全部回せるし――」
ケビンが千日手になりそうなことを説明していく中で、スライムのステータスを嫁たちに公開するため空中に魔法文字で記すと、その驚くべき内容によって嫁たちは驚愕する。
名無し
性別不明 年齢不明 種族:カオススライム
身長:30cm 体重:5kg
職業:ケビンの頭上で無職
状態:リラックス
備考:ケビンから同行許可が下りたことにより、憚られることなく肉を満喫している。
Lv.100
HP:4016
MP:4016
筋力:4016
耐久:4016
魔力:4016
精神:4016
敏捷:4016
スキル
【分裂】【合体】【タックル】【言語理解】
【吸魔】【打撃無効】【身体変化】【体積変化】
【熱変動耐性 Lv.10】【状態異常耐性 Lv.10】
【気配探知 Lv.10】【魔力探知 Lv.EX】
【身体強化 Lv.10】
称号
雑食
共食い
根無し草
マナイーター
暴食の魔皇
魔物の天敵
魔族の天敵
天災の魔王
古の魔王
最強の一角
「これはさすがに……」
「敗北必至」
「伊達に恐れられている魔王じゃないってことだねー」
「プルプルして可愛らしいのに」
「っていうか、職業がケビン君の頭上になってる!?」
「しかも無職!」
「さすらいの魔王だから無職なのかな?」
「領地経営とかしないからかしら?」
「色々と気にはなっているだろうが、とりあえず中身を見ていくぞ」
【吸魔】
魔素に関連するものを吸収することができる。
雑食
何でも食べてしまう者
共食い
同種族を食した者
根無し草
決まった寝床を持たず、フラフラとしている者
マナイーター
食べるものがなくて困っていた時に魔素の存在を知り、何処にでも存在していることから手頃な食べ物として食べまくった者。魔素に関連する能力が限界突破する。
暴食の魔皇
はるか昔、魔皇がまだ当たり前に存在していた時に、空腹のあまり魔皇とは知らずに取り込んでしまって食べてしまった。その時に魔王から魔皇へと至る。本人に悪気はなくただお腹が空いていただけで、無防備に寝ていた魔皇が悪いと本人は思っている。貪欲に食べ続けるほどステータスに補正がかかり、何かを食べた時には回復効果を得る。次第に上昇する補正値は右肩下がりとなるが、上限はない。
魔物の天敵(暴食ver.)
本人に悪気はないが、腹の求めるまま魔物を食していった者。対魔物戦においてステータスに補正がかかる。
魔族の天敵(暴食ver.)
本人に悪気はないが、腹の求めるまま魔族を食していった者。対魔族戦においてステータスに補正がかかる。
天災の魔王
あまりにも魔族を食べすぎていたせいか、いつしか天災扱いされ恐れられるようになってしまった。本人にその自覚はなく、ただお腹が空いていただけ。姿を見せただけで相手は恐慌状態を引き起こす。恐慌状態の程度は畏怖している者たち限定で人それぞれだが、天災の魔王を知る者で畏怖していないのは古参の魔王たちくらいである。
古の魔王
はるか昔から存在している魔王。
最強の一角
存在している魔王の中でも、最強との呼び声が高い者たちの中の一柱。
「改めて見ても凄まじいな」
「よく懐いたよね……」
「魔皇との初邂逅」
「食べることが何よりも好きって感じだよねー」
「食費がかかりそうだわ」
そのような感想がこぼれている中で、ケビンのおでこをペチペチと叩くスライムが1匹。
「何だ?」
ケビンが視線を上に向けるも、スライムがいるのはケビンの頭上。すなわち、ケビンが見ることは叶わず、スライムが何を主張しているのかがわからない。
そこで打開策を考えついたケビンは、自分が見られないのなら、見ることができる人たちに答えさせればいいという結論に至ったのだった。
「いきなりですが、第1回、秘密の主張SHOW! 先程から私のおでこをペチペチと叩くスライム。いったい何を主張したいのか。えっ? 大っぴらに主張している時点で、秘密でもなんでもない? そんなの関係ねぇ! それでは一斉に答えてもらいます。せぇーの!」
勝手に盛り上がり始めたケビンによって始まる、謎のクイズ大会。いきなり振られてしまう嫁たちの対応力は、見事としか言いようがない。
ゆえに、見たまんまの解答をした者がいたとしても、それはそれで致し方がないことだと言える。
「プルプル!」
「プぉはん!」
「ご飯!」
「おかわりかしら」
「おおっと、若干1名が隣の解答者に釣られて答えてしまい、そこから苦し紛れの軌道修正を行ったようですが、4名の解答が出揃いました。果たしてこの中に正解者はいるのかどうか。それでは、正解をスライムに答えてもらいましょう! スライムは、自分の主張と同じだと思った人の肩をポンポンと叩いてくれ」
勝手に自身の主張をネタにされクイズ大会に巻き込まれたスライムだが、目的のものが手に入るのなら過程のことなど歯牙にもかけない。
そして、そのスライムから手?のようなものが伸びていくと、クリスとサラの肩をポンポンと叩く。
