249 / 661
第9章 三国動乱
第245話 その手に掴むは混乱と鉄球
しおりを挟む
ケビンたちはギルドを後にすると、ゾロゾロとドワンの店近くにある路地裏までやって来た。
「では、先輩」
「何だ? 後輩よ。もう俺がこれ以上驚くことはないぞ」
「それは良かったです。今からすることは口外禁止ですので、秘密にしておいて下さい」
「任せておけ。口外しないと約束する」
「それでは、行きます」
「どこ――」
ケビンは転移魔法を使うと、【K’sダンジョン 本店】のマスタールームへと移動した。
「――に……あれ? ここどこだ?」
「ダンジョンのマスタールームですよ」
「ん?」
「ダンジョン都市にあるダンジョンの、最下層を超えた先の部屋です」
「……」
未だ理解が追いつかないのか、狐につままれた表情を浮かべてターナボッタは立ち尽くしていたが、ケビンは気にせずに作業を開始する。
「コア、久しぶり」
〈お久しぶりです。マスター〉
「現在の進行状況はどうなっている?」
〈本店・2号店ともに最深到達階層は85階層で、【鮮血の傭兵団】が記録しています〉
「4年も経つのに全く攻略が終わってないな……何故だ?」
〈あまりにも冒険者たちがサクサク進んでは攻略してしまい、このままではすぐに終わってしまうと判断して難易度の変更を行いました。マスターの設定した難易度は冒険者たちへの安全マージンがあり過ぎて、比較的簡単・安全に攻略できるダンジョンだったので将来的に客足が激減してしまいそうでした〉
「そんなに簡単だったか? 結構難しくしたつもりだったんだがな」
〈すぐに補給へと戻れる5階層ごとの転移魔法陣が難易度を下げています。あとはセーフティゾーンが各階層にあるため、休息しやすく疲れが溜まりにくくなっていることも起因します。冒険者たちの中にはそこで寝泊まりする者もいるぐらいです〉
「イージー過ぎたってことか。それらは撤去したのか?」
〈いえ、できるだけマスターの意志を尊重したまま変更を行いましたので、それらは残してあります〉
「じゃあ、トラップの変更や魔物を強くしたのか?」
〈はい。トラップは致死性のないものをいやらしい配置に変更して、魔物は種類をそのままでステータスを強くして、特殊攻撃や連携をするなどの亜種を量産しました〉
「つまり、予想だにしないトラップがあったり、魔物は人間みたいに考えて行動するわけか……」
〈それにより魔物の強さが上がるにつれて攻略スピードが落ち、【鮮血の傭兵団】はレアボスがドロップするレア武具を団員たちへ装備させようとして、手に入れるために各ボス部屋の周回を延々としています〉
「装備を買って整えた方が早いだろ……何考えてんだ?」
〈ダンジョン内で記録されている会話には、団長が『戦闘を繰り返すことによって俺たちの強さも上がり、その内レア装備も手に入る……まさに一石二鳥だ』と、言っていました〉
「……馬鹿か?」
ケビンの言葉にニーナがボソッと呟く。
「【脳筋の傭兵団】」
「マ……マッスル……ヘッド……ぷっ……はははははっ! ちょっ……ふっ……ニーナ……ふふっ……笑わせ……ぷぷぷっ……ないで……ぷっははははは!」
ニーナの呟いた言葉がツボにハマったのか、ティナは腹を抱えて大笑いしているのだった。
「もしくは【鮮血の脳筋団】」
「ふひっ! ふひひひひっ! し……死ぬ……お腹痛い……ぷぷっ……もうムリィ……ふっ……ふふっ……はははははっ!」
「ティナは幸せだね!」
笑い続けているティナにクリスが感想をこぼしていると、立ち尽くしていたターナボッタがティナの大笑いで再起動した。
「なぁ、後輩よ……」
「何ですか? 先輩」
「……どういうことだよこれはぁぁぁぁっ!」
結局理解が追いついていなかったターナボッタは、ケビンに向かって叫ぶことしかできなかったのであった。
「何でダンジョンなんかにいる!? どこのダンジョン都市だ!? さっきまで交易都市にいただろ! それに誰かの声がしたぞ! 幽霊がいるのか!?」
