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第11章 新規・新装・戴冠・結婚
第295話 貴族たちとの会議
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翌日、ケビンはライル国王の元へ赴き、冒険者ギルド復興とアビゲイルを妻に娶ったことを伝えて、結婚式のパートナーが1人増えたことを知らせた。
「それにしても手が早いのぅ。アビゲイルが帝都へ来てから1ヶ月も経っておらんじゃろ」
「あとでドレスの採寸をしなくてわね」
「ご迷惑をおかけします」
「よいよい、して、何故にそういうところまで進展したのじゃ?」
ライル国王からの疑問に、ケビンはダークエルフの置かれている状況や一緒に仕事をしていて楽しかったことなどを伝えていった。
「難しい問題じゃの。一部の人間は自分と違うものを認めようとはせぬからな」
「そうよね。差別を緩和することはできてもなくすことは難しいわね」
「犯罪と一緒だね……」
「悩むのであれば、この国の制度をそういう風に作り変えればよかろう。ケビンにはそれをしてもよい権利がある」
「そうしなさい、ケビン君。貴方の造る国で犯罪や差別を減らせばいいのよ」
「冒険者の頃と違って色々と考えさせられるね」
「国の運営だもの。頭を悩ませるのは仕方がないわ」
「次の会議にでも議題として出せばよかろう」
「そうしてみるよ。色々と政策は考えてあるし」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
そして迎えた会議の日、ケビンは帝城の会議室にて貴族の面々と顔を合わせる。
ケビンが帰還して帝城を改造したあとは、この会議室が主なやり取りの場として使用されていた。
空間魔法にて拡張した部屋は外からの見た目に反して、中の広さは貴族を全員座らせてもまだ余裕のあるものとなっている。
そして、緊張感漂うこの場の給仕を行っているのは、奴隷ではなくメイド隊の者たちだ。洗練された技術によって滞りなく全員へ飲み物が配られていき、頭を下げてはその場から退室していく。
「今日の話し合う議題についてだが、犯罪と差別、そして税についてだ」
ケビンの出した議案に貴族たちはガヤガヤとし始める。今更話し合うような内容でもないことも過分に含まれているからだ。
「まずは簡単に済む犯罪からだな。基本、重犯罪を犯したものは終身奴隷か死罪だ。だが、それ以外の情状酌量の余地がある者に対しては、犯罪奴隷の刑期を一律で定めてから、その定められた刑期を執行する。ちなみに刑期が終われば平民へ戻す」
「それでは犯罪を繰り返す輩が増えるやも知れません」
ケビンに意見したのは民に慕われているクリューゲント侯爵であった。帝国において珍しく善政を敷いている貴族として有名な者だが、当時の腐敗した帝国においては目の上のたんこぶ扱いで、派閥の仲間も少なく肩身の狭い思いをしていた。
このように、ケビンは会議において意見がある時には、躊躇わずその場で述べるように初顔合わせの時に伝えていたが、最初の頃は実力至上主義ということもあってか、中々ケビンの意見に対して反対意見を述べる者がいなかったが、慣れ始めてくるとクリューゲント侯爵みたく懸念事項を述べてくる貴族が増えていったのだった。
「それについても考えてある。犯罪を繰り返す輩には1回目は規定通りに、2回目は刑期を上乗せして、3回目は終身か死罪と考えているがどうだろうか?」
「ふむ……それならば抑制に繋がるやもしれませんな」
ケビンの伝えた対応策に同意を示したのは、代々武力寄りの家系であるユソンボウチー侯爵である。武力寄りであるのにユソンボウチー侯爵においては知力面でも申し分ない。
「いや、それだと軽犯罪の者はどうなるのですか? 軽犯罪を3回犯せば最悪死刑ということになりますが?」
それに異を唱えたのは、病死した父の跡を継いだシカーソン侯爵だ。武力と知力を備えた偉大な父の跡を継ぎ家臣からのプレッシャーもある中で、武力はさほどないが知力面でそれをカバーしているのだった。
「軽犯罪だろうと犯罪は犯罪だ。だが、懸念するのであれば3回ではなく5回にしてみるか?」
