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第18章 新章(仮)
第651話 女性の女性による女性のための女子会
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とある一室にて、一部初対面となる女性たちが一堂に会していた。ここは、プチ女子会から女子会に進化した女性の女性による女性のための話し合いが行われる場だ。
「まずは自己紹介から始めましょうか」
この場の進行はラバスに任されており、そのラバスに促される形で初対面となる者たちの自己紹介が行われていく。
それらが終わるとさっそくと言わんばかりに、女子特有の姦しい会話が飛び交う。
その一番手を担ったのは、嫁会議議長でもあるティナだ。
「ここにいる人たちは、みんなジョンさんの奥さんなの?」
それに答えたのは、自他ともに認めるジョンの嫁であるラバス。
「いいえ、ジョンさんの妻となっている者は私だけです」
「そうなの? じゃあ、他の人は誰かの奥さんってこと?」
「それも違いますね。ここにいる者たちは誰かの妻というわけではありません」
「え……」
ラバスの回答は、ハーレム推奨派のティナからしてみれば意味のわからないことだった。
それもそうだろう。ここにいる者たちは、結婚していても不思議ではない見た目年齢をしている者たちばかりだからだ。
その疑問を解消するべくティナが質問をすると、皆一様に答えたのは「ジョンさんが好き」という片思い続行中の言葉である。
「それじゃあ、何で結婚してないの? ラバスさんに気を使っているとか?」
「その……私としてもジョンさんが目移りするのは快く思わないのですけれど、その目移りする気配すら感じられないくらいに私を愛してくれていて……」
とても申しわけなさそうに惚気けるラバスによって、もう慣れてしまっているのか、片思い続行中の女性たちは「ごちそうさま」と言わんばかりの視線をラバスに向ける。
「ラバスさんからしてみれば、ここにいる人たちならジョンさんの奥さんになっても構わないってこと?」
「ええ。苦楽を共にした仲間ですし、その……私一人だと……あの……夜が……」
直接的に口にするのが恥ずかしいのか、ラバスが言葉を濁しながら察して欲しい空気をバンバン出していると、そこら辺がオープン過ぎるほどオープンなティナは、濁している内容をズバッと口にしてしまった。
「セックスの相手をするのが大変なのね。そんなに激しく求められちゃうんだ?」
「~~ッ!」
「でも、そうなると……今はどうしてるの? 妊娠してるならお相手をしてるってこともないよね? それとも、体に影響が出ないようにゆっくりとしてるの?」
「その……ジョンさんがムラムラした時は……えっと……私が……その……」
「手でしてあげてるの? それともお口? その大きさなら胸も使ってそうだよね?」
「~~ッ!」
またもやティナにズバッと言い当てられたことによって、ラバスは顔を真っ赤に染め上げた。ラバスとしては『これ、なんて羞恥プレイ?』と思っているに違いない。
そして、ティナの口撃によってラバスが撃沈してしまうと、ティナの口撃の矛先は片思い続行中の女性たちに向く。
「そんなにジョンさんが好きなら襲ってしまえばいいのに」
ぶっちゃけてしまったティナの発言によって、女性たちはその場面でも想像したのか頬を赤らめてしまう。
「で、ですが……子持ちの私なんかが襲ってもジョンさんの迷惑になるかと……嫌われたくないし……」
自虐ネタを理由にして問題の先送りを図る自ら子持ちだと暴露した女性に対して、エロの伝道師であるティナのカウンターが炸裂する。
「そう言うけどラバスさんだって子持ちだよね? ぶっちゃけ男の人ってヤる時になればそこら辺は気にしないよ? ケビン君だってたとえ相手が未亡人の子持ちだろうと抱くし、人妻だって抱くよ? 更には姉妹も抱くし、母娘でも抱くし、今のところ1番凄かったのは三世代同時に抱いたことかな」
「いやいや、1番凄かったのはアラクネを抱いたことだよ。もはや人の形から逸脱してるからねー下半分は蜘蛛だよ、蜘蛛。しかも今は、ラミアとか他の女体モンスターをしれっと探している最中だし。本人は気づかれていないと思っているみたいだけど」
「ん。バレバレ」