「落ちついて下さいよ、先輩。1つずつ説明しますので」
「はぁ……はぁ……はぁ……わかった、説明しろ」
「まず、ここはアリシテア王国のダンジョン都市、ウシュウキュの街です。ここには転移魔法でやって来ました。知らない声がするのはそこにあるコアが喋っているからです」
「無理だ……理解が追いつかねぇ……」
「わからないことは諦めましょう」
「それが1番良さそうだな……」
ターナボッタは自分の理解の範疇を超えたケビンの説明に、諦めるという選択肢を取って納得するのである。
「ということで、ここで先輩には修行してもらいます」
「ダンジョン攻略をするのか?」
「それは考えていませんでしたが、したいですか?」
「少しは興味がある。ここでしか手に入らない素材とかあるんだろ?」
「ありますね」
「魔導具に使ったり、ドワンさんへのお土産になる」
「では、訓練内容を変更して、先輩にはダンジョンを最初から攻略してもらいます」
「ありがとな」
ターナボッタは思わぬところでダンジョン攻略ができることとなり、期待に胸を膨らませるが、そんなターナボッタにティナが心配して声をかける。
「ターナボッタ君、止めておいた方がいいよ」
「俺が弱いからですか?」
「違うわよ。貴方の強さは親善試合で見てるもの」
「では、何故?」
「ケビン君って攻略になるとスパルタだよ」
「……へ?」
「私とニーナともう1人の3人で、当時は70階層までを短期間で攻略させたから。命に危険がない限り絶対に手を出さないのよ」
「……なぁ、後輩よ……」
「何ですか? 先輩」
「攻略は次の機会にしようか? とりあえずはランク上げが優先だよな?」
「ドワンさんへのお土産、いっぱい手に入るから良かったですね」
「……」
ダンジョンが攻略できるというターナボッタのウキウキとした気分はどこへやら……
今ではその面影はなく何かを諦めてしまったかのような、そんな表情を浮かべてこれから始まるであろうスパルタに思いを馳せるのであった。
「俺はそこまで鬼じゃないから大丈夫ですよ」
「……経験者が物語っているんだが……」
「ティナさんたちの時も適度にサポートはしてましたから」
「……本当か? 信じていいのか?」
「大船に乗ったつもりでいてください」
「……」
淡々と語るケビンに一抹の不安を感じながら、ターナボッタは無理やり納得するのである。
「それじゃあ、ダンジョン攻略へシフト変更になったからパーティーを組もう。さすがに先輩1人だけでは無理があるから」
「おぉ、さすが後輩! 俺は信じていたぞ!」
ターナボッタは1人で放り出されないことに感激して、調子よくケビンに言葉をかけるのであった。
「前衛は先輩とクリスさん、中衛にティナさん、後衛にニーナさんとララでいこう」
「ケビン君、クリスとララは武器が出来上がってないよ?」
「以前使ってたものをそのまま使ってもらう」
「後輩は後ろからついてくるのか?」
「いや、俺はここでコアと観察してますよ」
「え? 死にそうになったらどうするんだ?」
「ティナさんたちがいるから深層に入るまでは死ぬことはまずないですね。しかも今回はパーティー始まって以来の回復支援専門がいますから、怪我したところで問題ないですよ」
「怪我を負うことが前提なのか? 不安しかないぞ……」
こうして、ターナボッタのダンジョン攻略が幕を上げた。ケビンを残した他のメンバーはダンジョンの外へと出てから攻略を始めるのであった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ターナボッタのダンジョン攻略が始まって2週間。彼は今日もダンジョンの中を走り回る。
「どうなってんだよっ! このダンジョンはぁぁぁぁっ!」
「知らないわよ! ダンジョンを管理してるのはケビン君かコアなんだから!」
「楽しいねー」
彼らは今、クリスがうっかり(確信犯)作動させたトラップから逃げている最中であった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
