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第17章 魔王軍との戦い
第567話 エレフセリア学園 ~武闘会~ ⑧
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コミカルな部分はあったものの席に座り落ち着いたところで、満を持して四の解説が始まる。
「あれは見ての通り持ち手が中央部にあり、両サイドが剣となっている扱いにくい武器でありますな。簡単に言うのなら、長剣2本を柄尻でくっつけたら見た目はどうであれ、擬似的な両剣にはなるかと。武器の振り回しの際、棒術のように自身に当たっても打ち身程度では済まされないため、取り回しに注意する必要があるのであります」
「確かに……自分の武器で自身を傷つけたら元も子もありませんね」
「その分長剣とは違い、本来あるべきのない部分に刃がついているため、取り回しには苦労するものの、手数のレパートリーが増えるであります。小生もあの武器には憧れがありますが、扱いが難しいため断念したであります。もとより小生は生産職ゆえ」
そして舞台では、左右対称に両剣を構えるフェリシアたちと、長剣を構えるヴァレンティアたちが相対する。静寂する舞台の上でヴァレンティアたちの顔つきが一際緊張に包まれていると、フェリシアたちの姿が掻き消えた。
「「――ッ!」」
背筋を伝う嫌な予感がした2人は、咄嗟に長剣を横にして頭上に構えた。そのヴァレンティアたちの判断は正しく、金属のぶつかり合う音でそこに攻撃を受けたことを後から認識する。
「レティナ!」
「レティア!」
ヴァレンティアは妹のヴァレンティナが“ティナ”と呼ばれるのを嫌がる傾向にあるため、ヴァレンティナを呼ぶ時はいつも“レティナ”と口にしているのだが、ヴァレンティナはヴァレンティナで、ヴァレンティアのことをその呼び方を真似して“レティア”と呼んでいる。
その2人がお互いに呼びかけ合うと、言葉はいらないとばかりに示し合わせたかのようにして、フェリシアたちに至近距離からの魔法を撃ち放つ。
しかしながら、ヴァレンティアたちはフェリシアたちのように無詠唱とはいかず、魔法名を口にしなければならないので、それが無詠唱相手にとっては僅かな時間であっても、次の行動を取るための判断時間となりえるのだ。
よって、ヴァレンティアたちの魔法は空振りとなり、既に間合いを開けていたフェリシアたちは何処吹く風と余裕綽々である。
「フフン――」
「私たちに死角はない――」
「「にゃ!」」
どこまでも遊び心を忘れずにいる2人だが、そのような姿を見せつけられてもヴァレンティアたちは気を緩めず、目の前に立つフェリシアたちを最大限に警戒する。
「「《ミラージュ》」」
ヴァレンティアたちが魔法を使うと、ヴァレンティアたちの姿とは別にもう1人ずつのヴァレンティアたちの姿が現れる。
「おぉーっと! ヴァレンティアさんたちが増えたぁぁぁぁ! これはいったいどういうことなんでしょうか!?」
「ふむ、ミートソーススパゲティをおかわりだ!」
「聞いてねぇぇぇぇ! ネーボさん並みに使えねぇよ、この人!」
「ネーボなら『あとは任せた』と言って帰ったぞ」
「帰ったぁぁぁぁ?! あんたらどこまで自由なんだ!?」
「冒険者なんだからもとより自由だ」
ヨルスは決してそういう意味合いで言っているのではないが、九十九に対してまともな会話をするというのがそもそもの間違いではある。
そして、我が道をゆく九十九に対しヨルスのツッコミが冴えわたるのだが、よもや寝ていてばかりのネーボが既に帰っているとは知らず、それに対して気づかずにいたヨルスは、もうてんやわんやである。
「フッ……これは助っ人を呼ばずにはいられないな」
そのような時に、キリ顔でそう呟いたのは九だ。
「我が呼び声に応えよ! 親愛なる友人、【深淵の超越魔導師】のサラメ!」
九がそう声高に叫ぶと、四の時のようにスパーンと小気味良い音が響きわたり、ハリセンを片手に持つ十が姿を現した。
「晶子! 恥ずかしいからそれはやめてって言ってるでしょ!」