「あらあら、うふふ」
嫁たちにより、本人の預かり知らぬところで暴露されてしまったケビンの性事情。しかし、それを聞かされた女性たちは生唾を飲み込んだ。
いったいケビンという名の者は、どれほどの性豪なのだろうかと。もはや、開いた口が塞がらないほどの経歴の持ち主だと、ラバスを含めたジョン陣営の女性たちが一様に同じ感想を抱いてしまった。
「私の経験じゃないけど過去に見てきた状況で言うのなら、襲ったもん勝ちだよ。ケビン君だって抱く気のない人から襲われたところで、結局は欲望に負けてガッツリ抱いちゃうもん」
「性欲魔神降臨」
もう女性たちは押し黙るしかない。ケビンという人物については、性欲から生まれてきた異端児なのではないかと思うほどだ。
ラバスに至ってはジョンをあれだけ痛めつけた相手が、実は蓋を開けてみれば、ただの性に忠実なドスケベであることに驚きを隠せない。
そのような時に、ラバスはふと気になるとが頭に引っかかり、そのことをティナに尋ねた。
「あの……話を聞く限りでは、ケビンさんの奥様方はティナさんたち以外にもいるということですか?」
「うん、いるよ」
「数えきれない」
「村の単位は既に超えたよねー」
「賑やかで楽しいわ」
「……え……村?」
「現地妻とかもいるしね」
「セフレもいる」
「こう聞くと、本当に手当り次第な感じがするねー」
「子供たちもいっぱいいるわよ」
ラバスたちは何をどうリアクションすればよいのか、もうわからなくなってきた。それほどまでにケビンの女性関係は一般人の視点から見ても爛れていたのだ。
「だから、貴女たちも早くジョンさんを襲って既成事実を作っちゃいなよ。むしろ今夜にでも実行に移すべきね!」
煽りに煽るティナだが、それを見ているラバスたちは自信満々なティナの発言により、自分たちの常識がおかしいのだろうかと首を傾げてしまった。
ことここに至ってはティナの煽りを止める者がおらず、困惑気味のラバスたちも、次第にティナのハーレム推奨思考の影響を受けていくことになるのだった。
そして、チジョフの手練手管を教授されていくうちに、ラバスたちは無意識に前のめりの傾聴姿勢となっていき、いかにジョンをハーレムの主としての地位に就けるかの作戦行動を練っていく。
「これは予想外の展開かなー」
「チジョフ無双」
「ティナさんったら、エッチなことになると途端に元気になるわね」
クリスたちもラバスたちに対してアドバイス程度のことはしようとは考えてはいたものの、今となっては水を得たティナの独壇場となっており、直接的な指示を出していくティナの姿を眺めるだけの観客と化していた。
やがて、夕飯の準備に取り掛かるため女子会がお開きになると、調理組がいそいそと食事の準備をするためにこの場を後にする。
「とても為になるお話でした」
「頑張ってね、女は度胸よ!」
「はい! みんなで幸せを掴みます!」
ラバスとティナが言葉を交わすと、次なる作戦行動に移るべく、ティナはケビンの所へ向かう。それに伴い、サラたちやラバスも一緒になってケビンとジョンが話し合っている元の会議室へと足を運ぶのだった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ティナたちが辿りついた部屋にて、ティナは早速ケビンにお願いを申し出る。
「ケビン君、食堂を広くして欲しいの。今の広さだとみんなが入りきらないんだって」
いきなり戻ってきたかと思いきや、これまたいきなり他人の城を改造してと頼んでくるティナに対して、ケビンは呆れを通り越して沈黙していた。
だが、いつもならツッコミ役のニーナが「バカティナ」と言わないところを見ると、どうやら他の者たちも納得済みの案件であるらしいことをケビンは察する。
「うちの嫁がこんなことを言っているんだが、お前の城だからお前が決めてくれ」
「ラバスが何も言わないところを見ると、ラバスたちが頼んだかもしれねぇ。そこのところどうなんだ?」
ジョンがラバスにそう問いかけると、ラバスはそれが正解であるかのようにして頷いてみせる。それを見たジョンは、ラバスたちがどのような会話をしてきたのかはわからないが、敵対していた者に対して頼みごとをするほど打ち解けたのかと推測した。