時は遡り、本日もダンジョン攻略に勤しむため、ターナボッタは張り切っていた。
まだ浅層であるためか、ターナボッタのダンジョン攻略はつまずくことなく進んでいた。
それ故に、危機感もなくサクサクと攻略を進めていたのだった。ターナボッタは余裕からか気持ちは先へと進み、そのことを口にする。
「このまま行けば中層まであっという間ですね」
「そうね、ケビン君が設計したのをコアが弄ってたけど、浅層は難易度を変えていないみたい」
「初心者に優しい設計」
「暇だよぉ」
ティナたちにとってあまりにも難易度が低いためか、苦労することなく下層へと突き進む。
やがて、中層にまで至るとようやく敵の強さに変化が生じてきた。
「クリス! あまり先走らないで! ターナボッタ君の訓練にならないわ」
「えぇー」
「クリス、ケビン君が見てる」
「うぅ……」
さすがのクリスもケビンの名前を出されては、ティナの指示に従わざるを得なかった。
そのような中でも、ターナボッタは自分にできる役割を果たしていた。できる限り敵を引きつけ、後衛にヘイトが向かないような立ち回りを見せている。
そして戦闘が終わると、当然先走ったクリスのせいで反省会を開くこととなる。
「ふぅ……もう、クリス! 遊びたいのはわかるけど連携を崩したらダメよ」
「だって……ターナボッタ君、遅いんだもん」
「くっ……」
「しょうがないでしょ。研究ばかりしてて体力がないから鍛え上げきれていないのよ」
「うっ……」
「ケビン君は魔導具に没頭してても鍛錬はしてたよ。遊んでくれることがあったもん」
「え……」
「ケビン君はダラダラしているようで、こっそり努力するタイプなの。ターナボッタ君は研究が全てで、先を見ない行き当たりばったりなのよ」
「先輩なのにダメダメだねぇ」
「ぐはっ……」
「ティナ、クリス」
「「なに?」」
「ターナボッタ君のライフがゼロ」
ニーナの指さす方向には、両手を地面について打ちひしがれているターナボッタの姿があった。
「「あ……」」
「ターナボッタさん、まだまだこれからですよ」
ララが優しく声をかけるも、ターナボッタには効果が薄いようだ。図星をいくつもその身に受け、ちょっとやそっとじゃ傷口が塞がりそうにない。
「ま、まぁ、これから頑張ればいいのよ。そのための訓練なんだし」
「まだまだ若いからいけるよ」
ティナとクリスがフォローを入れるが、あまり気休めにもならずフラフラとターナボッタは立ち上がる。
「さぁ、先に進みましょう」
そう口にしたターナボッタが壁に手をついた瞬間、ガコンッとその部分がへこむ。
「「「あ……」」」
「……」
「え……?」
恐る恐るターナボッタが自分の手先を見ると、壁の一部分が奥へとへこんでいて、それが何を意味するのかはさすがのターナボッタでも理解していた。
やがて、地響きのような音が耳に届き始めて、天井からはパラパラと粉塵が降ってくる。
「何か聞こえるわね」
「嫌な予感」
「何だろうね」
「あちらからですね」
ララが指をさした通路にティナが魔導ライトを向けると、奥の方から大きな鉄球が転がってきていた。
「「……」」
「凄い転がってるね」
「止まりそうにないです」
その光景にティナとニーナは言葉を失い、クリスは呑気に感想を述べて、ララは冷静に分析している。
「あれ……ヤバイんじゃ……」
トラップを発動させたターナボッタがボソッと呟くと、正気に戻ったティナが大声を上げる。
「何やってんのよ、あんたはぁぁぁぁっ!」
「ティナ、逃げる」
「走るわよ、みんなはぐれないようにね! 特にターナボッタ! あんたは死ぬ気で走りなさい!」
「は、はいっ!」
ティナの怒涛の剣幕に押されて、ターナボッタはピシッと直立不動で返事を返すのであった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
