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第15章 勇者召喚の儀
第487話 異世界召喚2日目(九鬼サイド)
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あくる朝、朝食を食べ終えた僕はウォルターさんから言われた通りに出て行く準備を終えると、何故か部屋の前で待機していた聖職者の人に案内されて神殿の出口に向かった。
神殿内で迷子になるとでも思っていたのだろうか? それとも、さっさと追い出したかったのかどうかはわからないけど、出口までのルートは道すがら神殿関係者に聞いていこうと思っていたので、僕からしてみればありがたいことだった。
そして、神殿から外に出ることができた僕は、まず宿屋の確保へと身を乗り出した。治安の程度もわからないうちから、街中での野宿はさすがにしたくないからだ。
とぼとぼと歩きつつ皇都セレスティアの街並みを初めて見るけど、建物は白を基調としていて清潔感が出ている雰囲気だ。宗教国家と言われていたし、潔白さでも表すために統一しているのかもしれない。
そのような街並みを、おのぼりさんよろしく歩いている僕が珍しいのか、道行く人たちから視線を浴びてしまう。
(黒髪にブレザーだからかな……この世界に黒髪ってあまりいないのかな? みんな金髪とか茶髪だし……不良たちが喜びそうな世界かも……)
そして、トコトコと渡されていた地図を頼りに歩いていくこと数十分、ようやく目的地の宿屋を見つけることができた。
「あれか……」
それから宿屋の中に入った僕は、店員さんにこれまた珍しいものを見るかのような視線を向けられてしまった。
(……部屋を取ったら、ちょっと服を探しに行こう。これは目立ちすぎるかもしれない)
次の行動が早くも決まってしまった僕は、カウンターに座っている店員さんへ声をかけた。
「あの……ウォルター枢機卿さんからの紹介で来たのですけれど……」
「げ、猊下からっ!?」
枢機卿には猊下って言わなきゃいけないのか。“さん”付けしたことがバレて怒られたりしないかな?
そして、もの凄く驚いている店員さんに紹介状を渡したら、震える手でそれを読んでいき、瞬く間に僕の部屋が用意されてしまった。
瞬く間は言い過ぎで、実際は改めてする掃除やら何やらで時間がかかっていたのだけれど……
それから僕は用意された部屋に入ると、思いのほかちゃんとした造りのようで、神殿では大した能力もなく邪魔者扱いをされたのに、この部屋を借りられるように紹介状を用意してくれた神殿を、ちょっとだけ見直した。
恐らく何もせず放り出して仮に僕が死にでもしたりすると、みんなからの協力が得られないなんて考えたりするのはきっと無粋だろう。ここは素直になってウォルターさんの好意に感謝をしておこう。
その後の僕は腰をおちつけるわけでもなく、早速服を着替えるために店員さんに服屋さんの場所を聞き出した。その時に「これを持っていってください」と、ウォルターさんの紹介状を返してくれた。
「その紹介状を他の店でも見せれば、通常価格よりも安く品を揃えることができるでしょう」
「でもこれ、宿屋への紹介状ですよ?」
「どこのお店宛てなんて関係ありません。猊下がしたためた手紙ということが重要なんです。私たち庶民からすれば猊下が紹介状を書くほどのお相手に対して、知らぬうちに粗相をしてしまうことの方が危険なんです。ですから新しく行く先々のお店には、必ずその紹介状を店員にまずはお見せください」
「わかりました。では、行ってきます」
「行ってらっしゃいませ」
それから店員さんに別れを告げた僕は、店員さんが書いてくれた地図を頼りに服屋へと歩き出した。相変わらず道行く人に見られてしまうけれど、それも服を買うまでだ。服さえ手に入ればブレザーから着替えて、地元民として溶け込めるかもしれない。
そして辿りついた服屋で、宿屋の店員さんから言われた通りに紹介状をまずは見せた。それからの対応は凄かったとしか言いようがない。
店の奥から責任者らしき人が姿を現すと、マンツーマンでどのような服を探しているのか、質問ばかりされてしまう。
「え、ええーっと、この格好では目立ってしまって落ち着かないので、普通の人たちが着るような服で……できればお金もそこまでないから、安物の服を……」
「そのような見たこともない高貴な服だと、さぞ目立ってしまったでしょう! しかし、そのような服を着る方に安物を出すわけにはいきません。安物と同じ値段で構いませんので、しっかりとした普通の服をお出し致します」
「そ、それは悪いですよ。それに冒険者になろうと思いますので、汚したり、ボロボロにしたりするかもしれませんし……」