「やったー、当たったー!」
「ふふふっ、当てちゃったわ」
喜ぶ2人とは別で、逆に落ち込む人が2人。ティナは咄嗟に口にしてしまった言葉を悔やみ、ニーナはティナに引きずられる形で口にしたものの、強引に言い直したことによりセーフなのではと抗議していた。
だが、相手は常識など皆無のスライム。ニーナによる必死の訴えも、どこ吹く風で気にも留めない。スライムが気にしているのは、過去も現在も未来もケビンから貰える肉なのだ。
よって、一仕事を終えたスライムは「はよ、出せ」と言わんばかりに、ケビンのおでこをペチペチと叩き始める。
すると、スライムによって催促されたケビンは、スライムの要望通りに死蔵肉を取り出したはいいものの、食べ終わる度にせがまれてはたまったものじゃないと気づいてしまった。
ゆえに、ケビンは考え抜いた。如何にして自分が楽をし、かつ、スライムの機嫌を損なわせないで済むかを。
「……よし、自己管理! これに勝る管理方法はない!」
その結論に行きついたケビンは【言語理解】だけに飽き足らず、今度は【アイテムボックス】をスライムに付与した。そして、スライムに【アイテムボックス】の使い方をレクチャーすると、いよいよ持って死蔵肉の無料配布である。
「よしよし、ちゃーんと収納するんだぞー」
こうして目論見が見事に成功したケビンは、ホクホク顔で死蔵肉をどんどんと出していく。その内容は、主に使い道があまりないとされているゴブリン肉がメインだ。
何故ならば、価値の低い肉を先に放出していき、自分たちが食材として使うような肉は、最後の最後まで取っておくつもりだからである。
そうとは知らず、嬉しそうにプルプルとしているスライムには同情を禁じ得ない。だが、知らぬが仏ということもあるため、これはこれでいいのだろう。
その後、無事にゴブリン肉の在庫処分に成功したケビンは、次にいらない肉を選別するため【無限収納】の中を検分していた。
だが、そのような忙しい(本人の中で)時であろうとも、空気を読まない魔物が現れる。魔物の本能としては空気を読んでいるのだろうが、相手がケビンではその本能もただの邪魔なものでしかない。
しかしながらケビンは、今現在とても頼りになるパートナーを得ている。死蔵肉の選別作業を邪魔されたとしても、機嫌が悪くなることがないのだ。
「スライム」
たった一言そう告げただけで、ケビンの頭上からダイビングタックルを仕掛けるスライム。そのお得意のタックルで被害に遭ったのは、ケビンがもういらない素材に分類したダークゴブリンだ。
投網のような広がりを見せるスライム。人族を襲いに来たはずなのに、スライムが出てきて驚愕するダークゴブリン。特に気にもせず作業を続けているケビン。
三者三様の様相を見せる現場で即退場になったのは、ダークゴブリンだった。当たり前ではあるが。
そして、臨時のお食事を終えたスライムが定位置にしてしまったケビンの頭上に戻ると、再びケビン一行は歩き始める。その後もそのようなことを繰り返していたら、おもむろにティナが口を開いた。
「ケビン君、そのスライムに名前をつけてあげないの?」
「名前?」
ティナはケビンがスライムをけしかける度に「スライム」と呼んでいたので、そこまで頻繁に呼ぶのなら名前をつけた方が良いのではと思い提案したようだ。
更にそれとは別で、スライムが思いのほか大人しいことから、段々とケビンがスライムに対しての遠慮をしなくなってきていることも起因する。
「何だかんだで利用しているよね?」
「俺は雑魚処理で助かる、スライムは腹が膨れて嬉しい。これは立派なウィン・ウィンの関係で、対等な立場だ。利用しているなどと言わないで欲しいわけで……」
「で、本心は?」
「全自動雑魚処理装置キター!」
「ほら、やっぱり。それだとスライムが可哀想だよ。ペットにするのならちゃんと名前をつけてあげないと、後になってアリスから怒られるよ」
ティナからそのようなことを言われてしまったケビンは、仮にスライムを連れて帰った時のことを想像してみた。
今のところ特に害悪もなく、ただプルプルと震えてご飯を食べているスライム。それを見つめるアリス。
ケビンには、アリスが目をキラキラとさせ夢中になっている光景がありありと目に浮かぶため、このままではティナの言う通りになり、アリスからの異議申し立てが間違いなくあるだろうという結論に達する。
よって、ケビンの取る行動は決まっている。
「スライム」
ケビンの呼びかけに対して、スライムは頭上でプルプルと震えて返答する。
「スラりん」
――ペちっ
ケビンの決めた名前に納得がいかなかったのか、スライムはデコピンならぬデコペチをお見舞した。それを受けたケビンは気に入らなかったのだろうと判断して、別の名前を提案する。
「スラきち」
――ペちぺちっ
次の候補も気に入らなかった様子。そして、投げやりなケビンが次の候補を提案した途端、スライムが怒りのデコペチを執行した。
「スラえもん」
――べちーん!
