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第12章 イグドラ亜人集合国
第386話 甘い香りと涙①R
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初日にコギャル5人衆を相手取ってからというもの、ケビンは順調にお悩みを解決していった。
今では顔見知りとなったダークエルフたちから道端ですれ違うと声をかけられ、気軽に挨拶を交わす仲までに至っている。
それはお悩み解決をした相手も同様であり、むしろそっち系の人からの挨拶が後を絶たない。
そして今、その声をかけてきた相手と路地裏にいるのだった。
「あんっ、あんっ、奥まで、奥まできてるのぉ! もっと激しく突いてケビンさん!」
「全く、他の人の相手が滞るじゃないか!」
「ごめんなさぁい。でもケビンさんのおちんちんが忘れられないのぉ!」
「淫乱なダークエルフめ! ここまできたら立派な雌豚だな」
「淫乱なのぉ、雌豚なのぉ……ケビンさんのおちんぽミルクが欲しくて盛ってる雌豚ダークエルフなのぉ! あっ、あっ、イク、イクッ――!」
「勝手に1人だけでイキやがって」
ケビンは秘部から愚息を抜き取ると、そのまま躊躇いなくおしりの穴へ突き刺した。
「ひぎぃぃぃぃっ!」
「淫乱雌黒豚はケツまんこでお仕置きだ!」
激しく攻め立てていくケビンのストロークに、苦しんでいた女性は次第によがり始める。
「ひぐっ……んぐ……ふぐっ……広がっちゃう、おしりの穴が広がっちゃうからぁ! ああっ、ケビンさんにアナルバージン奪われたよぉ……あんっ、あんっ、んっ……」
「ケツ穴でも感じてんのか、この変態が! お前の種族は今日からダークエルフじゃなくてダークエロフだ!」
「は、はいっ……わ、わかりましたぁ……私は今日からケツ穴でも感じる変態な淫乱雌黒豚のダークエロフですぅ……だからケビンさんの濃厚ザーメンをケツ穴に注入してミルクをいっぱい飲ませてぇ……」
「淫乱雌黒豚の癖に指図するな!」
「あんっ、んっ、ごめんなさい……欲しいです、ケビンさんの濃厚ザーメンが欲しいです……お情けを、お情けをください……」
「よし、受け取れ!」
「んああぁぁ――! ……はぁはぁ……ケビンさんのザーメンが……入ってくりゅ……」
「ほら、休んでる暇はないぞ」
「は、はい……はむぅ、ジュポジュポ、ジュポッ、はぁ……ケビンさんのおちんぽ汁美味しい……あむ、ジュボボボ、れろれろぉ、じゅるる……ちゅば、ジュポッ、ちゅ……ごくん……んはぁ、お掃除終わりました」
「ありがとう」
先程の攻めていた時とは打って変わって、ケビンは優しく声をかけると頭を撫でるのであった。
「はぁん……この時が1番至福ですぅ。もっと撫で撫でしてくださぁい」
「全く……年上だというのに可愛いやつだな」
「また今度おねだりしてもいいですか?」
「いいよ」
「あんっ、ケビンさん大好きです!」
女性がケビンへ抱きつくとケビンも優しく抱き返しながらお別れのキスをして、何事もなかったかのように路地裏から出てきてそれぞれの用事へと向かうのだった。
それからケビンが今日はどこの家に行こうかと悩みながら歩いていると、家の前に立つ1人の女性から声をかけられる。
「もしかして、ケビンさんじゃないですか?」
「はい、そうですが……貴女は?」
「これは失礼を。私はこの家に住んでいるナディアと申します」
「これはどうも」
「あの……少しお茶をしていきませんか? 1人で家の中にいるのは寂しくて……」
「はぁ……まぁお茶くらいなら別に構いませんが」
そして深く考えずにナディアの誘いを受けたケビンは、そのままナディアの家のリビングへと案内されてソファへ腰を下ろす。
「へぇー旦那さんと2人で住んでいらっしゃるんですね」
「はい、主人が帰ってくる夜までは1人で過ごすことが多くて……家の中だと静まり返って寂しくなってしまい、今日はケビンさんを見かけたのでお声をかけてしまいました。あの……迷惑ではございませんでしたか?」
「いえ、今日の予定はどうするか悩んでいたところだったので、俺も気晴らしになってちょうど良かったです」
「ふふっ、お噂通りでお優しい方なんですね」
「噂……?」
ナディアが語る噂とは、首都イグドラの女性間コミュニティで出回っているケビンの評判についてだった。
現在ダークエルフのお悩み相談を解決していっているケビンが人族にしては珍しく差別をしない優しい人だとして、主にお悩み相談の女性たちがケビンの良さを広めていったのが事の発端であり、実際に言葉を交わしたりもしたお悩み相談とは関係のない人たちまでもがその良さを話し回っている。
更にはそれ以前にドワーフ族のお悩み相談を解決していたり、獣人族の奴隷解放のため助け出したりしていた話も出回っていて、今現在、首都イグドラにおいてケビンの株は人族であるにも関わらず右肩上がりの急上昇を見せていた。
「それで最近は挨拶をしてくれる人たちが増えていたんですね」
「はい、ケビンさんは女性たちにとって注目の的なんですよ」
「はは、何だか有名人になったみたいで照れますね」
「みたいじゃなくて有名人なんです」
それからケビンは喉を潤すためにお茶を飲みつつ、ナディアと他愛ない会話を続けていく。
「あら、お茶がなくなりましたね、お代わりをご用意します」
「あ、お構いなく」
ケビンの言葉による制止も虚しく、ナディアはお茶のお代わりを用意するためにキッチンへと向かっていった。
(それにしてもナディアさんって距離が近いよな……無意識なんだろうか? 1人で寂しいって言ってたしな)
ケビンはキッチンでお茶を準備しているナディアを眺めながら、そんなことを考えているのだった。
何故ならケビンのお茶が進んでいたのも、ひとえに会話をして喉が渇いたこととは別にナディアとの距離が近いため緊張してしまったということもある。
肩にかかるくらいの銀髪ミディアムヘアで、見た目が20代の若々しい人妻が隣同士で座っているのだ。男としてはドキドキするものである。
「どうぞ」
「あっ、ありがとうございます」
ケビンが物思いにふけっている中で、いつの間にかお茶のお代わりを持ってきたナディアがまた隣に座るのだった。
(この僅かに香る甘い香りって何の香水だろ……好みの香りだから嫁たちのお土産に買っていこうかな? でも、みんな一緒だったら面白みがないか……んー……こういう時って男だと知識がないからダメだな)
「――ビンさん、ケビンさん!」
ナディアから名前を呼ばれていたことに気づいたケビンは、ハッとして慌てて返事をしたら思わぬことを口走ってしまう。
「は、はい、元気です!」
「ふふっ、元気なのですね。それは良いことです」
(あぁぁ……穴があったら入りたい……)
「深く考え込んでいましたけど、お悩みごとでもあるのですか?」
「あ、いえ、その……ナディアさんからとてもいい匂いがして……それが俺の好みの香りでしたからどこで手に入るのかなぁっと……」
「ああ、これは売ってないんですよ」
「え……非売品なのですか?」
「ええ、結婚する前は香水屋を営んでおりまして、今つけているのも自分でブレンドして作った物なんです」
「凄い……」
「そんなに凄いことではありませんが、そう言っていただけると嬉しいですね。そうだ、ちょっと待っててください」
お茶のお代わりを持ってきてから大して時間も経っていないのに、ナディアは立ち上がるとリビングから出ていってどこかへと行ったようである。
それから少しして戻ってきたナディアの手には、小瓶が1個握られていた。
「こちらが私のつけている香水です。使われてみてください」
自分のためにわざわざ取りに行ってくれたのかと思ったケビンは、その気遣いを無駄にしないためにも人生初の香水を使ってみるのだった。
「あ……ナディアさんと同じ匂いだ……」
「ふふっ、お揃いですね」
「やっぱりこの香りは好きです。強く主張するわけでもなく僅かに香るこの甘さがとても好きです」
「お褒めいただきありがとうございます。その小瓶はケビンさんへ差し上げますね」
「いえ、そんな滅相もない。いただけるならお金をお支払いします」
「いいんです、お金はいりません。私の香水を褒めてくれる人は今となってはケビンさんだけですから」
「え……旦那さんは?」
「主人は私に興味がないようですので……気を引こうとして色々な香水をブレンドしては試すのですが……この前とうとう臭いからやめろと言われてしまい……女は家にいるものだと言われてお店を畳んだのに……趣味の香水も否定されてしまい……私は何のためにここにいるんだろうって……」
ぽつぽつと語っていくナディアの瞳からは雫がこぼれ落ちて、そのまま手の甲へと当たるのだった。
「ナディアさん……」
「ッ……ごめんなさい、お客様にする話ではありませんでした。今のは忘れてください。それよりも楽しいお話をしましょう」
涙を拭って無理に微笑みを浮かべるナディアは、ケビンから見ても痛々しいものでしかなかった。
だからだろうか、ケビンは自然とナディアを抱きしめていた。
「ッ! ケ、ケビンさん!?」
「俺はこうすることでしかナディアさんを慰められません。いくら人より戦う力があってもたった1人の女性すら救えない。本当に無力な男です」
ケビンから語られる内容とケビンの腕の中にいる心地良さから、自然とナディアは強ばった体から緊張が抜けてケビンへその身を預けるのだった。
「そんなことはありませんよ。現に私はとても落ち着いて穏やかな気持ちを抱けてます。ケビンさんはちゃんと私を救ってくれてます」
やがて体を離そうとしたケビンと抱かれていたナディアの瞳が交差すると、ナディアは瞳を閉じてその時を待つと柔らかい感触を唇から感じ取る。
「ん……」
そしてゆっくりと離れていく唇にもの寂しさを感じるナディアだったが、ケビンがそっと口を開いた。
「ごめんなさい」
「どうして謝るのですか?」
「ナディアさんには家庭があるのに壊してしまう行為をしてしまいました」
「ふふっ、本当にお優しい方です」
「俺はナディアさんが思うような優しい人ではありませんよ。自分勝手に生きているのは自覚していますから」
「いいえ、ケビンさんはお優しいです。さっきだって私が瞳を閉じたからされたのですよね? それなら私も同罪なのにケビンさんは私を責めるどころか自らその罪を背負おうとなされてますから」
「それは最終的に綺麗で魅力的なナディアさんに我慢がきかず動いたのが俺ですから。俺が動かなければナディアさんとキスすることもありませんでした」
「もう……あまりおばさんをときめかせないで」
「ナディアさんはおばさんなんかじゃありませんよ。とてもお綺麗じゃないですか。むしろ見向きもしない旦那さんがおかしいくらいです」
ケビンの言葉を耳にしたナディアが、今度は自ら動いてケビンの唇へキスをする。
「ちゅ……ん……」
やがて唇を離したナディアがはにかみながらケビンへ告げるのだった。
「これで同罪ですね。またお揃いができちゃいました」
「ナディアさん……」
「あの……ベッドへ……行きませんか?」
「それは……」
「やっぱりこんなおばさんでは抱く気になれませんか? それとも女からお誘いするのはふしだらで軽蔑されますか?」
「……そんなことありません。魅力的だからこそこうして抱き寄せているのだし軽蔑なんてしません。むしろいつまでもナディアさんを離さない俺が軽蔑される側です」
「良かった……私はまだ抱かれる価値のある女でいられたのですね」
「それはどういう……」
ナディアが語ったのは夫婦としての夜の営みが既になく、それは結婚して間もない頃からそうであると言う。
ナディアとしては子供が欲しくて夫に抱いてもらおうと女を磨いていたが、女らしさが出れば出るほど夫の食指は動かなくなったのだそうだ。
「え……!? 旦那さんってもしかして男好きとかじゃないですよね?」
ケビンは失礼だと思いながらも戦慄を覚えて、ナディアへそう問いたださずにはいられなかった。
「それはないと思います。ちゃんと初夜は迎えましたし、その後も私が女らしくなるまでは抱いてくれてましたから」
「ちなみにナディアさんの女らしさって、どこがどう変わったのですか? 昔は男らしかったとかじゃないですよね?」
「えぇーと、1番変わったのはおっぱいですね。昔はぺちゃんこだったので……」
「あぁぁ……わかったかも……」
「えっ!? 主人が私に見向きもしない理由がわかったんですか?」
「これは男の好みによるものです」
「男性の好み?」
「多分、旦那さんは貧乳好きだと思います。だからナディアさんがぺちゃんこだった頃は抱いていたけど、胸が大きくなってからは好みから外れて食指が動かなかったのではないかと……」
「……何だか女らしさを磨いていた私がバカみたいですね。私自身の手で主人の好みから外れる真似をしていたわけですね……」
「何とフォローすればいいのか……何も思いつかずすみません」
「いいんです。主人が抱いてくれない理由がわかっただけでもスッキリしました。私は魅力がないということですね」
「いえ、それだけは否定します。ナディアさんは魅力的です」
「こんな無駄に大きいおっぱいでもですか?」
「おっぱいの大きさに貴賎はありません。おっぱいは正義です! そこには男の夢とロマンが詰まっています!」
「ふふっ、ケビンさんは面白い方ですね。それに……」
ナディアがケビンの耳へ顔を近づけるとボソッと囁くのだった。
「今日初めてお会いしてから、私の胸をちょいちょい盗み見していましたよね?」
「――ッ!」
ケビンはいつも嫁たちにバレている盗み見を外でも無意識にやってしまっていたことを後悔しつつも、耳元で囁くナディアの声でゾクゾクとしてしまう。
「バレてるんですよ。私のおしりも見ていましたよね? 私の体に興味のあるケビンさんに秘密をお教えしますね」
未だに耳元で囁かれているケビンはゾクゾク続行中でありながらも、秘密を知るために自然と問い返していた。
「ひ、秘密……?」
「私のスリーサイズは上から90-56-88のGカップです。こんな体でも抱いてくれますか?」
その瞬間、今まで理性を保っていたケビンから理性というものが崩壊した。
「ナディア!」
「あんっ」
耳元で囁いていたナディアをガバッと離すと、ケビンはその唇を貪り出してナディアの口の中を蹂躙していく。
「んちゅ、あむ、くちゅくちゅ……んあ、にちゅ、れぇろ……んはぁ……ケビンさん、もっと……はむ、れろれろぉ、むちゅ、じゅるる……ごくん……ぷはぁ……はぁはぁ……」
やがてケビンが唇を離すとナディアの唇との間に透明の架け橋がかかっては、重力に逆らえず下へと垂れていった。
「ケビンさん……今度こそベッドへ行きましょう?」
「ああ、ナディアを抱きたくて我慢できそうにない」
「あんっ……ケビンさんから呼び捨てにされるとゾクゾクします」
それから2人は寝室へと移動を開始するために立ち上がると、ソファから目的地へ向けて歩き出すのであった。
今では顔見知りとなったダークエルフたちから道端ですれ違うと声をかけられ、気軽に挨拶を交わす仲までに至っている。
それはお悩み解決をした相手も同様であり、むしろそっち系の人からの挨拶が後を絶たない。
そして今、その声をかけてきた相手と路地裏にいるのだった。
「あんっ、あんっ、奥まで、奥まできてるのぉ! もっと激しく突いてケビンさん!」
「全く、他の人の相手が滞るじゃないか!」
「ごめんなさぁい。でもケビンさんのおちんちんが忘れられないのぉ!」
「淫乱なダークエルフめ! ここまできたら立派な雌豚だな」
「淫乱なのぉ、雌豚なのぉ……ケビンさんのおちんぽミルクが欲しくて盛ってる雌豚ダークエルフなのぉ! あっ、あっ、イク、イクッ――!」
「勝手に1人だけでイキやがって」
ケビンは秘部から愚息を抜き取ると、そのまま躊躇いなくおしりの穴へ突き刺した。
「ひぎぃぃぃぃっ!」
「淫乱雌黒豚はケツまんこでお仕置きだ!」
激しく攻め立てていくケビンのストロークに、苦しんでいた女性は次第によがり始める。
「ひぐっ……んぐ……ふぐっ……広がっちゃう、おしりの穴が広がっちゃうからぁ! ああっ、ケビンさんにアナルバージン奪われたよぉ……あんっ、あんっ、んっ……」
「ケツ穴でも感じてんのか、この変態が! お前の種族は今日からダークエルフじゃなくてダークエロフだ!」
「は、はいっ……わ、わかりましたぁ……私は今日からケツ穴でも感じる変態な淫乱雌黒豚のダークエロフですぅ……だからケビンさんの濃厚ザーメンをケツ穴に注入してミルクをいっぱい飲ませてぇ……」
「淫乱雌黒豚の癖に指図するな!」
「あんっ、んっ、ごめんなさい……欲しいです、ケビンさんの濃厚ザーメンが欲しいです……お情けを、お情けをください……」
「よし、受け取れ!」
「んああぁぁ――! ……はぁはぁ……ケビンさんのザーメンが……入ってくりゅ……」
「ほら、休んでる暇はないぞ」
「は、はい……はむぅ、ジュポジュポ、ジュポッ、はぁ……ケビンさんのおちんぽ汁美味しい……あむ、ジュボボボ、れろれろぉ、じゅるる……ちゅば、ジュポッ、ちゅ……ごくん……んはぁ、お掃除終わりました」
「ありがとう」
先程の攻めていた時とは打って変わって、ケビンは優しく声をかけると頭を撫でるのであった。
「はぁん……この時が1番至福ですぅ。もっと撫で撫でしてくださぁい」
「全く……年上だというのに可愛いやつだな」
「また今度おねだりしてもいいですか?」
「いいよ」
「あんっ、ケビンさん大好きです!」
女性がケビンへ抱きつくとケビンも優しく抱き返しながらお別れのキスをして、何事もなかったかのように路地裏から出てきてそれぞれの用事へと向かうのだった。
それからケビンが今日はどこの家に行こうかと悩みながら歩いていると、家の前に立つ1人の女性から声をかけられる。
「もしかして、ケビンさんじゃないですか?」
「はい、そうですが……貴女は?」
「これは失礼を。私はこの家に住んでいるナディアと申します」
「これはどうも」
「あの……少しお茶をしていきませんか? 1人で家の中にいるのは寂しくて……」
「はぁ……まぁお茶くらいなら別に構いませんが」
そして深く考えずにナディアの誘いを受けたケビンは、そのままナディアの家のリビングへと案内されてソファへ腰を下ろす。
「へぇー旦那さんと2人で住んでいらっしゃるんですね」
「はい、主人が帰ってくる夜までは1人で過ごすことが多くて……家の中だと静まり返って寂しくなってしまい、今日はケビンさんを見かけたのでお声をかけてしまいました。あの……迷惑ではございませんでしたか?」
「いえ、今日の予定はどうするか悩んでいたところだったので、俺も気晴らしになってちょうど良かったです」
「ふふっ、お噂通りでお優しい方なんですね」
「噂……?」
ナディアが語る噂とは、首都イグドラの女性間コミュニティで出回っているケビンの評判についてだった。
現在ダークエルフのお悩み相談を解決していっているケビンが人族にしては珍しく差別をしない優しい人だとして、主にお悩み相談の女性たちがケビンの良さを広めていったのが事の発端であり、実際に言葉を交わしたりもしたお悩み相談とは関係のない人たちまでもがその良さを話し回っている。
更にはそれ以前にドワーフ族のお悩み相談を解決していたり、獣人族の奴隷解放のため助け出したりしていた話も出回っていて、今現在、首都イグドラにおいてケビンの株は人族であるにも関わらず右肩上がりの急上昇を見せていた。
「それで最近は挨拶をしてくれる人たちが増えていたんですね」
「はい、ケビンさんは女性たちにとって注目の的なんですよ」
「はは、何だか有名人になったみたいで照れますね」
「みたいじゃなくて有名人なんです」
それからケビンは喉を潤すためにお茶を飲みつつ、ナディアと他愛ない会話を続けていく。
「あら、お茶がなくなりましたね、お代わりをご用意します」
「あ、お構いなく」
ケビンの言葉による制止も虚しく、ナディアはお茶のお代わりを用意するためにキッチンへと向かっていった。
(それにしてもナディアさんって距離が近いよな……無意識なんだろうか? 1人で寂しいって言ってたしな)
ケビンはキッチンでお茶を準備しているナディアを眺めながら、そんなことを考えているのだった。
何故ならケビンのお茶が進んでいたのも、ひとえに会話をして喉が渇いたこととは別にナディアとの距離が近いため緊張してしまったということもある。
肩にかかるくらいの銀髪ミディアムヘアで、見た目が20代の若々しい人妻が隣同士で座っているのだ。男としてはドキドキするものである。
「どうぞ」
「あっ、ありがとうございます」
ケビンが物思いにふけっている中で、いつの間にかお茶のお代わりを持ってきたナディアがまた隣に座るのだった。
(この僅かに香る甘い香りって何の香水だろ……好みの香りだから嫁たちのお土産に買っていこうかな? でも、みんな一緒だったら面白みがないか……んー……こういう時って男だと知識がないからダメだな)
「――ビンさん、ケビンさん!」
ナディアから名前を呼ばれていたことに気づいたケビンは、ハッとして慌てて返事をしたら思わぬことを口走ってしまう。
「は、はい、元気です!」
「ふふっ、元気なのですね。それは良いことです」
(あぁぁ……穴があったら入りたい……)
「深く考え込んでいましたけど、お悩みごとでもあるのですか?」
「あ、いえ、その……ナディアさんからとてもいい匂いがして……それが俺の好みの香りでしたからどこで手に入るのかなぁっと……」
「ああ、これは売ってないんですよ」
「え……非売品なのですか?」
「ええ、結婚する前は香水屋を営んでおりまして、今つけているのも自分でブレンドして作った物なんです」
「凄い……」
「そんなに凄いことではありませんが、そう言っていただけると嬉しいですね。そうだ、ちょっと待っててください」
お茶のお代わりを持ってきてから大して時間も経っていないのに、ナディアは立ち上がるとリビングから出ていってどこかへと行ったようである。
それから少しして戻ってきたナディアの手には、小瓶が1個握られていた。
「こちらが私のつけている香水です。使われてみてください」
自分のためにわざわざ取りに行ってくれたのかと思ったケビンは、その気遣いを無駄にしないためにも人生初の香水を使ってみるのだった。
「あ……ナディアさんと同じ匂いだ……」
「ふふっ、お揃いですね」
「やっぱりこの香りは好きです。強く主張するわけでもなく僅かに香るこの甘さがとても好きです」
「お褒めいただきありがとうございます。その小瓶はケビンさんへ差し上げますね」
「いえ、そんな滅相もない。いただけるならお金をお支払いします」
「いいんです、お金はいりません。私の香水を褒めてくれる人は今となってはケビンさんだけですから」
「え……旦那さんは?」
「主人は私に興味がないようですので……気を引こうとして色々な香水をブレンドしては試すのですが……この前とうとう臭いからやめろと言われてしまい……女は家にいるものだと言われてお店を畳んだのに……趣味の香水も否定されてしまい……私は何のためにここにいるんだろうって……」
ぽつぽつと語っていくナディアの瞳からは雫がこぼれ落ちて、そのまま手の甲へと当たるのだった。
「ナディアさん……」
「ッ……ごめんなさい、お客様にする話ではありませんでした。今のは忘れてください。それよりも楽しいお話をしましょう」
涙を拭って無理に微笑みを浮かべるナディアは、ケビンから見ても痛々しいものでしかなかった。
だからだろうか、ケビンは自然とナディアを抱きしめていた。
「ッ! ケ、ケビンさん!?」
「俺はこうすることでしかナディアさんを慰められません。いくら人より戦う力があってもたった1人の女性すら救えない。本当に無力な男です」
ケビンから語られる内容とケビンの腕の中にいる心地良さから、自然とナディアは強ばった体から緊張が抜けてケビンへその身を預けるのだった。
「そんなことはありませんよ。現に私はとても落ち着いて穏やかな気持ちを抱けてます。ケビンさんはちゃんと私を救ってくれてます」
やがて体を離そうとしたケビンと抱かれていたナディアの瞳が交差すると、ナディアは瞳を閉じてその時を待つと柔らかい感触を唇から感じ取る。
「ん……」
そしてゆっくりと離れていく唇にもの寂しさを感じるナディアだったが、ケビンがそっと口を開いた。
「ごめんなさい」
「どうして謝るのですか?」
「ナディアさんには家庭があるのに壊してしまう行為をしてしまいました」
「ふふっ、本当にお優しい方です」
「俺はナディアさんが思うような優しい人ではありませんよ。自分勝手に生きているのは自覚していますから」
「いいえ、ケビンさんはお優しいです。さっきだって私が瞳を閉じたからされたのですよね? それなら私も同罪なのにケビンさんは私を責めるどころか自らその罪を背負おうとなされてますから」
「それは最終的に綺麗で魅力的なナディアさんに我慢がきかず動いたのが俺ですから。俺が動かなければナディアさんとキスすることもありませんでした」
「もう……あまりおばさんをときめかせないで」
「ナディアさんはおばさんなんかじゃありませんよ。とてもお綺麗じゃないですか。むしろ見向きもしない旦那さんがおかしいくらいです」
ケビンの言葉を耳にしたナディアが、今度は自ら動いてケビンの唇へキスをする。
「ちゅ……ん……」
やがて唇を離したナディアがはにかみながらケビンへ告げるのだった。
「これで同罪ですね。またお揃いができちゃいました」
「ナディアさん……」
「あの……ベッドへ……行きませんか?」
「それは……」
「やっぱりこんなおばさんでは抱く気になれませんか? それとも女からお誘いするのはふしだらで軽蔑されますか?」
「……そんなことありません。魅力的だからこそこうして抱き寄せているのだし軽蔑なんてしません。むしろいつまでもナディアさんを離さない俺が軽蔑される側です」
