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第17章 魔王軍との戦い
第561話 エレフセリア学園 ~武闘会~ ②
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1年生の武闘会がつつがなく行われている中、別の闘技場においては2年生が同じように武闘会を行っていた。そのような中で、ヴァレリアは息子の応援をするべく声を上げている。
「ヴァンスー、完全勝利以外は認めねぇからなー!」
それを聞いたヴァンスはヴァレリアによる無茶ぶりの中身よりも、母親から応援されているという状況が恥ずかしいようで、皇族専用席にいるヴァレリアを見ることなく下を向いてはプルプルとしていた。
だが、そのような中でも、それに負けじと声を上げたのは対戦相手の母親である。
「カイル! ケビンの息子なんかギッタンギッタンにするのよ!」
こちらはこちらで熱の入った応援をしているのだが、カイルと呼ばれた男の子はその声を聞くと苦笑いとともに母親へ手を振る。
「おい! 勝つのはヴァンスだぞ、ルージュ!」
「うちの子が勝つに決まってるでしょ!」
皇帝であるケビンを呼び捨てにし、ヴァレリアと場外で言い争っているのは、何を隠そうカインの嫁であるルージュだ。
「騒がしくてすまんな、ケビン」
「ははっ、相変わらずだねルージュ義姉さんは」
お互いの嫁が言い争っている中で、気まずそうなカインと分身体であるケビンが言葉を交わしていたら、舞台に立つ渦中のヴァンスとカイルはお互いに感じ取れるものがあったのか、何とも言えない表情を浮かべながら言葉を交わしていた。
「母ちゃんの言葉通りにするわけじゃないけど、父ちゃんが見てるから負ける気はないぞ」
「奇遇だね。僕も母さんの言葉を実行するわけじゃないけど、父さんが見てるからね。簡単に負けるつもりはないよ」
舞台上に立つ2人は母親の言葉よりも、父親に認められたいという意志の方が強いのか、瞳に闘志を宿しながら開始線の位置につく。
そして、2人の準備が整ったところで審判から開始の声が上がったのだった。
「始めっ!」
その言葉と同時に動き出したのは、先手必勝とばかりに間合いを詰めるヴァンスである。対してカイルは長剣のリーチを活かして、迎え撃つ姿勢を見せている。
(カイルに攻撃を当てるには長剣の間合いに入るしかねぇ!)
(剣術相手に格闘術でどこまでやれるか見せてもらうよ)
そして、正中に剣を構えるカイルの間合いにヴァンスが足を踏み入れると、待ち構えていたカイルが切っ先を僅かに動かしたことにより、それを見たヴァンスは更に踏み込むことはせずにバックステップで距離を取ると、すかさずカイルのサイドへ移動する。
「あー、やっぱり引っかかったか……ああいう小手先の技にヴァンスはめっぽう弱いからなぁ……」
ケビンがしてやられた感を出しながら先程のやり取りを呟くと、逆にカインはしてやったり感を出しながらそれに答えた。
「休日とか、家に帰ってきた時は俺が稽古をつけているから、簡単にできる技を教えているんだ。ルージュもああいうフェイントに面白いくらいハマってくれるから、そのうちルージュにも勝てる日が来るかもな」
「ルージュ義姉さんは直情型なところがあるし、簡単に想像できるなぁ。それに、うちのヴァリーもいい意味で素直という直情型だし、ヴァンスはそういうところが似ちゃったんだろうな」
そのような会話を続ける2人は、最前列で声を上げつつそれぞれの息子を応援する嫁の姿を目にしながら、落ち着いた表情で戦況を見守っていた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ところ変わって、ケビンの子供たちが1番多く在籍している4年生の武闘会では、まさに混沌とした戦いが繰り広げられていた。
それもひとえに、ケビンの血族ということで、大人顔負け(一般人視点)の魔法が飛び交う事態となっているからだ。更にそれとは別に、近接戦が苦手と言う魔術師寄りの子供たちが多いことも一役買っている。
中でも酷い?のを例に上げるとするならば、まずは秘書隊に所属するアウルムの娘であるハーフエルフのアドリーヌ。