「いたっ! ちょ、マジで叩くなよ! お前の攻撃は、ステータス差で防御を突破してくるんだぞ!」
そのような光景を呆れながら見ているティナが、真面目に考えないとアリスが怒ると告げたところ、ケビンは仕方なく真面目に名付けを考えていく。
「……りん」
――ペち
「きちスラ」
――ぺちぺちぺちっ!
「えどもんど」
――バチーンっ!
「だから、痛ぇって!」
「ケビン君……わざと?」
「学習しない……」
「楽しそうだから別にいいんじゃない?」
「あらあら、うふふ」
こうして和やかな雰囲気が流れている最中だが、スライムは早くしろと言わんばかりにケビンの頭上で跳ね始めた。
「俺の頭は遊び場じゃねぇんだぞ。ったく……スラ、スラ……スライム……んー……ムイラス、ムライス……っ! オムライス!!」
「それ、オタ君たちの好物でしょ!」
ケビンは、今度こそ完璧だと言わんばかりのドヤ顔でキメたが、ティナから猛烈なツッコミが入ってしまう。だが、それでも諦めないケビンは、サナの悪ふざけも相まって怒涛の候補出しを始めていく。
「じゃーイスラムだ!」
「オムライスより全然いいね!」
『宗教やないかーい!』
「ちっ、イスラ!」
「え……何で言いかえたの?」
『一文字抜いただけやないかーい!』
「ライス!」
「だから何で……」
『米かよ!』
「スライでどーだ!」
「…………これ、ひょっとして……サナちゃんと遊んでる?」
『“厶”が抜けただけで24時間も頑張った末に、スライの空へ~って歌っちゃうの? みんなで歌っちゃうの?』
「あ"あぁぁぁぁっ! ラムスィ! これでどーだ! これ以上はびた一文たりとてまけねぇぞ!」
『仕方がない、それで妥協してあげましょう! ミッションコンプリート!』
「スライム! 今からお前はラムスィだ! 拒否権はない!」
――プル?
スライムはイマイチ流れについていけていないが、ケビンがスライムに対し名付けしたことによって、ケビンとサナのやり取りが終わったと判断したティナが口を開いた。
「ケビン君、ラムスィで決まりなの?」
「もう他に思いつかないからこれで本決まり。これからこのスライムは、ラムスィと呼んでやってくれ」
「ラムスィ、これからよろしく」
「よろしく」
「名前が決まって良かったねー」
「プルプルしているから喜んでいるのかしら?」
こうしてスライムの名付けという大役をこなしたケビンは、これでようやく先に進めると判断し、歩みを進める。そして、名付けをしたからか親近感がわき始めて、以前にも増してケビンの遠慮はなくなってきたのだった。
「ラムスィ! 君に決めた!」
――プルプル!
ケビンはラムスィが【体積変化】を使えるのをいいことに、赤と白が特徴的な魔物ボールなるものを創り出し、戦闘前はわざわざその中にラムスィを入れると、振りかぶって投げつけては遊んでいた。
ラムスィはラムスィで、ケビンのやっている遊びのことは理解していないが、魔物を食べることには変わりがないため、言われた通りに役割を果たしているが。
こうして、ケビンは新たなウィン・ウィンの関係をラムスィと築き上げると、並み居る敵をバッサバッサと斬り捨てていくことはないが、そのかわりと言ってはなんだがラムスィをけしかけていたのだった。
そして、そのような遊びをケビンが楽しんでいる最中、傍から見ている面々も元ネタはわからずとも、それが楽しそうに見えてしまうから困りものである。
「ケビン。お母さんもそれをしてみたいわ」
唐突に要望を主張してきたサラ。それを聞いたケビンは、どうしたものかと悩み始める。
それはひとえに、遊び相手がただのスライムではなく、魔皇をやっているスライムだからだ。
自分の言うことは今のところ受け入れてくれているが、果たしてこれが自分以外になったらどうなるのだろうかと、そういった思考が頭によぎる。
そのようなケビンの懸念などお見通しなサラは、両手をすくうような形で前に突き出すと、ケビンの頭上にいるラムスィに対し呼びかけた。
「いらっしゃい、ラムスィちゃん」
サラからの呼び掛けでプルプルと震えるラムスィは、サラの手を覗き込むような形に伸びたかと思えば、サラの顔と手のひらを交互に見ているような動きをしたあと、なんの前触れもなくぴょんっと飛び移った。
「ふふふ、ラムスィちゃんはお利口さんね」
伸ばしていた両手を引いてラムスィを抱え込んだサラは、ぷるんぷるんとボインボインの夢のコラボを、今ここに完成させたのだった。
「……てぇてぇ」
『いや、てぇてくないし』
《馬鹿ね》
何はともあれそれからのケビンは、ラムスィで遊ぶことができなくなったことによって、ティナたちとのんびり会話を楽しみながら行程を進めていく。ちなみにラムスィで遊んでいるのは、バトンタッチしたサラだ。
「ラムスィ! あなたに決めたわ!」
――プルルン!