――マスタールーム
ここではケビンがダンジョン内の様子をコアに映し出してもらい、リアルタイムでターナボッタたちの様子を眺めていた。
テーブルとソファを出しては飲み物を口にしながらくつろぎ、気分は映画鑑賞である。
手元にはダンジョンを直接いじるためにコアを抱きかかえて魔力を送りつつ、モニター操作をしながらリアルタイムでターナボッタへ試練を課している。
〈マスター、他の冒険者たちは大丈夫なのですか?〉
「あぁ、そうならないように一時的だが通路を塞いで鉢合わせしないようにしている」
〈壁に手を置いた瞬間にトラップを発動させるなんて、かなり手が込んでいますね〉
「そうしないとティナさんとかがトラップを見つけてしまうからね」
〈これは意味があるのですか?〉
「先輩の体力をつけるためだよ。卒業してから体が鈍っているからね。魔法剣士を目指しているのに鍛錬をサボるからこうなる」
〈基礎体力の向上ですか?〉
「ステータスでカバーできるとしても、何もしない人とする人では差が出てしまうからね」
〈ステータスでは測れない部分を鍛えるわけですね〉
画面上では未だに鉄球から逃げ続けているメンバーの姿が映し出されていたのであった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ケビンの仕業とは露ほども知らず、ようやく鉄球から逃れられたメンバーたちが肩で息をしていた。
ターナボッタは力尽きたのか地面で寝転がっている。
「迂闊にトラップを発動させるんじゃないわよ」
「ぜぇぜぇ……」
何か言いたくても呼吸を整える方が優先で、ターナボッタは上手く口にできない。
「とりあえず、一旦休憩よ。今のうちに呼吸を整えておいて」
「久しぶりに全力で走った」
「楽しかったね」
「体が鈍っていたようです」
「……」
それからもメンバーたちは魔物との戦闘を繰り広げながら、階層を着実に攻略していくのであった。
そして次の日もそのまた次の日も、誰かしら鉄球のトラップを発動させてしまい、ひたすら走って逃げるということを繰り返していた。
「絶対何かがおかしい……」
「トラップがあるのは必然」
「いえ、元々あるなら私が気づかないはずないわ」
「コアはいやらしい配置にしたと言っていた」
「……探知できないトラップでしょうか?」
「そんなトラップは今まで聞いたこともないわ。そんなものがあったら危険すぎるわよ」
「今日はだれが引くのかなぁ?」
「今日も走るのか……」
結局この日も鉄球に追われて、ダンジョン内を走り回ることになってしまったのである。
明らかにおかしいトラップの発動を怪訝に思ったティナはケビンに問い詰めたが、「コアのしている事だからわからない」と返されてしまうのだった。実際はケビンが意図して行っているにも関わらず。
そして話は2週間後へと戻る。
パーティーが中層に至ってからは、走っていない日はないくらい走らされていた。
そして今日、トラップを引く係は故意的にクリスが担う。ケビンは何となくで発動させていたが、トラップの発動場所・発動時期を密かに分析していたクリスは、ケビンも気づいていない癖を見抜いて見事それを引き当てるのだった。
――ガコンッ
「え……?」
「まさか……」
「ここでですか……」
「嘘だろ……」
――ゴロゴロゴロゴロ……
「どうなってんだよっ! このダンジョンはぁぁぁぁっ!」
「知らないわよ! ダンジョンを管理しているのはケビン君かコアなんだから!」
「楽しいねー」
狙い通り発動することができたクリスは楽しく走り、それ以外の者は必死に走り続けている。
「クリス! あんた、わざとじゃないでしょうね!」
「わざとできるわけないじゃーん」
「正論」
「遊びのためならやりそうなのよ!」
「賛同」
「どっちにしても逃げ切ってからですよ」
「き……きつい……」
「ターナボッタ! 諦めたらペチャンコよ!」
ティナたちが鉄球トラップから解放される日は果たして来るのだろうか?