「止むに止まれず犯してしまうということもあります。スラムの子供たちがそうです。食べ物がなく飢えに耐えかねて店先から盗むということもあります。そういった者たちを死罪にするのは……」
「シカーソン、子供たちが飢えるのは何故だ?」
「え……それは食べ物がないからです」
ケビンに問われたシカーソンは、面食らいながらも当たり前の言葉を返すが、それはケビンの聞きたかった答えではなかったのか、諭すように言葉を綴るのである。
「思い違いをするなよ、シカーソン。子供たちが飢えるのは食べ物がないせいではなく、手を差し伸べない大人の責任だ」
「ですが、皆それぞれの生活がありますので……」
「ならば問うぞ? お前の今の生活と村で細々と暮らす者たちの生活では一体どちらが裕福だと思う?」
「それは……」
誰でもわかるようなことを問われてしまいシカーソンは言葉に詰まるが、ケビンは答えを待たずして続きを話し始める。
「当然侯爵であるお前だな。スラムの子供たちを心配する心意気は素晴らしいものだ。だが、お前はその子供たちに食糧支援をしたのか? 意見として出すなら現状を領地で見たか報告を受けたのだろう?」
「……はい」
「お前の今の生活は、子供たちにご飯を食べさせてあげれないほど切迫しているのか? その指についている宝石は何だ? その指なら結婚指輪ということもあるまい。その宝石は子供たちへの支援より大事な物なのか? 形見か何かか?」
「……いえ」
「シカーソン……お前がスラムの子供たちを心配する懸念は正しい。だが、行動が伴っていない。それでは言葉に重みがなく軽んじられるだけだぞ」
正論を突きつけられたシカーソンは握りしめる拳の力が強くなり、侯爵家当主としてのプライドがそうさせたのか、皇帝であるケビンへと噛みついてしまう。
「そこまで言うなら陛下は、この帝都のスラムの子供たちを救っているのですか!」
「言葉が過ぎるぞ、シカーソン!」
「無礼であろう!」
シカーソンの言葉を聞いたクリューゲントとユソンボウチーが、ほぼ同時に叱責するとケビンはそれを手で制する。
「2人とも構わない。シカーソン、お前の疑問に答えてやる。俺にはちょっとしたきっかけで知り合った親子がいてな、ボロ屋に住んでいたんだ。もし、知り合わなかったら帝都にそんなボロ屋があるとは気づかなかったかも知れない」
「それがどうしたと言うのですか?」
「それから俺はスラムの一掃をしたわけだ。言っておくが住民のことではないぞ? 環境のことだ。1度建物を全て壊して新しく建て替えた。そして、そこへタダで住むことを条件に大人たちへの仕事を斡旋して、子供たちを飢えさせないように計らった。よってこの帝都にスラムは存在しないし、それから子供たちが食べ物を盗むことを止めた。これが手を差し伸べるということだ」
ケビンが既に帝都にあるスラムを救済していたと聞いて、シカーソンは言葉を返せずに沈黙してしまう。
「ちなみに国庫は使ってないぞ。全て俺の私財だ。ついでだから言っておくが、お前たちも私財を使ってスラムを無くせ。そうすれば犯罪率も減るし、余計な仕事もせずに済む。たかだか少し贅沢を我慢するだけで子供たちが救えるんだぞ? 善政を敷いていると胸を張りたいならそれくらいしてみせろ」
「陛下、もし働きたくない大人たちがいれば、如何様にすればよろしいでしょうか?」
ケビンの言葉に共感したクリューゲントが、起こりうるであろう事態を懸念して意見を求めると、ケビンはあっさりとした回答を返すのである。
「街から放りだすか奴隷にでもしろ」
「は……?」
スラムの住民たちを救えと言うケビンからは想像もできない言葉が飛び出してしまい、クリューゲントや他の貴族たちも目が点となる。
「子供たちは大人みたく働く力はないが、それでも摘んできた花を売ろうとする子だっていたんだ。働く力のある大人が働きたくないと言うなら、そいつはもうただの穀潰しだ。そんな奴にクリューゲントはお金を援助したいのか?」
「いえ、全く思いません」
「それでいい。俺たちは聖人君子じゃない。全ての人を救おうなんて考えはなくてもいいが、手を差し伸べた時にその手を掴む人だけは救ってやれ。ちなみに俺は働かない奴は奴隷として売ったぞ。その金は子供たちの支援金にした」
「子供たちに直接お金を渡したのですか?」