サラが投げた魔物ボールから飛び出したラムスィは、度重なるケビンの教育が行き届いているのか、いきなり食べてしまうということはせずに、まずは敵の前でプルルンと揺れてバトルに向けての意気込みを見せている。
「ラムスィ! 【タックル】よ!」
――プル!
サラからの指示で飛んでいくラムスィ。もちろん思いきり手加減した状態でだ。
「ガウっ!」
目の前のはぐれウルフは、ラムスィのタックルをその身に受けた。だが、ラムスィが手加減している以上、大した効果はないようだ。
「ガウガウっ!」
「ダークウルフのひっかき攻撃だ」
すかさずケビンの実況が入ると、サラがそれに素早く反応する。
「ラムスィ、【丸くなる】!」
――プルルル!
「ラムスィの防御が少しアップ」
サラがそう指示を出すが、もとよりラムスィは丸い。だが、そこは気分的なもの。無粋なツッコミを入れる者など、この場にいるはずもない。
そして、ダークウルフのひっかき攻撃を受けたラムスィは、たかが知れているダメージなはずのに、大袈裟なリアクションで後方に飛ぶ。
「やるわね、野生のウルフは。ラムスィ、【はねる】よ」
当然のことながら、ラムスィは跳ねた。それはもう、ぴょんぴょんと一所懸命に。
「しかし、なにも起こらない」
当たり前である。これで何か起きようものなら、この場が驚きに包まれるのは間違いないだろう。
「ワフっ!」
「ダークウルフの突進攻撃だ」
「ラムスィ、避けて!」
――プルプル!
ダークウルフの突進攻撃を避けたラムスィが身構える。
「ラムスィ、【10万ポンド】!」
――プルル!
上空に向けて跳ねたラムスィが重力に従い落下する。その体躯に不釣り合いな重々しい落下音が響きわたるが、ダークウルフはなんとかギリギリで回避できていたようだ。
「怯んでいるわね! ラムスィ、そのまま【食べる】よ!」
――プルルン♪
ようやく食事の時間となったラムスィは今まで以上の張り切りを見せて、ダークウルフを取り込むために体を変化させると、そのまま覆いかぶさり包み込んでしまった。
「ラムスィの【食べる】攻撃。生物属性のダークウルフは逃げられない。効果はバツグンだ」
そして、ラムスィが食事を堪能している間、サラは放り投げていた魔物ボールを回収すると、ケビンに手渡した。
「楽しかったわ、ケビン」
「もういいの?」
「クリスさんがやりたそうに見ているもの。次はクリスさんの番ね」
「やったー!」
サラの遊びが終わり次の遊戯者がクリスに決まると、それに続けと言わんばかりに、ティナとニーナがジャンケンを始めて壮絶な順番決めバトルを繰り広げるのであった。
そのような中で、ティナが気になっているのはラミアの棲息地よりもスライムのステータスだ。ぶっちゃけ、ティナの中ではケビンの始めたモン娘探険隊よりも、目の前にいる不思議生物Xの方が重要度が高かったりする。
それについては、ニーナも同様な考えを持っている。スライムが仮に暴れでもしたら、まず後衛職であるニーナでは抑えることができない上に、1番の足手まといとなってしまうからだ。
そのような注目の的であるスライムは、今現在ケビンの頭の上で食事を続けている。これがポロポロと食べカスを落とすような行為であれば、ケビンとて頭から下りろと言えるのだが、スライムの食事は体の中に取り込んでから吸収する形である。元より食べカスなんて落ちようがない。