次に、ダークエルフの族長を務めるヴァリスの娘であるハーフダークエルフの双子、ヴァレンティアとヴァレンティナ。
その次は、学園長を務めるハイエルフのセシリーの娘であるハーフハイエルフのセレーナ。
他には、香水屋を営むダークエルフのナディアの娘であるハーフダークエルフのヌリアや、サキュバスであるオリビアの娘となるハーフサキュバスのオフェリアがいる。
そのようなそうそうたるメンツに負けじと牙を剥くのは、人族でありながらも前々皇帝の側室であったリーチェの娘であるリンカーだ。
当時、力がなく奴隷落ちした母親からの英才教育によって、“最後に頼れるのは自身の力のみ”を座右の銘とし、ケビンの正妻組を先生と仰ぎ、数々の魔法授業を学園の授業とは別で習っている。
結局のところ混沌の原因は、娘たちの『パパにいいところを見せたい!』という想いからきているものだが、ケビンの系譜ではない一般人からしてみれば地獄のような思いをする対戦相手となる。
これでもまだマシな方と言えるのだが、その理由としてはダークエルフの元コギャル5人衆(現在は教員)の息子たちであるキキの息子コール、オリアナの息子オスカー、グレースの息子ギャリー、アリエルの息子アシュトン、リリアナの息子リチャードが魔法戦を繰り広げていないからだ。
その5人は、学園でいつの間にか出来上がっていたファンクラブの者たちから、【星の5人組】と呼ばれている。
キキの計画にあった“ギャル男育成計画”がいつの間にか頓挫していたのか、ダークエルフの血を引いているので容姿端麗なのはもちろんのこと、ギャル男とは真逆となる品行方正な成長を遂げており、魔法を撃ちまくる戦いは美しくないとして、剣技にて戦いを繰り広げていたのだ。
そのような【星の5人組】のメンバーに挑む者は次から次に敗れていたが、対抗馬として名前が上がっているのは3獣士として名高い(ケビンの中で)兎人族のジェシカの娘であるジェンナ、猫人族のミケイラの娘であるマレイラ、狼人族のウルリカの息子であるウルヴァだ。
中でも狼人族のウルヴァは俊敏性とパワーを兼ね備えた強者であり、【星の5人組】に抗える最有力候補として名前が上がっていた。
その群雄割拠となる4年生による武闘会で、ケビンも驚愕の声を上げずにはいられないひとコマが舞台の上で起こる。
「パパー! 見ててねー」
可愛らしい笑顔とともに手を振りそう言うのは、ハーフサキュバスのオフェリアだ。
「《魔王の闘気》!」
なんの前振りもなくオフェリアがその言葉を口にすると、漆黒がオフェリアの体を包みこむ。
それはかつてオリビアの里帰りの時に、共にいたオフェリアの応援に気分を良くしたケビンが対魔物戦において見せた技であり、あろうことか魔王でもないオフェリアが再現してしまっていたのだ。
「なっ――!?」
その様子を見たケビンがビックリして呆然としていると、オフェリアは成功したことが嬉しいのか、ケビンに向かって満面の笑みでピースサインを見せる。
だが、驚いているのは何もケビンだけではない。魔王対勇者戦の際にソフィーリアの出したモニターで観戦していた嫁たちや、実際に目の前で見たことのあるオリビアもまた驚きを隠せずにいた。
「ど、どどど、どういうことっ?!」
可愛い愛娘が魔王になってしまったのではないかと、オロオロし始めてどもってしまったケビンに助け舟を出したのは、他でもないサナだった。
『テンパる前にちゃんと見てください。あれはただの真似っ子ですよ』
「真似っ子って見ればわかるだろ! 実際に《魔王の闘気》を纏ってるんだから!」
『はぁぁ……ダメダメですね、マスターは……オフェリアちゃんが魔王になるわけないでしょう? あれはただの闇魔法の《ダーク》をアレンジしただけのことですよ』
「ダ……ダーク……?」
呆れているサナから指摘されたことにより、ケビンが目を凝らしてよく観察してみると、確かにオフェリアの纏っているのは濃密な魔力と言うよりも、魔法を行使したあとのものであった。
『あれはただの《ダーク》だから、視界を妨げないように顔の前面には出していないでしょう?』
「た……確かに……」