「痛いよ……桜梅……」
頭をスリスリとしながら涙目で訴えかける九であったが、隣にいた四がヨシヨシと慰めながら、十に状況を説明する。
そこへ遅れてやってきた一が十を宥めつつ、無駄に場所を取っている実況席に座らせると、その後からゾロゾロと百武・大艸ペアや、猿飛・服部ペアも姿を現した。
「何だ、このリア充密度は!? 私への当てつけか? 当てつけなのか?!」
興奮するヨルスを他所に猿飛がそれを宥めると、魔法に詳しい十に解説を頼むのだった。
「あの《ミラージュ》は光属性の1種で、本来はソウスケやヒスイの使う変わり身の術と似たようなものよ。だけど、ティアちゃんたちがしているのは、そこから更に一段階上げた分身のようなものね」
「なるほど……拙者たちで言う分身の術ということでござるか」
今まさに舞台の上ではフェリシアたち双子と相対しているのは、ヴァレンティアたち双子プラスそれぞれの分身だ。もはやその姿は4つ子と言っても過言ではないくらいに、姿かたちが似通っている。双子がベースなので当たり前ではあるが。
「本来は事前に唱えて囮にする使い方をする魔法だから、ある意味で幻惑魔法に似たような性質もあるんだけど、あれはこめる魔力を増やすことによってある程度実体化をさせているみたいね」
「囮でござるか……」
「そうよ。一般的な《ミラージュ》は詠唱を必要とするのだし、戦闘中だと使えないでしょう? 【詠唱省略】で魔法名のみなら戦闘中でも使える要素はあるけど」
「確かに……しかし、囮にしか使えない魔法を実戦投入するとは、さすがケビン殿の娘でござるな」
「腐ってもダークエルフの血を引く者ということよ。本来は実体なんて持たなくて、すり抜けるだけの身代わりなんだから」
そのような解説を行う十のおかげで、猿飛たちはもちろんのこと、観客たちも如何にヴァレンティアたちが凄いことを成し遂げているのか把握できてしまう。
そして、その言葉を裏付けるかのようにして、舞台では《ミラージュ》で増えた分身たちが、本体とともに果敢にフェリシアたちに挑んでいる。
「これは困ったぴょん」
「4対2は卑怯だぴょん」
フェリシアたちは思いがけない反撃に慌てているようでありながらも、どこか言葉は焦っている感じには見受けられないので、まだ余力を残しているとも感じ取れる。
「これは魔法」
「だから2対2のまま」
だが、フェリシアたちに卑怯だと言われたヴァレンティアたちは反論し、最初の頃とは違ってフェリシアたちを追い詰めていく。その苛烈さ極まる剣閃の嵐は、一瞬たりとも油断のできない熾烈さを見せつけている。
フェリシアたちを追い詰めるヴァレンティアたちの、鳴り響く剣戟の音を耳にする観客たちも『もしや……』と思い、クラウスに引き続きフェリシアたちも初の敗北を手にするのではないかと、この戦いの行方を見守っている。
そして、その時は訪れた。
両剣で上手いこと捌いていたフェリシアたちだったが、ヴァレンティアたちが時おり放ってくる魔法で不意に体勢を崩してしまい、ここが決めどころだと判断したヴァレンティアたちは分身たちとともに、それぞれ相対するフェリシアたちの前後から決め手となる剣閃を叩き込む。
「もらった」
「終わり」
次の瞬間、ガキンという金属のぶつかり合う音が鳴り響き、目の前の光景にヴァレンティアたちは目を見開いて驚愕する。そしてそれは、観客たちも同様であった。
そして、シンと静まり返った会場において、フェリシアの声が響きわたる。
「一体いつから――――」
それに対していち早く反応したのは、何を隠そう【オクタ】の男子メンバーと九である。
「「「「「まさかっ!?」」」」」
そのリアクションをチラ見したフェリシティが、満を持して口を開いた。
「――――【双子の両剣】が1本物だと錯覚していた?」
「「「「「キターーーー!」」」」」
【オクタ】メンバーの一部が歓喜絶叫している中で、決まったとばかりにフェリシアたちがドヤ顔をしていると、言葉の真意が理解できないヨルスが別の興奮を見せながら実況を始める。
