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第17章 魔王軍との戦い

第589話 女性の買い物を待つ苦行と試練R

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 ケビンが弥勒院みろくいんとのデートを終えたあと、次に向かったのは仲良し3人組のところだ。ケビンの中では姪っ子である結愛ゆあたちが1番の難関であり、それ以外の勇者嫁たちは比較的怒っていなかったので当然の行動とも言える。

「おーい」

 ケビンが月見里たちを見つけて後ろから声をかけると、月見里がビクッと反応を返し、猫屋敷は普通に振り返り、龍宮はキラキラとした瞳付きで振り返る。

「うさぎ、どうかしたの?」

 何故だかビクビクしている月見里を訝しみケビンがそう尋ねると、猫屋敷がその理由を答えた。

「うさぎちゃんはケビンさんからのお仕置きが怖いにゃ」

「お仕置き?」

 ケビンがそのことを考えてみても、自分が怒られる側なので理由がさっぱりわからない。

「コスプレパーティーにゃ」

「……ああっ……あぁ、あぁ、アレね。すっかり忘れてた」

 ケビンが忘れてたと口にした時に、月見里は猫屋敷が喋らなければそのまま流れていたかもしれないことを思うと、猫屋敷の口の軽さにジト目を向けてしまう。

「ところでケビンさんは、私たちに何かご用事があるのですか?」

 龍宮がそのように問いかけると、ケビンは置き去りにしたお詫びをしにきたことを説明していく。すると、猫屋敷が「デートにゃ!」と言ったことにより、ケビンは3人組を引き連れてデートに行くことになるのだった。

 そしてやって来たるは帝都の城下町。3人は以前のデートとは違うコースをケビンに希望していた。

「今日は服でも見に行くか? 女子はそういうの好きだろ?」

「服にゃ!」
「服と言えば【パロナプ】ね」
「楽しみですね」

 行き先が決まってしまえば後は突き進むだけ。月見里たちはケビンを取り囲むとパメラたちが働いている【パロナプ】へと足を運ぶ。

 そして、店に到着したケビンがドアを開き、ドアに付いた鈴の音が鳴ると、接客係が元気に声を上げる。

「いらっしゃいま……って、ケビンじゃん! 何しに来たし」

 その接客係は【パロナプ】でバイトをしている百鬼なきりである。ちなみに一緒に働く千喜良や千手までいる。千喜良は百鬼なきりと同様に借金返済のためだが、千手の場合は百鬼なきりのお目付け役という部分が大きい。

夜行やえちゃん、お客様にそういう態度は良くないよ」

「お客様って、ここは女性専門店っしょ。ケビンは男だし」

「馬鹿ね……後ろに月見里さんたちがいるでしょ? ケビンさんはエスコート役よ」

「皇帝が防寒役とか、マジウケる!」

 千手の言葉を聞いた百鬼なきりがそのように言うが、この場にいる者たちは百鬼なきりが何を言っているのか意味がわからずに、一様にキョトンとしてしまう。

夜行やえちゃん、ぼうかん役ってなに?」

 千喜良はさすがに“ぼうかん”が“暴漢”を指した暴言ではないだろうと、その言葉を口にした百鬼なきりを信じるが、それでも意味がわからないので百鬼なきりに問いかけたのだった。

 すると、百鬼なきりは「防寒役」と言った理由を答える。

「ケビンはSコートなんしょ? 寒い時期の風よけとして使うって感じじゃないの? なんせコートなんだし。あっ、Sってことはスーパーコートじゃん! 暖かい風とか出せるんじゃね?」

