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第2章 王立フェブリア学院 ~ 1年生編 ~
第57話 闘技大会 ~総員戦~ おまけ
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~ シーラside ~
「今度はどういう結果になるのかしら? 見たところ先程のグループと違って近接戦が得意な人たちで固めたグループっぽいですけど」
「多分、魔法でゴリ押しじゃない? まともに近接戦を繰り広げたら負けてしまうのだし」
2人の見ているモニターには、予想通りの展開で雨霰の如く魔法が飛んでいた。
「凄まじいですわね。それに精度も高い……確実に当てにいってますわよ」
「そうね。あの命中精度はBクラス程度じゃない? たまに外したりもしているけど、だいたいは当てているわ」
「どうしてFクラスの生徒はこんなに魔法が上手いんですの? しかも近接戦が得意そうな人たちまで、魔法を使いこなしていますわよ。威力は劣っているようですけど」
「多分ケビンが練習の時に最適な方法を教えたんでしょ」
「そんなことをして何の得がありますの? 目立ちたくないのでしょう?」
「楽するためじゃないかしら? 他の人が頑張れば自分はダラダラ過ごせるでしょ? 現に試合が始まって1度も立ってないんだから目論見としては大成功ね」
「本当に努力を別のところに注ぎ過ぎですわね」
モニターでは既にEクラスの生徒たちの半数以上がやられていた。
「あら、接近戦にシフトするようですわ」
「数が減って多対一に持っていけるからじゃない? やられてしまうリスクがなくなったんじゃないかしら?」
「あの女の子の身の熟し……只者じゃないですわね。Fクラスに不釣り合いな方が他にもいましたわ」
「結構良い動きするわね。躊躇いがないわ」
「そういえば彼女……試合が始まってからずっと、ケビン君の傍らに佇んでましたわね。仲がよろしいのかしら?」
その瞬間、凍える様な威圧が辺りを覆い尽くす。
「「「ひっ!」」」
そこに居合わせたクラスメイトは、先程よりも恐怖に駆られて顔面を蒼白にしていた。
「ちょ、ちょっとシーラ、抑えてくださいまし。さすがにそれは私でも耐えるのに苦労しますのよ」
女子生徒の言葉によってフッと威圧が和らぐと、辺りから安堵の声が漏れる。
「あなたの弟好きは今に始まったことじゃないですけれど、たかだかクラスメイトの女の子に嫉妬してしまってどうしますの」
「嫉妬? なんのことかしら?」
「はぁぁ……あなたの態度にも困りものですわね」
そのような中、モニターでは繰り広げられていた戦いが終わり、また旗の周りで寛いでる生徒たちの風景が映っていた。
(あの女、私のケビンの横に居座って何のつもりかしら)
「結局また勝ってしまいましたわね。これからどうするつもりなのかしら? 立ち上がって攻めると目立ちますし、1人旗の所で待っていても逆に目立ちますわね」
「さあ? わからないわ。どっちにしてもケビンは動かないと思うわよ」
「どうしてですの?」
「周りの生徒たちで勝てているってことは、このまま動かなくても勝てるってことよ」
「試合は何が起こるか分かりませんのよ」
「その為に指示出ししているんじゃない? 自分から動かなくてもいいように」
「でも、指示出ししていたら指揮官として今後認識されてしまいますわよ」
「最底辺のFクラスとEクラスの試合なんて誰が観るのよ。Eクラスが勝つに決まっていると決めつけて誰も観はしないわ。よって、今回の戦いは結果だけが残ってケビンのことは誰にもわからないわ」
「気まぐれで観ている人もいるかもしれませんわよ? さすがにバレませんのこと?」
「もしかして、その為にあの女の子を横に置いているのかしら? パッと見、女の子が中心になってる様にも見えなくはないわね。それに、終始動かないケビンよりも立って横にいる子の方がリーダーっぽく見えるし」
(それならケビンの横に居ても我慢するしかないわね。もしかしたらケビンの作戦なのかもしれないし、お姉ちゃんとしてケビンの邪魔はしたくないし)
「それはありますわね。次はとうとう旗を守ってた敵が押し寄せますわ。どうやって勝つつもりなのかしら? さすがに普通じゃないから訝しられますわよ」
2人が今後の展開を食い入るように観ているモニターでは、倒れた敵にトドメを刺していく生徒の姿が映ってた。
「動けない生徒にトドメを刺すなんて、鬼畜の所業ですわね」
「普通ならそうでしょうけど、作戦の内なんじゃない?」
