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第12章 イグドラ亜人集合国
第376話 2人のエルフ
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ある日の朝のこと、朝食が終わりティータイムになったところでクズミがケビンへ声をかけた。
「ケビンはん、そろそろ挨拶に行かへん? 残り2種族やろ」
「そういえばそうだな。……よし、行こう!」
こうしてケビンはクズミと一緒に、ダークエルフ族の代表の元へと足を運ぶことになる。
そしてやって来たダークエルフの【ヴァルトス地区】は、当然のことながらダークエルフ族が彼方此方歩き回っていて、商店等が建ち並び働く人が多いというのはあながち間違いでもないようだ。
そのまましばらく先へ進むとクズミが指をさして、目的地の代表宅が見えてきたことをケビンへ知らせる。
その後到着した代表宅のドアノッカーをクズミが鳴らすと、中から銀髪でグレーの瞳が特徴的である妙齢な見た目の女性が姿を現した。
「あら、誰かと思えば……久しぶりですね、クズミ。そちらの方は?」
「ダークエルフの悩みについて相談に乗ってくれたケビン様です」
「ああ、ゴワンやシバーヌの悩みを解決した人ですね。お噂はかねがね……ここでは何ですからどうぞ中へ」
ケビンたちを代表が家の中へ招き入れると、そのままリビングへと案内されてケビンたちを座らせた代表はお茶の準備を始める。
「大したおもてなしはできませんが」
「あ、お構いなく」
ケビンが出されたお茶を飲んでいると代表が早速自己紹介を始める。
「私はダークエルフ族の現代表であるヴァリスと申します。本日はお越しいただきありがとうございます」
「これはどうもご丁寧に。私は冒険者兼商人のケビンと申します。商人は趣味です」
「ダークエルフ族の悩みについてはどこまでお聞きに?」
「あらかたはクズミに窺っております」
「そうですか……お恥ずかしい限りです。かくいう私も恥ずかしながら1人身でして……族長の仕事を優先してしまうとどうしても出会いというものに恵まれませんし、他の者たちにそのことを言われてしまうと強く言うことができなくて……ご意見番方に嫌味を言われてしまう日々です」
「大変な板挟みですね。心中お察しします」
「ところでクズミの相談に乗ったということは、ケビンさんがカップリングをされるのですか?」
「突拍子もないことでお話しづらいのですが……」
それからケビンはどういう手段を用いるのかヴァリスへ説明すると、ケビンの言う通りで突拍子もない方法にヴァリスは呆気に取られてしまう。
「まさかそのような方法で……」
「私としてもあまり気乗りはしないのですが……」
「いえ、この際贅沢は言ってられません。ですが本人たちへの説明と意思確認を行いたいので、今すぐにというわけにもいきませんがよろしいでしょうか?」
「そうして頂けるとこちらとしても助かります」
続いてヴァリスが本人たちへ説明する際の参考としてダークエルフ姿のケビンを見てみたいと伝えると、ケビンはスキルを使って姿を変えるのだった。
その姿は顔や身長をそのままにして髪が銀髪、瞳の色が赤色、耳も特徴的なエルフ耳、肌の色は健康的な日焼けをしたような褐色肌となり、どこからどう見てもダークエルフ族と名乗っても怪しまれない姿となっている。
「……素敵……」
そしてケビンのダークエルフ姿を瞳に捉えたヴァリスがこぼした呟きは、誰に聞かれることもなく虚空へと消えていくのだった。
それからケビンたちはヴァリスとの話し合いを終えて家を出ると、今度はエルフの代表宅へと向かっていく。
「ケビン様、世界樹の件はどうされるのですか?」
「とりあえず魔物を狩っていこうかなって思ってる。魔物がいなくならないと状況は好転しないし」