「「「「……」」」」
夜行やえちゃん……」
夜行やえ……」

 百鬼なきりのおバカさ加減にケビンたちは言葉を失い、千喜良や千手は我が親友のことながら呆れ果ててしまう。

 だが、百鬼なきりがこのまま勘違いで言葉を覚えておくことを良しとしない千手は、“エスコート”が何なのかを百鬼なきりにもわかるように説明していく。

 それによって百鬼なきりは、ケビンが何のためにここに現れたかを知るのだが、自分の勘違いは棚に上げたままとなる。

「え、ケビンたちデート中なわけ? うちが働いてるのに?」

「3人はケビンさんの奥さんになったんだから、デートをしていても普通のことでしょ。それに夜行やえが働いていようといまいと、関係のないことじゃない?」

「いやいや、うちが汗水流して働いてんのにズルくね?」

「それなら夜行やえもバイトが休みの日に、誰かが働いている場所でデートをすればいいだけの話でしょう」

「誰と?」

「三下なら暇してるぞ」

「三下ぁぁぁぁ!」

 つい横から口を挟んだケビンの言葉に対して、千喜良がお決まりの復唱をし、それを聞いた百鬼なきりはすぐさま反応を返す。

月出里すだちとかマジ無理だし! アレが彼氏とかマジありえねーし」

「本人の知らないところで振られてるぅぅぅぅ!」

「千代だって無理っしょ?」

「馬鹿猿は無理ぃぃぃぃ!」

「私もパスね……全く成長が見られないし」

「またしても3連ぱぁぁぁぁい!」

 図らずも月出里すだちの預かり知らぬところで、本人が告白をしてもいないのに振られてしまうと、それを聞いていた猫屋敷たちもしれっと思いを口にしていく。

「私もフリーだったとしても無理にゃん」
「私も無理ね」
月出里すだち君は生理的に受け付けませんね」

「新記録達成で6連ぱぁぁぁぁい!」

 さすがにここまで女子に嫌われるのは如何なものかとケビンは感じてしまうが、その原因となる引き合いに出してしまった責任も少しだけあるので、月出里すだちに対してちょっぴりだけ、罪悪感を感じてしまいそうになってしまう。

 だが、百鬼なきりにとって月出里すだちの評価がどうであろうと、どうでもいいことのように自分のことを優先するのだった。

「で、うちは誰とデートすればいいし?」

「男子の中に好きな人はいないの?」

「いないし。ってゆーか、あいつらヤれれば誰でもいいわけじゃん? 初対面の奴隷とその日のうちにヤってるなんて、そんな奴らに普通はときめかないっしょ」

 百鬼なきりはどうやら召喚された日の夜に、男子たちが奴隷に手を出したことを忘れておらず、男子の評価が下がったままの状態のようだ。

「じゃあ、ご主人様とデートは?」

「ケビン?」

 千喜良によってケビンが引き合いに出されると、百鬼なきりはケビンを見つめて首を傾げるが、引き合いに出されたケビンも同じように首を傾げてしまう。

「男友達と遊ぶ感じ?」

「奢ってとせがんでくる近所の悪ガキ?」

 どうやら2人にとっては、お互いにデートをしているという状況が想像できないらしい。

 そして、そのような評価を下す百鬼なきりに千喜良や千手は呆れてしまうが、百鬼なきりは呆れられてしまったのが納得いかないのか、2人はどうなのかと問いかけた。

 すると、その問いかけに答えた千喜良は尻すぼみとなり、逆に千手は淡々と答える。

「わ、私はご主人様ならいいかなって……や、優しいし……」

「私も嫌じゃないわね。男子と違って落ち着きがあるし」

「千代だけじゃなくて奏音かのんも好きなわけ!?」

 傍目から見ても好きなのがバレバレな千喜良だけではなく、百鬼なきり評価で冷静に物事を考える千手までもが明言してないにしろ、それを匂わせるような発言をしたために百鬼なきりは驚きを隠せない。