「冒険者になるのなら尚更です! 安物ではすぐにほつれてしまい、買い替える回数が増えて無駄な出費になります! それに襤褸を身に纏っていては、ギルドへ行った時に余計な絡みをしてくる者も出てくるでしょう」
その後、結局のところ店長さんの気迫に押されてしまい、きちんとした服なのに安物価格らしい服を購入することになってしまった。店長さん曰く、「今後もご贔屓にしてくれればそれで良いです」とのことだった。
改めて思ってしまうけど、ウォルターさんの威光は驚くほどの価値があるものみたいだ……
それから僕は服屋の店長さんのお薦めで、武器や防具を揃えてから冒険者ギルドへ行った方が、舐められなくて済むという話を聞いて、場所がわからないのでお店の地図を書いてもらったら、さっそくその地図を頼りに目的地へと進み出した。
そして、武器屋では――
「そんなっ!? そのような安物の剣では、すぐに斬れ味が悪くなってしまいます! 安物価格で構いませんのでこちらの武器をお買い上げください!」
更に防具屋でも――
「いえいえ! そのような防具では紙に等しいです! 初心者用で最も質の高い、こちらの防具を安物価格でお売りさせていただきます!」
何だろう……ウォルターさんってみんなに怖がられている? たとえ偉い人であっても、みんなの対応の仕方に必死さがありありと見て取れるんだけど……
そのようなことを考えていた僕は、気づけば初心者とは思えない質のいい装備に身を包んで、更なるお店へと足を運んだ。
「そのようなちっぽけなマジックポーチなどゴミです! 是非ここは世にも珍しい個人認証試作型のマジックポーチをお買い上げください! いえいえ、価格はゴミと一緒の値段にさせていただきます!」
これってやっぱり恐れられているよね? 神殿で会った時はそこまでの人には見えなかったのに、猫かぶってたのかな? みんなの心象を悪くしないためとか?
その後もポーションやら何やらと必要な物は安物価格で買えてしまったので、質が良いにも関わらず僕が支度金にともらったお金はあまり減っていなかった。
僕としては貴重な全財産だからありがたいと言えばありがたいけど、お店の人たちには何だか悪い気がする。
服屋の店長さんが言ってたみたいに、今後もご贔屓にして少しでも恩返しをしよう。それしかやれることがないし。
そして僕は、最後の目的地である冒険者ギルドへとやってきた。てっきり西部劇みたいな建物にスイングドアが付いていると思ってたのに、目の前の建物は白い壁にドアが付いたものだった。
そのドアを開けて中に入った僕は、いきなり注目を浴びてしまうけど、受付っぽい所へ行ってギルドへの紹介状を手渡した。
「これを渡すように言われたのですけれど……」
「しょっ、少々お待ちください!」
ここでもまた今までの対応と同じことをされてしまう。いったいウォルターさんはどれだけ恐れられているのだろうか……
そして、しばらくしたら受付の人が戻ってきて別室へ案内されると、そこには如何にもな偉い人が座っていて、ソファへ座るように言われたので素直に従う。
「すまないな。受付で冒険者登録を済ませると、確実に絡む奴が出てくるから、ここでしてもらうことにする」
「ここだと大丈夫なのですか?」
「俺の顔見知りという判断をして、早々に手を出す奴は現れない」
「それだと、ウォルター枢機卿猊下の知り合いってことでも大丈夫なのでは……?」
「ここだけの話だが、恨みを持っているやつも中にはいるからな。俺の顔見知りってことよりも安全とは言えねぇ」
(冒険者たちから恨みを買うって……ウォルターさんはいったい何をしたんだ)
それから、この人が冒険者ギルドのギルドマスターだということを教えてくれて、冒険者ギルドは基本的に独立組織なのでウォルターさんの威光を借りるよりも、ギルドマスターの威光の方がそこに登録している冒険者たちには効くらしい。
「だからお前も無闇矢鱈に、ウォルター枢機卿の知り合いだなんて口外するなよ。揉め事が起きても自己責任で守ってやれないからな?」
「じ、自己責任ですか……」
それを聞いてしまった僕は、既に色々なお店でウォルターさんの紹介状を見せてしまったことを、忠告してくれたギルドマスターへ相談した。
「店ならまだいい。顧客を売るような店は信用を失って潰れるからな。見たところ、もうひと通りの物品は揃えたんだろ? それなら他の店を利用せず、今日利用した店をずっと使い続けろ。信頼関係が築ければ益々情報を売らなくなる」
「あっ、それなら今後もご贔屓にしようと思っていますので大丈夫です」
「まぁ、それもあくまで普通の範囲でだ。脅迫なんかされたらその限りじゃない」
「脅迫……」
その後もギルドマスターから色々なことを教えてもらい、冒険者への登録手続きまで済んだら、僕はギルド長室をあとにした。