その後、トドメを刺した生徒たちが寝転がっていく風景が映し出されると、ふとした感想が零れ落ちる。
「何をしているのかしら? 安心して寝れるようにトドメを刺したのかしら?」
「多分、やられたフリね。あれなら敵も警戒しないわ。やられた生徒と思って見逃すわよ」
「まさか罠にかかった敵を後ろから攻めさせますの?」
「そうね。目の前の旗にいる5人に注視させて、人数的な有利を連想させて更に侮らせるつもりね。そして隙だらけの敵を後ろから襲う。もうEクラスに勝ちはないわ。ケビンが完全に勝ちを拾いに来ているもの」
「末恐ろしい子ですわね。同年代でなくて助かりましたわ、あんな子は相手にしたくありませんもの。勝てる道筋が見えませんわ」
モニターには余裕の表情を浮かべながら歩いて行く、Eクラスの生徒たちの姿が映し出されていた。
「罠とも知らずEクラスの残りの生徒たちがやって来たわ。知っている者からすれば滑稽にしか見えないわね」
シーラの読み通りで罠にかかったEクラスの生徒たちは、前後から魔法を撃たれて数を減らしていった。ある程度数が減ると近接戦に縺れ込み、次々と倒されていく。
「もう時間の問題ね」
そして最後の1人が倒れると、勝鬨が聞こえて試合が終了となるのであった。
「勝ちましたわね……」
「そうね。予想通りだわ」
「これは大ニュースですわよ! FクラスがEクラスに勝ちましたのよ、しかも攻めずに守ってただけで全滅させて。異常な勝ち方ですわ、前代未聞ですわよ!」
「これで後は代表戦ね。ケビンが出てきてくれればいいけど」
「出てきますわよ。今回の立役者はケビン君ですもの。総員戦から大番狂わせですわ。代表戦も見物ですわね」
「そうなってくれればいいけど。先に3勝したらケビンは負けにいくわ」
「そうでしたわね。できれば戦ってる姿を観たいのですけれど」
「いくらあなたでもケビンは渡さないわよ」
「心配しなくても要らないですわよ」
「要らないってどういうことよ! 私のケビンがダメだって言うの!」
「渡さないって言ったり、要らないと言えば怒り出したり、どっちですの!」
「渡さないけど要らないのも許さないわ」
「無茶ぶりですわっ!」
教室には2人の漫才が響きわたるが、クラスメイトたちはそんなことよりもFクラスの試合は観ていたがシーラの解説を聴いていたわけではないので、FクラスがEクラスに勝ったという事実を受け止めきれずに困惑していた。
「あぁ、ケビンに今すぐ会いに行って勝った御褒美にハグしてあげたいわ」
「重症ですわね……」
「今度はどういう結果になるのかしら? 見たところ先程のグループと違って近接戦が得意な人たちで固めたグループっぽいですけど」
「多分、魔法でゴリ押しじゃない? まともに近接戦を繰り広げたら負けてしまうのだし」
2人の見ているモニターには、予想通りの展開で雨霰の如く魔法が飛んでいた。
「凄まじいですわね。それに精度も高い……確実に当てにいってますわよ」
「そうね。あの命中精度はBクラス程度じゃない? たまに外したりもしているけど、だいたいは当てているわ」
「どうしてFクラスの生徒はこんなに魔法が上手いんですの? しかも近接戦が得意そうな人たちまで、魔法を使いこなしていますわよ。威力は劣っているようですけど」
「多分ケビンが練習の時に最適な方法を教えたんでしょ」
「そんなことをして何の得がありますの? 目立ちたくないのでしょう?」
「楽するためじゃないかしら? 他の人が頑張れば自分はダラダラ過ごせるでしょ? 現に試合が始まって1度も立ってないんだから目論見としては大成功ね」
「本当に努力を別のところに注ぎ過ぎですわね」
モニターでは既にEクラスの生徒たちの半数以上がやられていた。
「あら、接近戦にシフトするようですわ」
「数が減って多対一に持っていけるからじゃない? やられてしまうリスクがなくなったんじゃないかしら?」
「あの女の子の身の熟し……只者じゃないですわね。Fクラスに不釣り合いな方が他にもいましたわ」
「結構良い動きするわね。躊躇いがないわ」
「そういえば彼女……試合が始まってからずっと、ケビン君の傍らに佇んでましたわね。仲がよろしいのかしら?」
その瞬間、凍える様な威圧が辺りを覆い尽くす。
「「「ひっ!」」」
そこに居合わせたクラスメイトは、先程よりも恐怖に駆られて顔面を蒼白にしていた。
「ちょ、ちょっとシーラ、抑えてくださいまし。さすがにそれは私でも耐えるのに苦労しますのよ」
女子生徒の言葉によってフッと威圧が和らぐと、辺りから安堵の声が漏れる。
「あなたの弟好きは今に始まったことじゃないですけれど、たかだかクラスメイトの女の子に嫉妬してしまってどうしますの」