道すがらそのような会話を続けていたケビンたちが【ルーヴァ地区】にある代表宅へ辿りつくと、クズミがドアノッカーを鳴らす。
「はいは~い。ちょっと待っててねぇ」
とても軽い感じの声が家の中からするとパタパタといった音ともに誰かが近づいてきた気配がしたら、ガチャっとドアを開けて女性が顔を覗かせる。
「あらあらぁ、クズミちゃんじゃない。今日はお仕事? 何かいい物でも売りに来たのぉ?」
クズミへそう伝える女性は、金髪に翠の瞳が特徴的である妙齢な見た目のエルフであった。
「エルフの悩みで相談に乗ってくれたケビン様をお連れしました」
「あらぁ~カッコイイ男の子ねぇ」
「どうも、ご紹介にあずかりました冒険者兼商人のケビンと申します」
「ケビンちゃんって言うのねぇ。私はエルフ族の代表を押しつけられているセシリーって言うのぉ」
セシリーの対応と“ちゃん”付けで呼ばれたことにより、ケビンはタジタジとなってしまうが、セシリーは構わず家の中へと招き入れてリビングへ案内するのだった。
「そうだわ、お菓子を焼いたからみんなで食べましょ~」
鼻歌交じりに準備を始めたセシリーを尻目に、ケビンはコソコソとクズミへ疑問を投げかける。
「なぁ、セシリーさんっていつもあんな感じなのか? 今まで見てきたどの族長よりも軽いぞ」
ケビンの疑問に対するクズミの回答によるとセシリーは世界樹の異変が発覚した頃、前代表が厄介事から逃げるようにして行方をくらましてしまい急遽どうするか話し合われたのだが、世界樹の異変時に誰も代表になりたがらず他の者たちから押しつけられた形で就任させられてしまったのだった。
その就任時のセシリーの言葉が『代表を押しつけたんだから好きにさせてもらう』とのことで、セシリーが代表らしくない振る舞いをしようとも押しつけた手前、誰もセシリーのことを指摘できなかった。
だが、過去に1度だけ指摘をしたことがあってその時のセシリーの対応が『じゃあ、あなたが代表ね。私は辞めるわ』と言って旅支度を始めてしまったので、慌てて『好きにしていい』と言って引き止めたようで今現在に至るとのことだ。
そのような説明をケビンが受けていると、準備の終えたセシリーが上機嫌でお菓子とお茶を持って戻ってくる。
「ほらぁ見て見てぇ美味しく焼けたのよぉ、美味しそうでしょ~?」
テーブルに置かれたお菓子はクッキーみたいな焼き菓子のようで、香ばしい香りがケビンの鼻腔を刺激する。
「確かに美味しそうです」
「でしょでしょ~、どうぞ食べてみてぇ」
ケビンは1つ掴み取り食べてみると口の中に広がる香りとほんのりとした甘さが何とも表現しがたく、2つ目、3つ目と手が無意識に進んでいく。
『この香り、そしてこのほんのりとした甘さ、まるで花の蜜を吸う蝶になった気分やぁ~』
『やめろ、サナ摩呂。しれっと感覚神経を読み取るな』
『いやぁ、たまにはサナも美味しい思いをしたいのです。スイーツは女性を虜にするんですよ?』
『スイーツ(笑)』
『ぐっ……』
「ケビンちゃん、そんなに気に入ってくれたのぉ?」
サナと会話をしながらも、パクパクと食べ続けていたことに気づかなかったケビンは慌ててその手を止めた。
「す、すみません。美味しくてつい……」
「いいのよぉ、帰りに包んであげるわねぇ」
「えぇっと、それでエルフのお悩みについてなんですけど……」
「ああ、それはどうでもいいわよぉ」
「えっ!?」
エルフのお悩み相談に来たというのに、どうでもいい発言を受けたケビンは度肝を抜かれてしまう。
「だってぇ、老害たちが立ち入り禁止にするからいけないのよぉ。自業自得よねぇ」
「あの……セシリーさん的には世界樹の価値って……」
「大きな木ね」
「木……」
「あそこの下で昼寝をするのが趣味だったのにぃ、くそジジババが立ち入り禁止にしちゃったから私からすればざまぁなのよぉ」
「エルフにとって大事な木なのでは……」
「大事よぉ、寝心地がバツグンなんだものぉ。昔の状態だったらケビンちゃんも誘ったのにぃ残念だわぁ」