そして、ロビーに戻ってきた僕は、依頼が載っている掲示板へとそのまま足を進めた。
まだまだ魔物との戦闘なんてできない僕は、掲示板の中から常設依頼である薬草取りなど、僕でもできる初心者の中の初心者と言われている依頼をやってみることにした。
この常設依頼は特に受付に言うまでもなく、薬草を摘んだらそれを受付に持っていけば依頼完了となるらしい。
僕が薬草採取から始めるのは、友達に借りた小説に書いてあったことを倣うためだ。だから、まずは閲覧室に赴いて、薬草の特徴を覚えてから出発しよう。
それから閲覧室で色々と読んだ僕は、街の門番さんに森の位置を聞くと、早速街の外に出て薬草が生えている森へと足を進めることにした。
そして辿りついた森にて、僕はギルドの閲覧室で見た薬草の情報を頼りにして、足元に注意しながら探していく。
……数十分後
「わからない……どれもこれも同じ草に見える……何だか閲覧室で見た薬草の絵も段々とわからなくなってきた……」
初心者の中の初心者と言われている依頼に、僕は手も足も出せなかった。これなら薬草納品じゃなくて、溝掃除を受けていた方が良かったと思えるくらいには既に後悔している。
「はぁぁ……先行き不安だよ……こんなことなら元の世界で、草や山菜の勉強とかすれば良かった……」
そのようなことを考えていた僕は、“勉強”という単語であることを思い出した。それは僕の職業が【学生】であるということだ。
「そういえば固有スキルってのを持っていたんだった」
そう、僕は他に人たちとは違って、共通スキル以外にも固有スキルというものを手に入れていたのだ。
他の人たちのステータスを覗き見したわけではないから、僕以外にも固有スキルを持っている人がいるかもしれないけれど、そのスキル名があまりにも僕の職業と合致しているから、僕専用の固有スキルだという判断をしたのだ。
ということで、僕は休むためにも地面に座り込むと、気を背もたれにしてステータスを閲覧することにした。
『ステータス』
九鬼 泰次(くき やすつぐ)
男性 15歳 種族:人間(異世界人)
身長:170cm 体重:62kg
職業:私立高校1年3組の生徒、
隠れアルバイター、【学生】、
Fランク冒険者
~ 本人不可視 ~
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
状態:打開策がないか思考中
備考:名前のせいで『おに たいじ』や『桃太郎』と揶揄われる経験を持つ。父子家庭であり父親との2人暮らし。父親のような大人になることを目標にしている。父親の負担を減らすために高校に入ってからは、学校に隠してバイトを始めた。異世界に飛ばされてしまい、1人きりの父親のことを心配している。
クラスカースト
中位(29位)→最下位(40位)
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
Lv.1
HP:105
MP:20
筋力:55
耐久:50
魔力:10
精神:10
敏捷:25
スキル
【言語理解】【勉強道具】
【学習能力 Lv.1】【実践能力 Lv.1】
魔法系統
なし
加護
なし
称号
女性不信
鬼神
異世界人
「魔法なし、加護なし、称号は納得の範囲……はぁぁ、せめて魔法が何か使えれば良かったけど、こっちに来てまで頼れるのは自分の肉体だけとか……土木のバイトしてて良かった……気を取り直してっと、頼れるのは【勉強道具】か……」
ステータスを開いた僕は【勉強道具】というスキルがどうにも引っかかり、物は試しと思い至ったらすぐさま実行に移していく。
「鉛筆」
すると僕の右手には鉛筆が1本だけ乗っており、しかもすぐに使用できるように削れた状態で現れていた。
「なるほど……つまりスキル名の通りで、勉強関係の道具が出せるのか……でも、これってどうやって消すんだろ?」
そう思っていたら右手にあった鉛筆が消えてしまい、僕は【勉強道具】の出し入れの仕方をまずは把握することができた。
それからは数学やら国語やらの教科書を出せるか試してみたり、何かを書き残すためにノートを出してみたりと、思いつく限りの勉強道具を出してはそれを消して、と繰り返し練習する。
そこでわかったことは、特に口にする必要もなく出したい勉強道具を思い浮かべるだけで、勉強道具が取り出せるということだ。
そこまでしてみて、僕は本題の物を手にすることができるか試してみるのだった。
『閲覧室にあった植物図鑑』
すると僕の目の前の地面には、ギルドの閲覧室で見た植物図鑑が置かれていた。
「やった……成功した……」
見たかった物が目の前に現れたことによって、僕はすぐさま薬草が記載されているページを開いてはそこに描かれている絵を見たけど、どう見ても実写としか思えない出来栄えだった。
