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第1章 異世界転生
第22話 こんな時にメシウマですか?
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~ 王女side ~
今日はお披露目会で私も参加しなくては行けないらしく、気が乗らない中でお父様やお母様と一緒に会場入りをした。
お父様の開会宣言が終わると、予想通りに来るわ来るわ媚びた顔をした貴族共が……
自分の子供を私に押し付けて、自分たちはお父様たちとの歓談に勤しんでいる。
ここに来ている参加者全員と挨拶をしなきゃいけないなんて疲れるだけだわ。早く終わってくれないかしら。
また1人また1人と貴族の子供を捌いていると、ふと目についた一組の親子……
母と子の二人組で父親の姿が見当たらなかった。外せない仕事でもあって来ていないのだろう。貴族にしては珍しい方だ。
普通、国王と会える機会なんて然(そ)う然(そ)うないことから、ここぞとばかりに会いに来る貴族が大多数なのに、爵位が高くてよく会ってでもいるのだろうか?
「お母様、あちらのテラスにいらっしゃる親子連れの方はどなたですの? 父君がいらっしゃらないようですけど」
「……あの方はカロトバウン男爵家のサラ夫人よ。一緒にいるのは確か……ケビン君だったかしら。ふふっ、相変わらず溺愛しているのね」
そう楽しそうに教えてくれるお母様を見ると、親しい間柄の知人なんだろうかと推測してしまう。
「お母様のご友人でいらっしゃいますの? 王宮でのお茶会ではお見受けしたことがございませんけど」
「友人ではなくて有名な方なのよ。貴族なのに貴族らしくない方ですから」
「それは、どういった……?」
「彼女はね、元冒険者なの。Sランク冒険者になれる人だったのに、結婚するからってあっさり辞めてしまったのよ。当時は物凄く惜しまれたわ。Sランク冒険者になれる者なんて中々いないのに、その地位に固執していないんですもの」
「そんなにお強い方なのですか? そうは見えないのですが」
「そういった評価をして彼女に近づいた者たちは、例外なく斬り伏せられたわ。それも瞬く間に……そこから付いた二つ名が【瞬光のサラ】なのよ」
「お母様はどうしてそこまでお詳しいのですか?」
「ファンだからよ。同年代の女性が私の知らない世界で活躍しているのよ? 気になるのは当たり前だわ。それに、冒険者は危険な仕事だから生傷も絶えないはずなのに、何故かあの方だけはいつも無傷で帰ってくるのよ」
「無傷でですか!? 流石にそれは信じ難いです」
「でも、実際にそうであったから嘘などではないわ。さらに凄いことは、彼女はソロで活動していたのよ。たまにパーティーを組んだりもしていたようだけど、基本はソロプレイヤーよ。強いモンスター相手でも1人で戦ってしまうのよ。その上での無傷!」
お母様の話は聞けば聞くほどに有り得ない話だった。それに、相当入れ込んでいるのだろう。段々と話し方が力強くなってきた。
お母様……少し怖いです。
確かにそんな方でしたら挨拶になんか来ないですわね。地位に興味がないのでしたら、こんな茶番の会もさぞつまらないのでしょう。義理で参加しているようなものですわね。
あぁ、もう少しで挨拶も終わりそうですわ。やっと開放されるのですね。あとはニコニコとここに座って時間が経つのを待つだけで済みそうですわ。
次の方で最後ですか……早く階段を上がってきて終わらせてくださいな。あら、何故俯いていらっしゃるのでしょう? 体調でも悪いのでしょうか?
王女がそう思った次の瞬間には、その者が大きな声で言ってはならないことを口にしていた。
「死ねぇぇっ!!」
その方はいきなりナイフを取り出し、階段を駆け上がりながら私を突き刺しにかかった。恐怖で言葉も出ない状況であったが視線だけは動いた。
目に付いたのはキラリと光る簡素なナイフ。こんな物でも人の命は奪えるのですね。当たり前ですね、刃物ですものね。
「きゃーーっ!!」
どこかの夫人の叫び声で会場は騒然とする。今まさに1国の王女が殺害されようとしているのだ。
あぁ、誰かが叫んだみたいですね。視線で探していたら襲いかかってきている男の後ろの方、延長線上に先程話に聞いていたサラ夫人とケビン君がテラスで食事を摂っているのを見つけた。
私が殺されようとしているのに呑気に食事ですか……いえ、それも仕方がありませんね。襲撃に気づくはずないのですから。護衛騎士たちですらまだ反応できていないのですし。
そのようなことを思いながらも再度見ようと視線を向けると、2人はこちらを見ていたのです。
襲撃に気づいていたのでしょうか? ことの成り行きを見守るつもりなのでしょうか?
そのような中でケビン君と目が合ったような気がしました。
笑いかけられている? そんなわけあるはずないのに……今この会場でそんな余裕のある人などいないのですから。
あぁ、今思えば短い人生でしたね。最後に見たのがケビン君で良かったです。襲撃者の顔を見て死ぬのなんてまっぴらごめんです。そう思いながら私は覚悟を決めて目を瞑る。
……
あれっ!? 中々痛くならないですね。流石にナイフで刺されれば痛いと思うのですが。刺されてないのでしょうか? それとも騎士に押さえつけられたのでしょうか?