「いや、さっき言ってなかったがスラムの跡地に孤児院を作ったんだ。子供たちはそこで大人たちから見守られて生活をしている。だから孤児院の責任者へ支援金は渡した」
「孤児院ですか……」
「その方が子供たちを見守りやすいだろ? バラバラに生活させては何が起こるかわからないし、支援から漏れてしまう子供が出てくるかもしれない。お前たちだって日々の仕事があるんだから、毎日確認しに行くわけにもいかないだろ?」
「そうですね」
「それは大人たちにだって言えることだ。ひとまとめにしてしまえば、何かあったときに助け合いができるからな。俺のしたことは孤児院を作ったことと、孤児院の仕事をしたくない者には別の家を提供して働かせたことだ」
「ご助言感謝します」
「シカーソン、今の答えで満足したか?」
「はい、自身の行いを悔い改めます」
「少しずつ成長すればいい。お前のことだから父親を早く超えようと焦っているんだろ? 確かに周りの評価だとお前の父親は偉大だ。だが、お前はお前だろ? 自分のペースで大きくなって、その後に『あの人は偉大だった』と思われればいいんじゃないのか?」
ケビンからかけられた言葉を真摯に受け止めたシカーソンは、無理に父親の影を追い偉大になろうとはせずに、己のペースでできることから始めようと決意するのだった。
結局、犯罪の抑制は5回繰り返したところで、終身か死罪にすると取り決めて、1回目は1年、2回目は5年、3回目は15年、4回目は30年として、その途中で重犯罪を犯した場合は即刻終身犯罪奴隷か死罪とすることになった。
「次は差別だが……」
「陛下、差別とは色々ありますが具体的な案はおありですかな?」
幅広い差別について焦点を絞ろうとユソンボウチーがケビンへ尋ねると、思い悩んでいたケビンが口を開く。
「これも犯罪と同じで全てをなくすことはできない。だけど、人種差別をなくしていきたい」
「人種差別?」
「ああ、種族が違うってだけで差別するのは納得がいかない」
「難しい問題ではありますな」
「難しいのはわかってる。同じ人間同士で差別するくらいだ。別種族となったら当然差別する奴らがいるだろう」
「道のりは険しいですぞ?」
「心の内でどう思おうともそいつの勝手だが、表立って差別するのは許さないってだけだ」
「いささか難易度が落ちましたな。それならば表立って差別した者を処罰対象とすれば抑制できるやもしれません」
「そのようなことをすれば仕事が増えるだけだぞ?」
ユソンボウチーの言葉にクリューゲントが異を唱えるが、不敵な笑みを浮かべたユソンボウチーが口を開く。
「クリューゲント殿の領民は差別ばかりする者たちばかりなのか? それでは仕事が増えてしまうのも納得だな」
「そんなわけがなかろう!」
「では陛下のご意向に沿っても問題ないのでは?」
ここで反対してしまえば領民が差別主義だと認めているようなものなので、クリューゲントは苦虫を噛み潰したような顔で引き下がるのであった。
「これで差別の問題は解決ですな。残るは税についてですか……」
ユソンボウチーの発言に貴族たちは一層真剣味を増した表情をする。税収は領地を抱える貴族にとっては大事な収入源であるから、税をどうするのか気が気ではない。
「税についてだが、一律から変更して所得に応じたものとする」
「それでは民から受け取る税収が激減してしまいます」
ケビンの伝えた内容にすぐさま反応したのは下級貴族の1人であった。その発言に後へ続けと言わんばかりに賛同の声も挙がっていく。
「それに所得を偽る輩が必ず出てきます」
「それについては言い逃れができないようにする」
ケビンが伝えて【無限収納】から取り出したのは1つの魔導具であった。それは四角い台座になっており、何の変哲もない普通の見た目である。
「それは……?」
「これは簡単に言うと嘘発見器だ」
ケビンの言葉に室内はザワザワとし始めるが、ケビンはそれに構わずデモンストレーションを行うのであった。
「シカーソン、この台座に手を置いてくれ」
嘘発見器の実演とあってか、シカーソンは呼ばれてすぐにビクッと反応してしまい、特に悪いことをした訳でもないがビクビクとしていた。
「シカーソン殿、何も後ろめたいことがないのなら、そこに手を置くぐらいなんてことないのではないか?」