 そして、そのように言われてしまった千喜良は顔を赤らめて俯くが、逆に千手は平然としていたのだった。

 そのような時に店の奥の作業スペースからパメラが姿を現した。

「ヤエさん、あまり騒いではお客様に……って、パパ!?」

「よっ、パメラ」

 ケビンが奥から現れたパメラに軽く手を上げると、パメラの声が聞こえたのか他にもロナやナターシャ、それにプリモがあとから姿を現した。

「「「パパだ!」」」

 そして、義娘兼嫁に群がられるケビンは子供たちはどうしたのかと聞くと、奥の部屋にて夢中になって玩具で遊んでいると伝えたのだった。

 そのような会話を交わしているケビンを、百鬼なきりは指さししながら千喜良に話しかける。

「千代はアレがいいわけ? 娘に手を出してるじゃん!」

 百鬼なきりはケビンとパメラたちが親子関係にあることを知っており、親友にそのことを必死に伝えるのだが、千喜良はどこか達観した感想を口にする。

「ご主人様って奥様方があまりにも多いから……なんかそれを知ってしまうと、親子関係とか些細なことかなって……」

「いやいやいや、千代毒されすぎっしょ!」

「でも、実際には千代の言う通りよ。お嫁さんの数が多すぎて、そっちの方で圧倒されてしまうもの。それに比べたら親子関係なんて、インパクトが少ないのよね」

 千喜良の意見に同意するかのように千手までもがそう言うと、百鬼なきりは1人で『おかしいのは、うち?』という思考が頭をめぐり、悩み始めてしまう。

 そして、百鬼なきりが頭を悩ませうんうんと唸っている間に、他の者たちの話は進んでしまったようで、月見里たちは服や下着類を見るためにそれぞれ散らばっていく。

 その間のケビンはただ待つだけのお仕事なので、店に置いてあるイスに腰掛けると、月見里たちの気の済むまでひたすら待つという苦行に挑む。

 そのケビンの視線の先では、女子特有のキャピキャピとした光景が繰り広げられており、あーでもないこーでもないと議論が沸き起こっている。

 そのような時間を過ごしていたケビンだったが、ここで予想通りというか確定事項とも言える試練が舞い込んできた。

 それは、彼女・妻持ちなら誰しもが経験したのではないかという、待つだけの苦行を超える壮絶な男の試練だ。

「ケビンさん、どっちがいいと思いますか?」

 第1の試練は龍宮が用意したようである。その龍宮の手にはデザインはさほど変わらないが、薄い緑を基調とした服と水色を基調とした服がそれぞれ掲げられていた。

(ここで判断を間違えるわけには……)

 たとえ嫁が沢山いるケビンでも、こればかりは経験値が足りない。何故なら今までのケビンの嫁たちはケビンの嗜好に合わせて服選びをするので、「どっちがいい?」というイベントはほとんど起きないのだ。

 だが、今回のデート相手は現代人確たるやという本質を持つ、地球育ちの日本人。そこには憧れのデート内容というものを、情報誌から多数入手している手強い相手となる。

 当然のことながら、ケビンに女性の嗜好を理解するなんてテクニックはない。しかも相手は付き合いの短い新妻だ。ケビンには圧倒的に情報が足りない。

 ただし、ケビンの持つ鑑定スキルを使えば、相手の考えは手に取るようにわかるのだが、基本的に必要時以外は鑑定を使わない。相手の思考がわかってしまうというのは、人生の彩を消してしまうという持論からだ。

(何かの雑誌で見たことがある……こういう時は、大抵女の子の中ではどっちの服がいいかなんて既に決まっている。ただ、彼氏に同じ服を選んで欲しいというエゴだ)

 ケビンは悩む。ひたすら悩む。

(思い出せ……乙姫はいつもどのような色合いの服を着ていた? ここで間違うと後に控える試練にも影響を及ぼしてしまう……)

「ケビンさん?」

 不意に龍宮からかけられた声によって、深い思考に陥っていたケビンが現実に引き戻される。

(南無三……)

 そして、緊張感溢れる中でケビンが口を開く。

「どっちも乙姫には似合うと思うけど、あえて選ぶとするなら水色の方が乙姫の魅力を際立たせるかな」

(さぁ、どうだ!?)

 ケビンが平静を装ったまま龍宮の顔色を窺っていると、龍宮からニンマリとした笑顔がこぼれる。

「ケビンさんならこっちを選んでくれるって思ってました!」

(よっしゃー! 天は我に味方した!!)

 ケビンは二者択一という試練を見事乗り切り、表面上は平静を保ったままで心の中では歓喜していた。

 だが、第2の試練は既に用意されていたのだ。

「ケビンさんはどっちが好きかな?」

(ぐはっ……間髪入れずに次の試練だと!?)

 第2の試練として、両手に服を持って現れたのは月見里だ。

(考えろ……考えろ、俺! うさぎは一見、俺の好みを聞いているようにも思える。だが、それは罠だ! あの言葉には裏が隠されているはずだ。きっと『私はこっちが好きなんだけど』という思いが隠されているはずなんだ! シンプルに俺の好みを聞いているとは思えない!)

 ケビンは悩む。先程以上に悩み続ける。

 そして機は熟した。

「し……白の方がうさぎの清楚さを更に際立たせると思うから、俺は白の方が好きかな」

(頼む、神よ!)

