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第12章 イグドラ亜人集合国
第308話 カジノで遊んだあとは秘密の嫁会議
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翌朝、朝食の時間になるまで愛されたサーシャとアビゲイルは、お肌ツルツルのツヤツヤで食堂へと向かうのであった。
「おはよう、みんな」
ケビンの挨拶にそれぞれが返していくと、後ろから現れた2人を見てしまい、いつものことながら女性たちはケビンの体力に戦慄するのである。
それから朝食を済ませたケビンは、ケイトから何か言われる前に執務をサクッと終わらせて、楽しみであった携帯ハウス造りに勤しむのであった。
作業場へ到着したケビンは【無限収納】から携帯ハウスを取り出すと、水回りは終わらせていたので残ったスペースを使ってリビングやダイニング、空間を広げた寝室を造り、そのあとは家具を配置していった。
生活する上での必要な道具類を買いに行くのも面倒だと感じたケビンは、【創造】を使ってどんどん作り出しては家具類に収めていく。
作業が全て終わったところで帝城へと戻り、その後お昼の時間になると嫁たちへケビンがある提案をするのだった。
「冒険へ出る前にカジノで遊ぼうかと思うんだけど、ここに残る組で行きたい人はいる?」
ケビンからの問いかけに対してすぐさま反応を示したのはスカーレットであり、その後も他の嫁たちが同行する旨を示したので全員参加となる。
ソフィーリアはどちらでも構わなかったようで、ソフィーリアを除く嫁たちが行くことになったので、1人だけ連れていかないというわけにもいかず、最終的にはケビンが誘い連れて行くことにした。
その後はドレスを持っていない嫁たちを連れて夢見亭へ転移したら、以前ドレスを仕立ててもらった店へと赴いて、新しくドレスを仕立ててもらうのであった。
数日後、夢見亭へ転移したケビンたちは早速着替えて、1階にあるカジノへと繰り出した。
ケビンも然る事乍ら連れている女性が美女揃いなので、魔導エレベーターを降りた際には衆人環視から注目の的となるのである。
色々な人からの視線を浴びながらカジノへ到着すると、相も変わらずケビンはバニーガールを視線で追ってしまったことで、ティナが呆れながら言葉を口にする。
「はぁぁ……ケビン君、変わらないね」
「いや、これは仕方ないんだ。男の性なんだよ」
「そんなにあの姿がいいなら、今度着てあげようか?」
「えっ、ティナ用に衣装作るよ? いいの!?」
思いのほか食い気味でケビンが聞き返してきてティナはタジタジとなってしまうが、自分が言い出したことでもあるのでケビンが喜ぶならと了承するのである。
「ケビン様、私も着た方がよろしいですか?」
「アリスが着るなら私も着てみたいです」
「2人はバニーって感じでもないし、別の衣装にしようかなぁ」
コスプレ話が進む中で現金をチップへ交換したら、それぞれがやってみたいギャンブルへと足を進めて散らばるのであった。
特に遊んでみたいギャンブルがないソフィーリアを連れたケビンはルーレット台へ行くと、過去に一騎打ちをしたディーラーと久しぶりの再会を果たしたので、仕事の邪魔にならないよう会話を楽しみながら時間を過ごしていた。
別の場所では一緒に行動をしているのか、アリスとスカーレットのはしゃいでいる声が聞こえてきて、ケビンとソフィーリアはお互いに微笑んでその様子を遠巻きに見るのであった。
そして、こういう遊び場での自由行動は日頃の関係が影響するのか、ティナはニーナと、アリスはスカーレットと、サーシャはアビゲイルとつるんでおり、単独行動をしてしまいがちなクリスは意外にもシーラの面倒を見ながら一緒になって色々なテーブルへ足を運んでいた。
ひと通り遊び終えた嫁たちは満足したのかケビンの元へと集うと、ケビンの勝ちっぷりを見たことのあるティナとニーナ以外は驚くのである。
それでも以前の約束通り最低レートのチップ以外は賭けずに、地味勝ちを繰り返しているだけであった。
賭け方もアウトサイドベットのみとしてチップを1枚だけ置いたり、他の客が相乗りしないように閉められるギリギリで置いたり、賭けずに眺めるだけに留めたりと、カジノ側へ配慮していた。
「ケビン様、凄いです……」
「さすが私のケビンね!」
「旦那様の新たな一面が見られました」
「凄い勝ち方だわ」
「要研究ですね!」
「ケビン君ってギャンブルも強いんだね」
結局この日のケビンは1度も外すことなく勝ち続けたのである。そして部屋に帰る途中で、ティナがケビンの勝ちぶりについて口を開いた。
「なんか、常勝ギャンブラーとか称号に付きそうね」
「ルーレットの神」
「そういうこと言うと本当に付いちゃうかもしれないから、つく前にやめて欲しいんだけど」