そして、何をどうしたら食堂を広げることができるのかジョンには皆目見当もつかないが、ケビンの嫁であるティナがそう言って、更にはケビン自身もさしてなんでもないようなことかのように言葉を返していたので、とりあえずジョンは詳しいことは置いておくことにしてケビンに頼むことにしたのだった。
「内政の助言をしてもらった上で更にこんなことをしてもらうのは申しわけねぇが、頼めるか?」
「構わないぞ。夫婦円満の秘訣はある程度嫁の尻に敷かれることだ」
「経験者は語るってやつか」
「まぁな」
嫁たちと同じようにケビンたちも会話をすることによってある程度打ち解けていたのか、ジョンからは当初のような警戒している雰囲気が見られない。
それは会話の端々でも感じとることができ、ラバスはケビンを怒らせてしまいジョンを喪う可能性がなくなったことに安堵した。
「それではジョンさん、お客様を食堂にご案内しましょう? 客室の用意は他の者たちがしていますので」
「ああ、わかった」
それからジョンはラバスとともに、ケビンたちを食堂まで案内する。そして、案内された先の食堂を見たケビンは一般家庭からしてみれば明らかに広いが、配下の者たちと一緒に食事をするには確かに狭いだろうという感想を抱く。
そのような勘違いをしているケビンは一緒に食事を摂る配下の人数をジョンに尋ねたが、ジョンがその間違いを正すのだった。
「配下の連中とは一緒に食ってねぇぞ。一緒に食ってるのはラバスと義娘のラズベリー、あとは交代でこの城に住んでいる女性やその子供たちが参加してくる」
「配下の者たちは別なのか!?」
てっきり配下の者たちと交流を深めながら、一緒に食事をしているものだとばかり思っていたケビンがそのように返すと、ジョンから聞かされたのは先代魔王の時から、配下の者たちは別の部屋で食事をしているという常識である。
その常識を聞いたケビンは、軽くカルチャーショックを受けてしまう。
「マジか……」
そもそもケビンがその辺を全く気にしない一般的な常識から外れた感性の持ち主であり、本来は上に立つ者と一緒に食事をするというのは不敬にあたり、賓客などを除けばその親族だけに許されている特権である。
端から奴隷の身分であろうと使用人であろうと関係なく、みんなで一緒に楽しく食事をするという考えを持つケビンが世間一般の視点から見ておかしいのであり、ジョンの言っている方が正しいのだ。
「人族の国では違うのか?」
当然の疑問を抱いたジョンに対して、王侯貴族の一般常識を身につけているクリスが代表して答えた。
「人族の国でもそこは変わらないよ。国王や貴族家当主と一緒に食事をするのは、基本的にその家族だけだね。例外は賓客とかで、それ以外は恐れ多いこととして一緒に食事をすることはないかな」
それに異を唱えるのはケビンだ。
「でも、部下の労をねぎらって一緒に食事をしたりするだろ?」
「そういう時は賓客扱いだよ。常日頃から一緒に食事をするってことはないかな。ケビン君だって、毎日貴族の当主を呼んで食事とかしてないでしょ? 近場だとアルフレッドたちかな」
クリスから実例を伴い諭されたことによって、ケビンはぐうの音も出ない。確かにケビン自身も、毎日部下を呼んで食事会を開いているわけではなかった。大抵の場合は何か特別なことがあった日にだけ、近場にいるアルフレッドたちを招いているだけだ。
「ということで、ケビン君。サクッと広くしちゃって」
クリスから促されたことにより、ケビンは改めて一緒に食事をする人数をジョンに尋ねてから、空間魔法を使い相応の広さを保つ食堂に拡張した。
すると、その光景を目にしてしまったジョンは、魔法の凄さを改めて感じるとともに、これだけ広くしてしまったら隣接する部屋はどうなっているのかが気になり、ケビンたちを置いて隣の部屋の確認に向かうのだった。
そして、それは半信半疑でティナから聞いていたラバスも同様であり、ジョンの後を追いかけて食堂を出ていってしまう。
「いったいどうなってやがる!?」
開け放たれたドアの向こう側から聞こえてくるジョンの驚く声に、クリスがさもありなんと言わんばかりに口を開いた。
「まぁ、普通はこうなるよねー」
ケビンのとんでも魔法に慣れてしまっている嫁たちは今更驚くことはないが、それを初体験しているジョンたちのテンションに僅かばかりの懐かしさを思い出していたのであった。