ゆえに、ケビンもその行為自体は許容している部分があるのだが、ぶっちゃけてしまえば、あまり機嫌を損ねたくないというのが根底にあったことも否めない。
「ケビン君、そのスライムってどのくらい強いの? ステータスを見たなら教えてよ」
「どのくらいって言ったら……まぁ、間違いなく全滅レベル?」
ケビンの放った何気ない一言によって、一同は驚愕する。
「とりあえず、全滅する前にティナたちは逃がすけど」
「ケビン君一人だけだったら勝てるってこと?」
「平行線かなー……魔法は実体験で吸収されることがわかったし、こっちの攻撃は斬撃しかききそうにない。かと言って、スライムの攻撃はタックルが基本だから、避けることに集中したら当たる確率が減ると思う。仮に当たったとしても、攻撃に魔法を使わないから回復に全部回せるし――」
ケビンが千日手になりそうなことを説明していく中で、スライムのステータスを嫁たちに公開するため空中に魔法文字で記すと、その驚くべき内容によって嫁たちは驚愕する。
名無し
性別不明 年齢不明 種族:カオススライム
身長:30cm 体重:5kg
職業:ケビンの頭上で無職
状態:リラックス
備考:ケビンから同行許可が下りたことにより、憚られることなく肉を満喫している。
Lv.100
HP:4016
MP:4016
筋力:4016
耐久:4016
魔力:4016
精神:4016
敏捷:4016
スキル
【分裂】【合体】【タックル】【言語理解】
【吸魔】【打撃無効】【身体変化】【体積変化】
【熱変動耐性 Lv.10】【状態異常耐性 Lv.10】
【気配探知 Lv.10】【魔力探知 Lv.EX】
【身体強化 Lv.10】
称号
雑食
共食い
根無し草
マナイーター
暴食の魔皇
魔物の天敵
魔族の天敵
天災の魔王
古の魔王
最強の一角
「これはさすがに……」
「敗北必至」
「伊達に恐れられている魔王じゃないってことだねー」
「プルプルして可愛らしいのに」
「っていうか、職業がケビン君の頭上になってる!?」
「しかも無職!」
「さすらいの魔王だから無職なのかな?」
「領地経営とかしないからかしら?」
「色々と気にはなっているだろうが、とりあえず中身を見ていくぞ」
【吸魔】
魔素に関連するものを吸収することができる。
雑食
何でも食べてしまう者
共食い
同種族を食した者
根無し草
決まった寝床を持たず、フラフラとしている者
マナイーター
食べるものがなくて困っていた時に魔素の存在を知り、何処にでも存在していることから手頃な食べ物として食べまくった者。魔素に関連する能力が限界突破する。
暴食の魔皇
はるか昔、魔皇がまだ当たり前に存在していた時に、空腹のあまり魔皇とは知らずに取り込んでしまって食べてしまった。その時に魔王から魔皇へと至る。本人に悪気はなくただお腹が空いていただけで、無防備に寝ていた魔皇が悪いと本人は思っている。貪欲に食べ続けるほどステータスに補正がかかり、何かを食べた時には回復効果を得る。次第に上昇する補正値は右肩下がりとなるが、上限はない。
魔物の天敵(暴食ver.)
本人に悪気はないが、腹の求めるまま魔物を食していった者。対魔物戦においてステータスに補正がかかる。
魔族の天敵(暴食ver.)