「もう今更じゃない?」
「ふふっ、そうね。あれだけ称号を持っているのだから、1つや2つ増えたところで大差はないでしょう?」
ソフィーリアが発した言葉に嫁たちは興味津々となって賑やかさが増していき、そのテンションのまま部屋に辿りついてくつろぐとティナがケビンへあることを提案する。
「ねぇケビン君。教会に行ってステータスを確認してみない?」
「嫌だ」
ティナへ拒否の姿勢を見せていたケビンだが、思わぬところからティナへの援護射撃がなされるのであった。
「ケビンなら教会に行かなくてもステータスを表示させられるわよ」
「ソフィ……」
最愛のソフィーリアから暴露されてしまうとは思わずに、ケビンはジト目でソフィーリアを見るのだった。
「えっ!? ケビン君って魔導具もなしにステータスを表示できるの?」
「さすが私のケビンね!」
「ケビン様凄いです!」
「どうやってするのですか? 気になります!」
「あなた、見せてあげたらいいじゃない。妻に隠し事はダメよ?」
「はぁぁ……称号を見ると凹むからあまり見たくないんだよ……」
「みなさん、旦那様があまり気の進まないようですからやめにしませんか?」
「アビー……愛してる」
ケビンの不憫さにアビゲイルが反対意見を出すと、ケビンはアビゲイルを転移で引き寄せたら、自分用の寝転がれるソファで一緒にゴロゴロさせて大きな膨らみに顔を埋めるのであった。
「あんっ……旦那様、横になってはドレスに皺が入ってしまいます」
「魔法で何とかする」
アビゲイルによって何とか逃げ切れると思っていたケビンだったが、そうは問屋が卸さないらしい。
「あなた、そのままでいいからステータスを表示させて」
「え……」
「私があなたを揶揄うだけの目的でステータスを表示させるわけないでしょう? ちゃんと考えた上で頼んでいるのよ」
「……わかったよ」
「旦那様、見れるのであれば私も見たいのですが……」
ソフィーリアには何か考えがあるらしく、それを理解したケビンはアビゲイルの要望を叶えるために後ろから抱く形に変更すると、ステータスを表示させるのだった。
「ステータス オープン」
アビゲイルに癒されていたケビンだったが、視線の先にあるステータスで喜んだのも束の間、絶句してしまい癒されていた気分がなくなっていくのであった。
ケビン・ヴァン・エレフセリア
男性 17歳 種族:人間
身長:176cm 体重:66kg
職業:Xランク冒険者、商業ギルドプラチナ会員
初代皇帝(エレフセリア帝国)
ダンジョンマスター
マジカル商会オーナー兼魔導具製作者
名誉教授(ミナーヴァ魔導学院)
奴隷の主、元侯爵家当主、家族会議議長
クラン:Sランク【ウロボロス】クランマスター
ダンジョン:K’sダンジョン(本店、2号店)
お店:魔導具工房マジカル(帝都本店)
奴隷:多数
状態:アビゲイルの癒しで上昇していた気持ちが急下降中
Lv.85
HP:2800
MP:2730
筋力:1480
耐久:1320
魔力:1420
精神:1310
敏捷:1100
スキル
【言語理解】【創造】【センス】
【隠蔽】【偽装】【千里眼】
【完全鑑定】【剣術適性】【魔法適性】
【体力増大】【魔力増大】【無限収納】
【無詠唱】【並列詠唱】【並列思考】
【マップ】【集中】【複製】
【精力絶倫】【性技絶倫】【性器変化】
【胆力 Lv.EX】【模倣 Lv.5】【指導 Lv.8】
【解体 Lv.EX】【格闘術 Lv.2】【剣術 Lv.7】
【刀剣術 Lv.EX】【二刀流 Lv.EX】
【身体強化 Lv.EX】【属性強化 Lv.EX】
【完全探知 Lv.EX】【生命隠蔽 Lv.EX】
【状態異常無効】【魔力操作 Lv.EX】
魔法系統
【火魔法 Lv.EX】【水魔法 Lv.8】
【雷魔法 Lv.EX】【土魔法 Lv.EX】
【風魔法 Lv.EX】【光魔法 Lv.8】
【闇魔法 Lv.3】【生活魔法 Lv.EX】
【時空魔法 Lv.EX】【付与魔法 Lv.EX】
【無属性魔法 Lv.4】
加護
女神の大寵愛
原初神の祝福
商業神の加護
農業神の加護
称号
アキバの魔法使い 女神の伴侶
ゴロゴロの同志(祝) 舐めプの達人
逃走者 DIY好き
抱かれマイスター(極) 嫁製造機
バトルジャンキー 魔物の天敵
ダンジョン制覇者 ダンジョンマスター
ランタン狂い 勤勉
魔導具マイスター 絶対王者
無敗の帝王 パーフェクトプロフェッサー
連覇王 熱き友情を育みし者
戦場の殺戮者 闇に堕ちかけし者
憤怒の皇帝 怠惰
強欲 色欲
四大罪所持者 ヒモ
日めくりボウズ 動物と戯れる者
農作業に勤しむ者 もふもふマイスター
女性キラー(極) おとし神
子煩悩(他) 救国の英雄
パメラのパパ 一夫多妻
ドSの鬼畜
イメプレ好き【攻め】(初級)
憤怒の皇帝
皇帝と名乗ったことで称号が【王】から変化した。怒りの密度によってステータスの上昇値が変動する。