それからジョンが興味津々でラバスを隣接する部屋に残し、食堂に戻ってきてはラバスがいる部屋の壁側を叩いてみたりして検証していると、やがて夕食ができあがったのか女性が報告のために食堂へやって来た。
だが、報告に来た女性は部屋に入るなり固まってしまう。何故なら、女子会にて話には聞いていた部屋の拡張ではあるが、女性が考えていたのはあくまでも魔法の力によって、少しだけ部屋が広くなるというものだったからだ。
しかし、蓋を開けてみれば少しだけの範囲など優に超えるだだっ広い部屋が視界いっぱいに広がっている。
「え……え……?」
そして、呆然と立ち尽くす女性にティナが近寄り用向きを尋ねると、それを聞いたティナはこの場にいる面々へその内容を女性の代わりに伝えた。
その後は、ジョンが伝えに来た女性へ食事に参加する者たちを集めるように言うと、それと並行して食事の準備も進めるように指示を出していく。
それから時間が経つにつれ、ぞろぞろと女性たちや子供たちが食堂に入って来ると、みんなしてまずは呆けるというなんの捻りもないリアクションを取り、そのまま風景の一部と化していく。
だが、このままでは埒が明かないと思い至ったジョンが、呆けている面々を正気に戻しては席に座らせていき、何故か女性たち中心ではなくジョンが中心となって食事の準備を進めていくのだった。
そして、テーブルの上にそれぞれの食事が配膳されていき、給仕をしていた女性たちも席に座ることによって、それを見届けたジョンが口を開く。
「今日は急遽客人を招くことになったが、見てわかる通りでその客人のおかげで食堂も広くなり、みんなでメシを食えるようになった――」
食堂が何故広くなったのかという理由から始まり、ジョンの言葉は続いていく。そして、ケビンと内政について話していた裏側で、女性全員による女子会が開かれていたことなど知らないジョンは、この場を使ってケビンたちのことを紹介した。
対してラバスやお茶を運んだ人を除く女性たちは、ケビンと会うのは初めてだがその嫁たちとは既に女子会で自己紹介を交わしており、初めて会ったかのような演技をしていた。
そのようなおかしな場面も見受けられたが食事は談笑も交えてつつがなく進んでいき、頃合となったところで解散となるのであった。
「まずは自己紹介から始めましょうか」
この場の進行はラバスに任されており、そのラバスに促される形で初対面となる者たちの自己紹介が行われていく。
それらが終わるとさっそくと言わんばかりに、女子特有の姦しい会話が飛び交う。
その一番手を担ったのは、嫁会議議長でもあるティナだ。
「ここにいる人たちは、みんなジョンさんの奥さんなの?」
それに答えたのは、自他ともに認めるジョンの嫁であるラバス。
「いいえ、ジョンさんの妻となっている者は私だけです」
「そうなの? じゃあ、他の人は誰かの奥さんってこと?」
「それも違いますね。ここにいる者たちは誰かの妻というわけではありません」
「え……」
ラバスの回答は、ハーレム推奨派のティナからしてみれば意味のわからないことだった。
それもそうだろう。ここにいる者たちは、結婚していても不思議ではない見た目年齢をしている者たちばかりだからだ。
その疑問を解消するべくティナが質問をすると、皆一様に答えたのは「ジョンさんが好き」という片思い続行中の言葉である。
「それじゃあ、何で結婚してないの? ラバスさんに気を使っているとか?」
「その……私としてもジョンさんが目移りするのは快く思わないのですけれど、その目移りする気配すら感じられないくらいに私を愛してくれていて……」
とても申しわけなさそうに惚気けるラバスによって、もう慣れてしまっているのか、片思い続行中の女性たちは「ごちそうさま」と言わんばかりの視線をラバスに向ける。
「ラバスさんからしてみれば、ここにいる人たちならジョンさんの奥さんになっても構わないってこと?」
「ええ。苦楽を共にした仲間ですし、その……私一人だと……あの……夜が……」
直接的に口にするのが恥ずかしいのか、ラバスが言葉を濁しながら察して欲しい空気をバンバン出していると、そこら辺がオープン過ぎるほどオープンなティナは、濁している内容をズバッと口にしてしまった。
「セックスの相手をするのが大変なのね。そんなに激しく求められちゃうんだ?」
「~~ッ!」