「なんとぉぉぉぉっ! 1本物だと思われていた両剣が、半分でわかたれて2本になったぁぁぁぁ! というか、その両剣に【双子の両剣】という名前がついていたことに驚きを隠せません!」
興奮するヨルスの言うように、フェリシアたちは【双子の両剣】の中央部から分離して、1本物だと思われていたものを2本にして双剣にしてしまっていたのだ。
それにより、絶好のチャンスだと思われていたヴァレンティアたちの挟撃は、双剣となった【双子の両剣】によって防がれていたのだ。
呆然としていたヴァレンティアたちも驚きを隠せずにいたが、ヨルスの実況により我に返ると仕切り直すために間合いを開いた。
「何でそんなに凄い武器があるの?」
「絶対にシアシティのお小遣いじゃ買えない」
ただの武器なら貯めたお小遣いで手の届く範囲ではあるものの、珍しい両剣な上に半分からわかれて双剣になる仕掛け付きである。ちょっとやそっとじゃ手が出せない代物であるのは、ヴァレンティアたちにも理解ができていた。
だが、そのようなヴァレンティアたちの疑問に答えたフェリシアたちの回答は、思いもよらぬものである。
「パパにお願いしたら許可くれたよ」
「出来上がったら代わりにお金を払っておくって」
「「えっ!?」」
「それでドワンおじさんにお願いしたんだよ」
「ドワンおじさんも面白そうだってノリノリだった」
まさかフェリシアたちがケビンに対してオネダリしていたとは露知らず、ヴァレンティアたちは信じられないという顔つきで、皇族専用席にいるケビンに視線を向けた。
そのような暴露話があったためか、スカーレットもケビンに視線を向けると、ことの真偽を確かめるのだった。
「ケビン様? 私は何も聞いておりませんよ?」
「ん? ああ。ちょっと前にな、フェリシアたちが何やら欲しいものがあるとか何とか言ってたんだ。だから、俺の名前でツケとけば後で払っておくと伝えたんだが……あの武器が欲しいものだったんだな。中々に面白いことを考えるもんだ」
腕を組んでうんうんと頷きながら、ケビンが武器のギミックについて感心していると、娘に対しては無条件で甘やかすケビンの所業にスカーレットは頭を抱えてしまう。
実際のところフェリシアたちがあそこまで奔放に育ってしまった背景には、実はケビンが一役買っていたりもするのだが、そのことを責める者は誰もいない。
その理由としてはケビンが娘に対してベタ甘なのは、今に始まったことではないからだ。そこのところの塩梅を上手いこと図るのが、ケビンの妻たる者の仕事の1つでもあったりする。
「しばらくお小遣いはナシですね」
奇しくもフェリシアたちの預かり知らぬところでフェリシアたちのお小遣いは、スカーレットの判断でしばらくストップしてしまうことが決定した瞬間であった。
「「お父さん嫌い!」」
そして、ケビンに視線を向けていたヴァレンティアたちが猛抗議という名のケビンキラーを発すると、ケビンはこの世の終わりみたいな顔つきとなり、口から魂が抜け始めてしまう。
「ぁ……嫌われた……娘に嫌われた……死のう……」
そのようなケビンの姿を見たヴァリスは、オロオロとしながら娘たちのした仕打ちを窘める。
「は、早くお父さんに謝って! 貴女たちもオネダリすればいいだけの話でしょう。お父さんに何かあったら、たとえ娘でも許しませんよ!」
そして、隣に座るスカーレットは懸命の救助活動を開始していた。
「ケビン様! ティアやティナも本気で言っているわけではないはずですから、お気を確かに! 心のうちではケビン様のことが大好きなんですよ!」
珍妙なことから会場が混沌と化してきていると、ことの発端であるフェリシアたちは、急に真面目な顔つきになるとヴァレンティアたちを叱るのだった。
「ヴァレンティア、ヴァレンティナ! 今すぐお父さんに謝りなさい!」
「その言葉は本気で使っちゃいけないって、セレニティお姉ちゃんが言ってたでしょ!」
「シアシティばかりズルい!」
「悪いのはお父さんだもん!」
完全に駄々っ子のような癇癪を起こしてしまったヴァレンティアたちは、自分たちは悪くないと正当化をしてケビンに謝ろうとはしなかった。
今回に至っては、オネダリ上手なフェリシアたちによる行動がことの発端ではあるものの、上手くオネダリできないヴァレンティアたちには関係のないことだった。