本人に悪気はないが、腹の求めるまま魔族を食していった者。対魔族戦においてステータスに補正がかかる。
天災の魔王
あまりにも魔族を食べすぎていたせいか、いつしか天災扱いされ恐れられるようになってしまった。本人にその自覚はなく、ただお腹が空いていただけ。姿を見せただけで相手は恐慌状態を引き起こす。恐慌状態の程度は畏怖している者たち限定で人それぞれだが、天災の魔王を知る者で畏怖していないのは古参の魔王たちくらいである。
古の魔王
はるか昔から存在している魔王。
最強の一角
存在している魔王の中でも、最強との呼び声が高い者たちの中の一柱。
「改めて見ても凄まじいな」
「よく懐いたよね……」
「魔皇との初邂逅」
「食べることが何よりも好きって感じだよねー」
「食費がかかりそうだわ」
そのような感想がこぼれている中で、ケビンのおでこをペチペチと叩くスライムが1匹。
「何だ?」
ケビンが視線を上に向けるも、スライムがいるのはケビンの頭上。すなわち、ケビンが見ることは叶わず、スライムが何を主張しているのかがわからない。
そこで打開策を考えついたケビンは、自分が見られないのなら、見ることができる人たちに答えさせればいいという結論に至ったのだった。
「いきなりですが、第1回、秘密の主張SHOW! 先程から私のおでこをペチペチと叩くスライム。いったい何を主張したいのか。えっ? 大っぴらに主張している時点で、秘密でもなんでもない? そんなの関係ねぇ! それでは一斉に答えてもらいます。せぇーの!」
勝手に盛り上がり始めたケビンによって始まる、謎のクイズ大会。いきなり振られてしまう嫁たちの対応力は、見事としか言いようがない。
ゆえに、見たまんまの解答をした者がいたとしても、それはそれで致し方がないことだと言える。
「プルプル!」
「プぉはん!」
「ご飯!」
「おかわりかしら」
「おおっと、若干1名が隣の解答者に釣られて答えてしまい、そこから苦し紛れの軌道修正を行ったようですが、4名の解答が出揃いました。果たしてこの中に正解者はいるのかどうか。それでは、正解をスライムに答えてもらいましょう! スライムは、自分の主張と同じだと思った人の肩をポンポンと叩いてくれ」
勝手に自身の主張をネタにされクイズ大会に巻き込まれたスライムだが、目的のものが手に入るのなら過程のことなど歯牙にもかけない。
そして、そのスライムから手?のようなものが伸びていくと、クリスとサラの肩をポンポンと叩く。
「やったー、当たったー!」
「ふふふっ、当てちゃったわ」
喜ぶ2人とは別で、逆に落ち込む人が2人。ティナは咄嗟に口にしてしまった言葉を悔やみ、ニーナはティナに引きずられる形で口にしたものの、強引に言い直したことによりセーフなのではと抗議していた。
だが、相手は常識など皆無のスライム。ニーナによる必死の訴えも、どこ吹く風で気にも留めない。スライムが気にしているのは、過去も現在も未来もケビンから貰える肉なのだ。
よって、一仕事を終えたスライムは「はよ、出せ」と言わんばかりに、ケビンのおでこをペチペチと叩き始める。
すると、スライムによって催促されたケビンは、スライムの要望通りに死蔵肉を取り出したはいいものの、食べ終わる度にせがまれてはたまったものじゃないと気づいてしまった。
ゆえに、ケビンは考え抜いた。如何にして自分が楽をし、かつ、スライムの機嫌を損なわせないで済むかを。
「……よし、自己管理! これに勝る管理方法はない!」
その結論に行きついたケビンは【言語理解】だけに飽き足らず、今度は【アイテムボックス】をスライムに付与した。そして、スライムに【アイテムボックス】の使い方をレクチャーすると、いよいよ持って死蔵肉の無料配布である。
「よしよし、ちゃーんと収納するんだぞー」
こうして目論見が見事に成功したケビンは、ホクホク顔で死蔵肉をどんどんと出していく。その内容は、主に使い道があまりないとされているゴブリン肉がメインだ。
何故ならば、価値の低い肉を先に放出していき、自分たちが食材として使うような肉は、最後の最後まで取っておくつもりだからである。
そうとは知らず、嬉しそうにプルプルとしているスライムには同情を禁じ得ない。だが、知らぬが仏ということもあるため、これはこれでいいのだろう。
その後、無事にゴブリン肉の在庫処分に成功したケビンは、次にいらない肉を選別するため【無限収納】の中を検分していた。
だが、そのような忙しい(本人の中で)時であろうとも、空気を読まない魔物が現れる。魔物の本能としては空気を読んでいるのだろうが、相手がケビンではその本能もただの邪魔なものでしかない。
しかしながらケビンは、今現在とても頼りになるパートナーを得ている。死蔵肉の選別作業を邪魔されたとしても、機嫌が悪くなることがないのだ。
「スライム」
たった一言そう告げただけで、ケビンの頭上からダイビングタックルを仕掛けるスライム。そのお得意のタックルで被害に遭ったのは、ケビンがもういらない素材に分類したダークゴブリンだ。