「くっ……自分が呼ばれなかったからって余裕だな」
クリューゲントの言葉に反論しながらも、シカーソンは台座に手を乗せてケビンの動向を窺う。
「簡単な質問をするから『はい』だけで答えてくれ」
「かしこまりました」
「シカーソンは女か?」
「はい」
するとシカーソンが手を置いている台座が赤く光り出すと、その光景を見た貴族たちはガヤガヤとし始める。
「シカーソンは男か?」
「はい」
次の質問に答えたシカーソンが手を置いている台座は、先程とは違って青く発光している。
「前皇帝のことは尊敬していたか?」
「……」
ケビンの質問にシカーソンは言葉に詰まってしまう。尊敬していたと知られてしまえば人格を疑われ、尊敬していなかったとわかれば逆臣の意向があったと判断されかねない。
答えにくい質問に対して言葉に詰まったシカーソンだったが、意を決して一言だけ口にするのであった。
「……はい」
その回答に台座は赤く発光して、シカーソンが前皇帝のことを尊敬していなかったことが明らかとなる。
他の貴族たちがその結果にガヤガヤとしだしたところで、ケビンがシカーソンへ声をかける。
「気にするな、シカーソン。むしろ赤くなって良かった。青かったらどうしようかと思ったぞ」
「ですが……」
「心配しなくともここにいる他の連中もお前と同じ考えだ。だからこそ、俺から粛清されないでここにいるわけだしな」
「ご配慮痛み入ります」
「とまぁ、対抗策としてはこんな感じだな」
ケビンはそう伝えると、魔導具を【無限収納】の中へとしまい込むのだった。
「それは古代の遺物ですかな?」
物珍しい魔導具にユソンボウチーがケビンに尋ねると、なんてことのない感じでケビンがそれに答える。
「俺が作った物だ」
「真ですかな?」
その質問にケビンは再び魔導具を【無限収納】から取り出して、手を置いてから回答するのだった。
そうすると魔導具は青く発光して、ケビンの言ったことは真実だと証明するが、当然出るであろう疑問にケビンが機先を制して告げるのである。
「俺が作った物だから俺の意図した通りに光らせているだけだと思うかもしれないが、信じるか信じないかはお前たち次第だ。で、これを各人に配布するから税の回収係に持たせて、民から税を受け取っていけばいい。ちなみにお前たちが国に納める税の時も使うからな? 脱税しようとは考えるなよ?」
「陛下、税収が下がる分はどうされるのですか?」
シカーソンが告げたご尤もな意見に対して、ケビンは自分の考えを語っていく。
「下がると言っても一時的にだろ? 将来的には安定した税収が見込める。一時的に欲を出して民から搾取すれば、生活できなくなった民は死ぬかその地を離れるかするだろ? そうなれば税収は下がったままだ。それに今までたんまりと稼いでいた富裕層から、ガッツリと税を回収することができるんだ。悪いことばかりじゃない」
「その富裕層がこの国を離れてしまったら?」
「そこまでして金が欲しいのか?」
「……いえ」
「まぁ、不安になるのは仕方ないが、領地からの税収が少ないってことは、領主が国に納める税も少なくなるんだ。それが所得に応じた税というものだから心配するな」
「わかりました」
「それでも今の贅沢な暮らしがしたいやつらは、私兵でも使って冒険者をやらせてろ。素材の買い取りは思ってる以上に旨みが大きいぞ。俺の私財もそうやって増やしてきたしな。まぁ、ほとんどはカジノで大儲けしたお陰だが」
「全く皇帝らしくない皇帝ですな。臣下に冒険者活動を進めるなど前代未聞ですぞ?」
笑いながら告げるユソンボウチーへ、ケビンも笑いながら答えるのであった。
「仕方ないだろ? 俺は現役の冒険者だぞ」
「国よりも冒険ですかな?」
「そこはちゃんとするさ。ただ、慣れてきたら冒険者活動が多くなるかもしれないけどな」
「国が傾きますぞ?」
「お前たちがいるのに傾くのか?」
暗に全幅の信頼と能力を買っていると告げているケビンに、その場にいる貴族たちは自信に満ち溢れた表情となるのである。
「陛下も人が悪い。そう言われてしまえば、我々としては国が傾かないように動くしかないですな」
「困ったことがあったら何でも相談してくれ。みんなでこの国を良くしていこう」
それからケビンは、政策の変更についての日時は戴冠式に合わせて行うこととして、それまでは準備に勤しむように指示を出していく。