そして、どんどんと泥沼化していく事態に終止符を打ったのは、静かに見守っていた変装済みのソフィーリアだ。静かに立ち上がったソフィーリアが最前列まで移動したあと、ヴァレンティアたちに声をかける。
「ヴァレンティア、ヴァレンティナ」
その凍りつくような声を聞いたヴァレンティアたちは、ビクッと体を震わせたかと思いきや急に押し黙り静かになった。
たとえ変装しているソフィーリアであっても声までは変えていないので、その声の持ち主が誰であるのか、皇族専用席にいる時点でヴァレンティアたちにはわかってしまうのだ。
「試合が終わったらパパに抱きついて、ごめんなさいのあとに大好きって言ってからオネダリしなさい。それでいいわね?」
有無を言わせない迫力にヴァレンティアたちは、コクコクと頷くことでしか返事を返すことができずに、混沌と化した試合はソフィーリアによって正常?へと戻るのだった。
しかし、正常に戻ったとしても、ソフィーリアによって気落ちしたヴァレンティアたちの戦意が、果たして残っているかどうか怪しいものだ。言うなれば、怒られたあとの子供を想像すると、どのような状態かが判断しやすいだろう。
「ティアティナ、あとでちゃんとパパに謝るんだよ」
「謝らないと、もう口を聞いてあげないからね」
「「……うん」」
「それじゃあ、終わらせてあげる」
「戦う気力なんてないだろうしね」
フェリシアたちは双剣状態にしてある【双子の両剣】を構えると、気落ちした妹たちをいたぶるつもりはないらしく、あっという間にヴァレンティアたちを地に沈めた。
それにより審判が勝利者宣言を行って、フェリシアたちの勝ちが決まるのであった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
試合が終わり少ししてヴァレンティアたちが救護室で目を覚ますと、傍らで待機していたフェリシアたちが声をかける。
「パパのところに行くよ」
「ちゃんと謝るんだよ?」
「「うん」」
ヴァレンティアたちが謝りに行きやすいようにと、フェリシアたちは妹たちとそれぞれ手を繋いで救護室を後にした。
行先はケビンのいる皇族専用の応援席だ。今はテオに挑むアレックスとの試合が行われている最中である。
やがて応援席についたフェリシアたちは、ヴァレンティアたちの背中を押しつつケビンに声をかける。
「「パパ」」
「ん?」
振り向いたケビンの視界に入ったのは、俯いたヴァレンティアたちとケビンを見ているフェリシアたちの姿だ。
「ティア……ティナ……」
ケビンが2人の名を口にすると、ヴァレンティアたちは俯いたままビクッと反応を返す。
「ほら、ティアティナ」
「言うことあるでしょ」
フェリシアたちに促されたヴァレンティアたちは、ゆっくりとケビンに近寄ると、少しずつ顔を上げてケビンを視界に入れる。そして、視界に入ったケビンの顔は、ヴァレンティアたちの『怒っているかも』という予想を裏切り、優しく微笑んでいるものだった。
「怪我はないか?」
闘技場の舞台はケビンの作った舞台装置であり、結界外に出れば回復魔法が発動するのはわかりきっているので、2人に対して改めて言う必要のないことなのだが、その優しさが身に染みたヴァレンティアたちは涙を流し始めてしまう。
「「パパぁ……ごめんなざぁい……」」
泣き出してしまったヴァレンティアたちだったが、ケビンが席から立ち上がり2人のところへ行ってしゃがむと、頭を撫でながらあやすのだった。それに対してヴァレンティアたちは、ケビンに抱きついてわんわんと泣いてしまう。
「今度、パパと一緒にドワンさんのお店に行こうな? 2人にも飛びっきりの武器をドワンさんに作ってもらおう」
「「ぐずっ……うん……」」
「それじゃあもう泣き止んで、パパと一緒にテオとアレックスの試合を見ようか」
「「うん……」」
そして、ヴァレンティアたちはゴシゴシと目元を拭うと、泣き顔のあとを隠しもせずにニッコリと笑う。
「「パパ大好き!」」
「ああ、パパも2人のことは大好きだ」