 ケビンが心の中で祈りを捧げていると、ソフィーリアにその祈りが届いたかどうかは知らないが、月見里は満面の笑みを浮かべて口を開いた。

「やっぱりケビンさんもこっちがいいと思ったんだね!」

(やっぱり罠が隠されていたぁぁぁぁ!)

 ケビンが単純に自分の好みではなく、月見里が選びそうな色を選択したことによって、第2の試練は無事に終わりを迎えることができたのだった。

 そして、それからもケビンは幾度となく試練に立ち向かい、女性の買い物時間は長いということを身をもって体験する。

「ケビンさん」

(休ませてくれぇぇぇぇ!)

 夕刻、既に精魂尽き果てそうなケビンが再び声をかけられたことにより、精神疲労の回復時間をつい口にしそうになったが、そこはグッと堪えて心の中だけで叫び、声をかけてきた本人を目にした。

「右っ、右で!! それ以外ありえない!」

 だが、ケビンは猫屋敷が持ってきたものを視界に入れた瞬間、今まで体験してきた苦悩の時間はなんだったのかというくらいに即答した。

「……エッチにゃん」

 そう。ケビンが即答できたのには理由がちゃんとある。

 猫屋敷が手に持ってきたのは、上下セットとなったシンプルな白の下着と、青と白のボーダーで同じく上下セットとなった下着だったのだ。違う点と言えば、柄もそうだがボーダーの方は下が紐で結ぶようになっていた点だろう。

 それを見たケビンは『縞パンひゃっほい!』の精神によって、見た瞬間に即答できたということなのだ。『紐であるところがなおいい!』という考えも持ち合わせていたが。

 それからの試練は、今までの苦労が報われたのかケビンにとってとても有意義な時間となる。

 それは猫屋敷が下着をケビンに選んでもらったことにより、後に続けと言わんばかりの勢いで龍宮が下着を持ってきて、恥ずかしがる月見里も猫屋敷のサポートによってケビンに下着を持ってきたのだ。