色欲
情欲を発散するほどステータス補正の上昇値が増す。
女性キラー(極)
異性に対して人受けが良く好感を持たれる。(極)異種族だろうと関係なく効果を発揮する。
おとし神
本人にそのつもりはなくとも、年齢に関係なく数々の女性を虜にしてしまった者。もはやその偉業は神の領域。
子煩悩(他)
自分の子供ではなくとも我が子のように可愛がり、子供たちから信頼を勝ち取った者。子供たちのためなら遊具作りなんて朝飯前。
救国の英雄
国家の難儀を救って数多の人々から英雄視された証。
パメラのパパ
パメラのことを思いやり接していく内に、親肌の恋しいパメラからパパ認定を受けて周囲に認知されてついた称号。
一夫多妻
多数の女性を妻として娶った者。
ドSの鬼畜
ニーナが発した言葉により周囲に認知されてしまって付いた称号。攻められるより攻めるのが好き。攻められた者は自然とその状況を受け入れてしまうようになる。
イメプレ好き【攻め】(初級)
異性に対してイメージプレイをさせることに興味を持った者。(初級)相手は戸惑いながらもその行為を受け入れてしまうことがある。
「ないわぁ……これ、ないわぁ……」
ケビンの嘆きが聞こえる中で、表示されているステータスを初めて見る者たちは、その記されている内容に絶句して誰も言葉を発することができなかった。
「あなた、身長が伸びてるわよ。良かったじゃない」
「ソフィ……それどころじゃないだろ? いらない称号が消えたと思って喜んでたら新しく増えてんだよ? そのいらないやつが……喜ばせておいて落とすって何なの?」
「私に言われても困るわ。細かいことはシステムが管理しているんだもの」
「あぁぁ……出さなきゃ良かった……」
やはり凹んでしまったケビンは、アビゲイルをギュッと抱きしめて癒してもらおうとしていたら、そのようなケビンの姿にアビゲイルは1度考え込んで解放してもらい、ケビンの後ろ側に回り込み横になるとケビンにされていたように抱きしめるのだった。
「旦那様、これなら私もステータスを見れて旦那様も胸に顔を埋めれます」
「アビー……大好き」
ケビンは早速アビゲイルの胸に顔を埋めて、柔らかさに包み込まれながら癒しの空間を堪能するのであった。
「さて、驚いているところ申し訳ないけど、ここを見てくれるかしら?」
ソフィーリアが指し示したものは、【憤怒の皇帝】と【闇に堕ちかけし者】だった。
それからソフィーリアはその称号がもたらす災厄を全員に教えて、ケビンが手を出してしまわないように周りからもフォローして支えることを意識づけていくと、この話を聞いたシーラが1番気落ちしてしまったことは言うまでもない。
「シーラ、貴女の力も必要なのよ」
「わかってる……もう2度とケビンをあんな目に合わせない」
「貴女たちが今のままでは、ケビンをサポートするのにまだ力が足りていない状態だということは、ケビンのステータスを見たのだからわかるわよね?」
ソフィーリアからの問いかけに彼女たちは全員頷くのだった。
「私たちは戦闘員と非戦闘員でわかれているわ。戦闘員は戦いでのサポートを非戦闘員は日常のサポートをして、みんなでケビンを幸せにしましょう。そのために私から貴女たちにできることは加護を与えることだけよ」
「ソフィさんの加護? ケビン君と同じやつ?」
クリスがソフィーリアの言葉に疑問を呈すると、ソフィーリアは笑って答えるのであった。
「ケビンのと同じにしたら貴女のことも愛さないといけないわね。もちろん肉体的によ?」
「え……あっ、でもイケるかも……ティナで慣れちゃったし」
「ちょ、私のせいにしないでよ!」
「だって3人でした時にケビン君の方へ行かずに私のこと襲ったじゃない」
「あ、あれは……」
クリスの暴露によってティナが反論するが、言い淀んでしまったことにより肯定しているようなものであり、他の女性たちの視線がティナに突き刺さる。
「「エロフ」」
ニーナとサーシャによる口撃にティナは反論することもできず、俯いて唸るだけであった。
「私がこの世界を管理している神である以上、あまり干渉してはいけない決まりごとがあるから加護だけで許してね」
それからソフィーリアは各人に加護を与えて内容の説明を終えると、いつの間にかスヤスヤと眠っているケビンへ視線を向けるのだった。
「あの、ソフィ様……旦那様が途中から寝てしまいまして……」
「ステータスが消えた時点で気づいているわ。きっとアビーの腕の中が安心できると感じとったから寝てしまったのよ」
「ケビン様が子供みたいです」
「可愛いです」
「ケビンは小さい頃から可愛かったわ」
王女2人とシーラがケビンの安心しきった寝顔に癒されていると、ソフィーリアがふとした言葉をこぼし、気になったクリスが問いかける。
「ケビンもね、パメラと同じで傷が深いのよ」
「同じとは?」
「……今後のためにも貴女たちも知っておいた方がいいわね。だけど、このことは絶対に他言無用よ」
それからソフィーリアは、ケビンの封印されている過去を嫁たちへ伝えていくのだった。そして嫁たちは、ケビンが前世で背負った悲しみを我が身のように感じてしまい泣き出してしまう。
「この世界ではよくある当たり前のことかもしれないけど、ケビンの住んでいた世界では当たり前のことではないの。全くないとも言いきれないけどこの世界ほどではないわ。この世界の人から見れば甘ったれるなと思う人や言う人も少なからずいる。もっと酷い目に合うことが日常的に起こるのだから」
「例えそうだとしてもあんまりです」
「ケビン様が何をしたと言うのですか」
「ソフィさん、記憶を封印するんじゃなくて消すことはできないの? このままだとケビン君が、ずっと悲しみを背負ったまま生きていくことになっちゃう」
最も簡単だと思った解決方法を述べたクリスであったが、返ってきたのは思いもよらない話だった。
「お義母さんと結婚式で2人で話す機会があったのだけれど、その時に言われたのよ。『ケビンの心の闇を教えて』とね。当然何故かと聞き返したけれど、返ってきたのは『あの子の前世も含めて癒してあげるのが母親の務めよ』って言われた時には、私はこの人には勝てないと思ったわ」
「サラ様……」
「私はずっと悩んでいるの。結論から言うと記憶を消すことはできるわよ? でもね、愛する人の悲しみをどうにかして癒してあげれないかと考えてしまうのよ。多分、記憶を消す手段をケビンが知ったら躊躇うことなく消してくれって言うと思うわ。この人は自分のことよりも私たちのことを優先してしまうから、私たちに悲しみを与えるくらいなら前世の記憶なんてすぐさま捨て去る判断をするでしょうね」
彼女たちの視線はソフィーリアからケビンへと移りゆく。スヤスヤと眠っている愛しい人は、ソフィーリアの言う通りの行動を取るだろうと誰しもが思ってしまった。
その中でも特にシーラはその思いが強かった。自分を助けるためだけに後先考えず闇に手を出した場面を見ているからだ。
「だから私はお義母さんにかけてみようと思うのよ。悔しいけどお義母さんほどケビンのことを愛している人はいないわ。私はこの前のこともあったし、記憶を消すか癒すかで悩んでうじうじしていたけど、お義母さんは最初から癒すと決めて結論を出していた」
サラがケビンへ向ける無類の愛情は、サラと付き合いの深い者なら誰しもが認めることであり、例え付き合いがなくとも溺愛していることは知っている者であれば知っていることだった。
「貴女たちはどう思う? もうみんな夫婦なんだから私1人の思いだけで決めないわ。率直な意見を聞かせて欲しいの」
ソフィーリアの言葉を聞いて彼女たちはそれぞれの思いを語っていく。その内容はそれぞれ違えども最終到着地点は同じく「癒したい」だった。
出会った時期、出会い方はティナとニーナを除けばそれぞれ違う嫁たちだが、皆が共通して言えるのはケビンのことを愛しているということである。
そして彼女たちの共通認識として、ケビンには幸せになって欲しいという想いがあり、その想いが彼女たちをつき動かしていた。
「ソフィさん、いつ実行へ移すの? もう旅に出る前だよね?」
自分を過去の枷から解き放ってくれたケビンへ少しでも報いることができるならと、クリスは率先して時期を決める話をソフィーリアへと振る。
「そうね……この人は1度旅を始めると楽しみだして中々戻ってこないから、理想的なのは旅立つ前の方がいいわね」
「それでは、旦那様を起こしてご説明しましょうか?」
「今日はそのまま寝かせてあげて。幸せそうな顔をして寝ているんだもの。それを与えているのが私ではなくアビーだと思うと嫉妬してしまうわ」
「そんな、ソフィ様が嫉妬するようなことなど……」
ソフィーリアの言葉にアビゲイルはオロオロとしてしまうが、ケビンを抱いているため起こしてしまわないようにオロオロも最小限となってしまう。
それからソフィーリアは夢見亭に残す人員を冒険不参加組だけとしたら、その提案に反対する者はおらず、不参加組が少しでもケビンと一緒に過ごせるように冒険参加組は帝城へと快くソフィーリアの転移で帰るのだった。
その後、ソフィーリアが転移でアビゲイルとケビンをベッドへ移動させると、アビゲイルが当然の如くドレスが皺になることを気にしていたので、ソフィーリアが力を使ってすっぽんぽんにしてしまうのであった。
「ソ、ソフィ様!?」
「これでドレスのことは気にしなくて済むでしょう?」
「あんっ……旦那様……」
服がなくなったことで肌触りが良くなったのを感じ取ったのか、ケビンはアビゲイルの胸を掴んで引っ付いていた。
そしてケビンもすっぽんぽんにされてしまうと、ソフィーリアとサーシャ、スカーレットは自ら服を脱いでベッドへと上がるのだった。
こうしてケビンが眠っている間に真っ裸にされた挙句、周りにも真っ裸の女性たちがおり、ある意味既成事実みたいな状況を作り出されてしまうのであった。
「おはよう、みんな」
ケビンの挨拶にそれぞれが返していくと、後ろから現れた2人を見てしまい、いつものことながら女性たちはケビンの体力に戦慄するのである。
それから朝食を済ませたケビンは、ケイトから何か言われる前に執務をサクッと終わらせて、楽しみであった携帯ハウス造りに勤しむのであった。
作業場へ到着したケビンは【無限収納】から携帯ハウスを取り出すと、水回りは終わらせていたので残ったスペースを使ってリビングやダイニング、空間を広げた寝室を造り、そのあとは家具を配置していった。
生活する上での必要な道具類を買いに行くのも面倒だと感じたケビンは、【創造】を使ってどんどん作り出しては家具類に収めていく。
作業が全て終わったところで帝城へと戻り、その後お昼の時間になると嫁たちへケビンがある提案をするのだった。
「冒険へ出る前にカジノで遊ぼうかと思うんだけど、ここに残る組で行きたい人はいる?」
ケビンからの問いかけに対してすぐさま反応を示したのはスカーレットであり、その後も他の嫁たちが同行する旨を示したので全員参加となる。
ソフィーリアはどちらでも構わなかったようで、ソフィーリアを除く嫁たちが行くことになったので、1人だけ連れていかないというわけにもいかず、最終的にはケビンが誘い連れて行くことにした。
その後はドレスを持っていない嫁たちを連れて夢見亭へ転移したら、以前ドレスを仕立ててもらった店へと赴いて、新しくドレスを仕立ててもらうのであった。
数日後、夢見亭へ転移したケビンたちは早速着替えて、1階にあるカジノへと繰り出した。
ケビンも然る事乍ら連れている女性が美女揃いなので、魔導エレベーターを降りた際には衆人環視から注目の的となるのである。
色々な人からの視線を浴びながらカジノへ到着すると、相も変わらずケビンはバニーガールを視線で追ってしまったことで、ティナが呆れながら言葉を口にする。
「はぁぁ……ケビン君、変わらないね」
「いや、これは仕方ないんだ。男の性なんだよ」
「そんなにあの姿がいいなら、今度着てあげようか?」
「えっ、ティナ用に衣装作るよ? いいの!?」
思いのほか食い気味でケビンが聞き返してきてティナはタジタジとなってしまうが、自分が言い出したことでもあるのでケビンが喜ぶならと了承するのである。
「ケビン様、私も着た方がよろしいですか?」
「アリスが着るなら私も着てみたいです」
「2人はバニーって感じでもないし、別の衣装にしようかなぁ」
コスプレ話が進む中で現金をチップへ交換したら、それぞれがやってみたいギャンブルへと足を進めて散らばるのであった。
特に遊んでみたいギャンブルがないソフィーリアを連れたケビンはルーレット台へ行くと、過去に一騎打ちをしたディーラーと久しぶりの再会を果たしたので、仕事の邪魔にならないよう会話を楽しみながら時間を過ごしていた。
別の場所では一緒に行動をしているのか、アリスとスカーレットのはしゃいでいる声が聞こえてきて、ケビンとソフィーリアはお互いに微笑んでその様子を遠巻きに見るのであった。
そして、こういう遊び場での自由行動は日頃の関係が影響するのか、ティナはニーナと、アリスはスカーレットと、サーシャはアビゲイルとつるんでおり、単独行動をしてしまいがちなクリスは意外にもシーラの面倒を見ながら一緒になって色々なテーブルへ足を運んでいた。
ひと通り遊び終えた嫁たちは満足したのかケビンの元へと集うと、ケビンの勝ちっぷりを見たことのあるティナとニーナ以外は驚くのである。
それでも以前の約束通り最低レートのチップ以外は賭けずに、地味勝ちを繰り返しているだけであった。
賭け方もアウトサイドベットのみとしてチップを1枚だけ置いたり、他の客が相乗りしないように閉められるギリギリで置いたり、賭けずに眺めるだけに留めたりと、カジノ側へ配慮していた。
「ケビン様、凄いです……」
「さすが私のケビンね!」
「旦那様の新たな一面が見られました」
「凄い勝ち方だわ」
「要研究ですね!」
「ケビン君ってギャンブルも強いんだね」
結局この日のケビンは1度も外すことなく勝ち続けたのである。そして部屋に帰る途中で、ティナがケビンの勝ちぶりについて口を開いた。
「なんか、常勝ギャンブラーとか称号に付きそうね」
「ルーレットの神」
「そういうこと言うと本当に付いちゃうかもしれないから、つく前にやめて欲しいんだけど」
「もう今更じゃない?」
「ふふっ、そうね。あれだけ称号を持っているのだから、1つや2つ増えたところで大差はないでしょう?」
ソフィーリアが発した言葉に嫁たちは興味津々となって賑やかさが増していき、そのテンションのまま部屋に辿りついてくつろぐとティナがケビンへあることを提案する。