「嫉妬? なんのことかしら?」
「はぁぁ……あなたの態度にも困りものですわね」
そのような中、モニターでは繰り広げられていた戦いが終わり、また旗の周りで寛いでる生徒たちの風景が映っていた。
(あの女、私のケビンの横に居座って何のつもりかしら)
「結局また勝ってしまいましたわね。これからどうするつもりなのかしら? 立ち上がって攻めると目立ちますし、1人旗の所で待っていても逆に目立ちますわね」
「さあ? わからないわ。どっちにしてもケビンは動かないと思うわよ」
「どうしてですの?」
「周りの生徒たちで勝てているってことは、このまま動かなくても勝てるってことよ」
「試合は何が起こるか分かりませんのよ」
「その為に指示出ししているんじゃない? 自分から動かなくてもいいように」
「でも、指示出ししていたら指揮官として今後認識されてしまいますわよ」
「最底辺のFクラスとEクラスの試合なんて誰が観るのよ。Eクラスが勝つに決まっていると決めつけて誰も観はしないわ。よって、今回の戦いは結果だけが残ってケビンのことは誰にもわからないわ」
「気まぐれで観ている人もいるかもしれませんわよ? さすがにバレませんのこと?」
「もしかして、その為にあの女の子を横に置いているのかしら? パッと見、女の子が中心になってる様にも見えなくはないわね。それに、終始動かないケビンよりも立って横にいる子の方がリーダーっぽく見えるし」
(それならケビンの横に居ても我慢するしかないわね。もしかしたらケビンの作戦なのかもしれないし、お姉ちゃんとしてケビンの邪魔はしたくないし)
「それはありますわね。次はとうとう旗を守ってた敵が押し寄せますわ。どうやって勝つつもりなのかしら? さすがに普通じゃないから訝しられますわよ」
2人が今後の展開を食い入るように観ているモニターでは、倒れた敵にトドメを刺していく生徒の姿が映ってた。
「動けない生徒にトドメを刺すなんて、鬼畜の所業ですわね」
「普通ならそうでしょうけど、作戦の内なんじゃない?」
その後、トドメを刺した生徒たちが寝転がっていく風景が映し出されると、ふとした感想が零れ落ちる。
「何をしているのかしら? 安心して寝れるようにトドメを刺したのかしら?」
「多分、やられたフリね。あれなら敵も警戒しないわ。やられた生徒と思って見逃すわよ」
「まさか罠にかかった敵を後ろから攻めさせますの?」
「そうね。目の前の旗にいる5人に注視させて、人数的な有利を連想させて更に侮らせるつもりね。そして隙だらけの敵を後ろから襲う。もうEクラスに勝ちはないわ。ケビンが完全に勝ちを拾いに来ているもの」
「末恐ろしい子ですわね。同年代でなくて助かりましたわ、あんな子は相手にしたくありませんもの。勝てる道筋が見えませんわ」
モニターには余裕の表情を浮かべながら歩いて行く、Eクラスの生徒たちの姿が映し出されていた。
「罠とも知らずEクラスの残りの生徒たちがやって来たわ。知っている者からすれば滑稽にしか見えないわね」
シーラの読み通りで罠にかかったEクラスの生徒たちは、前後から魔法を撃たれて数を減らしていった。ある程度数が減ると近接戦に縺れ込み、次々と倒されていく。
「もう時間の問題ね」
そして最後の1人が倒れると、勝鬨が聞こえて試合が終了となるのであった。
「勝ちましたわね……」
「そうね。予想通りだわ」
「これは大ニュースですわよ! FクラスがEクラスに勝ちましたのよ、しかも攻めずに守ってただけで全滅させて。異常な勝ち方ですわ、前代未聞ですわよ!」
「これで後は代表戦ね。ケビンが出てきてくれればいいけど」
「出てきますわよ。今回の立役者はケビン君ですもの。総員戦から大番狂わせですわ。代表戦も見物ですわね」
「そうなってくれればいいけど。先に3勝したらケビンは負けにいくわ」
「そうでしたわね。できれば戦ってる姿を観たいのですけれど」
「いくらあなたでもケビンは渡さないわよ」
「心配しなくても要らないですわよ」
「要らないってどういうことよ! 私のケビンがダメだって言うの!」
「渡さないって言ったり、要らないと言えば怒り出したり、どっちですの!」
「渡さないけど要らないのも許さないわ」
「無茶ぶりですわっ!」
教室には2人の漫才が響きわたるが、クラスメイトたちはそんなことよりもFクラスの試合は観ていたがシーラの解説を聴いていたわけではないので、FクラスがEクラスに勝ったという事実を受け止めきれずに困惑していた。
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