投網のような広がりを見せるスライム。人族を襲いに来たはずなのに、スライムが出てきて驚愕するダークゴブリン。特に気にもせず作業を続けているケビン。
三者三様の様相を見せる現場で即退場になったのは、ダークゴブリンだった。当たり前ではあるが。
そして、臨時のお食事を終えたスライムが定位置にしてしまったケビンの頭上に戻ると、再びケビン一行は歩き始める。その後もそのようなことを繰り返していたら、おもむろにティナが口を開いた。
「ケビン君、そのスライムに名前をつけてあげないの?」
「名前?」
ティナはケビンがスライムをけしかける度に「スライム」と呼んでいたので、そこまで頻繁に呼ぶのなら名前をつけた方が良いのではと思い提案したようだ。
更にそれとは別で、スライムが思いのほか大人しいことから、段々とケビンがスライムに対しての遠慮をしなくなってきていることも起因する。
「何だかんだで利用しているよね?」
「俺は雑魚処理で助かる、スライムは腹が膨れて嬉しい。これは立派なウィン・ウィンの関係で、対等な立場だ。利用しているなどと言わないで欲しいわけで……」
「で、本心は?」
「全自動雑魚処理装置キター!」
「ほら、やっぱり。それだとスライムが可哀想だよ。ペットにするのならちゃんと名前をつけてあげないと、後になってアリスから怒られるよ」
ティナからそのようなことを言われてしまったケビンは、仮にスライムを連れて帰った時のことを想像してみた。
今のところ特に害悪もなく、ただプルプルと震えてご飯を食べているスライム。それを見つめるアリス。
ケビンには、アリスが目をキラキラとさせ夢中になっている光景がありありと目に浮かぶため、このままではティナの言う通りになり、アリスからの異議申し立てが間違いなくあるだろうという結論に達する。
よって、ケビンの取る行動は決まっている。
「スライム」
ケビンの呼びかけに対して、スライムは頭上でプルプルと震えて返答する。
「スラりん」
――ペちっ
ケビンの決めた名前に納得がいかなかったのか、スライムはデコピンならぬデコペチをお見舞した。それを受けたケビンは気に入らなかったのだろうと判断して、別の名前を提案する。
「スラきち」
――ペちぺちっ
次の候補も気に入らなかった様子。そして、投げやりなケビンが次の候補を提案した途端、スライムが怒りのデコペチを執行した。
「スラえもん」
――べちーん!
「いたっ! ちょ、マジで叩くなよ! お前の攻撃は、ステータス差で防御を突破してくるんだぞ!」
そのような光景を呆れながら見ているティナが、真面目に考えないとアリスが怒ると告げたところ、ケビンは仕方なく真面目に名付けを考えていく。
「……りん」
――ペち
「きちスラ」
――ぺちぺちぺちっ!
「えどもんど」
――バチーンっ!
「だから、痛ぇって!」
「ケビン君……わざと?」
「学習しない……」
「楽しそうだから別にいいんじゃない?」
「あらあら、うふふ」
こうして和やかな雰囲気が流れている最中だが、スライムは早くしろと言わんばかりにケビンの頭上で跳ね始めた。
「俺の頭は遊び場じゃねぇんだぞ。ったく……スラ、スラ……スライム……んー……ムイラス、ムライス……っ! オムライス!!」
「それ、オタ君たちの好物でしょ!」
ケビンは、今度こそ完璧だと言わんばかりのドヤ顔でキメたが、ティナから猛烈なツッコミが入ってしまう。だが、それでも諦めないケビンは、サナの悪ふざけも相まって怒涛の候補出しを始めていく。
「じゃーイスラムだ!」
「オムライスより全然いいね!」
『宗教やないかーい!』
「ちっ、イスラ!」
「え……何で言いかえたの?」
『一文字抜いただけやないかーい!』
「ライス!」
「だから何で……」
『米かよ!』
「スライでどーだ!」
「…………これ、ひょっとして……サナちゃんと遊んでる?」
『“厶”が抜けただけで24時間も頑張った末に、スライの空へ~って歌っちゃうの? みんなで歌っちゃうの?』
「あ"あぁぁぁぁっ! ラムスィ! これでどーだ! これ以上はびた一文たりとてまけねぇぞ!」
『仕方がない、それで妥協してあげましょう! ミッションコンプリート!』
「スライム! 今からお前はラムスィだ! 拒否権はない!」
――プル?
スライムはイマイチ流れについていけていないが、ケビンがスライムに対し名付けしたことによって、ケビンとサナのやり取りが終わったと判断したティナが口を開いた。
「ケビン君、ラムスィで決まりなの?」
「もう他に思いつかないからこれで本決まり。これからこのスライムは、ラムスィと呼んでやってくれ」
「ラムスィ、これからよろしく」
「よろしく」
「名前が決まって良かったねー」
「プルプルしているから喜んでいるのかしら?」
こうしてスライムの名付けという大役をこなしたケビンは、これでようやく先に進めると判断し、歩みを進める。そして、名付けをしたからか親近感がわき始めて、以前にも増してケビンの遠慮はなくなってきたのだった。
「ラムスィ! 君に決めた!」
――プルプル!