「あれ……何かギルドで見たものと違う……」
不審に思った僕は本を閉じて表や裏を見てみるけど、特に変わったところはこれと言ってなく、何故中身の絵が実写になっているのか意味がわからなかった。
そう思いながらも僕は再び薬草のページを開いて、そこにある実写の薬草を眺めてみる。
「まぁ、わかりやすいから良しとしよう」
それからはその本を片手に薬草を探していき、思いのほか近くにあったのを見逃していたようで、人間の記憶にある絵なんて役に立たないのだと実感することになってしまう。
早い話が僕のような平凡な人間の記憶を、薬草採取の頼りにすること自体が間違いだったのだ。これからはこの図鑑を使いつつ採取を繰り返していこう。これなら実写だから間違いは起こらないはずだから。
そして、僕は薬草の他にも採取できる草がないか図鑑を見ながら探しては、安物価格で購入したマジックポーチへとどんどん詰め込んでいくのだった。
僕は夢中になってその作業をしているといつの間にかお昼になっていたようなので、買っておいたパンを食べながらひと休みすることにする。
「それにしてもこの図鑑は便利だ。午後からもいっぱい採取をしてギルドへ納品しよう」
そして軽く食事を終えた僕はそれからも採取を続けて、夕方近くになってから納品のためにギルドへと足を運んだ。
「こ、これを1人でっ!?」
受付に薬草を出した僕への第一声がこれだった。
「ええ、朝からずっと採取をしていたので、この量になってしまいました」
受付嬢と呼ばれている人は、カウンターいっぱいに乗せた僕の採取した薬草を見て、驚きが隠せなかったようだ。
「それとまだ他にもあるんですけど、乗せない方がいいですよね?」
「ちょ、ちょっと解体場へ行きましょう! あそこなら広いですから全部出しちゃってください」
それから連れていかれた解体場は、色々な魔物を解体している人たちが働いていて、不覚にもそれを見てしまった僕は一気に気分が悪くなった。
「うっ……」
「どうされましたか?」
「ちょっと……解体現場を見てしまって……」
「あぁー、なるほど。冒険者の中にはそういう人もいますからね。初めて見る解体で吐きそうになったりとか……」
まさに今の僕がその状態なんですけど……受付嬢の人は女性なのに平然としている……内臓とかぐっちゃぐちゃで飛び出してんだよ?
「ん……? 私が平気なのが気になるようですね? こんな現場で吐いていたら受付嬢なんて務まりませんよ」
「慣れ……ですか……?」
「そうです。たまに酷い時なんかは服に血の匂いが染み込んで、そのまま受付で対応したりもするんですよ」
これが平和な世界から来た人と現地の人との格差かな……女性なのに色々と凄い。僕なら血の匂いならまだしも、あの内臓とか見たら無理だ。
そう思った僕は急いで採取した草関連を全て出すと、受付嬢さんを置いてさっさと中へ戻っていった。背後から『クスクス』と笑い声が聞こえていたけど、それを気にするほどの余裕がない。
僕にとっては笑われることなんか吐くことに比べたら大したことじゃない。笑われることなんて名前の件で散々経験したことだから。
そして、ホールに戻ってきた僕は気分が悪いまま、併設の酒場で水を頼んだ。店員さんは僕が来た方向から察したのか、何も言わずにそっと水を差し出してくれた。
その後も水を頼みつつ気分を落ち着かせていたら、受付嬢さんが声をかけてきたので話を聞くと、どうやら納品完了の手続きが終わったらしく、受付へ来るように伝えてきたので僕は受付へと向かう。
「代金は直接払いとギルドカードへの振込がありますが、どちらになさいますか?」
「……ギルドカードで」
少し迷ってしまったけど、僕はギルドカードへの振り込みを選択した。説明を受けた時にキャッシュカードみたいで、扱いやすいと思ったからだ。
「それでは依頼達成の処理と振り込みをしますので、ギルドカードの提出をお願いします」
そう言われた僕がギルドカードを提出すると、受付嬢さんはテキパキと処理を行っていき、大した時間は取られなかった。
それから僕は気分の悪いまま宿屋へと戻って、店員さんに夕ご飯はいらないことを告げると、心配されてしまったので恥ずかしい体験を隠さずに伝えたら、気持ちが落ち着くお香をくれて部屋で焚くように言われた。
「ありがとうございます」
「いえ、あまりにも顔色が優れないようですので、ちょっとした気遣いです」
僕は再度店員さんにお礼を伝えると部屋に戻って、早速いただいたお香セットをテーブルの上に置いて焚いてみる。
「あぁぁ……なんかいい香り……」
それから装備類をマジックポーチへ仕舞い込むと、平服に戻った僕はどっと疲れが押し寄せてきてベッドへ上がり込んではゴロンと寝転がった。
「父さん……異世界は凄いよ……女の人が平気な顔でグロテスクな解体を見ているんだ……はぁぁ……こっちの世界で上手くやっていけるかな……」