そしてサナから追加で齎された情報により、オフェリアが行使したのは《ダーク》である真実味が増してくると、ケビンは大きく息をついて安堵するとともにドッと疲れが押し寄せてきた。
「それにしても……よくあんな使い方を思いつくよな……」
『そこは先入観に囚われない、柔軟な思考を持つ子供の発想力と言うところです。マスターと同じことがしたかったのでしょう。お父さん冥利に尽きるじゃないですか』
「というか、あれ……無詠唱を使えてないか? 《魔王の闘気》で《ダーク》は発動しないだろ」
『あれだけに関して言えば使えていますね。他の魔法まで無詠唱ができるかは試合を見続ければわかると思います』
そのような会話をサナと続けるケビンの視線の先には、見た目重視で全く自身に対してメリットのない《ダーク》をオフェリアが身に纏いながら、対戦相手に魔法を駆使して追い詰める姿が映し出されていた。
「どうやら《ダーク》だけみたいだな」
『そのようですね』
「単一の魔法だけの無詠唱ってできるんだな……初めて知った」
『レベル付き無詠唱スキルってところですね。マスターの持つスキルとは違います』
こうしてケビンはオフェリアの成長に感嘆としながら、あまり怪我をしないで欲しいと思いつつ観戦を続けていくのだった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
また別の闘技場では5年生の対戦が行われ、ここでは学園一の盛り上がりを見せる熱気溢れる状態と化している。それもひとえに、【星の5人組】とは違う別のアイドル的存在がいるからだ。
「きゃーっ! アレックスさまぁぁぁぁ!」
女子生徒たちが声援を上げる原因となっているのは、ケビンとは似ても似つかない紳士的な対応で、応援をしてくれている観客席に向けて手を振るアレックスの行動である。
「手を振ってくださいましたわ!」
「わたしに振ってくれたのよ!」
「いいえ、わたくしよ!」
そのアレックスの人気がここまで高いのは、ひとえに容姿端麗、頭脳明晰、品行方正といった、絵に書いたような非の打ち所のないところもそうだが、身分が皇族ということもあり、それがアレックス人気に拍車をかけている。
「相変わらず凄い人気だな、アレックスは……」
「ふふっ、ケビン様の息子ですから」
ケビンが女子生徒たちに気圧されながら呟いていたら、隣に座るアリスはあくまでもアレックスではなく、その父であるケビンが凄いのだと褒め称えていた。
そしてケビンを挟んで反対側に座っているシーラは、アリスの言葉に負けじと声を上げる。
「シーヴァだってケビンの息子よ! 行きさなさい、シーヴァ! アレックスなんてけちょんけちょんにするのよ!」
観客席から舞台に立つ息子に向けてシーラが発破をかけていたら、当の本人であるシーヴァもその気になり調子に乗ると、胸を張ってはアレックスへ指さしする。
「フハハハハハ! 母さんの宣言通りけちょんけちょんにしてやるぜ!」
このように乗せられてしまうとすぐ調子に乗る弟の姿を見ているアレックスは、呆れながらも慈愛の微笑みを向けてそれに応えた。
「そういうことは、1度でもいいから僕に勝ってから言うものだよ」
「ソフィ母さんが言ってたぞ! 『言うは易し』! つまり言ったんもん勝ちだ! これで俺はアレックスに勝ったぞ!」
シーヴァの自論に溜息をついてしまうアレックスであるが、弟の間違いを正すべく諭すようにして口を開く。
「ソフィ母上がその後に『行うは難し』って言ってなかったかい?」
「言ってたような気もするけど忘れた! 忘れてもソフィ母さんは怒らないからな!」
そのようなやり取りを見ていたケビンがシーラにジト目を向けると、シーラは視線を逸らしつつシーヴァの独自解釈を棚上げして口を開いた。
「……元気……そう、元気であることが1番なのよ!」
「姉さん?」
「ケビンとお姉ちゃんの自慢の子なんだから、元気があれば何でもできるわ!」
決してジト目のケビンと目を合わせようとはしないシーラがそう答えると、アリスがフォローを入れて試合が始まることを知らせる。
「さすがアリスね! さあ、試合が始まるわよ、ケビン!」