「は……はあ……」
あまりにも目にしたことのないタイプに、ケビンはクズミへ助けを求めるかのように視線を向けると、その視線を受けたクズミはセシリーへ声をかける。
「セシリーさん、また世界樹の下で寝たくありませんか?」
「寝たいけどぉ、もうあの木は先がないから無理よぉ」
「ケビン様が何とかできないか、やれるだけやってみてもいいでしょうか?」
「ケビンちゃんが何かするのぉ?」
「はい、とりあえず魔物を狩っていこうかと思っています」
「それならぁうちの戦える人たちを貸し出しましょうかぁ?」
「いえ、冒険者仲間がいますので人数は問題ありません」
「もし使いたい時は言ってねぇ。盾役か囮ぐらいには使えるからぁ」
あっさりと自分の仲間たちを使い捨てのように言うセシリーに対して、ケビンは何かしらの確執があるのではないかと思い至るが、思い至ったところでその中身は代表を押しつけられた点しか思い浮かばなかったので、薮をつつくような真似は控えるのだった。
それからも大したお悩み相談の話はされずに、もっぱらセシリーの愚痴や世間話などが主な内容となって時間が過ぎていく。
そして昼時となったところでケビンがお暇を告げようとしたら、お昼を一緒に食べようと誘われてしまい、ご馳走になってしまうと午後からもやはり話し相手にされてしまうのである。
なんだかんだで時間が過ぎていくと夕方となり、ケビンたちはようやく解放されてセシリーの家を後にするのだった。
「ある意味、強烈な人だったな」
「いつものことです。私も用がある時以外は立ち寄りませんから」
「ああ、何となく想像できるな。捕まって帰るに帰れず長々と話し相手になっている光景が」
「根は悪い人じゃないんですけどね」
「代表を押しつけられた鬱憤が溜まってるんだろうな」
「エルフは長寿ですからご意見番たちがうるさいんでしょうね」
「セシリーさんはヴァリスさんと違って無視してそうだけどな」
「無視してても言われることは言われてしまいますからね」
「くそジジババ言ってたしな」
そのような感想をこぼしながらケビンたちは帝城へ帰るのであった。
「ケビンはん、そろそろ挨拶に行かへん? 残り2種族やろ」
「そういえばそうだな。……よし、行こう!」
こうしてケビンはクズミと一緒に、ダークエルフ族の代表の元へと足を運ぶことになる。
そしてやって来たダークエルフの【ヴァルトス地区】は、当然のことながらダークエルフ族が彼方此方歩き回っていて、商店等が建ち並び働く人が多いというのはあながち間違いでもないようだ。
そのまましばらく先へ進むとクズミが指をさして、目的地の代表宅が見えてきたことをケビンへ知らせる。
その後到着した代表宅のドアノッカーをクズミが鳴らすと、中から銀髪でグレーの瞳が特徴的である妙齢な見た目の女性が姿を現した。
「あら、誰かと思えば……久しぶりですね、クズミ。そちらの方は?」
「ダークエルフの悩みについて相談に乗ってくれたケビン様です」
「ああ、ゴワンやシバーヌの悩みを解決した人ですね。お噂はかねがね……ここでは何ですからどうぞ中へ」
ケビンたちを代表が家の中へ招き入れると、そのままリビングへと案内されてケビンたちを座らせた代表はお茶の準備を始める。
「大したおもてなしはできませんが」
「あ、お構いなく」
ケビンが出されたお茶を飲んでいると代表が早速自己紹介を始める。
「私はダークエルフ族の現代表であるヴァリスと申します。本日はお越しいただきありがとうございます」
「これはどうもご丁寧に。私は冒険者兼商人のケビンと申します。商人は趣味です」
「ダークエルフ族の悩みについてはどこまでお聞きに?」
「あらかたはクズミに窺っております」
「そうですか……お恥ずかしい限りです。かくいう私も恥ずかしながら1人身でして……族長の仕事を優先してしまうとどうしても出会いというものに恵まれませんし、他の者たちにそのことを言われてしまうと強く言うことができなくて……ご意見番方に嫌味を言われてしまう日々です」