 それによりケビンは女性の嗜好を考えるという行動は一切せずに、独断と偏見による自分好みの下着を次々と選んでいく。

 こうしてこの日のショッピングは、ケビンにとって全体的に苦労の連続ではあったものの、最後にはご満悦の結果となりデートを終了するのだった。

 その日の夜、ケビンは寝室で今か今かとその時を待ち焦がれていた。

 そして、ケビンが待ち焦がれていると、控えめのノックとともに月見里たちが姿を現す。だが、月見里たちが中に入ると、その背後から別の女性たちも入ってくる。

「やっぱり無理だよぉ……」
「こういうのはノリが大事にゃ」
「最高のご奉仕ではないですか」

 部屋の中へと入ってきた月見里が既に挫けそうになっているのだが、それを猫屋敷と龍宮が宥めつつグイグイと後ろから、ベッド脇に立つケビンの近くまで押していく。

「こういうのは初めてぴょん」
「先輩嫁としてリードするにゃん」
「ご主人様にも困ったものだわん」

 それを微笑ましく見ているのは、ケビン曰く“三獣士”である兎人族のジェシカと猫人族のミケイラ、それに狼人族のウルリカだ。

 その嫁たちは6人が6人ともガウンを着ており、月見里に至ってはそのガウンが最後の砦と言わんばかりにしっかりと前を閉めて、自分の体を抱きしめていた。

「それじゃあ、うさぎとジェシカから」

 ケビンの声によって月見里がビクッと身体を震わせると、ジェシカが月見里の背に周り1歩前へ進ませる。

「さぁ、ウサギ。こういうのは後に回れば回るほど恥ずかくなるぴょん」

「……うぅぅ……」

 そして、観念したのか月見里が顔を横に向けてケビンを視界に入れないようにすると、ガウンの紐を解き、ゆっくりと脱いでからそのまま下に落とした。

「恥ずかしすぎる……」

 ケビンから見る月見里は横顔ではあるものの顔は赤く染っており、かなりの羞恥心に耐えているかのように見える。

 その姿にケビンが感嘆としていたら、月見里の隣に移動したジェシカが同じくガウンを脱いだ。

「素晴らしい……」

「変態だよぉ……」
「ご主人様だから仕方がないぴょん」

 その2人の姿はスクール水着に身を包んでおり、胸のところには当然のことながら【うさぎ】と【じぇしか】のネームワッペン入りである。

「この歳になってスクール水着を着るなんて……」
「ソフィーリア様の御力は凄いぴょん」

 そう。今回の衣装のプロデューサーは何を隠そうソフィーリアである。こういうものを創らせたら、ケビン以外で右に出る者はいないという程の徹底ぶりだ。

「俺からうさぎにプレゼントだ」

 そう言うケビンが月見里の前まで来ると、【無限収納】から取り出したウサミミカチューシャを月見里の頭に取り付ける。

「うっ……」

 まさか月見里もウサミミを付けられてしまうとは思わずに、満面の笑みになったケビンを見て引いてしまうのだった。だが、ケビンがここで終わるはずもない。

「語尾には“ぴょん”だからな?」

「う……うそよね?」

 ニヤリと悪い笑みを浮かべるケビンを見てしまった月見里は、背中がゾクゾクとしてしまい、逃げ道がないことを本能的に感じ取ってしまう。まさに気持ち的には蛇に睨まれた蛙だ。

「慣れれば問題ないぴょん」

 元祖ぴょん付けのジェシカがそうフォローを入れるも、月見里としては名前が“うさぎ”であることから、全然救われた気がしない。

「恥ずかしくて死んじゃう……」

「ぴょんだ、ぴょん」

 そう励ますジェシカであるが、月見里の瞳は今にも羞恥心で泣きそうだ。

「…………ぴ…………ぴょん……」

 消え入りそうな声で月見里がそう口にすると、ドSなケビンは羞恥心いっぱいの月見里に満足がいったのか、次なる者へと声をかける。

「次は寧子ねねとミケイラだな」

「任せるにゃ!」
「準備万端にゃん!」

 羞恥心いっぱいの月見里とは違い、慣れているミケイラとは別で猫屋敷が余裕満々なのには理由がある。

 ケビンから呼ばれて2人がババっと勢いよく脱いだガウンの下からは、月見里と同じようなスクール水着ではなく、なんと冬服バージョンのブレザーが姿を現した。

 はっきり言って月見里とは違い、2人はただ学生服を見せているだけの状態なのだ。スクール水着の月見里とはハードルの高さが段違いである。

寧子ねねへのプレゼントはこれだ」

 月見里と同じように猫屋敷にもプレゼントを渡すケビンだが、その内容は言わずもがな。ウサミミに引き続き、今度はネコミミとなる。

「これでミケイラさんとお揃いにゃ」
「まだ揃ってないにゃ、しっぽがないにゃん」

 月見里・ジェシカ組とは違い、和気あいあいとお喋りしている猫屋敷・ミケイラ組を他所に、ケビンは最後の2人へ声をかけた。

「最後は乙姫とウルリカだ」

「はい、とくとご覧下さい」
「ご主人様は業が深いわん」

 こちらもまた余裕の表情でガウンを脱ぎ去る。

 それもそのはず。ウルリカは嫁暦が長いのでケビンの要望には慣れており、隣の龍宮に至っては尽くしデレを極めて?いるのだ。ケビンの要望には一も二もなく叶えることを、当然のこととして考えている。

 その2人の衣装は体操服となっていて、当然のことながら胸には【おとひめ】と【うるりか】のネームワッペン入りで、下はケビン好みのブルマーをはいている。

「乙姫にはこれをプレゼントする」

 相も変わらずケビンが渡すのはウサミミ、ネコミミと続いて、今度はイヌミミだ。だが、ただのイヌミミではウルリカが反応してしまうので、ウルリカっぽいオオカミ風に変えてある。