「でも、そうなると……今はどうしてるの? 妊娠してるならお相手をしてるってこともないよね? それとも、体に影響が出ないようにゆっくりとしてるの?」
「その……ジョンさんがムラムラした時は……えっと……私が……その……」
「手でしてあげてるの? それともお口? その大きさなら胸も使ってそうだよね?」
「~~ッ!」
またもやティナにズバッと言い当てられたことによって、ラバスは顔を真っ赤に染め上げた。ラバスとしては『これ、なんて羞恥プレイ?』と思っているに違いない。
そして、ティナの口撃によってラバスが撃沈してしまうと、ティナの口撃の矛先は片思い続行中の女性たちに向く。
「そんなにジョンさんが好きなら襲ってしまえばいいのに」
ぶっちゃけてしまったティナの発言によって、女性たちはその場面でも想像したのか頬を赤らめてしまう。
「で、ですが……子持ちの私なんかが襲ってもジョンさんの迷惑になるかと……嫌われたくないし……」
自虐ネタを理由にして問題の先送りを図る自ら子持ちだと暴露した女性に対して、エロの伝道師であるティナのカウンターが炸裂する。
「そう言うけどラバスさんだって子持ちだよね? ぶっちゃけ男の人ってヤる時になればそこら辺は気にしないよ? ケビン君だってたとえ相手が未亡人の子持ちだろうと抱くし、人妻だって抱くよ? 更には姉妹も抱くし、母娘でも抱くし、今のところ1番凄かったのは三世代同時に抱いたことかな」
「いやいや、1番凄かったのはアラクネを抱いたことだよ。もはや人の形から逸脱してるからねー下半分は蜘蛛だよ、蜘蛛。しかも今は、ラミアとか他の女体モンスターをしれっと探している最中だし。本人は気づかれていないと思っているみたいだけど」
「ん。バレバレ」
「あらあら、うふふ」
嫁たちにより、本人の預かり知らぬところで暴露されてしまったケビンの性事情。しかし、それを聞かされた女性たちは生唾を飲み込んだ。
いったいケビンという名の者は、どれほどの性豪なのだろうかと。もはや、開いた口が塞がらないほどの経歴の持ち主だと、ラバスを含めたジョン陣営の女性たちが一様に同じ感想を抱いてしまった。
「私の経験じゃないけど過去に見てきた状況で言うのなら、襲ったもん勝ちだよ。ケビン君だって抱く気のない人から襲われたところで、結局は欲望に負けてガッツリ抱いちゃうもん」
「性欲魔神降臨」
もう女性たちは押し黙るしかない。ケビンという人物については、性欲から生まれてきた異端児なのではないかと思うほどだ。
ラバスに至ってはジョンをあれだけ痛めつけた相手が、実は蓋を開けてみれば、ただの性に忠実なドスケベであることに驚きを隠せない。
そのような時に、ラバスはふと気になるとが頭に引っかかり、そのことをティナに尋ねた。
「あの……話を聞く限りでは、ケビンさんの奥様方はティナさんたち以外にもいるということですか?」
「うん、いるよ」
「数えきれない」
「村の単位は既に超えたよねー」
「賑やかで楽しいわ」
「……え……村?」
「現地妻とかもいるしね」
「セフレもいる」
「こう聞くと、本当に手当り次第な感じがするねー」
「子供たちもいっぱいいるわよ」
ラバスたちは何をどうリアクションすればよいのか、もうわからなくなってきた。それほどまでにケビンの女性関係は一般人の視点から見ても爛れていたのだ。
「だから、貴女たちも早くジョンさんを襲って既成事実を作っちゃいなよ。むしろ今夜にでも実行に移すべきね!」
煽りに煽るティナだが、それを見ているラバスたちは自信満々なティナの発言により、自分たちの常識がおかしいのだろうかと首を傾げてしまった。
ことここに至ってはティナの煽りを止める者がおらず、困惑気味のラバスたちも、次第にティナのハーレム推奨思考の影響を受けていくことになるのだった。
そして、チジョフの手練手管を教授されていくうちに、ラバスたちは無意識に前のめりの傾聴姿勢となっていき、いかにジョンをハーレムの主としての地位に就けるかの作戦行動を練っていく。
「これは予想外の展開かなー」
「チジョフ無双」
「ティナさんったら、エッチなことになると途端に元気になるわね」
クリスたちもラバスたちに対してアドバイス程度のことはしようとは考えてはいたものの、今となっては水を得たティナの独壇場となっており、直接的な指示を出していくティナの姿を眺めるだけの観客と化していた。