ケビンはあからさまに話をそらせるシーラに溜息をつきつつも、息子たちの試合を見ないという選択肢はないゆえに、のびのび教育を推奨している手前もあり、これ以上は追求という名のジト目をやめて舞台に集中し始めた。
「行くぞ、アレックス!」
「どうぞ」
間合いを詰めたシーヴァがアレックスに向けて剣を振り下ろすと、アレックスはそれを容易くいなす。次から次に斬りつけるシーヴァの攻撃をアレックスが簡単にいなしていたら、シーヴァは自爆攻撃とも言える行動をとる。
「《アイスストーム》」
アレックスへダメージを与えるという目的のために自身すらも巻き込み魔法を唱えると、2人を包み込むようにして氷の嵐が顕現される。
「無茶苦茶だ……」
対するアレックスは自身の身体強化を最大限に高めたら、吹き荒れる嵐の中から脱出するために外へ向かって駆け出した。
「逃がさねぇぞ! 《アイスアロー》」
氷嵐から逃げるという選択肢をとったアレックスの行く手から、今度は別の魔法がそれを遮るかのように飛来する。それと同時にシーヴァが後方から追い打ちをかけるようにして斬りかかる。
「《ファイアウォール》」
さすがのアレックスもこれは完全に予想外の展開だったために、氷矢の対処は魔法ですることにしてシーヴァの攻撃を受けるために振り返り、振り下ろされている剣を受け止めた。
「へへっ、どうだ!」
何故か平然と動いているシーヴァを不審に思い、アレックスがそのことに関して質問をすると、思いもよらぬ返答が返ってくる。
「母さんに《氷河時代の顕現》で鍛錬を手伝ってもらってたら、いつの間にか【氷属性耐性】を手に入れてたんだぜ! 凄いだろ!」
「無茶苦茶だ……」
再び同じことを口にしたアレックスは、シーヴァが鍛錬のためにシーラの代名詞とも言えるお得意魔法の餌食になるのを進んでしていたことに、感嘆するどころか呆れ返っていた。
しかしながらこのままでは事態が好転するどころか、最悪初めてシーヴァに負ける可能性も見えてきたので、アレックスはどうにかしてこの場を仕切り直しに持っていこうと画策する。
未だ続いている氷嵐の中で剣戟が繰り返され、ジリジリとダメージを受け続けるアレックスがついに行動に出た。
「《ファイア》」
「うわっ!」
鍔迫り合いの最中に、いきなり目の前に出てきた炎に面食らったシーヴァが仰け反りたたらを踏むと、その隙にアレックスは次の魔法を唱える。
「《ファイアアロー》」
仰け反り中のシーヴァに火矢が次々と襲いかかり、シーヴァがそれをなりふり構わずに避けていると、その間にアレックスは追撃の魔法を撃ちつつ氷嵐の外へ出ることに成功する。
やがて収まった氷嵐の中からシーヴァがその姿を現すと、所々に火魔法を受けた痕跡が見えており、少なからずダメージを負ったことが目に見えてわかった。
「せっかくいい所だったのに、逃げるなよ!」
勝てる算段がついていたシーヴァがプンスカと怒りながらそう言うも、アレックスは落ち着いた表情で言葉を返す。
「いやいや、父上や母上の前で負ける訳にはいかないだろ?」
「俺だって負けられないんだ! 《アイスウォール》3連!」
地団駄を踏んでいたシーヴァが次の魔法を唱えると、アレックスを囲い込むようにして後方と左右に氷壁が出現する。
「これで逃げられないぞ! 《アイスストーム》、《アイスアロー》、《アイスランス》、トドメの《アイスバレット》」
アレックスの姿は最初の氷嵐に包まれて見えなくなってしまうが、シーヴァの猛攻によって次から次へと氷属性魔法が撃ち込まれていく。
その光景にさすがのアレックスも今度ばかりは負けたのではないかと観客たちが見守る中で、ようやくシーヴァの魔法が終わりを迎えて白いモヤが晴れていくと、そこには光の結界を展開していたアレックスの姿があった。
「なっ!?」
「《フィジカルアップ》、《ウインドアクセル》」
スキルの身体強化の上から更に魔法による身体強化を加えたアレックスが足を踏み抜き加速すると、通常のスピードに目が慣れていたシーヴァには、いきなり目の前にアレックスが現れたような感覚に陥り、何か対処するという思考を巡らせるよりも速く、アレックスの所持していた剣の柄がシーヴァのみぞおちに入り込む。
「っ――」
そのまま前のめりに倒れ込むシーヴァをアレックスが抱え込むと、最後に頑張った弟へ向けて声をかける。
