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第14章 聖戦

第464話 治療という名の免罪符R

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 ケビンはクララに言われた通り馬車で待つ女の子たちの所へと向かい中に入ると、転移させた当初よりかは幾分落ち着きを取り戻しているものの、バラけて座ると言うよりもひと纏まりになって隅に寄って座っていた。

 ケビンが中へ入ったことにより入口側に座っていたアブリルが、ケビンへ申し訳なさそうに報告する。

「主様、私めの力が至らず申し訳ありません」

「アブリルのせいじゃない」

 ケビンは視線を女の子たちの中の服を着た人へと流し、その女の子へ近づくと声をかけた。

「何やら色々と落ち着きなくて申し訳ないね。戦争が始まるからどうしようもないけど」

「私たちもすみません。あの方たちはとてもよくしてくれているのに、わがままを言ってしまったみたいで」

「構わないよ。君たちを見ればあいつらからどのような目にあったかは、だいたい想像できる。平常心でいろって言う方が難しい」

 ケビンと服を着た女の子が会話をしていると、別の女の子が横から話しかけてくる。

「あの……戦争には勝てそう?」

「ん? どうして?」

「負けたらまたあいつらに捕まるって思って……」

「そっか……まぁ、兵は男ばかりだからね。魔が差す奴がいるかもしれないと思うと怖いんだね」

「うん……」

「負けないよ。アリシテア王国軍が味方についたし、こちらの兵の数が増えてちょうど2万対2万になったからね。それに向こうの主要指揮官を3名引き抜いたから、今頃相手はてんやわんやだろうね」

「その指揮官は裏切らないの?」

「裏切ることはないかな。裏切ったら死ぬしか道は残らないし。それに今は捕虜って形でここにいてもらってるから、戦争には参加させないし現場を引っ掻き回されることもない」

「……男なの?」

「いや、女性だよ。あいつのやったことを軽蔑していたから、君たちに何かすることはない」

 それから落ち着きを取り戻した女の子たちを見たケビンは、もういいだろうと馬車を出るため立ち上がろうとすると、傍にいた1人の女の子が咄嗟にケビンの服を掴んだ。

 服を掴まれたケビンが振り向くとその女の子と目が合い、女の子は無意識で取った咄嗟の行動を認識して声を漏らす。

「ぁ……ごめ――」

「い、いや……服を掴むのは構わないよ。構わないんだけどね、その……見えてる……」

「?」

「あ、あの……裸が……」

「~~ッ!」

 ケビンに指摘されて自分にかけられている毛布がはだけているのを認識した女の子は、ケビンの服を掴んだ手はそのままギュッと握りしめ片手で何とか隠そうとするが、より扇情的に見えてしまうだけだったのでケビンは視線を逸らすしかなかった。

「……全部見た?」

「ごめん、バッチリ観察した」

「……エッチ」

「本当にごめん。酷い目に遭った女の子にすることではないと、頭では理解してるんだけど……」

「醜くなかった?」

「え……何で?」

「傷だらけだから」

 そこでようやく女の子と視線を合わせたケビンはふと思い出す。転移させた後に衆人環視の中で肌を晒させないため、そそくさと毛布を被せて体を隠していったことや、その時は冷静と言うよりも怒りの感情の方が強かったので、女の子たちが傷を負っていることなど気づいていなかったことを。

「治療が後回しになってごめん。クララたちに君たちが怪我をしてないか確認を取ればよかった」

「いいの。醜いものを見せてごめん」

「……それは違う。君の体は醜くなんてない」

「嘘よ」

「こう言っていいのかわからないけど、ムラムラするからじっと見て観察したんだよ。頭の中に残すために」

「……本当? 私、傷だらけだよ?」

「男って馬鹿な生き物だから余程のことがない限り、目の前に裸の女の子がいたらバッチリ見てしまうんだよ。不快に思うかもしれないけど、あとで思い出してムフフってするために」

「エッチだ」

「自分で否定しようのない事実だと思うと悲しいけどね」

「ふふっ」

「やっと笑ったね。普通の顔もいいけど、笑った顔の方が可愛いよ」

「……口説いてる?」

「ち、違うって。本当のことを言っただけだって」

「一緒に寝るのは少し待って……まだ怖くて受け入れられないから、きっと貴方を悲しませちゃう」

「いや、だから――」

「今はこれで我慢してね……ん……」

 女の子はケビンへ寄り添うとそっと口づけをして、やがてその唇を離した。

「ふふっ」

 はにかむように微笑む女の子の笑顔を見たケビンはポーっとしてしまうが、ハッとして被りを振ると口を開く。

「な、何でっ!?」

「クララさんが貴方のことを色々と教えてくれたの」

「えっ……」

 ケビンがアブリルへ視線を送ると、アブリルはその時のことを話し出した。

「長が主様の優しさを説いていました。酷い目に遭った女性を救っては心のケアまでしていると」

「マジか……」

「主様が優しいのはその子らも肌で感じていたので、特に問題なく受け入れていました」

「だから貴方が望むなら私はお嫁さんになりたい。こんな傷だらけの体でも醜くないって言ってくれたから」

「いや、待って。なにこの急展開……戦争で不安になってるから見に行ってって言われたんだけど……」

「不安なのは本当なの。だけど、クララさんが『証拠を見せるために主殿を呼んでこよう。そなたらを優しく励ましてくれるぞ。それはもうメロメロになるくらいに』って言って、貴方を呼びに行ったの」

「クララ……お前もか……」

「それにドラゴンが復讐している時に、話してるのを聞いていたから」

「え……何か気になる様なこと言った? クララと世間話しかしてないと思うけど……」

「クララさんがその時に『主殿の花嫁になる』と」

「それ誤解だって言ったよね? 間違いなく言ったよね!?」

「クララさんがその時に『もれなく花嫁にしてる』と」

「もれあったから! 獣人族は帰したから!」

「あとは『酷い目に遭った奴隷も嫁にしてる』って」

「ノォォォォッ!」

 クララの発言によりどんどん追い詰められていくケビンの絶叫は、辺りへと響き渡るのであった。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 その頃、軍議用天幕の中では。

「あら、ケビンが叫んでるわね」

「何かあったのかしら?」

「ケビンは元気ね!」

「大方おなごたちに追い詰められておるのであろう」

「クララさん何か知ってるの?」

「いやの、助けたおなごたちに主殿の素晴らしさを教えただけよ。いかに心身ともに傷ついたおなごを大事にして幸せにしておるかをの」

「さすがクララさんね。私のケビンをそこまで褒めてくれるなんて」

「お嫁さんが増えるのは確定みたいね」

「さすがクララだわ!」

「他にもそれぞれの経歴を持つ嫁たちを幸せにしておることも伝えておいたから、その気になって『お嫁さんにして』と迫られたであろうの」

 そのような会話をしている中で、ふと疑問に思ったカトレアが会話に混ざり出した。

「でも、あれだけ男性から酷い目に遭わされた女性たちが、そのあとすぐに男性を好きになるものなのですか? 恐怖で2度と男性に近づけないような気もするのですが」

「それはね、彼女たちも女だからよ」

「え……女性だから女ですよね?」

「ふふっ、カトレアちゃんは真っ直ぐ育ったのね。他の3人は見当がついているみたいよ?」

 カトレアがサラからそう言われてフィアンマたちへ視線を向けると、納得しているような表情で頷き返していた。

「カトレアちゃん、考えてみて。村に住んでいる女の子が悪い男たちに攫われるの。そのあとどういう目に遭うか想像できるでしょう?」

「暴行されます」

「そう。そのあと誰かから助けられて村に帰ったとするでしょう? 村の人たちは攫われた女の子をどういう目で見ると思う?」

「……哀れみの目」

「そうね。例えば若い男性の視点で考えてみて。好きな女の子がそういう目に遭ったらどう感じるかしら?」

「うーん……哀れみ……怒り……悔しさ……?」

 カトレアが悩んでいると、そこで男性陣にサラから視線で促されてお鉢が回ってきた。

「貴方たちの視点だとどう思う?」

「私だと結婚を考えている相手なら、何とか元気になるように工夫してプロポーズするでしょうな。結婚まで考えていない場合は、別の女性に気を向けるでしょう」

「私は可哀想だと思いますが敬遠するでしょう」

「私はどうしても好きという気持ちが消えなければ、一緒になれるよう努力します」

「儂は何とも言えませんな。考えるにはいささか歳を取り過ぎている。若い者の情熱さが足りませんな」

 4人の意見が出揃うと、再びサラはカトレアへ語りかける。

「男性だとこうなるのよ。結婚したいほど好きなら女性と繋がりを持とうとするけど、そうでないのなら言い方は悪いけど切り捨てるの」

「それがどう繋がるんですか?」

「カトレアちゃんがもしそういう目に遭ったら、村に帰りたいと思う? 周りからは哀れみの視線、男性からは結婚したいと思わなければ見向きもされない。しかもみんなの記憶に残り続けるの。『あの女性は攫われて乱暴された人』だと」

 カトレアはその時の状況を考えると、ずっと哀れみの視線に晒されるのは我慢できそうにないと感じてしまう。

「村って小さいわよね? だから村人全てにその事実が知れ渡っているの。大きな街だとそういうことを知らない人もいるかもしれないけど、人伝いに知られてしまう恐怖は拭えないわ」

「……みんな帰る選択をしない?」

「そうよ。しかも今回は家族を殺されたりして帰る場所を失っていたり、お金で解決されて帰っても気まずい雰囲気が村全体でずっとしてたり、そういう場所にカトレアちゃんなら帰りたいと思う?」

「嫌です。そんな所いたくもない。悲しくなるだけです」

「そういうふうな考えに行きつく女性は、次にこれからの人生のことを考えるの。襲われた自分でも受け入れてくれる人や場所のこと、被害に遭ったことを知らない人や場所のことを。つまり打算で物事を考えていくの」

「打算?」

「自分が同情されず落ち着いて暮らせることを優先して、それが叶えられる居場所を探すため損得勘定で動くの」

「それだとケビン君が可哀想……」

「そうね。ただ利用されるだけならケビンは悲しいでしょうね。だけど、ケビンを利用することはできないのよ」

「え……」

「ケビンはね、相手の悪意がわかるの。悪意を持って近づく人間はケビンにバレバレなのよ」

「それだと打算が通用しないんじゃ……」

「そこで通用しちゃうのがケビンの優しさなのよ。女性が傷ついてて行き場を失っている人だと受け入れちゃうの。そして女性は打算的に考えていたのに、ケビンの優しさに触れてコロッと惚れちゃうのよ。利用しようとしていたのに利用しようとすることに罪悪感を感じちゃうの」

「ケビン君……器が大きい……」

「さすがに悪意全開の女性だとケビンも拒否するけどね。ちょっとした寄りかかる居場所を探しているだけなら、ケビンは拒否しないで受け入れるわ」

「つまりそういうことを考えるのが女だと?」

「そう。フィアンマちゃんたちも打算でケビンの所に来てるのよ」

「えっ……団長たちが!?」

 サラから打算と言われた面々は部下であるカトレアに知られたため、居心地が悪そうにするがオフェリーだけはそれに反論する。

「私は違いますよ~」

「オフェリー団長は違うんですか?」

「だって~『俺が守る』だよ、『俺が守る』! しかも暗部に狙われ続ける私を~『絶対に死なせない』って~もうプロポーズだよ、プロポーズ~ずっと守り続けてくれるなんて~もう胸がキュンキュンしっぱなしだよ~」

 オフェリーが自分だけは違うと主張したことに対して、待ったをかける者がいた。

「ちょっと待ちなさい。そこは反論させてもらいますよ」

「えぇ~本当のことなのに~」

「貴女はサラ様に媚びを売りましたよね? サラ様が誰だか知っていて、生き延びるために命乞いをしましたよね? 既にこの時点で打算です。ゆえに、ケビン様の仰った言葉は後付けの理由にしかなりません! 部下の前で1人だけいい人ぶろうなんて許しません!」

「えぇ~メリッサちゃんは私のおかげで命拾いしたのに酷いよ~」

「それとこれとは話が別です! 打算で動いた団長3人組として、部下からの冷たい視線に耐えなさい。逃げるのは卑怯です!」

「ぶぅ~」

 カトレアのために開いたサラの【打算で動く女】講座は、オフェリーが部下からの視線から逃げるという行動を、メリッサによって絡め取られたところで終わりを迎えるのであった。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 時は遡ってケビンが絶叫し終えた馬車の中では。

「はぁぁ……あとでクララはお仕置きしよ……」

「認める?」

「……一部」

「ふふっ」

 ケビンの見つめる先の女の子は負けを認めたケビンとのやり取りが楽しかったのか、静かに微笑んでいた。

「とりあえず傷を治すよ。そのままにしておけないし」

 ケビンの意図した言葉が通じなかったのか、女の子はこてんと首を傾げてそれに答えた。

「もう傷口は塞がってるよ」

「あぁぁ、言い方が悪かった。傷跡を消すから傷跡を見せて」

「……何言ってるの? 傷跡は消えないよ」

「ものは試しだ。どこでもいいから見せて」

 ケビンの言葉を怪訝に思いながら女の子が腕を差し出すと、傷口は確かに塞がっているが切り傷と思わしき跡は赤くうっすらと残っていたのだった。

「切られたんだね。痛かっただろ?」

「いっぱい泣いた。安物のポーションをかけられてわざと傷を残したの。もっと酷い傷を残すぞって。それでも結局切られた……」

「聞くだけでも胸糞悪いな。もっといたぶればよかった」

 ケビンがそのような感想をこぼしながら、女の子の腕に魔法をかける。すると次第に傷跡が消えていき、やがてその傷跡がなくなると女の子は驚きで目を見開く。

「き……消えた……」

「言った通りになっただろ?」

「うん……ありがとう……」

「それじゃあ傷跡を見せてくれる?」

「……全部?」

「記念に残してる傷跡とかあるの?」

「……はぁ……」

 女の子は諦めたかのように毛布を取り払いケビンへ裸を見せた。ケビンはそれを恥ずかしくならないように、後ろから抱く形にして魔法をかけていく。

「ん……あんっ……そこ……は……」

「ちょ、ちょっと声を抑えようか?」

「んん……ねぇ、1つ聞いていい?」

「なに?」

「本当は裸にならなくても治せたんじゃない?」

「……」

「触る必要ある?」

「魔法効率」

「本当?」

「……本当」

「本当に本当?」

「……本当に本当」

「私の目を見て」

「……」

 振り返りケビンを見つめる瞳を同じように見つめ返すケビンに、女の子がやがて呟く。

「……エッチ」

「い、いや、あのね!」

「いいよ、貴方なら。恥ずかしいけど我慢する。貴方がドキドキしてるのも感じるし、本当に傷だらけの私の体を見ても醜く思ってないってわかったから」

「……ごめん」

「見たかったの?」

「……はい」

「触りたかった?」

「…………はい」

「エッチ」

 静かな時間が過ぎていくと女の子は何かに気づいたのか、再びケビンへ言葉をかける。

「ねぇ」

「なに」

「わざと時間をかけてない?」

「……」

「はぁ……本当にエッチね。お尻にも固いもの当ててるし」

「ご、ごめん!」

「いいよ。私の体でそうなったんだから。あいつらと違って不思議と嫌な気分じゃないの。それに貴方に包み込まれてると落ち着くの。これも魔法?」

「いや、それは多分俺の持つ色々な称号のせい」

「色々な称号を持ってるのね」

「結構迷惑してる」

「それで私の体を触れてるのに?」

「その点はありがたい」

「ふふっ、今度は正直なエッチね」

「魅力的な体をしてる君も悪い」

「ありがとう。でも、もうそろそろ終わりにして。他の子も待ってるし、みんなの体を触るんでしょう?」

「……」

「触るんでしょう?」

「……はい」

「エッチ」

 女の子の傷を消すのにとある理由で長引かせたケビンは治療を終えると、他の子も状況を見ていたので恥ずかしがりながらケビンへと近づく。

「わ、私……さっきの子みたいにあまりおっぱいないけど……」

 そう……ケビンが先程の治療を長引かせた原因は、触り心地の良かった胸のせいであった。そしてその部分の治療を終えても無意識に触り続けていたケビンに対して、女の子もそのことはわかっていたが優しく触られていたこともあり、指摘することなくその身を任せていたのだ。

 そしてその現場はここにいる女の子たちに見られていたため、次に来た女の子の第一声として先程のセリフへと繋がるのである。

 その女の子が毛布を取り払うと言われる間もなくケビンの体へすっぽりと入り込み、緊張しながらもその身を預けた。

「お願いします。その……好きに触って構いませんので」

「そう言われると、何か俺が触ること前提みたいだね」

「触らないんですか? やっぱり小さいから?」

「いや、触る。小さくても触る。魅力的な女の子の体なら触る」

「……躊躇いなくなってますね」

「うん、開き直ることにした。もう俺はスケベな男と思われていい。可愛い女の子たちに囲まれて幸せすぎる。戦争のことでやさぐれた心をみんなに癒してもらう」

「ふふっ、癒し合いですね。私も貴方の腕に包まれて癒されてます」

「お互いに得となるなら問題なし。持ちつ持たれつだ」

「私の体でいっぱい癒されてください」

 それからケビンはどんどん女の子たちの体を触っていきながら、某総団長のせいでやさぐれてしまった心を癒されていくのだった。そして最後の1人が終わったところで、服を着た女の子がおもむろに脱ぎ始めた。

「えっ……何してんの!?」

「私も傷を消してもらおうかと」

「あれ、手を出されてないんじゃ……」

 裸になった女の子が恥ずかしがりながらケビンの体にすっぽりと収まると、ケビンはどこをどう見ても傷なんかないので困惑してしまう。されど女の子はそのようなケビンに構わず、だらんとしていたケビンの手を取ると自ら胸へと誘導した。

「……自分ですると恥ずかしいですね」

「ちょ、えっ、いや、何でっ!?」

「私の傷は心です。癒してくれますか?」

「えっ……心……?」

「みんなが貴方に包まれて幸せそうな顔を浮かべていたので、私も癒して欲しいです」

「でも……」

「少しの間だけでいいです。家族の温もりを得られなくなった私に貴方の温もりをわけてください。その間は好きにお触りくださって構いませんので」

 ケビンは心の中で色々と葛藤する。今までのは治療目的という免罪符があったのに、この女の子に関してはそれがなかったからだ。女の子の言い分を利用するなら心の治療という免罪符でどうにかなるが、果たして自分が抱っこしてるだけで治療になっているのか自信が持てなかった。

