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第1章 異世界転生
第11話 母は強し
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あと気になることと言えばやはり高すぎるステータスだよな。何気にレベルは高いし、戦闘系スキルも高いな。絶対に一般的数値じゃない。それはAランク冒険者というワードが物語っている。
母さんってほんわかしているけど、実は武闘派か? 絶対零度の威圧は持ってるし。というか【威圧】スキルを持っていないのにどうやってやったんだ? 生身で出来るもんなのか?
日頃の様子から見ると全然武闘派には見えないんだが……まぁ、【猫かぶり】を使ってたなら日頃の様子も当てにならないか。
「ねぇ母さん、ステータスはこの数値が一般的なの?」
「それはねここを見てもわかる通り、昔は冒険者をやっていたのよ。冒険者っていうのはね、自由に冒険を楽しむ人たちのことよ。ギルドで冒険者登録をして悪いことするモンスターとかをやっつけちゃうの」
「へぇーカッコイイね」
「でしょ? それでね、Aランク冒険者にまでなったんだけど、お父さんと出会って寿退職しちゃった♡ 普通は冒険者と貴族なんて滅多に繋がりができないんだけどね。ある日暇つぶしで出かけていたらモンスターに襲われてる馬車を見かけてね、護衛の人もやられていたみたいだし、ちょっとした気まぐれで手助けしたの」
「もしかして、母さんがモンスターやっつけたの?」
「そうよ。当時は【瞬光のサラ】って二つ名がついていたの。素早さ重視の戦い方でね、盾も途中までは装備していたんだけど、敏捷が上がりだしてからは邪魔だったから装備しなくなったのよ」
「何で素早さ重視にしたの? 盾も外したら危なくない?」
「簡単なことよ。“殺られる前に殺ってしまえ!”よ。剣もね、普通のよりも細めの剣で素早く立ち回りができるようにしたの。威力は普通の剣に比べると落ちてしまうけど、そこは“塵も積もれば山となる”作戦ね」
そう楽しそうに語る母さんの微笑みは、戦慄を覚えざるを得ないものだった。この人には逆らっちゃダメだ。直感でそう感じるのだった。
考え方としては作戦も何もないのだが愚直に繰り返した結果、昇華されて類を見ない強さに至ったのだろう。二つ名がついたぐらいだし……天然なのか計算なのか判断に悩むところだ。
「で、そのあとにお父さんからお礼とか貰ってね、色々と食事とか付き合わされていたらプロポーズされたの。誠実で真面目な人だから私も嫌な気はしなかったし、玉の輿なんて滅多にできないからOKしちゃった。それからはお父さんの働いてるところを見ていたら段々とのめり込んじゃったの♡」
「でも、冒険者から貴族って大変じゃないの?」
「そうね。最初は大変だったわ。冒険者をやっていたから礼儀作法なんて知らないし、あの人が悪口を言われないように愛想を振り撒かなきゃいけないしで、物凄く大変だったの」
あぁ……それで【猫かぶり】のスキルを覚えたのか。【礼儀作法】よりもレベルが高いって……どんだけ地を出さずに頑張っていたのかがよくわかるな。
そんな時、ふとドアをノックする音がした。
「奥様、馬車の準備が整いました。出発は如何なされますか?」
話が途切れた時に来るなんてタイミングが良すぎるな。もしかして見計らってたのか?