それはケビンのみぞ知ることである。
「では、先輩」
「何だ? 後輩よ。もう俺がこれ以上驚くことはないぞ」
「それは良かったです。今からすることは口外禁止ですので、秘密にしておいて下さい」
「任せておけ。口外しないと約束する」
「それでは、行きます」
「どこ――」
ケビンは転移魔法を使うと、【K’sダンジョン 本店】のマスタールームへと移動した。
「――に……あれ? ここどこだ?」
「ダンジョンのマスタールームですよ」
「ん?」
「ダンジョン都市にあるダンジョンの、最下層を超えた先の部屋です」
「……」
未だ理解が追いつかないのか、狐につままれた表情を浮かべてターナボッタは立ち尽くしていたが、ケビンは気にせずに作業を開始する。
「コア、久しぶり」
〈お久しぶりです。マスター〉
「現在の進行状況はどうなっている?」
〈本店・2号店ともに最深到達階層は85階層で、【鮮血の傭兵団】が記録しています〉
「4年も経つのに全く攻略が終わってないな……何故だ?」
〈あまりにも冒険者たちがサクサク進んでは攻略してしまい、このままではすぐに終わってしまうと判断して難易度の変更を行いました。マスターの設定した難易度は冒険者たちへの安全マージンがあり過ぎて、比較的簡単・安全に攻略できるダンジョンだったので将来的に客足が激減してしまいそうでした〉
「そんなに簡単だったか? 結構難しくしたつもりだったんだがな」
〈すぐに補給へと戻れる5階層ごとの転移魔法陣が難易度を下げています。あとはセーフティゾーンが各階層にあるため、休息しやすく疲れが溜まりにくくなっていることも起因します。冒険者たちの中にはそこで寝泊まりする者もいるぐらいです〉
「イージー過ぎたってことか。それらは撤去したのか?」
〈いえ、できるだけマスターの意志を尊重したまま変更を行いましたので、それらは残してあります〉
「じゃあ、トラップの変更や魔物を強くしたのか?」
〈はい。トラップは致死性のないものをいやらしい配置に変更して、魔物は種類をそのままでステータスを強くして、特殊攻撃や連携をするなどの亜種を量産しました〉
「つまり、予想だにしないトラップがあったり、魔物は人間みたいに考えて行動するわけか……」
〈それにより魔物の強さが上がるにつれて攻略スピードが落ち、【鮮血の傭兵団】はレアボスがドロップするレア武具を団員たちへ装備させようとして、手に入れるために各ボス部屋の周回を延々としています〉
「装備を買って整えた方が早いだろ……何考えてんだ?」
〈ダンジョン内で記録されている会話には、団長が『戦闘を繰り返すことによって俺たちの強さも上がり、その内レア装備も手に入る……まさに一石二鳥だ』と、言っていました〉
「……馬鹿か?」
ケビンの言葉にニーナがボソッと呟く。
「【脳筋の傭兵団】」
「マ……マッスル……ヘッド……ぷっ……はははははっ! ちょっ……ふっ……ニーナ……ふふっ……笑わせ……ぷぷぷっ……ないで……ぷっははははは!」
ニーナの呟いた言葉がツボにハマったのか、ティナは腹を抱えて大笑いしているのだった。
「もしくは【鮮血の脳筋団】」
「ふひっ! ふひひひひっ! し……死ぬ……お腹痛い……ぷぷっ……もうムリィ……ふっ……ふふっ……はははははっ!」
「ティナは幸せだね!」
笑い続けているティナにクリスが感想をこぼしていると、立ち尽くしていたターナボッタがティナの大笑いで再起動した。
「なぁ、後輩よ……」
「何ですか? 先輩」
「……どういうことだよこれはぁぁぁぁっ!」
結局理解が追いついていなかったターナボッタは、ケビンに向かって叫ぶことしかできなかったのであった。
「何でダンジョンなんかにいる!? どこのダンジョン都市だ!? さっきまで交易都市にいただろ! それに誰かの声がしたぞ! 幽霊がいるのか!?」
「落ちついて下さいよ、先輩。1つずつ説明しますので」
「はぁ……はぁ……はぁ……わかった、説明しろ」
「まず、ここはアリシテア王国のダンジョン都市、ウシュウキュの街です。ここには転移魔法でやって来ました。知らない声がするのはそこにあるコアが喋っているからです」
「無理だ……理解が追いつかねぇ……」
「わからないことは諦めましょう」
「それが1番良さそうだな……」
ターナボッタは自分の理解の範疇を超えたケビンの説明に、諦めるという選択肢を取って納得するのである。
「ということで、ここで先輩には修行してもらいます」
「ダンジョン攻略をするのか?」
「それは考えていませんでしたが、したいですか?」
「少しは興味がある。ここでしか手に入らない素材とかあるんだろ?」
「ありますね」
「魔導具に使ったり、ドワンさんへのお土産になる」
「では、訓練内容を変更して、先輩にはダンジョンを最初から攻略してもらいます」
「ありがとな」
ターナボッタは思わぬところでダンジョン攻略ができることとなり、期待に胸を膨らませるが、そんなターナボッタにティナが心配して声をかける。
「ターナボッタ君、止めておいた方がいいよ」
「俺が弱いからですか?」
「違うわよ。貴方の強さは親善試合で見てるもの」
「では、何故?」
「ケビン君って攻略になるとスパルタだよ」
「……へ?」
「私とニーナともう1人の3人で、当時は70階層までを短期間で攻略させたから。命に危険がない限り絶対に手を出さないのよ」
「……なぁ、後輩よ……」
「何ですか? 先輩」
「攻略は次の機会にしようか? とりあえずはランク上げが優先だよな?」
「ドワンさんへのお土産、いっぱい手に入るから良かったですね」
「……」
ダンジョンが攻略できるというターナボッタのウキウキとした気分はどこへやら……
