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第7章 ダンジョン都市
第180話 家具購入
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40階層のボス戦で疲弊したティナたちが回復するのを待つため、ケビンはボス部屋でそのまま休憩を取ることにした。
ボス部屋は、中に人がいる状態では入口の扉は開かず、ボス自体もリポップしないという、ある意味休息に持ってこいの安全地帯であった。ただし、ボスを倒した場合に限るが。
「今日はここまでにしておこうか」
ティナたちの体力面も然る事乍らメンタル面も気にしていたケビンは、未だ目覚めることのないルルもいることで、これ以上の攻略を止めて引き返す選択をしたのだった。
「ケビン君……さっきはありがとう」
「気にすることはないよ。敵を2体残した俺にも責任はあるし」
「ティナ、さっきはごめん。ルルのことで気が動転して、上手くフォローができなかった」
「仕方ないわよ。あんなことは初めてだったんだし……」
ティナは先程死にかけたことを引きずっており、どこか元気をなくしていた。
冒険者である以上、魔物と戦う時は常に死と隣り合わせだが、今回のようにすぐそこまで死が差し迫ってきたことは、今まで経験したことがなかったのだ。
今回はケビンによって助けられたが、ケビンがいなければ確実に死んでいただろうことが、容易に想像できた。
そんなティナの気持ちがわかっているのか、ケビンは優しくティナの手を握っていた。その手は小刻みに震えており、未だ死の恐怖を感じているようであった。
そんな時、横たわっていたルルに変化が生じる。
「ぅ……ん……あれ……ここは……?」
「ルル、目が覚めた? どこか痛いところはない?」
「ケビン様? ……私……確か……攻撃を受けて……」
ルルの頭がハッキリしてきたところで、ケビンはことの顛末を説明しだした。
ルルは説明が進むにつれて青ざめていき、自分の不注意のせいでティナが死にかけたということで、ティナに向かってひっきりなしに謝っていた。
ティナはそんなルルに「自分も不注意だから同類よ」と、困った感じの笑顔であまり気にしないように優しく声をかけた。
ルルも目覚めたことで今日の攻略はここまでとして、ケビンはティナの手を握ったまま転移魔法陣へと向かい、ニーナとルルもケビンの後に続きダンジョンから外へと出た。
ダンジョン外へと戻ってきたケビンは、予定よりも時間が早かったこともあり、落ち込んでる3人の気分転換も兼ねて、模様替えという名のメンタルケアのため家具の購入に向かう。
家具屋については予めマヒナに聞いていたので、目的地へ迷うことなく来ることができた。
中へ入ると店内は広々としており、多種多様な家具が揃えてあって、さすが都市一と謳っているだけのことはある。
デザインは3人に任せることにして、ケビンは女性陣が気の済むまで気長に待つことにした。
「ねぇケビン君、今あるテーブルと合わせなくてもいいよね? むしろ、あれを使わずに新しく増やしていい?」
「いいよ。自分たちが気に入るように、好きに選んでくれて構わないよ」
やはり、買い物というものが功を奏して、ティナを筆頭にみんな落ち込んでた雰囲気がどこかへ行ったようである。
今は3人で楽しく会話しながら、あーでもないこーでもないと、意見交換をしながらテーブルを選んでいる。
「ケビン君、ケビン君!」
「今度はどうしたの?」
「ソファを使って食べるようなテーブルじゃなくてもいいよね? 下は絨毯だから直座りにすれば、結構自由に座れてテーブルも形に拘らなくて済みそうだし」
「いいよ。ソファはどうするの?」
「あれだけリビングが広いんだから、くつろぎ用のスペースを別に作ろうかって話になったの。備え付けのキッチンがあるんだし、その近くにテーブルを集めて、別の空いたところにソファと小さいテーブルを何個か置く予定なの」
「家具の配置をガラッと変更するんだね。模様替えのつもりで来たんだし、好きにレイアウトしていいよ。俺には配置のこだわりとかないし、ゴロゴロできるソファがあれば満足かな」
「わかったわ! テーブルが決まったら、ケビン君がゴロゴロ出来るようなソファを選んであげるね」
「よろしく頼むよ」
結局、テーブルは六角形の物を選んで、それとは別でソファ用にドリンク等が置けるくらいの、邪魔にならない程度の物を購入した。
ソファは色々なレイアウトを楽しむために、コーナーカウチと1Pソファを組み合わせたもので、俺の要望を叶えて幅広のオットマンまで付けてある。何やら特別製らしい……
オットマンはこの幅広さがあれば、多少の寝返りでも落ちることはないだろう。むしろベッド位の広さはあるんではなかろうか? 特別製と言うのはそういうことか?
必然的に俺専用となるであろうオットマンは端に置いて、そこから組み合わせていき、ソファを並べていくみたいだ。
確かに組み合わせの途中でこのオットマンが混ざってしまうと、不格好な上、邪魔にしかならないだろう。
そうなると、くつろぎスペースでの俺の位置は大抵端っこに固定されるということになる。
諸々の選別が終わると、支払い時に俺がカードを出そうとしたら、3人に止められてしまった。
「ケビン君が私たちをさり気なく気遣ってくれて、買い物に連れてきてくれたのはとても感謝してるの」
どうやら、気遣っていたのはバレていたらしい。
「だからね、支払いは私たちで割り勘にするわ。この家具はケビン君の要望を聞き入れて私たちが選んで、感謝の気持ちを込めた私たちからのプレゼントよ」
「ありがとう」
ケビンは照れくさそうにそう言うと、3人の気持ちを素直に受け取った。
家具屋での用事を済ませたあとは、ギルドに寄って素材の買取を頼むと、今回も大量に出したせいか受付嬢はまたもや驚いていた。買取報酬はこっそりティナたち3人に分配することにした。
ケビンはカジノで儲けた資金があるので、買取報酬の微々たる額は既にいらなくなっているのだ。こっそりにしたのは、公にすると反対されると思ったからにほかならない。
買取を済ませたあとは4人で仲良く家路について、部屋に到着すると早速レイアウトの変更を行い始める。
この日は新しいテーブルで食事を摂っているせいか、みんなの笑顔が絶えることはなく、食事を済ませたあとはそのまま新しいソファでくつろいだ。
就寝時になってケビンはベッドに上がり寝転がると、ティナを抱き上げる形を取り、優しく頭を撫でていた。
ティナがケビンの行為に安らぎを感じていると、ケビンの胸の上でおもむろに語りだした。
「あのね、ケビン君。私、ケビン君と出会えて本当によかった」
「俺もティナさんと出会えて幸せだよ」
「あの時、『私……死ぬんだ』って思ったら、色々な思いが頭を過ぎったわ。もう、ケビン君を見ることも、触ることもできなくなるんだって思ったら……私……私っ……ッ……」
「大丈夫だよ。俺が傍にいる限り絶対に死なせないから」
「……グスッ……怖かった……こわかったよぉ……ケビンくぅん……」
ティナは堰を切ったかのように泣き出してしまい、ケビンは優しく頭を撫でながら落ち着かせるのであった。
ケビンの両サイドにいるニーナやルルも、初めて目にするそんなティナの様子を見て、優しく体を撫でて落ち着かせていた。
やがて、みんなの優しさに包まれながら、ティナが泣き疲れて静かに寝息を立てていると、ケビンは2人に対して言葉をかけた。
「2人ともありがとう。ティナさんと同じで2人のことも、何があろうとも絶対に死なせないから」
「うん。お姉ちゃんも力不足だけどみんなを守れるように努力する」
「私も皆様をお守りできるよう努力します」
3人がお互いに決意を新たにしたら、ケビンは天井を見つめていた瞳を、静かに閉じるのであった。
ボス部屋は、中に人がいる状態では入口の扉は開かず、ボス自体もリポップしないという、ある意味休息に持ってこいの安全地帯であった。ただし、ボスを倒した場合に限るが。
「今日はここまでにしておこうか」
ティナたちの体力面も然る事乍らメンタル面も気にしていたケビンは、未だ目覚めることのないルルもいることで、これ以上の攻略を止めて引き返す選択をしたのだった。
「ケビン君……さっきはありがとう」
「気にすることはないよ。敵を2体残した俺にも責任はあるし」
「ティナ、さっきはごめん。ルルのことで気が動転して、上手くフォローができなかった」
「仕方ないわよ。あんなことは初めてだったんだし……」
ティナは先程死にかけたことを引きずっており、どこか元気をなくしていた。
冒険者である以上、魔物と戦う時は常に死と隣り合わせだが、今回のようにすぐそこまで死が差し迫ってきたことは、今まで経験したことがなかったのだ。
今回はケビンによって助けられたが、ケビンがいなければ確実に死んでいただろうことが、容易に想像できた。
そんなティナの気持ちがわかっているのか、ケビンは優しくティナの手を握っていた。その手は小刻みに震えており、未だ死の恐怖を感じているようであった。
そんな時、横たわっていたルルに変化が生じる。
「ぅ……ん……あれ……ここは……?」
「ルル、目が覚めた? どこか痛いところはない?」
「ケビン様? ……私……確か……攻撃を受けて……」
ルルの頭がハッキリしてきたところで、ケビンはことの顛末を説明しだした。
ルルは説明が進むにつれて青ざめていき、自分の不注意のせいでティナが死にかけたということで、ティナに向かってひっきりなしに謝っていた。
ティナはそんなルルに「自分も不注意だから同類よ」と、困った感じの笑顔であまり気にしないように優しく声をかけた。
ルルも目覚めたことで今日の攻略はここまでとして、ケビンはティナの手を握ったまま転移魔法陣へと向かい、ニーナとルルもケビンの後に続きダンジョンから外へと出た。
ダンジョン外へと戻ってきたケビンは、予定よりも時間が早かったこともあり、落ち込んでる3人の気分転換も兼ねて、模様替えという名のメンタルケアのため家具の購入に向かう。
家具屋については予めマヒナに聞いていたので、目的地へ迷うことなく来ることができた。
中へ入ると店内は広々としており、多種多様な家具が揃えてあって、さすが都市一と謳っているだけのことはある。
デザインは3人に任せることにして、ケビンは女性陣が気の済むまで気長に待つことにした。
「ねぇケビン君、今あるテーブルと合わせなくてもいいよね? むしろ、あれを使わずに新しく増やしていい?」
「いいよ。自分たちが気に入るように、好きに選んでくれて構わないよ」
やはり、買い物というものが功を奏して、ティナを筆頭にみんな落ち込んでた雰囲気がどこかへ行ったようである。
今は3人で楽しく会話しながら、あーでもないこーでもないと、意見交換をしながらテーブルを選んでいる。
「ケビン君、ケビン君!」
「今度はどうしたの?」
「ソファを使って食べるようなテーブルじゃなくてもいいよね? 下は絨毯だから直座りにすれば、結構自由に座れてテーブルも形に拘らなくて済みそうだし」
「いいよ。ソファはどうするの?」
「あれだけリビングが広いんだから、くつろぎ用のスペースを別に作ろうかって話になったの。備え付けのキッチンがあるんだし、その近くにテーブルを集めて、別の空いたところにソファと小さいテーブルを何個か置く予定なの」
「家具の配置をガラッと変更するんだね。模様替えのつもりで来たんだし、好きにレイアウトしていいよ。俺には配置のこだわりとかないし、ゴロゴロできるソファがあれば満足かな」
「わかったわ! テーブルが決まったら、ケビン君がゴロゴロ出来るようなソファを選んであげるね」
「よろしく頼むよ」
結局、テーブルは六角形の物を選んで、それとは別でソファ用にドリンク等が置けるくらいの、邪魔にならない程度の物を購入した。
ソファは色々なレイアウトを楽しむために、コーナーカウチと1Pソファを組み合わせたもので、俺の要望を叶えて幅広のオットマンまで付けてある。何やら特別製らしい……
オットマンはこの幅広さがあれば、多少の寝返りでも落ちることはないだろう。むしろベッド位の広さはあるんではなかろうか? 特別製と言うのはそういうことか?
必然的に俺専用となるであろうオットマンは端に置いて、そこから組み合わせていき、ソファを並べていくみたいだ。
確かに組み合わせの途中でこのオットマンが混ざってしまうと、不格好な上、邪魔にしかならないだろう。
そうなると、くつろぎスペースでの俺の位置は大抵端っこに固定されるということになる。
諸々の選別が終わると、支払い時に俺がカードを出そうとしたら、3人に止められてしまった。
「ケビン君が私たちをさり気なく気遣ってくれて、買い物に連れてきてくれたのはとても感謝してるの」
どうやら、気遣っていたのはバレていたらしい。
「だからね、支払いは私たちで割り勘にするわ。この家具はケビン君の要望を聞き入れて私たちが選んで、感謝の気持ちを込めた私たちからのプレゼントよ」
「ありがとう」
ケビンは照れくさそうにそう言うと、3人の気持ちを素直に受け取った。
家具屋での用事を済ませたあとは、ギルドに寄って素材の買取を頼むと、今回も大量に出したせいか受付嬢はまたもや驚いていた。買取報酬はこっそりティナたち3人に分配することにした。
ケビンはカジノで儲けた資金があるので、買取報酬の微々たる額は既にいらなくなっているのだ。こっそりにしたのは、公にすると反対されると思ったからにほかならない。
買取を済ませたあとは4人で仲良く家路について、部屋に到着すると早速レイアウトの変更を行い始める。
この日は新しいテーブルで食事を摂っているせいか、みんなの笑顔が絶えることはなく、食事を済ませたあとはそのまま新しいソファでくつろいだ。
就寝時になってケビンはベッドに上がり寝転がると、ティナを抱き上げる形を取り、優しく頭を撫でていた。
ティナがケビンの行為に安らぎを感じていると、ケビンの胸の上でおもむろに語りだした。
「あのね、ケビン君。私、ケビン君と出会えて本当によかった」
「俺もティナさんと出会えて幸せだよ」
「あの時、『私……死ぬんだ』って思ったら、色々な思いが頭を過ぎったわ。もう、ケビン君を見ることも、触ることもできなくなるんだって思ったら……私……私っ……ッ……」
「大丈夫だよ。俺が傍にいる限り絶対に死なせないから」
「……グスッ……怖かった……こわかったよぉ……ケビンくぅん……」
ティナは堰を切ったかのように泣き出してしまい、ケビンは優しく頭を撫でながら落ち着かせるのであった。
ケビンの両サイドにいるニーナやルルも、初めて目にするそんなティナの様子を見て、優しく体を撫でて落ち着かせていた。
やがて、みんなの優しさに包まれながら、ティナが泣き疲れて静かに寝息を立てていると、ケビンは2人に対して言葉をかけた。
「2人ともありがとう。ティナさんと同じで2人のことも、何があろうとも絶対に死なせないから」
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