父さんのことを思い浮かべながら過ごしていた僕は、お香が効いてきたのか知らないうちに眠っていたようであった。
神殿内で迷子になるとでも思っていたのだろうか? それとも、さっさと追い出したかったのかどうかはわからないけど、出口までのルートは道すがら神殿関係者に聞いていこうと思っていたので、僕からしてみればありがたいことだった。
そして、神殿から外に出ることができた僕は、まず宿屋の確保へと身を乗り出した。治安の程度もわからないうちから、街中での野宿はさすがにしたくないからだ。
とぼとぼと歩きつつ皇都セレスティアの街並みを初めて見るけど、建物は白を基調としていて清潔感が出ている雰囲気だ。宗教国家と言われていたし、潔白さでも表すために統一しているのかもしれない。
そのような街並みを、おのぼりさんよろしく歩いている僕が珍しいのか、道行く人たちから視線を浴びてしまう。
(黒髪にブレザーだからかな……この世界に黒髪ってあまりいないのかな? みんな金髪とか茶髪だし……不良たちが喜びそうな世界かも……)
そして、トコトコと渡されていた地図を頼りに歩いていくこと数十分、ようやく目的地の宿屋を見つけることができた。
「あれか……」
それから宿屋の中に入った僕は、店員さんにこれまた珍しいものを見るかのような視線を向けられてしまった。
(……部屋を取ったら、ちょっと服を探しに行こう。これは目立ちすぎるかもしれない)
次の行動が早くも決まってしまった僕は、カウンターに座っている店員さんへ声をかけた。
「あの……ウォルター枢機卿さんからの紹介で来たのですけれど……」
「げ、猊下からっ!?」
枢機卿には猊下って言わなきゃいけないのか。“さん”付けしたことがバレて怒られたりしないかな?
そして、もの凄く驚いている店員さんに紹介状を渡したら、震える手でそれを読んでいき、瞬く間に僕の部屋が用意されてしまった。
瞬く間は言い過ぎで、実際は改めてする掃除やら何やらで時間がかかっていたのだけれど……
それから僕は用意された部屋に入ると、思いのほかちゃんとした造りのようで、神殿では大した能力もなく邪魔者扱いをされたのに、この部屋を借りられるように紹介状を用意してくれた神殿を、ちょっとだけ見直した。
恐らく何もせず放り出して仮に僕が死にでもしたりすると、みんなからの協力が得られないなんて考えたりするのはきっと無粋だろう。ここは素直になってウォルターさんの好意に感謝をしておこう。
その後の僕は腰をおちつけるわけでもなく、早速服を着替えるために店員さんに服屋さんの場所を聞き出した。その時に「これを持っていってください」と、ウォルターさんの紹介状を返してくれた。
「その紹介状を他の店でも見せれば、通常価格よりも安く品を揃えることができるでしょう」
「でもこれ、宿屋への紹介状ですよ?」
「どこのお店宛てなんて関係ありません。猊下がしたためた手紙ということが重要なんです。私たち庶民からすれば猊下が紹介状を書くほどのお相手に対して、知らぬうちに粗相をしてしまうことの方が危険なんです。ですから新しく行く先々のお店には、必ずその紹介状を店員にまずはお見せください」
「わかりました。では、行ってきます」
「行ってらっしゃいませ」
それから店員さんに別れを告げた僕は、店員さんが書いてくれた地図を頼りに服屋へと歩き出した。相変わらず道行く人に見られてしまうけれど、それも服を買うまでだ。服さえ手に入ればブレザーから着替えて、地元民として溶け込めるかもしれない。
そして辿りついた服屋で、宿屋の店員さんから言われた通りに紹介状をまずは見せた。それからの対応は凄かったとしか言いようがない。
店の奥から責任者らしき人が姿を現すと、マンツーマンでどのような服を探しているのか、質問ばかりされてしまう。
「え、ええーっと、この格好では目立ってしまって落ち着かないので、普通の人たちが着るような服で……できればお金もそこまでないから、安物の服を……」
「そのような見たこともない高貴な服だと、さぞ目立ってしまったでしょう! しかし、そのような服を着る方に安物を出すわけにはいきません。安物と同じ値段で構いませんので、しっかりとした普通の服をお出し致します」
「そ、それは悪いですよ。それに冒険者になろうと思いますので、汚したり、ボロボロにしたりするかもしれませんし……」
「冒険者になるのなら尚更です! 安物ではすぐにほつれてしまい、買い替える回数が増えて無駄な出費になります! それに襤褸を身に纏っていては、ギルドへ行った時に余計な絡みをしてくる者も出てくるでしょう」
その後、結局のところ店長さんの気迫に押されてしまい、きちんとした服なのに安物価格らしい服を購入することになってしまった。店長さん曰く、「今後もご贔屓にしてくれればそれで良いです」とのことだった。