こうしてケビンにちゃんと謝ることのできた2人は、このあと席に座り直したケビンの膝の上へそれぞれ座って、テオとアレックスの試合を観戦するのであった。
「あれは見ての通り持ち手が中央部にあり、両サイドが剣となっている扱いにくい武器でありますな。簡単に言うのなら、長剣2本を柄尻でくっつけたら見た目はどうであれ、擬似的な両剣にはなるかと。武器の振り回しの際、棒術のように自身に当たっても打ち身程度では済まされないため、取り回しに注意する必要があるのであります」
「確かに……自分の武器で自身を傷つけたら元も子もありませんね」
「その分長剣とは違い、本来あるべきのない部分に刃がついているため、取り回しには苦労するものの、手数のレパートリーが増えるであります。小生もあの武器には憧れがありますが、扱いが難しいため断念したであります。もとより小生は生産職ゆえ」
そして舞台では、左右対称に両剣を構えるフェリシアたちと、長剣を構えるヴァレンティアたちが相対する。静寂する舞台の上でヴァレンティアたちの顔つきが一際緊張に包まれていると、フェリシアたちの姿が掻き消えた。
「「――ッ!」」
背筋を伝う嫌な予感がした2人は、咄嗟に長剣を横にして頭上に構えた。そのヴァレンティアたちの判断は正しく、金属のぶつかり合う音でそこに攻撃を受けたことを後から認識する。
「レティナ!」
「レティア!」
ヴァレンティアは妹のヴァレンティナが“ティナ”と呼ばれるのを嫌がる傾向にあるため、ヴァレンティナを呼ぶ時はいつも“レティナ”と口にしているのだが、ヴァレンティナはヴァレンティナで、ヴァレンティアのことをその呼び方を真似して“レティア”と呼んでいる。
その2人がお互いに呼びかけ合うと、言葉はいらないとばかりに示し合わせたかのようにして、フェリシアたちに至近距離からの魔法を撃ち放つ。
しかしながら、ヴァレンティアたちはフェリシアたちのように無詠唱とはいかず、魔法名を口にしなければならないので、それが無詠唱相手にとっては僅かな時間であっても、次の行動を取るための判断時間となりえるのだ。
よって、ヴァレンティアたちの魔法は空振りとなり、既に間合いを開けていたフェリシアたちは何処吹く風と余裕綽々である。
「フフン――」
「私たちに死角はない――」
「「にゃ!」」
どこまでも遊び心を忘れずにいる2人だが、そのような姿を見せつけられてもヴァレンティアたちは気を緩めず、目の前に立つフェリシアたちを最大限に警戒する。
「「《ミラージュ》」」
ヴァレンティアたちが魔法を使うと、ヴァレンティアたちの姿とは別にもう1人ずつのヴァレンティアたちの姿が現れる。
「おぉーっと! ヴァレンティアさんたちが増えたぁぁぁぁ! これはいったいどういうことなんでしょうか!?」
「ふむ、ミートソーススパゲティをおかわりだ!」
「聞いてねぇぇぇぇ! ネーボさん並みに使えねぇよ、この人!」
「ネーボなら『あとは任せた』と言って帰ったぞ」
「帰ったぁぁぁぁ?! あんたらどこまで自由なんだ!?」
「冒険者なんだからもとより自由だ」
ヨルスは決してそういう意味合いで言っているのではないが、九十九に対してまともな会話をするというのがそもそもの間違いではある。
そして、我が道をゆく九十九に対しヨルスのツッコミが冴えわたるのだが、よもや寝ていてばかりのネーボが既に帰っているとは知らず、それに対して気づかずにいたヨルスは、もうてんやわんやである。
「フッ……これは助っ人を呼ばずにはいられないな」
そのような時に、キリ顔でそう呟いたのは九だ。
「我が呼び声に応えよ! 親愛なる友人、【深淵の超越魔導師】のサラメ!」
九がそう声高に叫ぶと、四の時のようにスパーンと小気味良い音が響きわたり、ハリセンを片手に持つ十が姿を現した。
「晶子! 恥ずかしいからそれはやめてって言ってるでしょ!」
「痛いよ……桜梅……」
頭をスリスリとしながら涙目で訴えかける九であったが、隣にいた四がヨシヨシと慰めながら、十に状況を説明する。
そこへ遅れてやってきた一が十を宥めつつ、無駄に場所を取っている実況席に座らせると、その後からゾロゾロと百武・大艸ペアや、猿飛・服部ペアも姿を現した。