こうして貴族会議が無事に終わることとなり、ケビンはライル国王へ報告に向かって、会議で決まったことを伝えるのであった。
「それにしても手が早いのぅ。アビゲイルが帝都へ来てから1ヶ月も経っておらんじゃろ」
「あとでドレスの採寸をしなくてわね」
「ご迷惑をおかけします」
「よいよい、して、何故にそういうところまで進展したのじゃ?」
ライル国王からの疑問に、ケビンはダークエルフの置かれている状況や一緒に仕事をしていて楽しかったことなどを伝えていった。
「難しい問題じゃの。一部の人間は自分と違うものを認めようとはせぬからな」
「そうよね。差別を緩和することはできてもなくすことは難しいわね」
「犯罪と一緒だね……」
「悩むのであれば、この国の制度をそういう風に作り変えればよかろう。ケビンにはそれをしてもよい権利がある」
「そうしなさい、ケビン君。貴方の造る国で犯罪や差別を減らせばいいのよ」
「冒険者の頃と違って色々と考えさせられるね」
「国の運営だもの。頭を悩ませるのは仕方がないわ」
「次の会議にでも議題として出せばよかろう」
「そうしてみるよ。色々と政策は考えてあるし」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
そして迎えた会議の日、ケビンは帝城の会議室にて貴族の面々と顔を合わせる。
ケビンが帰還して帝城を改造したあとは、この会議室が主なやり取りの場として使用されていた。
空間魔法にて拡張した部屋は外からの見た目に反して、中の広さは貴族を全員座らせてもまだ余裕のあるものとなっている。
そして、緊張感漂うこの場の給仕を行っているのは、奴隷ではなくメイド隊の者たちだ。洗練された技術によって滞りなく全員へ飲み物が配られていき、頭を下げてはその場から退室していく。
「今日の話し合う議題についてだが、犯罪と差別、そして税についてだ」
ケビンの出した議案に貴族たちはガヤガヤとし始める。今更話し合うような内容でもないことも過分に含まれているからだ。
「まずは簡単に済む犯罪からだな。基本、重犯罪を犯したものは終身奴隷か死罪だ。だが、それ以外の情状酌量の余地がある者に対しては、犯罪奴隷の刑期を一律で定めてから、その定められた刑期を執行する。ちなみに刑期が終われば平民へ戻す」
「それでは犯罪を繰り返す輩が増えるやも知れません」
ケビンに意見したのは民に慕われているクリューゲント侯爵であった。帝国において珍しく善政を敷いている貴族として有名な者だが、当時の腐敗した帝国においては目の上のたんこぶ扱いで、派閥の仲間も少なく肩身の狭い思いをしていた。
このように、ケビンは会議において意見がある時には、躊躇わずその場で述べるように初顔合わせの時に伝えていたが、最初の頃は実力至上主義ということもあってか、中々ケビンの意見に対して反対意見を述べる者がいなかったが、慣れ始めてくるとクリューゲント侯爵みたく懸念事項を述べてくる貴族が増えていったのだった。
「それについても考えてある。犯罪を繰り返す輩には1回目は規定通りに、2回目は刑期を上乗せして、3回目は終身か死罪と考えているがどうだろうか?」
「ふむ……それならば抑制に繋がるやもしれませんな」
ケビンの伝えた対応策に同意を示したのは、代々武力寄りの家系であるユソンボウチー侯爵である。武力寄りであるのにユソンボウチー侯爵においては知力面でも申し分ない。
「いや、それだと軽犯罪の者はどうなるのですか? 軽犯罪を3回犯せば最悪死刑ということになりますが?」
それに異を唱えたのは、病死した父の跡を継いだシカーソン侯爵だ。武力と知力を備えた偉大な父の跡を継ぎ家臣からのプレッシャーもある中で、武力はさほどないが知力面でそれをカバーしているのだった。
「軽犯罪だろうと犯罪は犯罪だ。だが、懸念するのであれば3回ではなく5回にしてみるか?」
「止むに止まれず犯してしまうということもあります。スラムの子供たちがそうです。食べ物がなく飢えに耐えかねて店先から盗むということもあります。そういった者たちを死罪にするのは……」
「シカーソン、子供たちが飢えるのは何故だ?」
「え……それは食べ物がないからです」