「ありがとうございますわん!」

 なんの抵抗もなく語尾に“わん”をつけてしまう龍宮を見た月見里は、その親友の姿に戦慄してしまった。あそこまで羞恥心を捨てられるのだろうかと。

「あー、それとうさぎたちに伝えておくがそのケモ耳カチューシャは、装備者が望まない限りどんなに激しく動いても外れないからな」

 そうケビンが説明をすると試してみようと思ったのか、猫屋敷は頭を下に振り下ろしカチューシャがズレないかを確認していた。

「本当にゃ! 落ちないにゃ!」

 猫屋敷がカチューシャの凄さに驚いていると、ケビンは満を持して今宵のパーティーを開催するのだった。

「人族と獣人族の夢のコラボが今ここに! 欲望のままに性を謳歌して何が悪い! コスイメプレパーティーの開催だ!」

「…………」
「気合い入ってるにゃ」
「頑張って尽くしますわん」
「たっぷり愛してもらうぴょん」
「イケイケにゃん」
「ハメを外しすぎないようにだわん」

 はっちゃけてしまっているケビンに対し、月見里はジト目を向けているが他のメンツはヤる気に満ち溢れている。

 そして、1人ノリの悪かった月見里がケビンの毒牙にかかってしまう。

「月見里、まずは君から指導を始める」

「指導? ケビンさんなに言ってるの?」

「語尾には“ぴょん”を付けるんだ! それに俺のことは先生と呼びなさい!」

 何故か先生になりきっているケビンが戸惑う月見里の手を引き、ベッドの上へと連行する。

「ちょ……ケビンさん!?」

「先生だ、先生! それと1時限目はプールだ!」

「……はい?」

 状況を飲み込めない月見里がキョトンとしている間に、ケビンは月見里を押し倒し、うつ伏せで寝かせた。

「まずはバタ足の練習だ!」

「え……え……!?」

 ケビンは月見里をそっちのけで、月見里の足を掴むとバタ足をさせるようにして上下に動かし始める。

「あの……ケビンさん?」

「先生だと言っただろう! 何度言えばわかるんだ!」

 ケビンが執拗く“先生”を強調するので、月見里は諦めたのかケビンを先生と呼ぶことにすると、何故か意味もわからずやらされているバタ足を続けていく。

 そして、自発的にバタ足をするようになった月見里を見たケビンは、指導にかこつけて月見里のお尻を触り始めた。

「ちょっ!? 先生、どこ触ってるんですか?!」

「ぴょんを付けなさい! 先生は大臀筋の具合を確かめているだけだ」

 あくまでも指導と言い続けるケビンだったが、その触り方は既に指導の域を超えている。

「ちょ……先生……んっ……」

 お尻を執拗に触られていく月見里の秘部に変化が訪れると、ケビンはそれを見つけて問いただすのだった。

「月見里! 何故ここが濡れている?!」

「ぬ……濡れてなんか……あんっ……」

「そこまで言うなら先生が確かめてやる!」

 そう言うケビンは月見里の水着をずらしてしまうと、顕となった秘部に指を這わせて確かめ、挙句の果てには指による挿入を繰り返すのだった。

「濡れてないなら、何でこんなにびちゃびちゃと音が鳴るんだ!」

「あっ、あっ……先生、ダメ……」

「嘘をつく生徒にはお仕置きだ!」

 ケビンはサクッと着衣を【無限収納】の中にしまうと、月見里のお尻を突き出させいきり立つ愚息を秘部に宛てがう。

「ダメっ、先生! それだけはダメっ! 私、初めてなの!」

「問答無用!」

 そして、ケビンは一気に月見里の膣に愚息をぶち込んだ。

「ああああぁぁぁ――!」

 そのままストロークを始めたケビンによって、ジュプジュプと卑猥な音が響きわたる。

「いやぁ、抜いてぇ……それ以上突かないでぇ……」

「ぴょんを付けろと言っただろ! このダメうさぎめ!」

「激しい……先生激しいぴょん……うさぎが壊れちゃうぴょん……」

 そして、どんどんと加速していくケビンの攻めによって、お互いに絶頂の波が押し寄せてくる。

「もう出そうだ、出すぞ! 月見里の中に出すぞ!」

「ダ、ダメっ! お願い、中にだけは出さないでぴょん! それ以外なら何でもしていいぴょん!」

「もう遅い! 出る!」

「ダメぇぇぇぇ――!」

 ケビンの子種がどくどくと中に注ぎ込まれていき、月見里はビクビクと小刻みに痙攣を繰り返し、そのかけられている感触を感じ取っていた。

「ぁ……出されちゃったぴょん……赤ちゃんができちゃうぴょん……」

「1回出したくらいで簡単にできてたら、少子化にはなってない!」

 そう言ってケビンが愚息を抜き取ると、ずらされていた水着が元に戻ろうとして、中途半端にくい込みながら秘部を隠し、まるで白濁液が流れ出すのを阻止しているようであった。

「……マーベラス」
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