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第5章 交易都市ソレイユ
第143話 グリフォンとガルフとお金と
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ケンとニーナが雑談してた頃、ようやくティナの意識が回復した。
「う、うーん……」
「あっ、ティナが戻ってきたね」
「ティナさん、体調は大丈夫ですか?」
「ケン君、激しすぎだよぉ。あと、ニーナも。まさか、2人に攻められるとは思わなかったわ」
「ごめんね、ティナさん」
「ごめん、ティナ」
「でも、気持ち良かったのは確かよ。それに、ケン君に大好きって言ってもらえたのが、1番嬉しかったかな。今までの努力が報われたわ」
「そうね。ケン君の大好きは、何よりものご褒美だものね」
「それじゃあ、グリフォンでも狩りに行きますか!」
「次は、ケン君にお願いしてもいい? 時間も結構経っちゃったし、私やティナがするとちょっと……ねぇ?」
「そうね……お昼の情事の原因になったものね。さすがに、回復したばかりで、まだ本調子じゃないし」
ニーナとティナがそれぞれ言うと、ケンは快く了解するのだった。
「わかりました。じゃあ、お2人は見学ですね」
「ケン君が本気出したら、どのくらい早く倒せるのかしら?」
「想像もつかない」
「ケン君、ちょっと次のグリフォンは、早めに倒してもらっていい?」
「別に構いませんよ。狩ることには変わりないし」
ケンたちは、そのままグリフォンのところまでやって来ると、ケンが2人の要望を叶えるために、早めに倒してみることにした。
「それでは倒しますよ」
「こんな遠くからなの?」
「魔法でいきますので、近接はやらないんですよ」
「そういうことね」
「それでは、《酸素消失》」
ケンが魔法を唱えると、グリフォンは急に藻掻き苦しみ出して、やがて、糸が切れたかのようにパタリと倒れた。
「終わりました」
「えっ……うそ……?」
「意味不明」
ケンは、グリフォンの元へと歩み寄ると、こと切れているのを確認して2人を呼んだ。
「これ、死んでるの?」
「寝てるようにしか見えない」
「ちゃんと死んでますよ。ソロの時は、こうやって時間短縮で狩りをしていましたから。素材も傷まないし、結構いい額で買い取ってもらえるんですよ」
「どうやって殺したの? もしかして毒?」
「いえ、毒だと買い取って貰えないですよ。原理は難しいと思いますので省きますが、例えて言うなら、呼吸困難に陥ったってことです」
「息が出来なかったってことかしら?」
「はい。日常的な栄養は、食事や魔素の吸収でしょうが、それとは別で、人間と同じように呼吸をしている魔物もいますから」
「何で今まで使わなかったの?」
「これをすると狩りって雰囲気にならないでしょ? 淡々と作業を繰り返すだけなので。それに、最初の頃は、戦闘の感覚がまだ掴めてなかったから、安全面を考慮して遠くから倒すようにしていたんです。まぁ、見つかって、近接戦闘に持ち込まれたこともありましたが。当時は武器を持っていなかったので、苦労しましたよ」
「武器も持たずに、近接戦闘だなんて……」
ティナが驚いているところ、新しい魔法を目にしたニーナは、瞳をキラキラさせながら、ケンにお願いごとをした。
「この魔法、私に教えて」
「それは無理ですね」
「どうして?」
「はっきり言って危険だからですね。あと、原理は難しいし、詠唱がありませんので、ニーナさんには無理です」
「そんなに危険なものかしら? これが使えたら魔術師の安全が、格段に上がるわよ?」
「それは、対象が魔物に拘らないからですよ。相手の呼吸を止めるのですから、基本は生きてる動物全ての天敵魔法ですよ。最悪、これさえ使えれば、一国を滅ぼすことだって可能なんですから。相手が生きてさえいれば、負けることはないですね。アンデッドとかには効かないでしょうけど」