改めて思ってしまうけど、ウォルターさんの威光は驚くほどの価値があるものみたいだ……
それから僕は服屋の店長さんのお薦めで、武器や防具を揃えてから冒険者ギルドへ行った方が、舐められなくて済むという話を聞いて、場所がわからないのでお店の地図を書いてもらったら、さっそくその地図を頼りに目的地へと進み出した。
そして、武器屋では――
「そんなっ!? そのような安物の剣では、すぐに斬れ味が悪くなってしまいます! 安物価格で構いませんのでこちらの武器をお買い上げください!」
更に防具屋でも――
「いえいえ! そのような防具では紙に等しいです! 初心者用で最も質の高い、こちらの防具を安物価格でお売りさせていただきます!」
何だろう……ウォルターさんってみんなに怖がられている? たとえ偉い人であっても、みんなの対応の仕方に必死さがありありと見て取れるんだけど……
そのようなことを考えていた僕は、気づけば初心者とは思えない質のいい装備に身を包んで、更なるお店へと足を運んだ。
「そのようなちっぽけなマジックポーチなどゴミです! 是非ここは世にも珍しい個人認証試作型のマジックポーチをお買い上げください! いえいえ、価格はゴミと一緒の値段にさせていただきます!」
これってやっぱり恐れられているよね? 神殿で会った時はそこまでの人には見えなかったのに、猫かぶってたのかな? みんなの心象を悪くしないためとか?
その後もポーションやら何やらと必要な物は安物価格で買えてしまったので、質が良いにも関わらず僕が支度金にともらったお金はあまり減っていなかった。
僕としては貴重な全財産だからありがたいと言えばありがたいけど、お店の人たちには何だか悪い気がする。
服屋の店長さんが言ってたみたいに、今後もご贔屓にして少しでも恩返しをしよう。それしかやれることがないし。
そして僕は、最後の目的地である冒険者ギルドへとやってきた。てっきり西部劇みたいな建物にスイングドアが付いていると思ってたのに、目の前の建物は白い壁にドアが付いたものだった。
そのドアを開けて中に入った僕は、いきなり注目を浴びてしまうけど、受付っぽい所へ行ってギルドへの紹介状を手渡した。
「これを渡すように言われたのですけれど……」
「しょっ、少々お待ちください!」
ここでもまた今までの対応と同じことをされてしまう。いったいウォルターさんはどれだけ恐れられているのだろうか……
そして、しばらくしたら受付の人が戻ってきて別室へ案内されると、そこには如何にもな偉い人が座っていて、ソファへ座るように言われたので素直に従う。
「すまないな。受付で冒険者登録を済ませると、確実に絡む奴が出てくるから、ここでしてもらうことにする」
「ここだと大丈夫なのですか?」
「俺の顔見知りという判断をして、早々に手を出す奴は現れない」
「それだと、ウォルター枢機卿猊下の知り合いってことでも大丈夫なのでは……?」
「ここだけの話だが、恨みを持っているやつも中にはいるからな。俺の顔見知りってことよりも安全とは言えねぇ」
(冒険者たちから恨みを買うって……ウォルターさんはいったい何をしたんだ)
それから、この人が冒険者ギルドのギルドマスターだということを教えてくれて、冒険者ギルドは基本的に独立組織なのでウォルターさんの威光を借りるよりも、ギルドマスターの威光の方がそこに登録している冒険者たちには効くらしい。
「だからお前も無闇矢鱈に、ウォルター枢機卿の知り合いだなんて口外するなよ。揉め事が起きても自己責任で守ってやれないからな?」
「じ、自己責任ですか……」
それを聞いてしまった僕は、既に色々なお店でウォルターさんの紹介状を見せてしまったことを、忠告してくれたギルドマスターへ相談した。
「店ならまだいい。顧客を売るような店は信用を失って潰れるからな。見たところ、もうひと通りの物品は揃えたんだろ? それなら他の店を利用せず、今日利用した店をずっと使い続けろ。信頼関係が築ければ益々情報を売らなくなる」
「あっ、それなら今後もご贔屓にしようと思っていますので大丈夫です」
「まぁ、それもあくまで普通の範囲でだ。脅迫なんかされたらその限りじゃない」
「脅迫……」
その後もギルドマスターから色々なことを教えてもらい、冒険者への登録手続きまで済んだら、僕はギルド長室をあとにした。
そして、ロビーに戻ってきた僕は、依頼が載っている掲示板へとそのまま足を進めた。
まだまだ魔物との戦闘なんてできない僕は、掲示板の中から常設依頼である薬草取りなど、僕でもできる初心者の中の初心者と言われている依頼をやってみることにした。
この常設依頼は特に受付に言うまでもなく、薬草を摘んだらそれを受付に持っていけば依頼完了となるらしい。