ケビンはラムスィが【体積変化】を使えるのをいいことに、赤と白が特徴的な魔物ボールなるものを創り出し、戦闘前はわざわざその中にラムスィを入れると、振りかぶって投げつけては遊んでいた。
ラムスィはラムスィで、ケビンのやっている遊びのことは理解していないが、魔物を食べることには変わりがないため、言われた通りに役割を果たしているが。
こうして、ケビンは新たなウィン・ウィンの関係をラムスィと築き上げると、並み居る敵をバッサバッサと斬り捨てていくことはないが、そのかわりと言ってはなんだがラムスィをけしかけていたのだった。
そして、そのような遊びをケビンが楽しんでいる最中、傍から見ている面々も元ネタはわからずとも、それが楽しそうに見えてしまうから困りものである。
「ケビン。お母さんもそれをしてみたいわ」
唐突に要望を主張してきたサラ。それを聞いたケビンは、どうしたものかと悩み始める。
それはひとえに、遊び相手がただのスライムではなく、魔皇をやっているスライムだからだ。
自分の言うことは今のところ受け入れてくれているが、果たしてこれが自分以外になったらどうなるのだろうかと、そういった思考が頭によぎる。
そのようなケビンの懸念などお見通しなサラは、両手をすくうような形で前に突き出すと、ケビンの頭上にいるラムスィに対し呼びかけた。
「いらっしゃい、ラムスィちゃん」
サラからの呼び掛けでプルプルと震えるラムスィは、サラの手を覗き込むような形に伸びたかと思えば、サラの顔と手のひらを交互に見ているような動きをしたあと、なんの前触れもなくぴょんっと飛び移った。
「ふふふ、ラムスィちゃんはお利口さんね」
伸ばしていた両手を引いてラムスィを抱え込んだサラは、ぷるんぷるんとボインボインの夢のコラボを、今ここに完成させたのだった。
「……てぇてぇ」
『いや、てぇてくないし』
《馬鹿ね》
何はともあれそれからのケビンは、ラムスィで遊ぶことができなくなったことによって、ティナたちとのんびり会話を楽しみながら行程を進めていく。ちなみにラムスィで遊んでいるのは、バトンタッチしたサラだ。
「ラムスィ! あなたに決めたわ!」
――プルルン!
サラが投げた魔物ボールから飛び出したラムスィは、度重なるケビンの教育が行き届いているのか、いきなり食べてしまうということはせずに、まずは敵の前でプルルンと揺れてバトルに向けての意気込みを見せている。
「ラムスィ! 【タックル】よ!」
――プル!
サラからの指示で飛んでいくラムスィ。もちろん思いきり手加減した状態でだ。
「ガウっ!」
目の前のはぐれウルフは、ラムスィのタックルをその身に受けた。だが、ラムスィが手加減している以上、大した効果はないようだ。
「ガウガウっ!」
「ダークウルフのひっかき攻撃だ」
すかさずケビンの実況が入ると、サラがそれに素早く反応する。
「ラムスィ、【丸くなる】!」
――プルルル!
「ラムスィの防御が少しアップ」
サラがそう指示を出すが、もとよりラムスィは丸い。だが、そこは気分的なもの。無粋なツッコミを入れる者など、この場にいるはずもない。
そして、ダークウルフのひっかき攻撃を受けたラムスィは、たかが知れているダメージなはずのに、大袈裟なリアクションで後方に飛ぶ。
「やるわね、野生のウルフは。ラムスィ、【はねる】よ」
当然のことながら、ラムスィは跳ねた。それはもう、ぴょんぴょんと一所懸命に。
「しかし、なにも起こらない」
当たり前である。これで何か起きようものなら、この場が驚きに包まれるのは間違いないだろう。
「ワフっ!」
「ダークウルフの突進攻撃だ」
「ラムスィ、避けて!」
――プルプル!
ダークウルフの突進攻撃を避けたラムスィが身構える。
「ラムスィ、【10万ポンド】!」
――プルル!
上空に向けて跳ねたラムスィが重力に従い落下する。その体躯に不釣り合いな重々しい落下音が響きわたるが、ダークウルフはなんとかギリギリで回避できていたようだ。
「怯んでいるわね! ラムスィ、そのまま【食べる】よ!」
――プルルン♪
ようやく食事の時間となったラムスィは今まで以上の張り切りを見せて、ダークウルフを取り込むために体を変化させると、そのまま覆いかぶさり包み込んでしまった。
「ラムスィの【食べる】攻撃。生物属性のダークウルフは逃げられない。効果はバツグンだ」
そして、ラムスィが食事を堪能している間、サラは放り投げていた魔物ボールを回収すると、ケビンに手渡した。
「楽しかったわ、ケビン」
「もういいの?」
「クリスさんがやりたそうに見ているもの。次はクリスさんの番ね」
「やったー!」
サラの遊びが終わり次の遊戯者がクリスに決まると、それに続けと言わんばかりに、ティナとニーナがジャンケンを始めて壮絶な順番決めバトルを繰り広げるのであった。
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