今ではその面影はなく何かを諦めてしまったかのような、そんな表情を浮かべてこれから始まるであろうスパルタに思いを馳せるのであった。
「俺はそこまで鬼じゃないから大丈夫ですよ」
「……経験者が物語っているんだが……」
「ティナさんたちの時も適度にサポートはしてましたから」
「……本当か? 信じていいのか?」
「大船に乗ったつもりでいてください」
「……」
淡々と語るケビンに一抹の不安を感じながら、ターナボッタは無理やり納得するのである。
「それじゃあ、ダンジョン攻略へシフト変更になったからパーティーを組もう。さすがに先輩1人だけでは無理があるから」
「おぉ、さすが後輩! 俺は信じていたぞ!」
ターナボッタは1人で放り出されないことに感激して、調子よくケビンに言葉をかけるのであった。
「前衛は先輩とクリスさん、中衛にティナさん、後衛にニーナさんとララでいこう」
「ケビン君、クリスとララは武器が出来上がってないよ?」
「以前使ってたものをそのまま使ってもらう」
「後輩は後ろからついてくるのか?」
「いや、俺はここでコアと観察してますよ」
「え? 死にそうになったらどうするんだ?」
「ティナさんたちがいるから深層に入るまでは死ぬことはまずないですね。しかも今回はパーティー始まって以来の回復支援専門がいますから、怪我したところで問題ないですよ」
「怪我を負うことが前提なのか? 不安しかないぞ……」
こうして、ターナボッタのダンジョン攻略が幕を上げた。ケビンを残した他のメンバーはダンジョンの外へと出てから攻略を始めるのであった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ターナボッタのダンジョン攻略が始まって2週間。彼は今日もダンジョンの中を走り回る。
「どうなってんだよっ! このダンジョンはぁぁぁぁっ!」
「知らないわよ! ダンジョンを管理してるのはケビン君かコアなんだから!」
「楽しいねー」
彼らは今、クリスがうっかり(確信犯)作動させたトラップから逃げている最中であった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
時は遡り、本日もダンジョン攻略に勤しむため、ターナボッタは張り切っていた。
まだ浅層であるためか、ターナボッタのダンジョン攻略はつまずくことなく進んでいた。
それ故に、危機感もなくサクサクと攻略を進めていたのだった。ターナボッタは余裕からか気持ちは先へと進み、そのことを口にする。
「このまま行けば中層まであっという間ですね」
「そうね、ケビン君が設計したのをコアが弄ってたけど、浅層は難易度を変えていないみたい」
「初心者に優しい設計」
「暇だよぉ」
ティナたちにとってあまりにも難易度が低いためか、苦労することなく下層へと突き進む。
やがて、中層にまで至るとようやく敵の強さに変化が生じてきた。
「クリス! あまり先走らないで! ターナボッタ君の訓練にならないわ」
「えぇー」
「クリス、ケビン君が見てる」
「うぅ……」
さすがのクリスもケビンの名前を出されては、ティナの指示に従わざるを得なかった。
そのような中でも、ターナボッタは自分にできる役割を果たしていた。できる限り敵を引きつけ、後衛にヘイトが向かないような立ち回りを見せている。
そして戦闘が終わると、当然先走ったクリスのせいで反省会を開くこととなる。
「ふぅ……もう、クリス! 遊びたいのはわかるけど連携を崩したらダメよ」
「だって……ターナボッタ君、遅いんだもん」
「くっ……」
「しょうがないでしょ。研究ばかりしてて体力がないから鍛え上げきれていないのよ」
「うっ……」
「ケビン君は魔導具に没頭してても鍛錬はしてたよ。遊んでくれることがあったもん」
「え……」
「ケビン君はダラダラしているようで、こっそり努力するタイプなの。ターナボッタ君は研究が全てで、先を見ない行き当たりばったりなのよ」
「先輩なのにダメダメだねぇ」
「ぐはっ……」
「ティナ、クリス」
「「なに?」」
「ターナボッタ君のライフがゼロ」
ニーナの指さす方向には、両手を地面について打ちひしがれているターナボッタの姿があった。
「「あ……」」
「ターナボッタさん、まだまだこれからですよ」
ララが優しく声をかけるも、ターナボッタには効果が薄いようだ。図星をいくつもその身に受け、ちょっとやそっとじゃ傷口が塞がりそうにない。
「ま、まぁ、これから頑張ればいいのよ。そのための訓練なんだし」
「まだまだ若いからいけるよ」
ティナとクリスがフォローを入れるが、あまり気休めにもならずフラフラとターナボッタは立ち上がる。
「さぁ、先に進みましょう」
そう口にしたターナボッタが壁に手をついた瞬間、ガコンッとその部分がへこむ。
「「「あ……」」」
「……」
「え……?」
恐る恐るターナボッタが自分の手先を見ると、壁の一部分が奥へとへこんでいて、それが何を意味するのかはさすがのターナボッタでも理解していた。
やがて、地響きのような音が耳に届き始めて、天井からはパラパラと粉塵が降ってくる。
「何か聞こえるわね」
「嫌な予感」
「何だろうね」
「あちらからですね」
ララが指をさした通路にティナが魔導ライトを向けると、奥の方から大きな鉄球が転がってきていた。
「「……」」
「凄い転がってるね」
「止まりそうにないです」
その光景にティナとニーナは言葉を失い、クリスは呑気に感想を述べて、ララは冷静に分析している。
「あれ……ヤバイんじゃ……」
トラップを発動させたターナボッタがボソッと呟くと、正気に戻ったティナが大声を上げる。