僕が薬草採取から始めるのは、友達に借りた小説に書いてあったことを倣うためだ。だから、まずは閲覧室に赴いて、薬草の特徴を覚えてから出発しよう。
それから閲覧室で色々と読んだ僕は、街の門番さんに森の位置を聞くと、早速街の外に出て薬草が生えている森へと足を進めることにした。
そして辿りついた森にて、僕はギルドの閲覧室で見た薬草の情報を頼りにして、足元に注意しながら探していく。
……数十分後
「わからない……どれもこれも同じ草に見える……何だか閲覧室で見た薬草の絵も段々とわからなくなってきた……」
初心者の中の初心者と言われている依頼に、僕は手も足も出せなかった。これなら薬草納品じゃなくて、溝掃除を受けていた方が良かったと思えるくらいには既に後悔している。
「はぁぁ……先行き不安だよ……こんなことなら元の世界で、草や山菜の勉強とかすれば良かった……」
そのようなことを考えていた僕は、“勉強”という単語であることを思い出した。それは僕の職業が【学生】であるということだ。
「そういえば固有スキルってのを持っていたんだった」
そう、僕は他に人たちとは違って、共通スキル以外にも固有スキルというものを手に入れていたのだ。
他の人たちのステータスを覗き見したわけではないから、僕以外にも固有スキルを持っている人がいるかもしれないけれど、そのスキル名があまりにも僕の職業と合致しているから、僕専用の固有スキルだという判断をしたのだ。
ということで、僕は休むためにも地面に座り込むと、気を背もたれにしてステータスを閲覧することにした。
『ステータス』
九鬼 泰次(くき やすつぐ)
男性 15歳 種族:人間(異世界人)
身長:170cm 体重:62kg
職業:私立高校1年3組の生徒、
隠れアルバイター、【学生】、
Fランク冒険者
~ 本人不可視 ~
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
状態:打開策がないか思考中
備考:名前のせいで『おに たいじ』や『桃太郎』と揶揄われる経験を持つ。父子家庭であり父親との2人暮らし。父親のような大人になることを目標にしている。父親の負担を減らすために高校に入ってからは、学校に隠してバイトを始めた。異世界に飛ばされてしまい、1人きりの父親のことを心配している。
クラスカースト
中位(29位)→最下位(40位)
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
Lv.1
HP:105
MP:20
筋力:55
耐久:50
魔力:10
精神:10
敏捷:25
スキル
【言語理解】【勉強道具】
【学習能力 Lv.1】【実践能力 Lv.1】
魔法系統
なし
加護
なし
称号
女性不信
鬼神
異世界人
「魔法なし、加護なし、称号は納得の範囲……はぁぁ、せめて魔法が何か使えれば良かったけど、こっちに来てまで頼れるのは自分の肉体だけとか……土木のバイトしてて良かった……気を取り直してっと、頼れるのは【勉強道具】か……」
ステータスを開いた僕は【勉強道具】というスキルがどうにも引っかかり、物は試しと思い至ったらすぐさま実行に移していく。
「鉛筆」
すると僕の右手には鉛筆が1本だけ乗っており、しかもすぐに使用できるように削れた状態で現れていた。
「なるほど……つまりスキル名の通りで、勉強関係の道具が出せるのか……でも、これってどうやって消すんだろ?」
そう思っていたら右手にあった鉛筆が消えてしまい、僕は【勉強道具】の出し入れの仕方をまずは把握することができた。
それからは数学やら国語やらの教科書を出せるか試してみたり、何かを書き残すためにノートを出してみたりと、思いつく限りの勉強道具を出してはそれを消して、と繰り返し練習する。
そこでわかったことは、特に口にする必要もなく出したい勉強道具を思い浮かべるだけで、勉強道具が取り出せるということだ。
そこまでしてみて、僕は本題の物を手にすることができるか試してみるのだった。
『閲覧室にあった植物図鑑』
すると僕の目の前の地面には、ギルドの閲覧室で見た植物図鑑が置かれていた。
「やった……成功した……」
見たかった物が目の前に現れたことによって、僕はすぐさま薬草が記載されているページを開いてはそこに描かれている絵を見たけど、どう見ても実写としか思えない出来栄えだった。
「あれ……何かギルドで見たものと違う……」
不審に思った僕は本を閉じて表や裏を見てみるけど、特に変わったところはこれと言ってなく、何故中身の絵が実写になっているのか意味がわからなかった。
そう思いながらも僕は再び薬草のページを開いて、そこにある実写の薬草を眺めてみる。
「まぁ、わかりやすいから良しとしよう」
それからはその本を片手に薬草を探していき、思いのほか近くにあったのを見逃していたようで、人間の記憶にある絵なんて役に立たないのだと実感することになってしまう。
早い話が僕のような平凡な人間の記憶を、薬草採取の頼りにすること自体が間違いだったのだ。これからはこの図鑑を使いつつ採取を繰り返していこう。これなら実写だから間違いは起こらないはずだから。
そして、僕は薬草の他にも採取できる草がないか図鑑を見ながら探しては、安物価格で購入したマジックポーチへとどんどん詰め込んでいくのだった。
僕は夢中になってその作業をしているといつの間にかお昼になっていたようなので、買っておいたパンを食べながらひと休みすることにする。
「それにしてもこの図鑑は便利だ。午後からもいっぱい採取をしてギルドへ納品しよう」
そして軽く食事を終えた僕はそれからも採取を続けて、夕方近くになってから納品のためにギルドへと足を運んだ。
「こ、これを1人でっ!?」
受付に薬草を出した僕への第一声がこれだった。
「ええ、朝からずっと採取をしていたので、この量になってしまいました」
受付嬢と呼ばれている人は、カウンターいっぱいに乗せた僕の採取した薬草を見て、驚きが隠せなかったようだ。
「それとまだ他にもあるんですけど、乗せない方がいいですよね?」
「ちょ、ちょっと解体場へ行きましょう! あそこなら広いですから全部出しちゃってください」
それから連れていかれた解体場は、色々な魔物を解体している人たちが働いていて、不覚にもそれを見てしまった僕は一気に気分が悪くなった。
「うっ……」
「どうされましたか?」
「ちょっと……解体現場を見てしまって……」
「あぁー、なるほど。冒険者の中にはそういう人もいますからね。初めて見る解体で吐きそうになったりとか……」
まさに今の僕がその状態なんですけど……受付嬢の人は女性なのに平然としている……内臓とかぐっちゃぐちゃで飛び出してんだよ?
「ん……? 私が平気なのが気になるようですね? こんな現場で吐いていたら受付嬢なんて務まりませんよ」
「慣れ……ですか……?」
「そうです。たまに酷い時なんかは服に血の匂いが染み込んで、そのまま受付で対応したりもするんですよ」
これが平和な世界から来た人と現地の人との格差かな……女性なのに色々と凄い。僕なら血の匂いならまだしも、あの内臓とか見たら無理だ。
そう思った僕は急いで採取した草関連を全て出すと、受付嬢さんを置いてさっさと中へ戻っていった。背後から『クスクス』と笑い声が聞こえていたけど、それを気にするほどの余裕がない。
僕にとっては笑われることなんか吐くことに比べたら大したことじゃない。笑われることなんて名前の件で散々経験したことだから。
そして、ホールに戻ってきた僕は気分が悪いまま、併設の酒場で水を頼んだ。店員さんは僕が来た方向から察したのか、何も言わずにそっと水を差し出してくれた。
その後も水を頼みつつ気分を落ち着かせていたら、受付嬢さんが声をかけてきたので話を聞くと、どうやら納品完了の手続きが終わったらしく、受付へ来るように伝えてきたので僕は受付へと向かう。
「代金は直接払いとギルドカードへの振込がありますが、どちらになさいますか?」
「……ギルドカードで」
少し迷ってしまったけど、僕はギルドカードへの振り込みを選択した。説明を受けた時にキャッシュカードみたいで、扱いやすいと思ったからだ。
「それでは依頼達成の処理と振り込みをしますので、ギルドカードの提出をお願いします」
そう言われた僕がギルドカードを提出すると、受付嬢さんはテキパキと処理を行っていき、大した時間は取られなかった。
それから僕は気分の悪いまま宿屋へと戻って、店員さんに夕ご飯はいらないことを告げると、心配されてしまったので恥ずかしい体験を隠さずに伝えたら、気持ちが落ち着くお香をくれて部屋で焚くように言われた。
「ありがとうございます」
「いえ、あまりにも顔色が優れないようですので、ちょっとした気遣いです」
僕は再度店員さんにお礼を伝えると部屋に戻って、早速いただいたお香セットをテーブルの上に置いて焚いてみる。
「あぁぁ……なんかいい香り……」
それから装備類をマジックポーチへ仕舞い込むと、平服に戻った僕はどっと疲れが押し寄せてきてベッドへ上がり込んではゴロンと寝転がった。
「父さん……異世界は凄いよ……女の人が平気な顔でグロテスクな解体を見ているんだ……はぁぁ……こっちの世界で上手くやっていけるかな……」
父さんのことを思い浮かべながら過ごしていた僕は、お香が効いてきたのか知らないうちに眠っていたようであった。
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