恐る恐る目を開けると私の目の前には氷の壁が建っていました。襲撃者のナイフは氷に刺さってしまったようです。
なんか間抜けな顔を晒していますね。ざまぁです。
今日はお披露目会で私も参加しなくては行けないらしく、気が乗らない中でお父様やお母様と一緒に会場入りをした。
お父様の開会宣言が終わると、予想通りに来るわ来るわ媚びた顔をした貴族共が……
自分の子供を私に押し付けて、自分たちはお父様たちとの歓談に勤しんでいる。
ここに来ている参加者全員と挨拶をしなきゃいけないなんて疲れるだけだわ。早く終わってくれないかしら。
また1人また1人と貴族の子供を捌いていると、ふと目についた一組の親子……
母と子の二人組で父親の姿が見当たらなかった。外せない仕事でもあって来ていないのだろう。貴族にしては珍しい方だ。
普通、国王と会える機会なんて然(そ)う然(そ)うないことから、ここぞとばかりに会いに来る貴族が大多数なのに、爵位が高くてよく会ってでもいるのだろうか?
「お母様、あちらのテラスにいらっしゃる親子連れの方はどなたですの? 父君がいらっしゃらないようですけど」
「……あの方はカロトバウン男爵家のサラ夫人よ。一緒にいるのは確か……ケビン君だったかしら。ふふっ、相変わらず溺愛しているのね」
そう楽しそうに教えてくれるお母様を見ると、親しい間柄の知人なんだろうかと推測してしまう。
「お母様のご友人でいらっしゃいますの? 王宮でのお茶会ではお見受けしたことがございませんけど」
「友人ではなくて有名な方なのよ。貴族なのに貴族らしくない方ですから」
「それは、どういった……?」
「彼女はね、元冒険者なの。Sランク冒険者になれる人だったのに、結婚するからってあっさり辞めてしまったのよ。当時は物凄く惜しまれたわ。Sランク冒険者になれる者なんて中々いないのに、その地位に固執していないんですもの」
「そんなにお強い方なのですか? そうは見えないのですが」
「そういった評価をして彼女に近づいた者たちは、例外なく斬り伏せられたわ。それも瞬く間に……そこから付いた二つ名が【瞬光のサラ】なのよ」
「お母様はどうしてそこまでお詳しいのですか?」
「ファンだからよ。同年代の女性が私の知らない世界で活躍しているのよ? 気になるのは当たり前だわ。それに、冒険者は危険な仕事だから生傷も絶えないはずなのに、何故かあの方だけはいつも無傷で帰ってくるのよ」
「無傷でですか!? 流石にそれは信じ難いです」
「でも、実際にそうであったから嘘などではないわ。さらに凄いことは、彼女はソロで活動していたのよ。たまにパーティーを組んだりもしていたようだけど、基本はソロプレイヤーよ。強いモンスター相手でも1人で戦ってしまうのよ。その上での無傷!」
お母様の話は聞けば聞くほどに有り得ない話だった。それに、相当入れ込んでいるのだろう。段々と話し方が力強くなってきた。
お母様……少し怖いです。
確かにそんな方でしたら挨拶になんか来ないですわね。地位に興味がないのでしたら、こんな茶番の会もさぞつまらないのでしょう。義理で参加しているようなものですわね。
あぁ、もう少しで挨拶も終わりそうですわ。やっと開放されるのですね。あとはニコニコとここに座って時間が経つのを待つだけで済みそうですわ。
次の方で最後ですか……早く階段を上がってきて終わらせてくださいな。あら、何故俯いていらっしゃるのでしょう? 体調でも悪いのでしょうか?
王女がそう思った次の瞬間には、その者が大きな声で言ってはならないことを口にしていた。
「死ねぇぇっ!!」
その方はいきなりナイフを取り出し、階段を駆け上がりながら私を突き刺しにかかった。恐怖で言葉も出ない状況であったが視線だけは動いた。
目に付いたのはキラリと光る簡素なナイフ。こんな物でも人の命は奪えるのですね。当たり前ですね、刃物ですものね。
「きゃーーっ!!」
どこかの夫人の叫び声で会場は騒然とする。今まさに1国の王女が殺害されようとしているのだ。
あぁ、誰かが叫んだみたいですね。視線で探していたら襲いかかってきている男の後ろの方、延長線上に先程話に聞いていたサラ夫人とケビン君がテラスで食事を摂っているのを見つけた。
私が殺されようとしているのに呑気に食事ですか……いえ、それも仕方がありませんね。襲撃に気づくはずないのですから。護衛騎士たちですらまだ反応できていないのですし。
そのようなことを思いながらも再度見ようと視線を向けると、2人はこちらを見ていたのです。
襲撃に気づいていたのでしょうか? ことの成り行きを見守るつもりなのでしょうか?
そのような中でケビン君と目が合ったような気がしました。
笑いかけられている? そんなわけあるはずないのに……今この会場でそんな余裕のある人などいないのですから。
あぁ、今思えば短い人生でしたね。最後に見たのがケビン君で良かったです。襲撃者の顔を見て死ぬのなんてまっぴらごめんです。そう思いながら私は覚悟を決めて目を瞑る。
……
あれっ!? 中々痛くならないですね。流石にナイフで刺されれば痛いと思うのですが。刺されてないのでしょうか? それとも騎士に押さえつけられたのでしょうか?
恐る恐る目を開けると私の目の前には氷の壁が建っていました。襲撃者のナイフは氷に刺さってしまったようです。
なんか間抜けな顔を晒していますね。ざまぁです。
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