やがて、夕飯の準備に取り掛かるため女子会がお開きになると、調理組がいそいそと食事の準備をするためにこの場を後にする。
「とても為になるお話でした」
「頑張ってね、女は度胸よ!」
「はい! みんなで幸せを掴みます!」
ラバスとティナが言葉を交わすと、次なる作戦行動に移るべく、ティナはケビンの所へ向かう。それに伴い、サラたちやラバスも一緒になってケビンとジョンが話し合っている元の会議室へと足を運ぶのだった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ティナたちが辿りついた部屋にて、ティナは早速ケビンにお願いを申し出る。
「ケビン君、食堂を広くして欲しいの。今の広さだとみんなが入りきらないんだって」
いきなり戻ってきたかと思いきや、これまたいきなり他人の城を改造してと頼んでくるティナに対して、ケビンは呆れを通り越して沈黙していた。
だが、いつもならツッコミ役のニーナが「バカティナ」と言わないところを見ると、どうやら他の者たちも納得済みの案件であるらしいことをケビンは察する。
「うちの嫁がこんなことを言っているんだが、お前の城だからお前が決めてくれ」
「ラバスが何も言わないところを見ると、ラバスたちが頼んだかもしれねぇ。そこのところどうなんだ?」
ジョンがラバスにそう問いかけると、ラバスはそれが正解であるかのようにして頷いてみせる。それを見たジョンは、ラバスたちがどのような会話をしてきたのかはわからないが、敵対していた者に対して頼みごとをするほど打ち解けたのかと推測した。
そして、何をどうしたら食堂を広げることができるのかジョンには皆目見当もつかないが、ケビンの嫁であるティナがそう言って、更にはケビン自身もさしてなんでもないようなことかのように言葉を返していたので、とりあえずジョンは詳しいことは置いておくことにしてケビンに頼むことにしたのだった。
「内政の助言をしてもらった上で更にこんなことをしてもらうのは申しわけねぇが、頼めるか?」
「構わないぞ。夫婦円満の秘訣はある程度嫁の尻に敷かれることだ」
「経験者は語るってやつか」
「まぁな」
嫁たちと同じようにケビンたちも会話をすることによってある程度打ち解けていたのか、ジョンからは当初のような警戒している雰囲気が見られない。
それは会話の端々でも感じとることができ、ラバスはケビンを怒らせてしまいジョンを喪う可能性がなくなったことに安堵した。
「それではジョンさん、お客様を食堂にご案内しましょう? 客室の用意は他の者たちがしていますので」
「ああ、わかった」
それからジョンはラバスとともに、ケビンたちを食堂まで案内する。そして、案内された先の食堂を見たケビンは一般家庭からしてみれば明らかに広いが、配下の者たちと一緒に食事をするには確かに狭いだろうという感想を抱く。
そのような勘違いをしているケビンは一緒に食事を摂る配下の人数をジョンに尋ねたが、ジョンがその間違いを正すのだった。
「配下の連中とは一緒に食ってねぇぞ。一緒に食ってるのはラバスと義娘のラズベリー、あとは交代でこの城に住んでいる女性やその子供たちが参加してくる」
「配下の者たちは別なのか!?」
てっきり配下の者たちと交流を深めながら、一緒に食事をしているものだとばかり思っていたケビンがそのように返すと、ジョンから聞かされたのは先代魔王の時から、配下の者たちは別の部屋で食事をしているという常識である。
その常識を聞いたケビンは、軽くカルチャーショックを受けてしまう。
「マジか……」
そもそもケビンがその辺を全く気にしない一般的な常識から外れた感性の持ち主であり、本来は上に立つ者と一緒に食事をするというのは不敬にあたり、賓客などを除けばその親族だけに許されている特権である。
端から奴隷の身分であろうと使用人であろうと関係なく、みんなで一緒に楽しく食事をするという考えを持つケビンが世間一般の視点から見ておかしいのであり、ジョンの言っている方が正しいのだ。
「人族の国では違うのか?」
当然の疑問を抱いたジョンに対して、王侯貴族の一般常識を身につけているクリスが代表して答えた。
「人族の国でもそこは変わらないよ。国王や貴族家当主と一緒に食事をするのは、基本的にその家族だけだね。例外は賓客とかで、それ以外は恐れ多いこととして一緒に食事をすることはないかな」