「成長したな、シーヴァ」
その言葉を耳にしたかどうかはわからないが、気絶したシーヴァの表情は満足したような顔つきで対戦を終えるのであった。
「ヴァンスー、完全勝利以外は認めねぇからなー!」
それを聞いたヴァンスはヴァレリアによる無茶ぶりの中身よりも、母親から応援されているという状況が恥ずかしいようで、皇族専用席にいるヴァレリアを見ることなく下を向いてはプルプルとしていた。
だが、そのような中でも、それに負けじと声を上げたのは対戦相手の母親である。
「カイル! ケビンの息子なんかギッタンギッタンにするのよ!」
こちらはこちらで熱の入った応援をしているのだが、カイルと呼ばれた男の子はその声を聞くと苦笑いとともに母親へ手を振る。
「おい! 勝つのはヴァンスだぞ、ルージュ!」
「うちの子が勝つに決まってるでしょ!」
皇帝であるケビンを呼び捨てにし、ヴァレリアと場外で言い争っているのは、何を隠そうカインの嫁であるルージュだ。
「騒がしくてすまんな、ケビン」
「ははっ、相変わらずだねルージュ義姉さんは」
お互いの嫁が言い争っている中で、気まずそうなカインと分身体であるケビンが言葉を交わしていたら、舞台に立つ渦中のヴァンスとカイルはお互いに感じ取れるものがあったのか、何とも言えない表情を浮かべながら言葉を交わしていた。
「母ちゃんの言葉通りにするわけじゃないけど、父ちゃんが見てるから負ける気はないぞ」
「奇遇だね。僕も母さんの言葉を実行するわけじゃないけど、父さんが見てるからね。簡単に負けるつもりはないよ」
舞台上に立つ2人は母親の言葉よりも、父親に認められたいという意志の方が強いのか、瞳に闘志を宿しながら開始線の位置につく。
そして、2人の準備が整ったところで審判から開始の声が上がったのだった。
「始めっ!」
その言葉と同時に動き出したのは、先手必勝とばかりに間合いを詰めるヴァンスである。対してカイルは長剣のリーチを活かして、迎え撃つ姿勢を見せている。
(カイルに攻撃を当てるには長剣の間合いに入るしかねぇ!)
(剣術相手に格闘術でどこまでやれるか見せてもらうよ)
そして、正中に剣を構えるカイルの間合いにヴァンスが足を踏み入れると、待ち構えていたカイルが切っ先を僅かに動かしたことにより、それを見たヴァンスは更に踏み込むことはせずにバックステップで距離を取ると、すかさずカイルのサイドへ移動する。
「あー、やっぱり引っかかったか……ああいう小手先の技にヴァンスはめっぽう弱いからなぁ……」
ケビンがしてやられた感を出しながら先程のやり取りを呟くと、逆にカインはしてやったり感を出しながらそれに答えた。
「休日とか、家に帰ってきた時は俺が稽古をつけているから、簡単にできる技を教えているんだ。ルージュもああいうフェイントに面白いくらいハマってくれるから、そのうちルージュにも勝てる日が来るかもな」
「ルージュ義姉さんは直情型なところがあるし、簡単に想像できるなぁ。それに、うちのヴァリーもいい意味で素直という直情型だし、ヴァンスはそういうところが似ちゃったんだろうな」
そのような会話を続ける2人は、最前列で声を上げつつそれぞれの息子を応援する嫁の姿を目にしながら、落ち着いた表情で戦況を見守っていた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ところ変わって、ケビンの子供たちが1番多く在籍している4年生の武闘会では、まさに混沌とした戦いが繰り広げられていた。
それもひとえに、ケビンの血族ということで、大人顔負け(一般人視点)の魔法が飛び交う事態となっているからだ。更にそれとは別に、近接戦が苦手と言う魔術師寄りの子供たちが多いことも一役買っている。
中でも酷い?のを例に上げるとするならば、まずは秘書隊に所属するアウルムの娘であるハーフエルフのアドリーヌ。
次に、ダークエルフの族長を務めるヴァリスの娘であるハーフダークエルフの双子、ヴァレンティアとヴァレンティナ。
その次は、学園長を務めるハイエルフのセシリーの娘であるハーフハイエルフのセレーナ。