「大変な板挟みですね。心中お察しします」
「ところでクズミの相談に乗ったということは、ケビンさんがカップリングをされるのですか?」
「突拍子もないことでお話しづらいのですが……」
それからケビンはどういう手段を用いるのかヴァリスへ説明すると、ケビンの言う通りで突拍子もない方法にヴァリスは呆気に取られてしまう。
「まさかそのような方法で……」
「私としてもあまり気乗りはしないのですが……」
「いえ、この際贅沢は言ってられません。ですが本人たちへの説明と意思確認を行いたいので、今すぐにというわけにもいきませんがよろしいでしょうか?」
「そうして頂けるとこちらとしても助かります」
続いてヴァリスが本人たちへ説明する際の参考としてダークエルフ姿のケビンを見てみたいと伝えると、ケビンはスキルを使って姿を変えるのだった。
その姿は顔や身長をそのままにして髪が銀髪、瞳の色が赤色、耳も特徴的なエルフ耳、肌の色は健康的な日焼けをしたような褐色肌となり、どこからどう見てもダークエルフ族と名乗っても怪しまれない姿となっている。
「……素敵……」
そしてケビンのダークエルフ姿を瞳に捉えたヴァリスがこぼした呟きは、誰に聞かれることもなく虚空へと消えていくのだった。
それからケビンたちはヴァリスとの話し合いを終えて家を出ると、今度はエルフの代表宅へと向かっていく。
「ケビン様、世界樹の件はどうされるのですか?」
「とりあえず魔物を狩っていこうかなって思ってる。魔物がいなくならないと状況は好転しないし」
道すがらそのような会話を続けていたケビンたちが【ルーヴァ地区】にある代表宅へ辿りつくと、クズミがドアノッカーを鳴らす。
「はいは~い。ちょっと待っててねぇ」
とても軽い感じの声が家の中からするとパタパタといった音ともに誰かが近づいてきた気配がしたら、ガチャっとドアを開けて女性が顔を覗かせる。
「あらあらぁ、クズミちゃんじゃない。今日はお仕事? 何かいい物でも売りに来たのぉ?」
クズミへそう伝える女性は、金髪に翠の瞳が特徴的である妙齢な見た目のエルフであった。
「エルフの悩みで相談に乗ってくれたケビン様をお連れしました」
「あらぁ~カッコイイ男の子ねぇ」
「どうも、ご紹介にあずかりました冒険者兼商人のケビンと申します」
「ケビンちゃんって言うのねぇ。私はエルフ族の代表を押しつけられているセシリーって言うのぉ」
セシリーの対応と“ちゃん”付けで呼ばれたことにより、ケビンはタジタジとなってしまうが、セシリーは構わず家の中へと招き入れてリビングへ案内するのだった。
「そうだわ、お菓子を焼いたからみんなで食べましょ~」
鼻歌交じりに準備を始めたセシリーを尻目に、ケビンはコソコソとクズミへ疑問を投げかける。
「なぁ、セシリーさんっていつもあんな感じなのか? 今まで見てきたどの族長よりも軽いぞ」
ケビンの疑問に対するクズミの回答によるとセシリーは世界樹の異変が発覚した頃、前代表が厄介事から逃げるようにして行方をくらましてしまい急遽どうするか話し合われたのだが、世界樹の異変時に誰も代表になりたがらず他の者たちから押しつけられた形で就任させられてしまったのだった。
その就任時のセシリーの言葉が『代表を押しつけたんだから好きにさせてもらう』とのことで、セシリーが代表らしくない振る舞いをしようとも押しつけた手前、誰もセシリーのことを指摘できなかった。
だが、過去に1度だけ指摘をしたことがあってその時のセシリーの対応が『じゃあ、あなたが代表ね。私は辞めるわ』と言って旅支度を始めてしまったので、慌てて『好きにしていい』と言って引き止めたようで今現在に至るとのことだ。
そのような説明をケビンが受けていると、準備の終えたセシリーが上機嫌でお菓子とお茶を持って戻ってくる。
「ほらぁ見て見てぇ美味しく焼けたのよぉ、美味しそうでしょ~?」