それに異を唱えるのはケビンだ。
「でも、部下の労をねぎらって一緒に食事をしたりするだろ?」
「そういう時は賓客扱いだよ。常日頃から一緒に食事をするってことはないかな。ケビン君だって、毎日貴族の当主を呼んで食事とかしてないでしょ? 近場だとアルフレッドたちかな」
クリスから実例を伴い諭されたことによって、ケビンはぐうの音も出ない。確かにケビン自身も、毎日部下を呼んで食事会を開いているわけではなかった。大抵の場合は何か特別なことがあった日にだけ、近場にいるアルフレッドたちを招いているだけだ。
「ということで、ケビン君。サクッと広くしちゃって」
クリスから促されたことにより、ケビンは改めて一緒に食事をする人数をジョンに尋ねてから、空間魔法を使い相応の広さを保つ食堂に拡張した。
すると、その光景を目にしてしまったジョンは、魔法の凄さを改めて感じるとともに、これだけ広くしてしまったら隣接する部屋はどうなっているのかが気になり、ケビンたちを置いて隣の部屋の確認に向かうのだった。
そして、それは半信半疑でティナから聞いていたラバスも同様であり、ジョンの後を追いかけて食堂を出ていってしまう。
「いったいどうなってやがる!?」
開け放たれたドアの向こう側から聞こえてくるジョンの驚く声に、クリスがさもありなんと言わんばかりに口を開いた。
「まぁ、普通はこうなるよねー」
ケビンのとんでも魔法に慣れてしまっている嫁たちは今更驚くことはないが、それを初体験しているジョンたちのテンションに僅かばかりの懐かしさを思い出していたのであった。
それからジョンが興味津々でラバスを隣接する部屋に残し、食堂に戻ってきてはラバスがいる部屋の壁側を叩いてみたりして検証していると、やがて夕食ができあがったのか女性が報告のために食堂へやって来た。
だが、報告に来た女性は部屋に入るなり固まってしまう。何故なら、女子会にて話には聞いていた部屋の拡張ではあるが、女性が考えていたのはあくまでも魔法の力によって、少しだけ部屋が広くなるというものだったからだ。
しかし、蓋を開けてみれば少しだけの範囲など優に超えるだだっ広い部屋が視界いっぱいに広がっている。
「え……え……?」
そして、呆然と立ち尽くす女性にティナが近寄り用向きを尋ねると、それを聞いたティナはこの場にいる面々へその内容を女性の代わりに伝えた。
その後は、ジョンが伝えに来た女性へ食事に参加する者たちを集めるように言うと、それと並行して食事の準備も進めるように指示を出していく。
それから時間が経つにつれ、ぞろぞろと女性たちや子供たちが食堂に入って来ると、みんなしてまずは呆けるというなんの捻りもないリアクションを取り、そのまま風景の一部と化していく。
だが、このままでは埒が明かないと思い至ったジョンが、呆けている面々を正気に戻しては席に座らせていき、何故か女性たち中心ではなくジョンが中心となって食事の準備を進めていくのだった。
そして、テーブルの上にそれぞれの食事が配膳されていき、給仕をしていた女性たちも席に座ることによって、それを見届けたジョンが口を開く。
「今日は急遽客人を招くことになったが、見てわかる通りでその客人のおかげで食堂も広くなり、みんなでメシを食えるようになった――」
食堂が何故広くなったのかという理由から始まり、ジョンの言葉は続いていく。そして、ケビンと内政について話していた裏側で、女性全員による女子会が開かれていたことなど知らないジョンは、この場を使ってケビンたちのことを紹介した。
対してラバスやお茶を運んだ人を除く女性たちは、ケビンと会うのは初めてだがその嫁たちとは既に女子会で自己紹介を交わしており、初めて会ったかのような演技をしていた。
そのようなおかしな場面も見受けられたが食事は談笑も交えてつつがなく進んでいき、頃合となったところで解散となるのであった。
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Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
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