他には、香水屋を営むダークエルフのナディアの娘であるハーフダークエルフのヌリアや、サキュバスであるオリビアの娘となるハーフサキュバスのオフェリアがいる。
そのようなそうそうたるメンツに負けじと牙を剥くのは、人族でありながらも前々皇帝の側室であったリーチェの娘であるリンカーだ。
当時、力がなく奴隷落ちした母親からの英才教育によって、“最後に頼れるのは自身の力のみ”を座右の銘とし、ケビンの正妻組を先生と仰ぎ、数々の魔法授業を学園の授業とは別で習っている。
結局のところ混沌の原因は、娘たちの『パパにいいところを見せたい!』という想いからきているものだが、ケビンの系譜ではない一般人からしてみれば地獄のような思いをする対戦相手となる。
これでもまだマシな方と言えるのだが、その理由としてはダークエルフの元コギャル5人衆(現在は教員)の息子たちであるキキの息子コール、オリアナの息子オスカー、グレースの息子ギャリー、アリエルの息子アシュトン、リリアナの息子リチャードが魔法戦を繰り広げていないからだ。
その5人は、学園でいつの間にか出来上がっていたファンクラブの者たちから、【星の5人組】と呼ばれている。
キキの計画にあった“ギャル男育成計画”がいつの間にか頓挫していたのか、ダークエルフの血を引いているので容姿端麗なのはもちろんのこと、ギャル男とは真逆となる品行方正な成長を遂げており、魔法を撃ちまくる戦いは美しくないとして、剣技にて戦いを繰り広げていたのだ。
そのような【星の5人組】のメンバーに挑む者は次から次に敗れていたが、対抗馬として名前が上がっているのは3獣士として名高い(ケビンの中で)兎人族のジェシカの娘であるジェンナ、猫人族のミケイラの娘であるマレイラ、狼人族のウルリカの息子であるウルヴァだ。
中でも狼人族のウルヴァは俊敏性とパワーを兼ね備えた強者であり、【星の5人組】に抗える最有力候補として名前が上がっていた。
その群雄割拠となる4年生による武闘会で、ケビンも驚愕の声を上げずにはいられないひとコマが舞台の上で起こる。
「パパー! 見ててねー」
可愛らしい笑顔とともに手を振りそう言うのは、ハーフサキュバスのオフェリアだ。
「《魔王の闘気》!」
なんの前振りもなくオフェリアがその言葉を口にすると、漆黒がオフェリアの体を包みこむ。
それはかつてオリビアの里帰りの時に、共にいたオフェリアの応援に気分を良くしたケビンが対魔物戦において見せた技であり、あろうことか魔王でもないオフェリアが再現してしまっていたのだ。
「なっ――!?」
その様子を見たケビンがビックリして呆然としていると、オフェリアは成功したことが嬉しいのか、ケビンに向かって満面の笑みでピースサインを見せる。
だが、驚いているのは何もケビンだけではない。魔王対勇者戦の際にソフィーリアの出したモニターで観戦していた嫁たちや、実際に目の前で見たことのあるオリビアもまた驚きを隠せずにいた。
「ど、どどど、どういうことっ?!」
可愛い愛娘が魔王になってしまったのではないかと、オロオロし始めてどもってしまったケビンに助け舟を出したのは、他でもないサナだった。
『テンパる前にちゃんと見てください。あれはただの真似っ子ですよ』
「真似っ子って見ればわかるだろ! 実際に《魔王の闘気》を纏ってるんだから!」
『はぁぁ……ダメダメですね、マスターは……オフェリアちゃんが魔王になるわけないでしょう? あれはただの闇魔法の《ダーク》をアレンジしただけのことですよ』
「ダ……ダーク……?」
呆れているサナから指摘されたことにより、ケビンが目を凝らしてよく観察してみると、確かにオフェリアの纏っているのは濃密な魔力と言うよりも、魔法を行使したあとのものであった。
『あれはただの《ダーク》だから、視界を妨げないように顔の前面には出していないでしょう?』
「た……確かに……」
そしてサナから追加で齎された情報により、オフェリアが行使したのは《ダーク》である真実味が増してくると、ケビンは大きく息をついて安堵するとともにドッと疲れが押し寄せてきた。
「それにしても……よくあんな使い方を思いつくよな……」
『そこは先入観に囚われない、柔軟な思考を持つ子供の発想力と言うところです。マスターと同じことがしたかったのでしょう。お父さん冥利に尽きるじゃないですか』