ケビンに問われたシカーソンは、面食らいながらも当たり前の言葉を返すが、それはケビンの聞きたかった答えではなかったのか、諭すように言葉を綴るのである。
「思い違いをするなよ、シカーソン。子供たちが飢えるのは食べ物がないせいではなく、手を差し伸べない大人の責任だ」
「ですが、皆それぞれの生活がありますので……」
「ならば問うぞ? お前の今の生活と村で細々と暮らす者たちの生活では一体どちらが裕福だと思う?」
「それは……」
誰でもわかるようなことを問われてしまいシカーソンは言葉に詰まるが、ケビンは答えを待たずして続きを話し始める。
「当然侯爵であるお前だな。スラムの子供たちを心配する心意気は素晴らしいものだ。だが、お前はその子供たちに食糧支援をしたのか? 意見として出すなら現状を領地で見たか報告を受けたのだろう?」
「……はい」
「お前の今の生活は、子供たちにご飯を食べさせてあげれないほど切迫しているのか? その指についている宝石は何だ? その指なら結婚指輪ということもあるまい。その宝石は子供たちへの支援より大事な物なのか? 形見か何かか?」
「……いえ」
「シカーソン……お前がスラムの子供たちを心配する懸念は正しい。だが、行動が伴っていない。それでは言葉に重みがなく軽んじられるだけだぞ」
正論を突きつけられたシカーソンは握りしめる拳の力が強くなり、侯爵家当主としてのプライドがそうさせたのか、皇帝であるケビンへと噛みついてしまう。
「そこまで言うなら陛下は、この帝都のスラムの子供たちを救っているのですか!」
「言葉が過ぎるぞ、シカーソン!」
「無礼であろう!」
シカーソンの言葉を聞いたクリューゲントとユソンボウチーが、ほぼ同時に叱責するとケビンはそれを手で制する。
「2人とも構わない。シカーソン、お前の疑問に答えてやる。俺にはちょっとしたきっかけで知り合った親子がいてな、ボロ屋に住んでいたんだ。もし、知り合わなかったら帝都にそんなボロ屋があるとは気づかなかったかも知れない」
「それがどうしたと言うのですか?」
「それから俺はスラムの一掃をしたわけだ。言っておくが住民のことではないぞ? 環境のことだ。1度建物を全て壊して新しく建て替えた。そして、そこへタダで住むことを条件に大人たちへの仕事を斡旋して、子供たちを飢えさせないように計らった。よってこの帝都にスラムは存在しないし、それから子供たちが食べ物を盗むことを止めた。これが手を差し伸べるということだ」
ケビンが既に帝都にあるスラムを救済していたと聞いて、シカーソンは言葉を返せずに沈黙してしまう。
「ちなみに国庫は使ってないぞ。全て俺の私財だ。ついでだから言っておくが、お前たちも私財を使ってスラムを無くせ。そうすれば犯罪率も減るし、余計な仕事もせずに済む。たかだか少し贅沢を我慢するだけで子供たちが救えるんだぞ? 善政を敷いていると胸を張りたいならそれくらいしてみせろ」
「陛下、もし働きたくない大人たちがいれば、如何様にすればよろしいでしょうか?」
ケビンの言葉に共感したクリューゲントが、起こりうるであろう事態を懸念して意見を求めると、ケビンはあっさりとした回答を返すのである。
「街から放りだすか奴隷にでもしろ」
「は……?」
スラムの住民たちを救えと言うケビンからは想像もできない言葉が飛び出してしまい、クリューゲントや他の貴族たちも目が点となる。
「子供たちは大人みたく働く力はないが、それでも摘んできた花を売ろうとする子だっていたんだ。働く力のある大人が働きたくないと言うなら、そいつはもうただの穀潰しだ。そんな奴にクリューゲントはお金を援助したいのか?」
「いえ、全く思いません」
「それでいい。俺たちは聖人君子じゃない。全ての人を救おうなんて考えはなくてもいいが、手を差し伸べた時にその手を掴む人だけは救ってやれ。ちなみに俺は働かない奴は奴隷として売ったぞ。その金は子供たちの支援金にした」
「子供たちに直接お金を渡したのですか?」
「いや、さっき言ってなかったがスラムの跡地に孤児院を作ったんだ。子供たちはそこで大人たちから見守られて生活をしている。だから孤児院の責任者へ支援金は渡した」
「孤児院ですか……」
「その方が子供たちを見守りやすいだろ? バラバラに生活させては何が起こるかわからないし、支援から漏れてしまう子供が出てくるかもしれない。お前たちだって日々の仕事があるんだから、毎日確認しに行くわけにもいかないだろ?」
「そうですね」
「それは大人たちにだって言えることだ。ひとまとめにしてしまえば、何かあったときに助け合いができるからな。俺のしたことは孤児院を作ったことと、孤児院の仕事をしたくない者には別の家を提供して働かせたことだ」
「ご助言感謝します」
「シカーソン、今の答えで満足したか?」
「はい、自身の行いを悔い改めます」
「少しずつ成長すればいい。お前のことだから父親を早く超えようと焦っているんだろ? 確かに周りの評価だとお前の父親は偉大だ。だが、お前はお前だろ? 自分のペースで大きくなって、その後に『あの人は偉大だった』と思われればいいんじゃないのか?」
ケビンからかけられた言葉を真摯に受け止めたシカーソンは、無理に父親の影を追い偉大になろうとはせずに、己のペースでできることから始めようと決意するのだった。
結局、犯罪の抑制は5回繰り返したところで、終身か死罪にすると取り決めて、1回目は1年、2回目は5年、3回目は15年、4回目は30年として、その途中で重犯罪を犯した場合は即刻終身犯罪奴隷か死罪とすることになった。
「次は差別だが……」
「陛下、差別とは色々ありますが具体的な案はおありですかな?」
幅広い差別について焦点を絞ろうとユソンボウチーがケビンへ尋ねると、思い悩んでいたケビンが口を開く。
「これも犯罪と同じで全てをなくすことはできない。だけど、人種差別をなくしていきたい」
「人種差別?」
「ああ、種族が違うってだけで差別するのは納得がいかない」
「難しい問題ではありますな」
「難しいのはわかってる。同じ人間同士で差別するくらいだ。別種族となったら当然差別する奴らがいるだろう」
「道のりは険しいですぞ?」
「心の内でどう思おうともそいつの勝手だが、表立って差別するのは許さないってだけだ」
「いささか難易度が落ちましたな。それならば表立って差別した者を処罰対象とすれば抑制できるやもしれません」
「そのようなことをすれば仕事が増えるだけだぞ?」
ユソンボウチーの言葉にクリューゲントが異を唱えるが、不敵な笑みを浮かべたユソンボウチーが口を開く。
「クリューゲント殿の領民は差別ばかりする者たちばかりなのか? それでは仕事が増えてしまうのも納得だな」
「そんなわけがなかろう!」
「では陛下のご意向に沿っても問題ないのでは?」
ここで反対してしまえば領民が差別主義だと認めているようなものなので、クリューゲントは苦虫を噛み潰したような顔で引き下がるのであった。
「これで差別の問題は解決ですな。残るは税についてですか……」
ユソンボウチーの発言に貴族たちは一層真剣味を増した表情をする。税収は領地を抱える貴族にとっては大事な収入源であるから、税をどうするのか気が気ではない。
「税についてだが、一律から変更して所得に応じたものとする」
「それでは民から受け取る税収が激減してしまいます」
ケビンの伝えた内容にすぐさま反応したのは下級貴族の1人であった。その発言に後へ続けと言わんばかりに賛同の声も挙がっていく。
「それに所得を偽る輩が必ず出てきます」
「それについては言い逃れができないようにする」
ケビンが伝えて【無限収納】から取り出したのは1つの魔導具であった。それは四角い台座になっており、何の変哲もない普通の見た目である。
「それは……?」
「これは簡単に言うと嘘発見器だ」
ケビンの言葉に室内はザワザワとし始めるが、ケビンはそれに構わずデモンストレーションを行うのであった。
「シカーソン、この台座に手を置いてくれ」
嘘発見器の実演とあってか、シカーソンは呼ばれてすぐにビクッと反応してしまい、特に悪いことをした訳でもないがビクビクとしていた。
「シカーソン殿、何も後ろめたいことがないのなら、そこに手を置くぐらいなんてことないのではないか?」
「くっ……自分が呼ばれなかったからって余裕だな」
クリューゲントの言葉に反論しながらも、シカーソンは台座に手を乗せてケビンの動向を窺う。
「簡単な質問をするから『はい』だけで答えてくれ」
「かしこまりました」
「シカーソンは女か?」
「はい」