「ねぇケビン君。教会に行ってステータスを確認してみない?」
「嫌だ」
ティナへ拒否の姿勢を見せていたケビンだが、思わぬところからティナへの援護射撃がなされるのであった。
「ケビンなら教会に行かなくてもステータスを表示させられるわよ」
「ソフィ……」
最愛のソフィーリアから暴露されてしまうとは思わずに、ケビンはジト目でソフィーリアを見るのだった。
「えっ!? ケビン君って魔導具もなしにステータスを表示できるの?」
「さすが私のケビンね!」
「ケビン様凄いです!」
「どうやってするのですか? 気になります!」
「あなた、見せてあげたらいいじゃない。妻に隠し事はダメよ?」
「はぁぁ……称号を見ると凹むからあまり見たくないんだよ……」
「みなさん、旦那様があまり気の進まないようですからやめにしませんか?」
「アビー……愛してる」
ケビンの不憫さにアビゲイルが反対意見を出すと、ケビンはアビゲイルを転移で引き寄せたら、自分用の寝転がれるソファで一緒にゴロゴロさせて大きな膨らみに顔を埋めるのであった。
「あんっ……旦那様、横になってはドレスに皺が入ってしまいます」
「魔法で何とかする」
アビゲイルによって何とか逃げ切れると思っていたケビンだったが、そうは問屋が卸さないらしい。
「あなた、そのままでいいからステータスを表示させて」
「え……」
「私があなたを揶揄うだけの目的でステータスを表示させるわけないでしょう? ちゃんと考えた上で頼んでいるのよ」
「……わかったよ」
「旦那様、見れるのであれば私も見たいのですが……」
ソフィーリアには何か考えがあるらしく、それを理解したケビンはアビゲイルの要望を叶えるために後ろから抱く形に変更すると、ステータスを表示させるのだった。
「ステータス オープン」
アビゲイルに癒されていたケビンだったが、視線の先にあるステータスで喜んだのも束の間、絶句してしまい癒されていた気分がなくなっていくのであった。
ケビン・ヴァン・エレフセリア
男性 17歳 種族:人間
身長:176cm 体重:66kg
職業:Xランク冒険者、商業ギルドプラチナ会員
初代皇帝(エレフセリア帝国)
ダンジョンマスター
マジカル商会オーナー兼魔導具製作者
名誉教授(ミナーヴァ魔導学院)
奴隷の主、元侯爵家当主、家族会議議長
クラン:Sランク【ウロボロス】クランマスター
ダンジョン:K’sダンジョン(本店、2号店)
お店:魔導具工房マジカル(帝都本店)
奴隷:多数
状態:アビゲイルの癒しで上昇していた気持ちが急下降中
Lv.85
HP:2800
MP:2730
筋力:1480
耐久:1320
魔力:1420
精神:1310
敏捷:1100
スキル
【言語理解】【創造】【センス】
【隠蔽】【偽装】【千里眼】
【完全鑑定】【剣術適性】【魔法適性】
【体力増大】【魔力増大】【無限収納】
【無詠唱】【並列詠唱】【並列思考】
【マップ】【集中】【複製】
【精力絶倫】【性技絶倫】【性器変化】
【胆力 Lv.EX】【模倣 Lv.5】【指導 Lv.8】
【解体 Lv.EX】【格闘術 Lv.2】【剣術 Lv.7】
【刀剣術 Lv.EX】【二刀流 Lv.EX】
【身体強化 Lv.EX】【属性強化 Lv.EX】
【完全探知 Lv.EX】【生命隠蔽 Lv.EX】
【状態異常無効】【魔力操作 Lv.EX】
魔法系統
【火魔法 Lv.EX】【水魔法 Lv.8】
【雷魔法 Lv.EX】【土魔法 Lv.EX】
【風魔法 Lv.EX】【光魔法 Lv.8】
【闇魔法 Lv.3】【生活魔法 Lv.EX】
【時空魔法 Lv.EX】【付与魔法 Lv.EX】
【無属性魔法 Lv.4】
加護
女神の大寵愛
原初神の祝福
商業神の加護
農業神の加護
称号
アキバの魔法使い 女神の伴侶
ゴロゴロの同志(祝) 舐めプの達人
逃走者 DIY好き
抱かれマイスター(極) 嫁製造機
バトルジャンキー 魔物の天敵
ダンジョン制覇者 ダンジョンマスター
ランタン狂い 勤勉
魔導具マイスター 絶対王者
無敗の帝王 パーフェクトプロフェッサー
連覇王 熱き友情を育みし者
戦場の殺戮者 闇に堕ちかけし者
憤怒の皇帝 怠惰
強欲 色欲
四大罪所持者 ヒモ
日めくりボウズ 動物と戯れる者
農作業に勤しむ者 もふもふマイスター
女性キラー(極) おとし神
子煩悩(他) 救国の英雄
パメラのパパ 一夫多妻
ドSの鬼畜
イメプレ好き【攻め】(初級)
憤怒の皇帝
皇帝と名乗ったことで称号が【王】から変化した。怒りの密度によってステータスの上昇値が変動する。
色欲
情欲を発散するほどステータス補正の上昇値が増す。
女性キラー(極)
異性に対して人受けが良く好感を持たれる。(極)異種族だろうと関係なく効果を発揮する。
おとし神