「というか、あれ……無詠唱を使えてないか? 《魔王の闘気》で《ダーク》は発動しないだろ」
『あれだけに関して言えば使えていますね。他の魔法まで無詠唱ができるかは試合を見続ければわかると思います』
そのような会話をサナと続けるケビンの視線の先には、見た目重視で全く自身に対してメリットのない《ダーク》をオフェリアが身に纏いながら、対戦相手に魔法を駆使して追い詰める姿が映し出されていた。
「どうやら《ダーク》だけみたいだな」
『そのようですね』
「単一の魔法だけの無詠唱ってできるんだな……初めて知った」
『レベル付き無詠唱スキルってところですね。マスターの持つスキルとは違います』
こうしてケビンはオフェリアの成長に感嘆としながら、あまり怪我をしないで欲しいと思いつつ観戦を続けていくのだった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
また別の闘技場では5年生の対戦が行われ、ここでは学園一の盛り上がりを見せる熱気溢れる状態と化している。それもひとえに、【星の5人組】とは違う別のアイドル的存在がいるからだ。
「きゃーっ! アレックスさまぁぁぁぁ!」
女子生徒たちが声援を上げる原因となっているのは、ケビンとは似ても似つかない紳士的な対応で、応援をしてくれている観客席に向けて手を振るアレックスの行動である。
「手を振ってくださいましたわ!」
「わたしに振ってくれたのよ!」
「いいえ、わたくしよ!」
そのアレックスの人気がここまで高いのは、ひとえに容姿端麗、頭脳明晰、品行方正といった、絵に書いたような非の打ち所のないところもそうだが、身分が皇族ということもあり、それがアレックス人気に拍車をかけている。
「相変わらず凄い人気だな、アレックスは……」
「ふふっ、ケビン様の息子ですから」
ケビンが女子生徒たちに気圧されながら呟いていたら、隣に座るアリスはあくまでもアレックスではなく、その父であるケビンが凄いのだと褒め称えていた。
そしてケビンを挟んで反対側に座っているシーラは、アリスの言葉に負けじと声を上げる。
「シーヴァだってケビンの息子よ! 行きさなさい、シーヴァ! アレックスなんてけちょんけちょんにするのよ!」
観客席から舞台に立つ息子に向けてシーラが発破をかけていたら、当の本人であるシーヴァもその気になり調子に乗ると、胸を張ってはアレックスへ指さしする。
「フハハハハハ! 母さんの宣言通りけちょんけちょんにしてやるぜ!」
このように乗せられてしまうとすぐ調子に乗る弟の姿を見ているアレックスは、呆れながらも慈愛の微笑みを向けてそれに応えた。
「そういうことは、1度でもいいから僕に勝ってから言うものだよ」
「ソフィ母さんが言ってたぞ! 『言うは易し』! つまり言ったんもん勝ちだ! これで俺はアレックスに勝ったぞ!」
シーヴァの自論に溜息をついてしまうアレックスであるが、弟の間違いを正すべく諭すようにして口を開く。
「ソフィ母上がその後に『行うは難し』って言ってなかったかい?」
「言ってたような気もするけど忘れた! 忘れてもソフィ母さんは怒らないからな!」
そのようなやり取りを見ていたケビンがシーラにジト目を向けると、シーラは視線を逸らしつつシーヴァの独自解釈を棚上げして口を開いた。
「……元気……そう、元気であることが1番なのよ!」
「姉さん?」
「ケビンとお姉ちゃんの自慢の子なんだから、元気があれば何でもできるわ!」
決してジト目のケビンと目を合わせようとはしないシーラがそう答えると、アリスがフォローを入れて試合が始まることを知らせる。
「さすがアリスね! さあ、試合が始まるわよ、ケビン!」
ケビンはあからさまに話をそらせるシーラに溜息をつきつつも、息子たちの試合を見ないという選択肢はないゆえに、のびのび教育を推奨している手前もあり、これ以上は追求という名のジト目をやめて舞台に集中し始めた。
「行くぞ、アレックス!」
「どうぞ」
間合いを詰めたシーヴァがアレックスに向けて剣を振り下ろすと、アレックスはそれを容易くいなす。次から次に斬りつけるシーヴァの攻撃をアレックスが簡単にいなしていたら、シーヴァは自爆攻撃とも言える行動をとる。