するとシカーソンが手を置いている台座が赤く光り出すと、その光景を見た貴族たちはガヤガヤとし始める。
「シカーソンは男か?」
「はい」
次の質問に答えたシカーソンが手を置いている台座は、先程とは違って青く発光している。
「前皇帝のことは尊敬していたか?」
「……」
ケビンの質問にシカーソンは言葉に詰まってしまう。尊敬していたと知られてしまえば人格を疑われ、尊敬していなかったとわかれば逆臣の意向があったと判断されかねない。
答えにくい質問に対して言葉に詰まったシカーソンだったが、意を決して一言だけ口にするのであった。
「……はい」
その回答に台座は赤く発光して、シカーソンが前皇帝のことを尊敬していなかったことが明らかとなる。
他の貴族たちがその結果にガヤガヤとしだしたところで、ケビンがシカーソンへ声をかける。
「気にするな、シカーソン。むしろ赤くなって良かった。青かったらどうしようかと思ったぞ」
「ですが……」
「心配しなくともここにいる他の連中もお前と同じ考えだ。だからこそ、俺から粛清されないでここにいるわけだしな」
「ご配慮痛み入ります」
「とまぁ、対抗策としてはこんな感じだな」
ケビンはそう伝えると、魔導具を【無限収納】の中へとしまい込むのだった。
「それは古代の遺物ですかな?」
物珍しい魔導具にユソンボウチーがケビンに尋ねると、なんてことのない感じでケビンがそれに答える。
「俺が作った物だ」
「真ですかな?」
その質問にケビンは再び魔導具を【無限収納】から取り出して、手を置いてから回答するのだった。
そうすると魔導具は青く発光して、ケビンの言ったことは真実だと証明するが、当然出るであろう疑問にケビンが機先を制して告げるのである。
「俺が作った物だから俺の意図した通りに光らせているだけだと思うかもしれないが、信じるか信じないかはお前たち次第だ。で、これを各人に配布するから税の回収係に持たせて、民から税を受け取っていけばいい。ちなみにお前たちが国に納める税の時も使うからな? 脱税しようとは考えるなよ?」
「陛下、税収が下がる分はどうされるのですか?」
シカーソンが告げたご尤もな意見に対して、ケビンは自分の考えを語っていく。
「下がると言っても一時的にだろ? 将来的には安定した税収が見込める。一時的に欲を出して民から搾取すれば、生活できなくなった民は死ぬかその地を離れるかするだろ? そうなれば税収は下がったままだ。それに今までたんまりと稼いでいた富裕層から、ガッツリと税を回収することができるんだ。悪いことばかりじゃない」
「その富裕層がこの国を離れてしまったら?」
「そこまでして金が欲しいのか?」
「……いえ」
「まぁ、不安になるのは仕方ないが、領地からの税収が少ないってことは、領主が国に納める税も少なくなるんだ。それが所得に応じた税というものだから心配するな」
「わかりました」
「それでも今の贅沢な暮らしがしたいやつらは、私兵でも使って冒険者をやらせてろ。素材の買い取りは思ってる以上に旨みが大きいぞ。俺の私財もそうやって増やしてきたしな。まぁ、ほとんどはカジノで大儲けしたお陰だが」
「全く皇帝らしくない皇帝ですな。臣下に冒険者活動を進めるなど前代未聞ですぞ?」
笑いながら告げるユソンボウチーへ、ケビンも笑いながら答えるのであった。
「仕方ないだろ? 俺は現役の冒険者だぞ」
「国よりも冒険ですかな?」
「そこはちゃんとするさ。ただ、慣れてきたら冒険者活動が多くなるかもしれないけどな」
「国が傾きますぞ?」
「お前たちがいるのに傾くのか?」
暗に全幅の信頼と能力を買っていると告げているケビンに、その場にいる貴族たちは自信に満ち溢れた表情となるのである。
「陛下も人が悪い。そう言われてしまえば、我々としては国が傾かないように動くしかないですな」
「困ったことがあったら何でも相談してくれ。みんなでこの国を良くしていこう」
それからケビンは、政策の変更についての日時は戴冠式に合わせて行うこととして、それまでは準備に勤しむように指示を出していく。
こうして貴族会議が無事に終わることとなり、ケビンはライル国王へ報告に向かって、会議で決まったことを伝えるのであった。
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