「みんなの言う通りですね。貴方に包まれていると落ち着きます。癒されるってこういう感覚なんですね」

「本当?」

「はい。このままずっと過ごしたいくらいです。ですから、この手を動かしても構いませんよ。貴方も癒されてください」

「わかった」

 ケビンは本人から癒されているという言質を得たため、自分も癒されようと手を動かして柔らかさを堪能する。

「ん……ぁ……どう……ですか……んっ……癒され……ますか……」

「ああ、気持ちいい」

「あんっ……それは……よかったです……んんっ……」

 それからしばらくの間、ケビンは柔らかさを堪能して女の子は温もりを堪能して、お互いに癒され合うのだった。

 やがて全員の傷を消し去るとケビンは大きく伸びをして息を吐き出す。その光景を見ていた女の子が声をかけた。

「やっぱり魔法って疲れるの?」

「いや、同じ姿勢だったから体を伸ばしてただけだよ」

「疲れた?」

「全然疲れてない。むしろ元気にしてもらった」

「それのこと?」

 女の子が指さす先はケビンの股の間にある山だった。

「これは生理現象……触れないでくれると嬉しい……」

 そこへすかさずやってきたのは静かに待っていたアブリルだった。

「主様、鎮めます」

 見事な手際であっという間にケビンのいちもつを取り出したアブリルは、カプっと咥え込んだらご奉仕を開始した。あまりの手際の早さにケビンの制止は間に合わず、車内はじゅぷじゅぷと卑猥な音に包み込まれる。

「お、大きいです……」
「アブリルさん、全部口の中に入れてる」
「凄い……」
「アイツらの倍以上あるんじゃない?」
「アイツら小さかったもんね」
「膨らんでも萎んでも大きさの違いがわからなかったよね」
「アレって入るのかな?」
「あそこ裂けないかな?」
「入れてみないとわからない」
「でも、まだ怖いからしばらくしてからの挑戦だよね」

 女の子たちが思い思いの感想を述べていて、それが聞こえてしまうケビンは居た堪れない気持ちになりながらも、アブリルによっていい気持ちへと変換されていた。

「ジュポ、ジュポ……ほほはは、はひへふははひ……じゅるる、んく、ジュボ、ジュボ……」

 それからケビンのいい気持ちが放たれると、アブリルはこぼさずにそれをごくごくと喉を鳴らしながら飲み干していく。

「の……飲んでます……」
「うそ……」
「飲めるものなの……」
「アイツらのは吐き出したよね」
「臭かったし、不味かった」
「まだ飲んでる……」
「いつまで出るんだろ……」
「アレ、萎んでないよね」
「うそ……大きいままなの……」
「アイツらは1回出したら萎むのに」

 その後、2回、3回と繰り返されるアブリルのご奉仕の最中に、中々戻って来ないと思ったクララが馬車の中へと入ってきて、アブリルのご奉仕を見た途端に参戦するのだった。

 そして下着などつけてないクララはそのままケビンに跨り下のお口でご奉仕を始めると、車内は瞬く間にピンクの世界へと移り変わってしまう?

「主殿、主殿……」

「ちょ、クララ! ま、待てっ!」

「よいではないか、よいではないか……」

「あぁ~れぇ~……って違うっ! お代官様は俺の役だろ!」

「おおっ、それが主殿の言っておった【ノリツッコミ】とかいう奥義かの」

「奥義じゃねぇよ!」

 ピンクなはずなのにピンクに染まりきれない2人は、いきなりの乱入で唖然としている女の子たちから注目の的であった。

「くっ、出る!」

「んはあぁぁぁぁ――!」

 そしてクララの中に言葉とは別でツッコミを入れたケビンは、どぷどぷと大量に白濁液を流し込みながら、乱れたクララの着物からこぼれ落ちているたわわな胸を堪能する。

 その後はアブリル同様に繰り返していたクララが休むと、今度はアブリルが跨りケビンを下のお口でご奉仕して搾り取っていくのであった。

「何回するつもりなんだろ……」
「全然萎まないね……」
「私たちってお相手できるの……?」
「自信ない……」
「み、みんなですればいけるよ!」
「怖くなくなったらみんなで行こうね」
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