「《アイスストーム》」
アレックスへダメージを与えるという目的のために自身すらも巻き込み魔法を唱えると、2人を包み込むようにして氷の嵐が顕現される。
「無茶苦茶だ……」
対するアレックスは自身の身体強化を最大限に高めたら、吹き荒れる嵐の中から脱出するために外へ向かって駆け出した。
「逃がさねぇぞ! 《アイスアロー》」
氷嵐から逃げるという選択肢をとったアレックスの行く手から、今度は別の魔法がそれを遮るかのように飛来する。それと同時にシーヴァが後方から追い打ちをかけるようにして斬りかかる。
「《ファイアウォール》」
さすがのアレックスもこれは完全に予想外の展開だったために、氷矢の対処は魔法ですることにしてシーヴァの攻撃を受けるために振り返り、振り下ろされている剣を受け止めた。
「へへっ、どうだ!」
何故か平然と動いているシーヴァを不審に思い、アレックスがそのことに関して質問をすると、思いもよらぬ返答が返ってくる。
「母さんに《氷河時代の顕現》で鍛錬を手伝ってもらってたら、いつの間にか【氷属性耐性】を手に入れてたんだぜ! 凄いだろ!」
「無茶苦茶だ……」
再び同じことを口にしたアレックスは、シーヴァが鍛錬のためにシーラの代名詞とも言えるお得意魔法の餌食になるのを進んでしていたことに、感嘆するどころか呆れ返っていた。
しかしながらこのままでは事態が好転するどころか、最悪初めてシーヴァに負ける可能性も見えてきたので、アレックスはどうにかしてこの場を仕切り直しに持っていこうと画策する。
未だ続いている氷嵐の中で剣戟が繰り返され、ジリジリとダメージを受け続けるアレックスがついに行動に出た。
「《ファイア》」
「うわっ!」
鍔迫り合いの最中に、いきなり目の前に出てきた炎に面食らったシーヴァが仰け反りたたらを踏むと、その隙にアレックスは次の魔法を唱える。
「《ファイアアロー》」
仰け反り中のシーヴァに火矢が次々と襲いかかり、シーヴァがそれをなりふり構わずに避けていると、その間にアレックスは追撃の魔法を撃ちつつ氷嵐の外へ出ることに成功する。
やがて収まった氷嵐の中からシーヴァがその姿を現すと、所々に火魔法を受けた痕跡が見えており、少なからずダメージを負ったことが目に見えてわかった。
「せっかくいい所だったのに、逃げるなよ!」
勝てる算段がついていたシーヴァがプンスカと怒りながらそう言うも、アレックスは落ち着いた表情で言葉を返す。
「いやいや、父上や母上の前で負ける訳にはいかないだろ?」
「俺だって負けられないんだ! 《アイスウォール》3連!」
地団駄を踏んでいたシーヴァが次の魔法を唱えると、アレックスを囲い込むようにして後方と左右に氷壁が出現する。
「これで逃げられないぞ! 《アイスストーム》、《アイスアロー》、《アイスランス》、トドメの《アイスバレット》」
アレックスの姿は最初の氷嵐に包まれて見えなくなってしまうが、シーヴァの猛攻によって次から次へと氷属性魔法が撃ち込まれていく。
その光景にさすがのアレックスも今度ばかりは負けたのではないかと観客たちが見守る中で、ようやくシーヴァの魔法が終わりを迎えて白いモヤが晴れていくと、そこには光の結界を展開していたアレックスの姿があった。
「なっ!?」
「《フィジカルアップ》、《ウインドアクセル》」
スキルの身体強化の上から更に魔法による身体強化を加えたアレックスが足を踏み抜き加速すると、通常のスピードに目が慣れていたシーヴァには、いきなり目の前にアレックスが現れたような感覚に陥り、何か対処するという思考を巡らせるよりも速く、アレックスの所持していた剣の柄がシーヴァのみぞおちに入り込む。
「っ――」
そのまま前のめりに倒れ込むシーヴァをアレックスが抱え込むと、最後に頑張った弟へ向けて声をかける。
「成長したな、シーヴァ」
その言葉を耳にしたかどうかはわからないが、気絶したシーヴァの表情は満足したような顔つきで対戦を終えるのであった。
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