本人にそのつもりはなくとも、年齢に関係なく数々の女性を虜にしてしまった者。もはやその偉業は神の領域。
子煩悩(他)
自分の子供ではなくとも我が子のように可愛がり、子供たちから信頼を勝ち取った者。子供たちのためなら遊具作りなんて朝飯前。
救国の英雄
国家の難儀を救って数多の人々から英雄視された証。
パメラのパパ
パメラのことを思いやり接していく内に、親肌の恋しいパメラからパパ認定を受けて周囲に認知されてついた称号。
一夫多妻
多数の女性を妻として娶った者。
ドSの鬼畜
ニーナが発した言葉により周囲に認知されてしまって付いた称号。攻められるより攻めるのが好き。攻められた者は自然とその状況を受け入れてしまうようになる。
イメプレ好き【攻め】(初級)
異性に対してイメージプレイをさせることに興味を持った者。(初級)相手は戸惑いながらもその行為を受け入れてしまうことがある。
「ないわぁ……これ、ないわぁ……」
ケビンの嘆きが聞こえる中で、表示されているステータスを初めて見る者たちは、その記されている内容に絶句して誰も言葉を発することができなかった。
「あなた、身長が伸びてるわよ。良かったじゃない」
「ソフィ……それどころじゃないだろ? いらない称号が消えたと思って喜んでたら新しく増えてんだよ? そのいらないやつが……喜ばせておいて落とすって何なの?」
「私に言われても困るわ。細かいことはシステムが管理しているんだもの」
「あぁぁ……出さなきゃ良かった……」
やはり凹んでしまったケビンは、アビゲイルをギュッと抱きしめて癒してもらおうとしていたら、そのようなケビンの姿にアビゲイルは1度考え込んで解放してもらい、ケビンの後ろ側に回り込み横になるとケビンにされていたように抱きしめるのだった。
「旦那様、これなら私もステータスを見れて旦那様も胸に顔を埋めれます」
「アビー……大好き」
ケビンは早速アビゲイルの胸に顔を埋めて、柔らかさに包み込まれながら癒しの空間を堪能するのであった。
「さて、驚いているところ申し訳ないけど、ここを見てくれるかしら?」
ソフィーリアが指し示したものは、【憤怒の皇帝】と【闇に堕ちかけし者】だった。
それからソフィーリアはその称号がもたらす災厄を全員に教えて、ケビンが手を出してしまわないように周りからもフォローして支えることを意識づけていくと、この話を聞いたシーラが1番気落ちしてしまったことは言うまでもない。
「シーラ、貴女の力も必要なのよ」
「わかってる……もう2度とケビンをあんな目に合わせない」
「貴女たちが今のままでは、ケビンをサポートするのにまだ力が足りていない状態だということは、ケビンのステータスを見たのだからわかるわよね?」
ソフィーリアからの問いかけに彼女たちは全員頷くのだった。
「私たちは戦闘員と非戦闘員でわかれているわ。戦闘員は戦いでのサポートを非戦闘員は日常のサポートをして、みんなでケビンを幸せにしましょう。そのために私から貴女たちにできることは加護を与えることだけよ」
「ソフィさんの加護? ケビン君と同じやつ?」
クリスがソフィーリアの言葉に疑問を呈すると、ソフィーリアは笑って答えるのであった。
「ケビンのと同じにしたら貴女のことも愛さないといけないわね。もちろん肉体的によ?」
「え……あっ、でもイケるかも……ティナで慣れちゃったし」
「ちょ、私のせいにしないでよ!」
「だって3人でした時にケビン君の方へ行かずに私のこと襲ったじゃない」
「あ、あれは……」
クリスの暴露によってティナが反論するが、言い淀んでしまったことにより肯定しているようなものであり、他の女性たちの視線がティナに突き刺さる。
「「エロフ」」
ニーナとサーシャによる口撃にティナは反論することもできず、俯いて唸るだけであった。
「私がこの世界を管理している神である以上、あまり干渉してはいけない決まりごとがあるから加護だけで許してね」
それからソフィーリアは各人に加護を与えて内容の説明を終えると、いつの間にかスヤスヤと眠っているケビンへ視線を向けるのだった。
「あの、ソフィ様……旦那様が途中から寝てしまいまして……」
「ステータスが消えた時点で気づいているわ。きっとアビーの腕の中が安心できると感じとったから寝てしまったのよ」
「ケビン様が子供みたいです」
「可愛いです」
「ケビンは小さい頃から可愛かったわ」
王女2人とシーラがケビンの安心しきった寝顔に癒されていると、ソフィーリアがふとした言葉をこぼし、気になったクリスが問いかける。
「ケビンもね、パメラと同じで傷が深いのよ」
「同じとは?」
「……今後のためにも貴女たちも知っておいた方がいいわね。だけど、このことは絶対に他言無用よ」
それからソフィーリアは、ケビンの封印されている過去を嫁たちへ伝えていくのだった。そして嫁たちは、ケビンが前世で背負った悲しみを我が身のように感じてしまい泣き出してしまう。
「この世界ではよくある当たり前のことかもしれないけど、ケビンの住んでいた世界では当たり前のことではないの。全くないとも言いきれないけどこの世界ほどではないわ。この世界の人から見れば甘ったれるなと思う人や言う人も少なからずいる。もっと酷い目に合うことが日常的に起こるのだから」
「例えそうだとしてもあんまりです」
「ケビン様が何をしたと言うのですか」
「ソフィさん、記憶を封印するんじゃなくて消すことはできないの? このままだとケビン君が、ずっと悲しみを背負ったまま生きていくことになっちゃう」
最も簡単だと思った解決方法を述べたクリスであったが、返ってきたのは思いもよらない話だった。
「お義母さんと結婚式で2人で話す機会があったのだけれど、その時に言われたのよ。『ケビンの心の闇を教えて』とね。当然何故かと聞き返したけれど、返ってきたのは『あの子の前世も含めて癒してあげるのが母親の務めよ』って言われた時には、私はこの人には勝てないと思ったわ」
「サラ様……」
「私はずっと悩んでいるの。結論から言うと記憶を消すことはできるわよ? でもね、愛する人の悲しみをどうにかして癒してあげれないかと考えてしまうのよ。多分、記憶を消す手段をケビンが知ったら躊躇うことなく消してくれって言うと思うわ。この人は自分のことよりも私たちのことを優先してしまうから、私たちに悲しみを与えるくらいなら前世の記憶なんてすぐさま捨て去る判断をするでしょうね」
彼女たちの視線はソフィーリアからケビンへと移りゆく。スヤスヤと眠っている愛しい人は、ソフィーリアの言う通りの行動を取るだろうと誰しもが思ってしまった。
その中でも特にシーラはその思いが強かった。自分を助けるためだけに後先考えず闇に手を出した場面を見ているからだ。
「だから私はお義母さんにかけてみようと思うのよ。悔しいけどお義母さんほどケビンのことを愛している人はいないわ。私はこの前のこともあったし、記憶を消すか癒すかで悩んでうじうじしていたけど、お義母さんは最初から癒すと決めて結論を出していた」
サラがケビンへ向ける無類の愛情は、サラと付き合いの深い者なら誰しもが認めることであり、例え付き合いがなくとも溺愛していることは知っている者であれば知っていることだった。
「貴女たちはどう思う? もうみんな夫婦なんだから私1人の思いだけで決めないわ。率直な意見を聞かせて欲しいの」
ソフィーリアの言葉を聞いて彼女たちはそれぞれの思いを語っていく。その内容はそれぞれ違えども最終到着地点は同じく「癒したい」だった。
出会った時期、出会い方はティナとニーナを除けばそれぞれ違う嫁たちだが、皆が共通して言えるのはケビンのことを愛しているということである。
そして彼女たちの共通認識として、ケビンには幸せになって欲しいという想いがあり、その想いが彼女たちをつき動かしていた。
「ソフィさん、いつ実行へ移すの? もう旅に出る前だよね?」
自分を過去の枷から解き放ってくれたケビンへ少しでも報いることができるならと、クリスは率先して時期を決める話をソフィーリアへと振る。
「そうね……この人は1度旅を始めると楽しみだして中々戻ってこないから、理想的なのは旅立つ前の方がいいわね」
「それでは、旦那様を起こしてご説明しましょうか?」
「今日はそのまま寝かせてあげて。幸せそうな顔をして寝ているんだもの。それを与えているのが私ではなくアビーだと思うと嫉妬してしまうわ」
「そんな、ソフィ様が嫉妬するようなことなど……」
ソフィーリアの言葉にアビゲイルはオロオロとしてしまうが、ケビンを抱いているため起こしてしまわないようにオロオロも最小限となってしまう。
それからソフィーリアは夢見亭に残す人員を冒険不参加組だけとしたら、その提案に反対する者はおらず、不参加組が少しでもケビンと一緒に過ごせるように冒険参加組は帝城へと快くソフィーリアの転移で帰るのだった。
その後、ソフィーリアが転移でアビゲイルとケビンをベッドへ移動させると、アビゲイルが当然の如くドレスが皺になることを気にしていたので、ソフィーリアが力を使ってすっぽんぽんにしてしまうのであった。
「ソ、ソフィ様!?」
「これでドレスのことは気にしなくて済むでしょう?」
「あんっ……旦那様……」
服がなくなったことで肌触りが良くなったのを感じ取ったのか、ケビンはアビゲイルの胸を掴んで引っ付いていた。
そしてケビンもすっぽんぽんにされてしまうと、ソフィーリアとサーシャ、スカーレットは自ら服を脱いでベッドへと上がるのだった。
こうしてケビンが眠っている間に真っ裸にされた挙句、周りにも真っ裸の女性たちがおり、ある意味既成事実みたいな状況を作り出されてしまうのであった。
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