「そんな危険な魔法を、ケン君はどうやって知ったのよ」
「作りました」
「「えっ!?」」
「記憶がなかったから、どんな魔法があるのかわからなくて、あとは、王都の解体場でライアットさんに、傷が少ない状態が1番素材価値があるって聞いたものですから、試しに作ったらできたんですよ」
「ケン君って、魔法が作れるの?」
「ありえない……一体何者?」
「何者かは記憶がないのでわかりませんが、少なくとも賢者とかではないですよ。ステータス欄には、その記述がありませんでしたので」
「ケン君、魔法の師匠になって。私に色々教えて」
「私もニーナほどじゃないけど、教えて欲しいかも」
ケンは魔法の師匠になるほど、魔法を熟知しているわけではないので、断っていたのだが、2人があまりにもグイグイと迫ってくるため、仕方なく我流でいいのならと、条件付きで魔法を教えることにした。
グリフォン戦は3人で話し合った結果、ケンがトドメを刺して倒す係になり、一匹目のように丸焼きになって、素材がダメになるようなことはなかった。
それから、まだいるグリフォンを倒すために山脈を彷徨き、近づいたら倒すということを何度か繰り返して、ちょうどいい頃合いを見計らって、討伐をやめて街へ帰ることにした。
帰りは、もちろんティナをお姫様抱っこしてあげて、行きとは異なりゆっくりとしたペースで街へと向かっていく。
街に辿りつくとギルドへと赴いて、今日の依頼達成手続きをティナが済ませて、解体場では、グリフォンを数頭出して買い取ってもらった。
魔石はその際に抜き出しており、これを持ってドワンの元へと向かい、武器の素材として渡したが、まさか1日で持ってくるとは思っていなかったようで、ドワンは呆れ返っていた。
宿屋へ帰ると、ガルフたちが夕食のため食堂へとやって来ていたので、ケンたちも入浴を済ませると、夕食を摂りに食堂へと向かう。
「よぉ、お疲れさん。今日は何してたんだ?」
ガルフが軽く聞いてくるので、ケンもそれに習い軽く返事を返す。
「お疲れさまです。今日は狩りですよ」
「へぇ、何を狩ってきたんだい?」
ロイドの質問に答えたのは、ティナだった。
「聞いて驚きなさい。なんとグリフォンよ!」
ティナは、胸を張って自慢げに答えると、ガルフが疑問を呈する。
「どうせ、ケン頼みだったんだろ?」
「違う」
「そうよ! 私たちだけでちゃんと狩れたんだから」
「本当かぁ?」
ガルフが疑っていると、ケンが横合いから口を挟んだ。
「本当ですよ。紛れもなく2人で討伐しましたから。途中から話し合いで俺がトドメを担当しましたが、それまでは、2人がメインで危ない状況だけにしか、俺は手を出していませんでしたから」
あえてケンは“2匹目から”とは言わずに、“途中から”という言葉を選んだ。さすがに、素材を取れないほどグリフォンを焼き尽くしたとは言えず、お茶を濁すのであった。
「ケンが言うなら、本当なんだろうね」
「しかし、後衛職2人で、Aランクのグリフォンを討伐ねぇ……ケンのサポートがあったとしても、俄には信じられねえな」
「まだ疑うっていうの?」
「現実を受け入れるべき」
「別にそこまでは疑っていねえが、何でAランクのクエストなんざ受けたんだ? Bランクでも良かっただろ?」
ガルフの最もな質問に、ケンが答える。
「ドワーフ職人の方に頼まれたんですよ。装備品を新調するのに、素材を持ってきたら割引するって。それで、グリフォンの魔石が必要だったんです」
「な、何っ!? お前たち……ドワーフ職人に、武器とか作ってもらえるのか!?」
「そうよ。羨ましいでしょ? ケン君がその職人さんに気に入られたのよ。それで、一緒にいた私たちの分も、ケン君が頼んでついでに作ってもらえるわけ」
「ふふん」
ティナとニーナは、ドヤ顔でガルフを見返す。
「ケン、僕も装備を新調するのに、どれにするか悩んでたんだけど、良ければ紹介してもらえないかな?」