「何やってんのよ、あんたはぁぁぁぁっ!」
「ティナ、逃げる」
「走るわよ、みんなはぐれないようにね! 特にターナボッタ! あんたは死ぬ気で走りなさい!」
「は、はいっ!」
ティナの怒涛の剣幕に押されて、ターナボッタはピシッと直立不動で返事を返すのであった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
――マスタールーム
ここではケビンがダンジョン内の様子をコアに映し出してもらい、リアルタイムでターナボッタたちの様子を眺めていた。
テーブルとソファを出しては飲み物を口にしながらくつろぎ、気分は映画鑑賞である。
手元にはダンジョンを直接いじるためにコアを抱きかかえて魔力を送りつつ、モニター操作をしながらリアルタイムでターナボッタへ試練を課している。
〈マスター、他の冒険者たちは大丈夫なのですか?〉
「あぁ、そうならないように一時的だが通路を塞いで鉢合わせしないようにしている」
〈壁に手を置いた瞬間にトラップを発動させるなんて、かなり手が込んでいますね〉
「そうしないとティナさんとかがトラップを見つけてしまうからね」
〈これは意味があるのですか?〉
「先輩の体力をつけるためだよ。卒業してから体が鈍っているからね。魔法剣士を目指しているのに鍛錬をサボるからこうなる」
〈基礎体力の向上ですか?〉
「ステータスでカバーできるとしても、何もしない人とする人では差が出てしまうからね」
〈ステータスでは測れない部分を鍛えるわけですね〉
画面上では未だに鉄球から逃げ続けているメンバーの姿が映し出されていたのであった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ケビンの仕業とは露ほども知らず、ようやく鉄球から逃れられたメンバーたちが肩で息をしていた。
ターナボッタは力尽きたのか地面で寝転がっている。
「迂闊にトラップを発動させるんじゃないわよ」
「ぜぇぜぇ……」
何か言いたくても呼吸を整える方が優先で、ターナボッタは上手く口にできない。
「とりあえず、一旦休憩よ。今のうちに呼吸を整えておいて」
「久しぶりに全力で走った」
「楽しかったね」
「体が鈍っていたようです」
「……」
それからもメンバーたちは魔物との戦闘を繰り広げながら、階層を着実に攻略していくのであった。
そして次の日もそのまた次の日も、誰かしら鉄球のトラップを発動させてしまい、ひたすら走って逃げるということを繰り返していた。
「絶対何かがおかしい……」
「トラップがあるのは必然」
「いえ、元々あるなら私が気づかないはずないわ」
「コアはいやらしい配置にしたと言っていた」
「……探知できないトラップでしょうか?」
「そんなトラップは今まで聞いたこともないわ。そんなものがあったら危険すぎるわよ」
「今日はだれが引くのかなぁ?」
「今日も走るのか……」
結局この日も鉄球に追われて、ダンジョン内を走り回ることになってしまったのである。
明らかにおかしいトラップの発動を怪訝に思ったティナはケビンに問い詰めたが、「コアのしている事だからわからない」と返されてしまうのだった。実際はケビンが意図して行っているにも関わらず。
そして話は2週間後へと戻る。
パーティーが中層に至ってからは、走っていない日はないくらい走らされていた。
そして今日、トラップを引く係は故意的にクリスが担う。ケビンは何となくで発動させていたが、トラップの発動場所・発動時期を密かに分析していたクリスは、ケビンも気づいていない癖を見抜いて見事それを引き当てるのだった。
――ガコンッ
「え……?」
「まさか……」
「ここでですか……」
「嘘だろ……」
――ゴロゴロゴロゴロ……
「どうなってんだよっ! このダンジョンはぁぁぁぁっ!」
「知らないわよ! ダンジョンを管理しているのはケビン君かコアなんだから!」
「楽しいねー」
狙い通り発動することができたクリスは楽しく走り、それ以外の者は必死に走り続けている。
「クリス! あんた、わざとじゃないでしょうね!」
「わざとできるわけないじゃーん」
「正論」
「遊びのためならやりそうなのよ!」
「賛同」
「どっちにしても逃げ切ってからですよ」
「き……きつい……」
「ターナボッタ! 諦めたらペチャンコよ!」
ティナたちが鉄球トラップから解放される日は果たして来るのだろうか?
それはケビンのみぞ知ることである。
3
お気に入りに追加
5,261
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。 え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし
水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑
★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位!
★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント)
「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」
『醜い豚』
『最低のゴミクズ』
『無能の恥晒し』
18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。
優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。
魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。
ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。
プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。
そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。
ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。
「主人公は俺なのに……」
「うん。キミが主人公だ」
「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」
「理不尽すぎません?」
原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。
※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
二度目の異世界に来たのは最強の騎士〜吸血鬼の俺はこの世界で眷族(ハーレム)を増やす〜
北条氏成
ファンタジー
一度目の世界を救って、二度目の異世界にやってきた主人公は全能力を引き継いで吸血鬼へと転生した。
この物語は魔王によって人間との混血のハーフと呼ばれる者達が能力を失った世界で、最強種の吸血鬼が眷族を増やす少しエッチな小説です。
※物語上、日常で消費する魔力の補給が必要になる為、『魔力の補給(少しエッチな)』話を挟みます。嫌な方は飛ばしても問題はないかと思いますので更新をお待ち下さい。※
カクヨムで3日で修正という無理難題を突き付けられたので、今後は切り替えてこちらで投稿していきます!カクヨムで読んで頂いてくれていた読者の方々には大変申し訳ありません!!
*毎日投稿実施中!投稿時間は夜11時~12時頃です。*
※本作は眷族の儀式と魔力の補給というストーリー上で不可欠な要素が発生します。性描写が苦手な方は注意(魔力の補給が含まれます)を読まないで下さい。また、ギリギリを攻めている為、BAN対策で必然的に同じ描写が多くなります。描写が単調だよ? 足りないよ?という場合は想像力で補って下さい。できる限り毎日更新する為、話数を切って千文字程度で更新します。※
表紙はAIで作成しました。ヒロインのリアラのイメージです。ちょっと過激な感じなので、運営から言われたら消します!
金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!
夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!!
国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。
幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。
彼はもう限界だったのだ。
「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」
そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。
その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。
その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。
かのように思われた。
「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」
勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。
本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!!
基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。
異世界版の光源氏のようなストーリーです!
……やっぱりちょっと違います笑
また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)
死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?
わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。
ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。
しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。
他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。
本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。
贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。
そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。
家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる