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第12章 イグドラ亜人集合国

第331話 伝統工芸は守るべきもの2R

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 リアムのケビンへ対する呼び方が定まると、リアムは現状の事態をケビンへと告げるのだったが、敬語で話そうとするリアムをケビンが制して敬語はなしと伝えるが、リアムは恐れ多くて敬語がたまに混じるという状態で何とか落ち着くことができた。

「現地を調べた者が持ち帰った情報によると、ワイバーンが5体と思われていたのが15体いたのだ。それにより現存の戦力だけでは被害が大きくなってしまうので、ちょうど街に来ていた【ウロボロス】へと白羽の矢が立ったことになる」

「現存の戦力は?」

「領主様の兵とBランク以上の冒険者たちだ」

「で、俺たちへ指名依頼を出すのに動きが早かった理由は?」

「朝一で斥候に出していた者が慌てて戻ってきて、事態を重く見た私が領主様へ知らせに行って話し合いをした時に、昨日の間で知っていた【ウロボロス】のことを領主様へ伝えたのだ。そして、領主様の屋敷から戻る時に遣いの者と一緒だったというわけだ」

「ああ、あいつね。あんな奴とは気づかなかったのか?」

「屋敷では普通に仕事をする奴だったのですがね」

「私も屋敷で会った時には至って普通の態度だったので、気づきませんでした」

「領主の前で猫をかぶってたってわけか。で、クエストを受けるのに条件をつけていいか」

「なんなりと。あの地を守れるのであれば私のできる範囲で報酬をお支払いいたします」

「ああ、別に報酬はなくてもいい。素材を売れば儲かるしな」

 報酬はいらないという冒険者からしてみればありえないことを言ってのけたケビンに対して、リアムは報酬を辞退するほどの条件が気になりケビンへ尋ねるのだった。

「……では、条件とは?」

「条件の1つ目は俺たちだけでやる。他の者たちは必要ない」

「ワイバーンが15匹もいるのにですか!?」

 ケビンの強さを話でしか知らないリアムは、その条件に当たり前のような反応を示してしまうが、更に驚くべきことをケビンから伝えられる。

「今は20匹だ」

「「ッ!?」」

「何か美味しいものでもあるのか? 完全に巣にしようとしているな」

「昨日よりも増えていることと、それがこの場でわかってしまう陛下に驚きなのですが、あの地には特にこれといって美味しい食料となるような物はいなかったはずですが」

「それよりもケビン殿、数が増えているなら尚更のことサポートが必要なのでは? 現存のランクでは参加者は5名ですよ」

「そこで条件その2だ。今回の依頼に対してランク制限をなくしてもらう。ここにいるメンバー全員で向かうからな」

「んなっ!? DランクやEランクをワイバーン討伐に同行させるつもりなのですか!?」

「ここにいるクランメンバーは、基本的にランクと実力が釣り合っていないからな。1番下であるEランクのクララが実質、俺の次に強い」

 リアムはもう何度目かわからないほど、ケビンから齎される情報に衝撃を受けて驚いてしまう。

「……ありえない……」

「まぁ、そういうことだから条件の1と2を呑んでもらう」

「私は構いませんよ。ワイバーンを討伐してくれると言うのなら陛下の出す条件は特に問題ありません。リアム殿もそれで良いか? 陛下の実力なら微塵も失敗はない。むしろ、サポートをつけたらそいつらが足でまといになって被害が出てしまう」

「領主様はケビン殿の実力を見たことがあるので?」

「先の戦争に参加していたからその時に拝見した。あれは凄いぞ。敵兵を一方的に倒していくからな。人海戦術という言葉は無意味に等しい。サラ殿でさえ時間がかかっていたのに対して、陛下は敵兵数万を1人で瞬く間に無力化するのだ。Xランクというのも頷ける話だな」

 その様子を想像でもしたのか、リアムはゴクリと生唾を飲み込んでしまう。

「で、リアムさんはどうする? 条件を呑む? 呑まない?」

「条件を呑む代わりに1つお願いが」

「何?」

「ワイバーンの素材を卸して頂けないだろうか?」

「ああ、そのくらいどうってことないからいいよ。20匹分全部卸そうか?」

「さすがにその数では資金を用意するのに時間が……」

「分割でいいよ。お金には困ってないし」

「では、それでお願いします。代わりと言っては何だが、早馬を使った馬車を用意するので」

「あっ、それで1つ聞きたいことがあるんだけど、テイマーって魔物をギルドに登録するだろ?」

「はい、街中で魔物が歩いていたらパニックになるので、使役されているとわかりやすいように、ギルドの用意した首輪かもしくはそれの代わりとなる物をつけてもらう決まりとなっています」

「それを4頭分用意して欲しいんだけど」

「何か使役される予定ですか?」

「いや、既に使役した。魔獣のバイコーンを4頭」

「……は?」

 ケビンの言葉にリアムや横で話を聞いていたキャノモは目が点となった。魔物などは種類によっては使役するのが難しいと言われているのに、その中の魔獣を使役したと言われたのだ。

 しかもそれが低級のホーンラビットやウルフなどではなく、知能も高く強者の部類に入るバイコーンである。しかも4頭。

「は……はは……私にはもう何が何だか……」

「そうだな。“ありえない”って言葉が“ありえる”って言葉と同じ意味になりそうだ」

 こうしてケビンたちの話し合いは終わりを迎えて、ケビンは受付でバイコーンを登録すると首輪を受け取って街の外に出るのであった。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 街の外でバイコーンを召喚したケビンは、早速首輪をつけてバイコーンたちにその理由を伝えると、バイコーンたちは街の中へケビンと一緒に入れると理解して、嬉しさを表現するかのように体を擦り付けてくるのだった。

「ケビン様、私もホーンラビットを使役したいです!」

「それはやめた方がいいかな。アリスのことだから情が湧いて野生のホーンラビットが殺せなくなるよ?」

 ケビンの指摘に対して、アリスはありえそうだと思って泣く泣く諦めてしまうが、ケビンが「いつか滅多に会えないような可愛い魔物がいたら使役しよう」と伝えて、アリスは大喜びでケビンへと抱きつくのであった。

 そしてバイコーンの背に乗ったケビンたちは、白蛇様の社へと向かって街を出発する。

 現地に近づきつつある中でケビンたちはバイコーンの背から降りると、作戦会議を始めていく。

 まず最初はケビンがワイバーンを単体ごとに結界の中へ封じ込めて、1体ずつアリスを中心とした攻撃方法で相手をさせるというものである。

 戦闘に慣れてくれば徐々にパーティーメンバーを減らしていき、4人で1パーティーとしてアリス以外のメンバーをローテーションで代えていく方針である。

「主殿よ、私はまた見学か?」

「暴れないと約束できるか?」

「約束しよう」

「じゃあ、ローテーションを始めた時に組み込むようにする。クララの目標は手加減を覚えてコントロールすることだ。1撃で殺すようなことはするなよ? メンバーの訓練にならないからな」

「ありがとう! 主殿、愛しておるぞ。ちゅ……」

 ようやくまともに戦闘へと参加できることになったクララは、喜びを表してケビンに抱きつくと口づけをするのだった。

 それを見たティナは相変わらず「ズルい」と言い、クララもそれに慣れたのか「ティナもすればよかろう」と言い返して、いつも通りの光景となる。

「クララの戦闘方法はいつもの龍魔法だけか? 武器は扱えないのか?」

「武器など使わぬ。龍魔法以外だと殴ることができるぞ」

「メンバー初の格闘タイプか……それなら前衛もこなせるから戦いの幅が広がるな」

 そして準備が整ったところでケビンが結界を多数展開していき、ワイバーンたちを閉じ込めていく。その上、更にドーム状の結界を張り巡らせると戦いの場が完成するのだった。

「じゃあ、あとはティナの指示に従うように」

 ケビンはメンバーにそう伝えると、メンバーたちの邪魔にならないように戦闘をさせないワイバーンたちを端っこに寄せ集めたら、自身はクララとともに見学の位置へと移動した。

「主殿はやることが無茶苦茶よのぅ」

 ケビンが淡々と済ませていく作業を見ていたクララは、呆れながらも尊敬した様子でそう呟くのであった。

 そのような中で、ティナの指示がメンバーへと届いていく。

「クリスとニコルはヘイト管理と適度な足止め、ニーナとシーラは前衛のサポートを、アリスは行けそうと思ったらどんどん攻撃して。まずは撃ち落とさずに空からの攻撃の対処方法をアリスに教え込むわよ!」

 メンバーたちが勢いよく返事を返すと、ティナがケビンの方へ向いて合図を送る。それを受けたケビンが1匹のワイバーンの結界を解除した。

 自由を取り戻したワイバーンは早速空へと舞い上がり、眼下で構えているティナたちを標的と定めた。

 この時のケビンとクララは気配を隠蔽しており、他の捕まえているワイバーンたちの気配も消して結界外からは見えないようにしているので、解放されたワイバーンにとっては仲間が1匹もいなくなっている状況であり、空中で混乱しているようにも見える。

 一際大きく咆哮をしたワイバーンは、眼下にいるティナたちへ無差別にブレスを放った。

「散開!」

 それぞれパートごとに散らばると、ヘイト管理をする2人が空中のワイバーンへ向けて魔法を仕掛ける。

 特に2人は挑発しているだけで当てるつもりもないのだが、ワイバーンは器用に躱しながらヘイトを2人に対して向けた。

 滑空してくるワイバーンの攻撃をニコルが盾で防ぎつつ、その間にクリスが適度に攻撃を仕掛けると合間を縫ってアリスが斬りつけていき、ワイバーンが近距離でブレスを放つと後衛のシーラが上手くサポートをする。

「《アイスウォール》」

 ニコルの眼前に巨大な氷壁が顕現すると、ワイバーンのブレスは阻まれてしまい、行き場を失ったブレスは上空と左右に広がりを見せるのだった。

 ブレスを吐いているワイバーンの隙だらけな背後にアリスが詰め寄ると、今までの教えを守るかのように脚を狙って斬りつけるが、クリスからアドバイスが入る。

「アリス! ワイバーンの場合は脚よりもまずは羽を狙うんだよ」

「はい!」

 1撃離脱がモットーなアリスがまだ離れるには余裕があると見て、ワイバーンの片羽を斬りつけようとしたら嫌な予感が頭をよぎりその場を離れると、間一髪のところでワイバーンの尻尾がアリスのいた所を掠めていた。

「ワイバーンは尻尾も使ってくるから周りに意識を回して!」

「はい!」

 ティナからのアドバイスにも元気よく返事をするアリスは、離れる判断が少しでも遅れていたら尻尾の餌食になっていたことを改めて認識すると、人知れず冷や汗を流す。

「アリスは元気よのぅ」

「ああ、教えたことをちゃんと守るいい子だろ?」

「そうだの。主殿が可愛がるのも納得だが、さっきのはヒヤッとしたぞ」

「問題ない。みんなには話してないがそれぞれの体に密着する形で結界を張っている。攻撃を受けたとしてもダメージはない」

「何故話さぬのだ? 守ってもらってるなら主殿の好感度が上がるだろ?」

「受けるダメージがないとわかれば無謀な攻撃とかしたり、防御や回避が疎かになるだろ? それだと戦闘に対する緊張感がなくなる」

「中々考えておるのだな。それはそれとして私にも張ってあるのか? 必要はないと思うが」

「張ってるに決まってるだろ。クララはもう俺の女なんだぞ。必要ないとしても守るに決まっている」

「……主殿……ムラムラしてきたぞ」

「今はダメだ。みんな頑張っているんだからな」

「うぅ……アソコが疼く……この状態でオアズケなのか……」

 ケビンからの「俺の女」宣言と「守る」という言葉によって、クララは発情を促されてしまうが、そのケビンによってオアズケにされてしまうのだった。

 一方でそのようなことがおこっているとも知らずに、戦闘メンバーは順調にアリス中心となってワイバーンへダメージを与えていき、とうとうアリスの短剣がワイバーンの喉を捉えて斬り裂いた。

 喉から噴き出す血にワイバーンは抗えず、そのまま息絶えることとなる。

「アリス、途中で危ない場面があったけど、概ねいい動きができていたわ」

「ありがとうございます、ティナさん」

「次、いける? それとも休憩にする?」

「体力はまだ大丈夫ですので、今の動きを忘れないうちに次へいきたいです」

「わかったわ。ケビン君、次をお願い!」

 ケビンが気配を消しているためにどこで見ているかわからないティナは、とりあえずケビンが聞こえるように大きな声を挙げると、ケビンはそれに応えて次のワイバーンを解放した。

 それからティナたちは休憩を挟みながら回数をこなしていき、人数を減らして4人で難なく倒せるようになると、一旦中止して昼休憩をとるのであった。

 再開後はローテーションで回していき、手加減に慣れないクララが1撃で倒したり大ダメージを与えてしまう場面もあったが、ローテーションから外さずに回数をこなすようになると、バラつきがあるものの徐々に手加減が調節できるようになっていく。

 ワイバーンの数が少なくなってきたところで2匹同時に相手をする方法へ切り替えて、討伐クエストは終わりを迎えた。

「主殿、主殿!」

 メンバーが休憩を取っている中で、1人元気なクララがケビンへ詰め寄り唇を貪り出した。

「もう我慢できぬ、早く抱いてくれ」

 ワイバーンとの戦闘による昂りが、オアズケ状態だったクララの情欲を更に高まらせたようで、なりふり構わず着物をはだけさせるとたわわな胸をさらけ出した。

 クララの様子に女性たちは驚きで目を見開いたが、ケビンはクララを近くの木のところへ連れていく。

 そしてケビンは、クララの手を木につけさせてお尻を突き出させると、着物の裾を掴んでめくり上げてクララの臀部を丸出しにした。

「びちょびちょじゃないか」

「主殿がオアズケにするからだ。早う入れてくれ」

 ケビンの言った通りでクララの秘部からは液が流れ出しており、太ももを伝って下へと伸びていたのだった。

 その様子にケビンは自身の服を【無限収納】にしまうと、クララの腰を掴んで愚息を一気に中へと突き入れた。

「あぁぁぁぁっ!」

 それだけでクララは達してしまいガクガクと脚を震えさせるが、ケビンは容赦なくストロークを続けていく。

「ああっ、主殿に後ろから犯されてる。獣のような交尾で犯されてるぅ!」

 クララが大声で実況しているためか、ティナとニーナとアリスはその様子をガン見していて、シーラは顔を赤く染めて俯いており、ニコルは見ないようにしながらもチラチラと盗み見しているのであった。

 そのような中で、ケビンが突くたびにたわわな胸もぶるんぶるんと暴れており、それを両手で鷲掴みにすると暴れる胸を揉みしだいていく。

「もっと、もっと激しくしておくれ!」

 クララの要望に応えるためにケビンは激しく突き上げていき、クララを何度も絶頂させるとケビンもトドメと言わんばかりに中へと大量に迸らせる。

「あっ、あっあっ、イク……イクイク、んあぁぁぁぁ――!」

 盛大に達したクララはその場でへたりこんで横になってしまうと、秘部からは大量のドロドロとした液が流れ出して卑猥さを増していた。

 ケビンがひと息ついたら、そこへ予想通り近づいてきたティナが下半身をさらけ出して両脚を抱えるとケビンへ見せつける。

「ケビン君、あんなの見せられたら我慢できないよ。お願い、私のぐちょぐちょおまんこにケビン君のおちんちんを食べさせて」

 ケビンはそのままティナへ覆い被さると、一気に愚息を突き立てた。

「んん――! 奥……奥まで突き立てて、いっぱいケビン君のミルクを飲ませてぇ!」

 結局、このあとは全員を相手にすることになり、ケビンたちは夕暮れまで外で快楽にふけっていた。

 夕暮れどき、街へ戻ってきたケビンたちはギルドへと報告に向かった。そして、ギルド長室に通されると問題なく全てのワイバーンを倒したことをリアムに伝える。

「やはりワイバーン20匹との戦いは壮絶を極めるのだろうな。女性たちの疲れが目に見えてわかる」

 リアムはワイバーンとの戦いを労ったのだが、ケビンとしては微妙な気持ちになる。決してワイバーンとの戦闘ではなく、自身との格闘でそうなってしまったことはとてもじゃないが口には出せない。

「Bランク以下の者たちの討伐履歴を確認させてもらっていいか? 今回の件の報酬としてギルドマスター権限によって、討伐の確認が取れればランクアップさせる」

「いいのか?」

「領主様からも言われててな、指名依頼の報酬が素材の買い取りだけというのではメンツが立たないのだ」

「それならそうしてくれ。ランクが上がるのはこちらとしてもありがたい」

「では、受付に行こうか」

 それからケビンたちは受付でクエスト達成の処理とランクアップのために討伐履歴の確認をしてもらうと、アリスとシーラがBランクまで上がり、ニコルとクララはAランクとなった。

 クララがアリスたちを超えてAランクになった原因は、手加減の練習でローテーションに入っていた時に予想通り1撃で倒してしまった個体がいたので、それが個人討伐欄の履歴に入っていたからだ。

 それを見た受付嬢とリアムは、Eランク冒険者の個人討伐欄にワイバーンの名前が載っているという初めての経験に顔を引きつらせていた。

 そしてケビンは約束通りワイバーンの素材をギルドへ卸すと、いつも通り携帯ハウスで寝泊まりした翌日に街を出ることをキャノモとリアムに知らせて、ケビンたちは次の街を目指して旅立つのであった。
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