「いいですよ。とくに手間でもないですし。ドワンさんなら多分、作ってくれるんじゃないですかね。絶対とは言いきれませんが」
「なっ!? ロイド、お前ずるいぞ! 俺だって欲しいのに!」
「ガルフは、その前にお金を持っているのかい? ドワーフ職人に作ってもらうオーダーメイドは、他の鍛冶師に作ってもらうより、高くつくんだよ?」
ロイドの言葉に、ケンが疑問に思い尋ねてみた。
「そんなに、違いが出るもんなんですか?」
「出るよ。ドワーフと他の種族じゃ全然質が変わってくるから、値段が高いんだよ。その中でも、さらにドワーフの腕の良さにピンキリがあるから、幅が広がって値段が余計に高くなったりもするよ」
「へぇ……勉強になりますね」
「それに、交易都市に店を構えているなら、かなりの腕前と見た方がいいね」
「でも、本人は路地裏でひっそりとやっていますよ。気に入った相手以外からは、仕事は受け付けないみたいなので、日頃は、包丁を商いにしているみたいです」
「それでもだよ。日頃から包丁しか扱っていないなら、その包丁がかなりの質ってことになるだろ? 包丁だけで交易都市を生き抜くなんて、かなりの腕前だと思うよ」
「そう言われれば、そうかもしれませんね。魔鋼とかも普通に扱えるみたいですし」
「で、結論から言うと、そんなドワーフ職人に、装備品を作ってもらうほど、ガルフは、お金を持っていないってことになるんだよ」
「ぐっ……」
「身から出た錆ね。お酒ばかりに、お金を使うからこうなるのよ」
「自業自得」
「俺だってここに来てからは、酒を控えるようになったんだぞ」
「それでも、“ここに来てから”でしょ?」
「今まで、貯めてこなかったガルフが悪いよ」
「よくそんな使い方で、将来結婚しようとか言えるわね」
「理解不能」
三者三様に責め立てられガルフは、ぐうの音も出ないほどに憔悴してしまった。
「ケン君、間違ってもガルフのために、お金出そうとか考えちゃダメよ。これが、ダメな大人のいい見本なんだからね。お金なんてあげてしまったら、余った分はお酒に消えるんだから」
ケンは、見事にやろうとしてたことを言い当てられて、ガルフの事に関しては、どうにもならないことを理解したのであった。
「う、うーん……」
「あっ、ティナが戻ってきたね」
「ティナさん、体調は大丈夫ですか?」
「ケン君、激しすぎだよぉ。あと、ニーナも。まさか、2人に攻められるとは思わなかったわ」
「ごめんね、ティナさん」
「ごめん、ティナ」
「でも、気持ち良かったのは確かよ。それに、ケン君に大好きって言ってもらえたのが、1番嬉しかったかな。今までの努力が報われたわ」
「そうね。ケン君の大好きは、何よりものご褒美だものね」
「それじゃあ、グリフォンでも狩りに行きますか!」
「次は、ケン君にお願いしてもいい? 時間も結構経っちゃったし、私やティナがするとちょっと……ねぇ?」
「そうね……お昼の情事の原因になったものね。さすがに、回復したばかりで、まだ本調子じゃないし」
ニーナとティナがそれぞれ言うと、ケンは快く了解するのだった。
「わかりました。じゃあ、お2人は見学ですね」
「ケン君が本気出したら、どのくらい早く倒せるのかしら?」
「想像もつかない」
「ケン君、ちょっと次のグリフォンは、早めに倒してもらっていい?」
「別に構いませんよ。狩ることには変わりないし」
ケンたちは、そのままグリフォンのところまでやって来ると、ケンが2人の要望を叶えるために、早めに倒してみることにした。
「それでは倒しますよ」
「こんな遠くからなの?」
「魔法でいきますので、近接はやらないんですよ」
「そういうことね」
「それでは、《酸素消失》」
ケンが魔法を唱えると、グリフォンは急に藻掻き苦しみ出して、やがて、糸が切れたかのようにパタリと倒れた。
「終わりました」
「えっ……うそ……?」
「意味不明」
ケンは、グリフォンの元へと歩み寄ると、こと切れているのを確認して2人を呼んだ。
「これ、死んでるの?」
「寝てるようにしか見えない」
「ちゃんと死んでますよ。ソロの時は、こうやって時間短縮で狩りをしていましたから。素材も傷まないし、結構いい額で買い取ってもらえるんですよ」
「どうやって殺したの? もしかして毒?」
「いえ、毒だと買い取って貰えないですよ。原理は難しいと思いますので省きますが、例えて言うなら、呼吸困難に陥ったってことです」
「息が出来なかったってことかしら?」
「はい。日常的な栄養は、食事や魔素の吸収でしょうが、それとは別で、人間と同じように呼吸をしている魔物もいますから」
「何で今まで使わなかったの?」
「これをすると狩りって雰囲気にならないでしょ? 淡々と作業を繰り返すだけなので。それに、最初の頃は、戦闘の感覚がまだ掴めてなかったから、安全面を考慮して遠くから倒すようにしていたんです。まぁ、見つかって、近接戦闘に持ち込まれたこともありましたが。当時は武器を持っていなかったので、苦労しましたよ」
「武器も持たずに、近接戦闘だなんて……」
ティナが驚いているところ、新しい魔法を目にしたニーナは、瞳をキラキラさせながら、ケンにお願いごとをした。
「この魔法、私に教えて」
「それは無理ですね」
「どうして?」
「はっきり言って危険だからですね。あと、原理は難しいし、詠唱がありませんので、ニーナさんには無理です」
「そんなに危険なものかしら? これが使えたら魔術師の安全が、格段に上がるわよ?」
「それは、対象が魔物に拘らないからですよ。相手の呼吸を止めるのですから、基本は生きてる動物全ての天敵魔法ですよ。最悪、これさえ使えれば、一国を滅ぼすことだって可能なんですから。相手が生きてさえいれば、負けることはないですね。アンデッドとかには効かないでしょうけど」
「そんな危険な魔法を、ケン君はどうやって知ったのよ」
「作りました」
「「えっ!?」」
「記憶がなかったから、どんな魔法があるのかわからなくて、あとは、王都の解体場でライアットさんに、傷が少ない状態が1番素材価値があるって聞いたものですから、試しに作ったらできたんですよ」
「ケン君って、魔法が作れるの?」
「ありえない……一体何者?」
「何者かは記憶がないのでわかりませんが、少なくとも賢者とかではないですよ。ステータス欄には、その記述がありませんでしたので」
「ケン君、魔法の師匠になって。私に色々教えて」
「私もニーナほどじゃないけど、教えて欲しいかも」
ケンは魔法の師匠になるほど、魔法を熟知しているわけではないので、断っていたのだが、2人があまりにもグイグイと迫ってくるため、仕方なく我流でいいのならと、条件付きで魔法を教えることにした。
グリフォン戦は3人で話し合った結果、ケンがトドメを刺して倒す係になり、一匹目のように丸焼きになって、素材がダメになるようなことはなかった。
それから、まだいるグリフォンを倒すために山脈を彷徨き、近づいたら倒すということを何度か繰り返して、ちょうどいい頃合いを見計らって、討伐をやめて街へ帰ることにした。
帰りは、もちろんティナをお姫様抱っこしてあげて、行きとは異なりゆっくりとしたペースで街へと向かっていく。
街に辿りつくとギルドへと赴いて、今日の依頼達成手続きをティナが済ませて、解体場では、グリフォンを数頭出して買い取ってもらった。
魔石はその際に抜き出しており、これを持ってドワンの元へと向かい、武器の素材として渡したが、まさか1日で持ってくるとは思っていなかったようで、ドワンは呆れ返っていた。
宿屋へ帰ると、ガルフたちが夕食のため食堂へとやって来ていたので、ケンたちも入浴を済ませると、夕食を摂りに食堂へと向かう。
「よぉ、お疲れさん。今日は何してたんだ?」
ガルフが軽く聞いてくるので、ケンもそれに習い軽く返事を返す。
「お疲れさまです。今日は狩りですよ」
「へぇ、何を狩ってきたんだい?」
ロイドの質問に答えたのは、ティナだった。
「聞いて驚きなさい。なんとグリフォンよ!」
ティナは、胸を張って自慢げに答えると、ガルフが疑問を呈する。
「どうせ、ケン頼みだったんだろ?」
「違う」
「そうよ! 私たちだけでちゃんと狩れたんだから」
「本当かぁ?」
ガルフが疑っていると、ケンが横合いから口を挟んだ。
「本当ですよ。紛れもなく2人で討伐しましたから。途中から話し合いで俺がトドメを担当しましたが、それまでは、2人がメインで危ない状況だけにしか、俺は手を出していませんでしたから」
あえてケンは“2匹目から”とは言わずに、“途中から”という言葉を選んだ。さすがに、素材を取れないほどグリフォンを焼き尽くしたとは言えず、お茶を濁すのであった。
「ケンが言うなら、本当なんだろうね」
「しかし、後衛職2人で、Aランクのグリフォンを討伐ねぇ……ケンのサポートがあったとしても、俄には信じられねえな」
「まだ疑うっていうの?」
「現実を受け入れるべき」
「別にそこまでは疑っていねえが、何でAランクのクエストなんざ受けたんだ? Bランクでも良かっただろ?」
ガルフの最もな質問に、ケンが答える。
「ドワーフ職人の方に頼まれたんですよ。装備品を新調するのに、素材を持ってきたら割引するって。それで、グリフォンの魔石が必要だったんです」
「な、何っ!? お前たち……ドワーフ職人に、武器とか作ってもらえるのか!?」
「そうよ。羨ましいでしょ? ケン君がその職人さんに気に入られたのよ。それで、一緒にいた私たちの分も、ケン君が頼んでついでに作ってもらえるわけ」
「ふふん」
ティナとニーナは、ドヤ顔でガルフを見返す。
「ケン、僕も装備を新調するのに、どれにするか悩んでたんだけど、良ければ紹介してもらえないかな?」
「いいですよ。とくに手間でもないですし。ドワンさんなら多分、作ってくれるんじゃないですかね。絶対とは言いきれませんが」
「なっ!? ロイド、お前ずるいぞ! 俺だって欲しいのに!」
「ガルフは、その前にお金を持っているのかい? ドワーフ職人に作ってもらうオーダーメイドは、他の鍛冶師に作ってもらうより、高くつくんだよ?」
ロイドの言葉に、ケンが疑問に思い尋ねてみた。
「そんなに、違いが出るもんなんですか?」
「出るよ。ドワーフと他の種族じゃ全然質が変わってくるから、値段が高いんだよ。その中でも、さらにドワーフの腕の良さにピンキリがあるから、幅が広がって値段が余計に高くなったりもするよ」
「へぇ……勉強になりますね」
「それに、交易都市に店を構えているなら、かなりの腕前と見た方がいいね」
「でも、本人は路地裏でひっそりとやっていますよ。気に入った相手以外からは、仕事は受け付けないみたいなので、日頃は、包丁を商いにしているみたいです」
「それでもだよ。日頃から包丁しか扱っていないなら、その包丁がかなりの質ってことになるだろ? 包丁だけで交易都市を生き抜くなんて、かなりの腕前だと思うよ」
「そう言われれば、そうかもしれませんね。魔鋼とかも普通に扱えるみたいですし」
「で、結論から言うと、そんなドワーフ職人に、装備品を作ってもらうほど、ガルフは、お金を持っていないってことになるんだよ」
「ぐっ……」
「身から出た錆ね。お酒ばかりに、お金を使うからこうなるのよ」
「自業自得」
「俺だってここに来てからは、酒を控えるようになったんだぞ」
「それでも、“ここに来てから”でしょ?」
「今まで、貯めてこなかったガルフが悪いよ」
「よくそんな使い方で、将来結婚しようとか言えるわね」
「理解不能」
三者三様に責め立てられガルフは、ぐうの音も出ないほどに憔悴してしまった。
「ケン君、間違ってもガルフのために、お金出そうとか考えちゃダメよ。これが、ダメな大人のいい見本なんだからね。お金なんてあげてしまったら、余った分はお酒に消えるんだから」
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