「良かった……私はまだ抱かれる価値のある女でいられたのですね」
「それはどういう……」
ナディアが語ったのは夫婦としての夜の営みが既になく、それは結婚して間もない頃からそうであると言う。
ナディアとしては子供が欲しくて夫に抱いてもらおうと女を磨いていたが、女らしさが出れば出るほど夫の食指は動かなくなったのだそうだ。
「え……!? 旦那さんってもしかして男好きとかじゃないですよね?」
ケビンは失礼だと思いながらも戦慄を覚えて、ナディアへそう問いたださずにはいられなかった。
「それはないと思います。ちゃんと初夜は迎えましたし、その後も私が女らしくなるまでは抱いてくれてましたから」
「ちなみにナディアさんの女らしさって、どこがどう変わったのですか? 昔は男らしかったとかじゃないですよね?」
「えぇーと、1番変わったのはおっぱいですね。昔はぺちゃんこだったので……」
「あぁぁ……わかったかも……」
「えっ!? 主人が私に見向きもしない理由がわかったんですか?」
「これは男の好みによるものです」
「男性の好み?」
「多分、旦那さんは貧乳好きだと思います。だからナディアさんがぺちゃんこだった頃は抱いていたけど、胸が大きくなってからは好みから外れて食指が動かなかったのではないかと……」
「……何だか女らしさを磨いていた私がバカみたいですね。私自身の手で主人の好みから外れる真似をしていたわけですね……」
「何とフォローすればいいのか……何も思いつかずすみません」
「いいんです。主人が抱いてくれない理由がわかっただけでもスッキリしました。私は魅力がないということですね」
「いえ、それだけは否定します。ナディアさんは魅力的です」
「こんな無駄に大きいおっぱいでもですか?」
「おっぱいの大きさに貴賎はありません。おっぱいは正義です! そこには男の夢とロマンが詰まっています!」
「ふふっ、ケビンさんは面白い方ですね。それに……」
ナディアがケビンの耳へ顔を近づけるとボソッと囁くのだった。
「今日初めてお会いしてから、私の胸をちょいちょい盗み見していましたよね?」
「――ッ!」
ケビンはいつも嫁たちにバレている盗み見を外でも無意識にやってしまっていたことを後悔しつつも、耳元で囁くナディアの声でゾクゾクとしてしまう。
「バレてるんですよ。私のおしりも見ていましたよね? 私の体に興味のあるケビンさんに秘密をお教えしますね」
未だに耳元で囁かれているケビンはゾクゾク続行中でありながらも、秘密を知るために自然と問い返していた。
「ひ、秘密……?」
「私のスリーサイズは上から90-56-88のGカップです。こんな体でも抱いてくれますか?」
その瞬間、今まで理性を保っていたケビンから理性というものが崩壊した。
「ナディア!」
「あんっ」
耳元で囁いていたナディアをガバッと離すと、ケビンはその唇を貪り出してナディアの口の中を蹂躙していく。
「んちゅ、あむ、くちゅくちゅ……んあ、にちゅ、れぇろ……んはぁ……ケビンさん、もっと……はむ、れろれろぉ、むちゅ、じゅるる……ごくん……ぷはぁ……はぁはぁ……」
やがてケビンが唇を離すとナディアの唇との間に透明の架け橋がかかっては、重力に逆らえず下へと垂れていった。
「ケビンさん……今度こそベッドへ行きましょう?」
「ああ、ナディアを抱きたくて我慢できそうにない」
「あんっ……ケビンさんから呼び捨てにされるとゾクゾクします」
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俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
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勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
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※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
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