「何だ、このリア充密度は!? 私への当てつけか? 当てつけなのか?!」
興奮するヨルスを他所に猿飛がそれを宥めると、魔法に詳しい十に解説を頼むのだった。
「あの《ミラージュ》は光属性の1種で、本来はソウスケやヒスイの使う変わり身の術と似たようなものよ。だけど、ティアちゃんたちがしているのは、そこから更に一段階上げた分身のようなものね」
「なるほど……拙者たちで言う分身の術ということでござるか」
今まさに舞台の上ではフェリシアたち双子と相対しているのは、ヴァレンティアたち双子プラスそれぞれの分身だ。もはやその姿は4つ子と言っても過言ではないくらいに、姿かたちが似通っている。双子がベースなので当たり前ではあるが。
「本来は事前に唱えて囮にする使い方をする魔法だから、ある意味で幻惑魔法に似たような性質もあるんだけど、あれはこめる魔力を増やすことによってある程度実体化をさせているみたいね」
「囮でござるか……」
「そうよ。一般的な《ミラージュ》は詠唱を必要とするのだし、戦闘中だと使えないでしょう? 【詠唱省略】で魔法名のみなら戦闘中でも使える要素はあるけど」
「確かに……しかし、囮にしか使えない魔法を実戦投入するとは、さすがケビン殿の娘でござるな」
「腐ってもダークエルフの血を引く者ということよ。本来は実体なんて持たなくて、すり抜けるだけの身代わりなんだから」
そのような解説を行う十のおかげで、猿飛たちはもちろんのこと、観客たちも如何にヴァレンティアたちが凄いことを成し遂げているのか把握できてしまう。
そして、その言葉を裏付けるかのようにして、舞台では《ミラージュ》で増えた分身たちが、本体とともに果敢にフェリシアたちに挑んでいる。
「これは困ったぴょん」
「4対2は卑怯だぴょん」
フェリシアたちは思いがけない反撃に慌てているようでありながらも、どこか言葉は焦っている感じには見受けられないので、まだ余力を残しているとも感じ取れる。
「これは魔法」
「だから2対2のまま」
だが、フェリシアたちに卑怯だと言われたヴァレンティアたちは反論し、最初の頃とは違ってフェリシアたちを追い詰めていく。その苛烈さ極まる剣閃の嵐は、一瞬たりとも油断のできない熾烈さを見せつけている。
フェリシアたちを追い詰めるヴァレンティアたちの、鳴り響く剣戟の音を耳にする観客たちも『もしや……』と思い、クラウスに引き続きフェリシアたちも初の敗北を手にするのではないかと、この戦いの行方を見守っている。
そして、その時は訪れた。
両剣で上手いこと捌いていたフェリシアたちだったが、ヴァレンティアたちが時おり放ってくる魔法で不意に体勢を崩してしまい、ここが決めどころだと判断したヴァレンティアたちは分身たちとともに、それぞれ相対するフェリシアたちの前後から決め手となる剣閃を叩き込む。
「もらった」
「終わり」
次の瞬間、ガキンという金属のぶつかり合う音が鳴り響き、目の前の光景にヴァレンティアたちは目を見開いて驚愕する。そしてそれは、観客たちも同様であった。
そして、シンと静まり返った会場において、フェリシアの声が響きわたる。
「一体いつから――――」
それに対していち早く反応したのは、何を隠そう【オクタ】の男子メンバーと九である。
「「「「「まさかっ!?」」」」」
そのリアクションをチラ見したフェリシティが、満を持して口を開いた。
「――――【双子の両剣】が1本物だと錯覚していた?」
「「「「「キターーーー!」」」」」
【オクタ】メンバーの一部が歓喜絶叫している中で、決まったとばかりにフェリシアたちがドヤ顔をしていると、言葉の真意が理解できないヨルスが別の興奮を見せながら実況を始める。
「なんとぉぉぉぉっ! 1本物だと思われていた両剣が、半分でわかたれて2本になったぁぁぁぁ! というか、その両剣に【双子の両剣】という名前がついていたことに驚きを隠せません!」
興奮するヨルスの言うように、フェリシアたちは【双子の両剣】の中央部から分離して、1本物だと思われていたものを2本にして双剣にしてしまっていたのだ。
それにより、絶好のチャンスだと思われていたヴァレンティアたちの挟撃は、双剣となった【双子の両剣】によって防がれていたのだ。
呆然としていたヴァレンティアたちも驚きを隠せずにいたが、ヨルスの実況により我に返ると仕切り直すために間合いを開いた。
「何でそんなに凄い武器があるの?」
「絶対にシアシティのお小遣いじゃ買えない」
ただの武器なら貯めたお小遣いで手の届く範囲ではあるものの、珍しい両剣な上に半分からわかれて双剣になる仕掛け付きである。ちょっとやそっとじゃ手が出せない代物であるのは、ヴァレンティアたちにも理解ができていた。
だが、そのようなヴァレンティアたちの疑問に答えたフェリシアたちの回答は、思いもよらぬものである。
「パパにお願いしたら許可くれたよ」
「出来上がったら代わりにお金を払っておくって」
「「えっ!?」」
「それでドワンおじさんにお願いしたんだよ」
「ドワンおじさんも面白そうだってノリノリだった」
まさかフェリシアたちがケビンに対してオネダリしていたとは露知らず、ヴァレンティアたちは信じられないという顔つきで、皇族専用席にいるケビンに視線を向けた。
そのような暴露話があったためか、スカーレットもケビンに視線を向けると、ことの真偽を確かめるのだった。
「ケビン様? 私は何も聞いておりませんよ?」
「ん? ああ。ちょっと前にな、フェリシアたちが何やら欲しいものがあるとか何とか言ってたんだ。だから、俺の名前でツケとけば後で払っておくと伝えたんだが……あの武器が欲しいものだったんだな。中々に面白いことを考えるもんだ」
腕を組んでうんうんと頷きながら、ケビンが武器のギミックについて感心していると、娘に対しては無条件で甘やかすケビンの所業にスカーレットは頭を抱えてしまう。
実際のところフェリシアたちがあそこまで奔放に育ってしまった背景には、実はケビンが一役買っていたりもするのだが、そのことを責める者は誰もいない。
その理由としてはケビンが娘に対してベタ甘なのは、今に始まったことではないからだ。そこのところの塩梅を上手いこと図るのが、ケビンの妻たる者の仕事の1つでもあったりする。
「しばらくお小遣いはナシですね」
奇しくもフェリシアたちの預かり知らぬところでフェリシアたちのお小遣いは、スカーレットの判断でしばらくストップしてしまうことが決定した瞬間であった。
「「お父さん嫌い!」」
そして、ケビンに視線を向けていたヴァレンティアたちが猛抗議という名のケビンキラーを発すると、ケビンはこの世の終わりみたいな顔つきとなり、口から魂が抜け始めてしまう。
「ぁ……嫌われた……娘に嫌われた……死のう……」
そのようなケビンの姿を見たヴァリスは、オロオロとしながら娘たちのした仕打ちを窘める。
「は、早くお父さんに謝って! 貴女たちもオネダリすればいいだけの話でしょう。お父さんに何かあったら、たとえ娘でも許しませんよ!」
そして、隣に座るスカーレットは懸命の救助活動を開始していた。
「ケビン様! ティアやティナも本気で言っているわけではないはずですから、お気を確かに! 心のうちではケビン様のことが大好きなんですよ!」
珍妙なことから会場が混沌と化してきていると、ことの発端であるフェリシアたちは、急に真面目な顔つきになるとヴァレンティアたちを叱るのだった。
「ヴァレンティア、ヴァレンティナ! 今すぐお父さんに謝りなさい!」
「その言葉は本気で使っちゃいけないって、セレニティお姉ちゃんが言ってたでしょ!」
「シアシティばかりズルい!」
「悪いのはお父さんだもん!」
完全に駄々っ子のような癇癪を起こしてしまったヴァレンティアたちは、自分たちは悪くないと正当化をしてケビンに謝ろうとはしなかった。
今回に至っては、オネダリ上手なフェリシアたちによる行動がことの発端ではあるものの、上手くオネダリできないヴァレンティアたちには関係のないことだった。
そして、どんどんと泥沼化していく事態に終止符を打ったのは、静かに見守っていた変装済みのソフィーリアだ。静かに立ち上がったソフィーリアが最前列まで移動したあと、ヴァレンティアたちに声をかける。
「ヴァレンティア、ヴァレンティナ」
その凍りつくような声を聞いたヴァレンティアたちは、ビクッと体を震わせたかと思いきや急に押し黙り静かになった。
たとえ変装しているソフィーリアであっても声までは変えていないので、その声の持ち主が誰であるのか、皇族専用席にいる時点でヴァレンティアたちにはわかってしまうのだ。
「試合が終わったらパパに抱きついて、ごめんなさいのあとに大好きって言ってからオネダリしなさい。それでいいわね?」
有無を言わせない迫力にヴァレンティアたちは、コクコクと頷くことでしか返事を返すことができずに、混沌と化した試合はソフィーリアによって正常?へと戻るのだった。
しかし、正常に戻ったとしても、ソフィーリアによって気落ちしたヴァレンティアたちの戦意が、果たして残っているかどうか怪しいものだ。言うなれば、怒られたあとの子供を想像すると、どのような状態かが判断しやすいだろう。
「ティアティナ、あとでちゃんとパパに謝るんだよ」
「謝らないと、もう口を聞いてあげないからね」
「「……うん」」
「それじゃあ、終わらせてあげる」
「戦う気力なんてないだろうしね」
フェリシアたちは双剣状態にしてある【双子の両剣】を構えると、気落ちした妹たちをいたぶるつもりはないらしく、あっという間にヴァレンティアたちを地に沈めた。
それにより審判が勝利者宣言を行って、フェリシアたちの勝ちが決まるのであった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
試合が終わり少ししてヴァレンティアたちが救護室で目を覚ますと、傍らで待機していたフェリシアたちが声をかける。
「パパのところに行くよ」
「ちゃんと謝るんだよ?」
「「うん」」
ヴァレンティアたちが謝りに行きやすいようにと、フェリシアたちは妹たちとそれぞれ手を繋いで救護室を後にした。
行先はケビンのいる皇族専用の応援席だ。今はテオに挑むアレックスとの試合が行われている最中である。
やがて応援席についたフェリシアたちは、ヴァレンティアたちの背中を押しつつケビンに声をかける。
「「パパ」」
「ん?」
振り向いたケビンの視界に入ったのは、俯いたヴァレンティアたちとケビンを見ているフェリシアたちの姿だ。
「ティア……ティナ……」
ケビンが2人の名を口にすると、ヴァレンティアたちは俯いたままビクッと反応を返す。
「ほら、ティアティナ」
「言うことあるでしょ」
フェリシアたちに促されたヴァレンティアたちは、ゆっくりとケビンに近寄ると、少しずつ顔を上げてケビンを視界に入れる。そして、視界に入ったケビンの顔は、ヴァレンティアたちの『怒っているかも』という予想を裏切り、優しく微笑んでいるものだった。
「怪我はないか?」
闘技場の舞台はケビンの作った舞台装置であり、結界外に出れば回復魔法が発動するのはわかりきっているので、2人に対して改めて言う必要のないことなのだが、その優しさが身に染みたヴァレンティアたちは涙を流し始めてしまう。
「「パパぁ……ごめんなざぁい……」」
泣き出してしまったヴァレンティアたちだったが、ケビンが席から立ち上がり2人のところへ行ってしゃがむと、頭を撫でながらあやすのだった。それに対してヴァレンティアたちは、ケビンに抱きついてわんわんと泣いてしまう。
「今度、パパと一緒にドワンさんのお店に行こうな? 2人にも飛びっきりの武器をドワンさんに作ってもらおう」
「「ぐずっ……うん……」」
「それじゃあもう泣き止んで、パパと一緒にテオとアレックスの試合を見ようか」
「「うん……」」
そして、ヴァレンティアたちはゴシゴシと目元を拭うと、泣き顔のあとを隠しもせずにニッコリと笑う。
「「パパ大好き!」」
「ああ、パパも2人のことは大好きだ」
こうしてケビンにちゃんと謝ることのできた2人は、このあと席に座り直したケビンの膝の上へそれぞれ座って、テオとアレックスの試合を観戦するのであった。
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