テーブルに置かれたお菓子はクッキーみたいな焼き菓子のようで、香ばしい香りがケビンの鼻腔を刺激する。
「確かに美味しそうです」
「でしょでしょ~、どうぞ食べてみてぇ」
ケビンは1つ掴み取り食べてみると口の中に広がる香りとほんのりとした甘さが何とも表現しがたく、2つ目、3つ目と手が無意識に進んでいく。
『この香り、そしてこのほんのりとした甘さ、まるで花の蜜を吸う蝶になった気分やぁ~』
『やめろ、サナ摩呂。しれっと感覚神経を読み取るな』
『いやぁ、たまにはサナも美味しい思いをしたいのです。スイーツは女性を虜にするんですよ?』
『スイーツ(笑)』
『ぐっ……』
「ケビンちゃん、そんなに気に入ってくれたのぉ?」
サナと会話をしながらも、パクパクと食べ続けていたことに気づかなかったケビンは慌ててその手を止めた。
「す、すみません。美味しくてつい……」
「いいのよぉ、帰りに包んであげるわねぇ」
「えぇっと、それでエルフのお悩みについてなんですけど……」
「ああ、それはどうでもいいわよぉ」
「えっ!?」
エルフのお悩み相談に来たというのに、どうでもいい発言を受けたケビンは度肝を抜かれてしまう。
「だってぇ、老害たちが立ち入り禁止にするからいけないのよぉ。自業自得よねぇ」
「あの……セシリーさん的には世界樹の価値って……」
「大きな木ね」
「木……」
「あそこの下で昼寝をするのが趣味だったのにぃ、くそジジババが立ち入り禁止にしちゃったから私からすればざまぁなのよぉ」
「エルフにとって大事な木なのでは……」
「大事よぉ、寝心地がバツグンなんだものぉ。昔の状態だったらケビンちゃんも誘ったのにぃ残念だわぁ」
「は……はあ……」
あまりにも目にしたことのないタイプに、ケビンはクズミへ助けを求めるかのように視線を向けると、その視線を受けたクズミはセシリーへ声をかける。
「セシリーさん、また世界樹の下で寝たくありませんか?」
「寝たいけどぉ、もうあの木は先がないから無理よぉ」
「ケビン様が何とかできないか、やれるだけやってみてもいいでしょうか?」
「ケビンちゃんが何かするのぉ?」
「はい、とりあえず魔物を狩っていこうかと思っています」
「それならぁうちの戦える人たちを貸し出しましょうかぁ?」
「いえ、冒険者仲間がいますので人数は問題ありません」
「もし使いたい時は言ってねぇ。盾役か囮ぐらいには使えるからぁ」
あっさりと自分の仲間たちを使い捨てのように言うセシリーに対して、ケビンは何かしらの確執があるのではないかと思い至るが、思い至ったところでその中身は代表を押しつけられた点しか思い浮かばなかったので、薮をつつくような真似は控えるのだった。
それからも大したお悩み相談の話はされずに、もっぱらセシリーの愚痴や世間話などが主な内容となって時間が過ぎていく。
そして昼時となったところでケビンがお暇を告げようとしたら、お昼を一緒に食べようと誘われてしまい、ご馳走になってしまうと午後からもやはり話し相手にされてしまうのである。
なんだかんだで時間が過ぎていくと夕方となり、ケビンたちはようやく解放されてセシリーの家を後にするのだった。
「ある意味、強烈な人だったな」
「いつものことです。私も用がある時以外は立ち寄りませんから」
「ああ、何となく想像できるな。捕まって帰るに帰れず長々と話し相手になっている光景が」
「根は悪い人じゃないんですけどね」
「代表を押しつけられた鬱憤が溜まってるんだろうな」
「エルフは長寿ですからご意見番たちがうるさいんでしょうね」
「セシリーさんはヴァリスさんと違って無視してそうだけどな」
「無視してても言われることは言われてしまいますからね」
「くそジジババ言ってたしな」
そのような感想をこぼしながらケビンたちは帝城へ帰るのであった。
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