「すぐ行くわ。待っててちょうだい」
「タイミングがバッチリだね」
「違うわ。話しのキリが良くなるのをドアの前でずっと待っていたのよ。気配がしたから来た時にはわかったわ」
そういえば【気配探知】のスキルも持ってたな。
「来たのはいつなの? 全然気がつかなかったよ」
「冒険者だった頃の話を始めた時だったかしら。私が冒険者をやっていたのは有名だから聞かれて困ることもないわ。それじゃあケビン、行きましょうか?」
「うん、母さん」
玄関を出ると1台の馬車が止まっていた。その傍らには執事と呼びに来てくれたメイド長もいる。メイド長はカレンといい、30代という若さでメイド長の座に君臨している。俺の評価は完璧超人だ。
「奥様、今日の御者は執事のアレスが就きます」
「そう、お願いするわね、アレス」
「はっ、かしこまりました」
そう答えるのは若者であるアレスだ。年齢は確か20代だった気がする。若いのによくできていると父さんが褒めていたのを聞いたことがある。
母さんが馬車へ向かうと、アレスが近づく。
「足元にお気をつけお乗り下さい」
そう言うとアレスは見事にエスコートをしてみせる。やはり父さんの言った通りのできる男だな。
母さんが乗ったあと次に俺が乗るのを確認すると、アレスは御者台へ向かった。
「では、奥様。行ってらっしゃいませ」
「行ってくるわ。その間、留守は任せたわよ」
馬車は静かに住宅街を駆けて行き、教会へ向かって出発するのであった。
母さんってほんわかしているけど、実は武闘派か? 絶対零度の威圧は持ってるし。というか【威圧】スキルを持っていないのにどうやってやったんだ? 生身で出来るもんなのか?
日頃の様子から見ると全然武闘派には見えないんだが……まぁ、【猫かぶり】を使ってたなら日頃の様子も当てにならないか。
「ねぇ母さん、ステータスはこの数値が一般的なの?」
「それはねここを見てもわかる通り、昔は冒険者をやっていたのよ。冒険者っていうのはね、自由に冒険を楽しむ人たちのことよ。ギルドで冒険者登録をして悪いことするモンスターとかをやっつけちゃうの」
「へぇーカッコイイね」
「でしょ? それでね、Aランク冒険者にまでなったんだけど、お父さんと出会って寿退職しちゃった♡ 普通は冒険者と貴族なんて滅多に繋がりができないんだけどね。ある日暇つぶしで出かけていたらモンスターに襲われてる馬車を見かけてね、護衛の人もやられていたみたいだし、ちょっとした気まぐれで手助けしたの」
「もしかして、母さんがモンスターやっつけたの?」
「そうよ。当時は【瞬光のサラ】って二つ名がついていたの。素早さ重視の戦い方でね、盾も途中までは装備していたんだけど、敏捷が上がりだしてからは邪魔だったから装備しなくなったのよ」
「何で素早さ重視にしたの? 盾も外したら危なくない?」
「簡単なことよ。“殺られる前に殺ってしまえ!”よ。剣もね、普通のよりも細めの剣で素早く立ち回りができるようにしたの。威力は普通の剣に比べると落ちてしまうけど、そこは“塵も積もれば山となる”作戦ね」
そう楽しそうに語る母さんの微笑みは、戦慄を覚えざるを得ないものだった。この人には逆らっちゃダメだ。直感でそう感じるのだった。
考え方としては作戦も何もないのだが愚直に繰り返した結果、昇華されて類を見ない強さに至ったのだろう。二つ名がついたぐらいだし……天然なのか計算なのか判断に悩むところだ。
「で、そのあとにお父さんからお礼とか貰ってね、色々と食事とか付き合わされていたらプロポーズされたの。誠実で真面目な人だから私も嫌な気はしなかったし、玉の輿なんて滅多にできないからOKしちゃった。それからはお父さんの働いてるところを見ていたら段々とのめり込んじゃったの♡」
「でも、冒険者から貴族って大変じゃないの?」
「そうね。最初は大変だったわ。冒険者をやっていたから礼儀作法なんて知らないし、あの人が悪口を言われないように愛想を振り撒かなきゃいけないしで、物凄く大変だったの」
あぁ……それで【猫かぶり】のスキルを覚えたのか。【礼儀作法】よりもレベルが高いって……どんだけ地を出さずに頑張っていたのかがよくわかるな。
そんな時、ふとドアをノックする音がした。
「奥様、馬車の準備が整いました。出発は如何なされますか?」
話が途切れた時に来るなんてタイミングが良すぎるな。もしかして見計らってたのか?
「すぐ行くわ。待っててちょうだい」
「タイミングがバッチリだね」
「違うわ。話しのキリが良くなるのをドアの前でずっと待っていたのよ。気配がしたから来た時にはわかったわ」
そういえば【気配探知】のスキルも持ってたな。
「来たのはいつなの? 全然気がつかなかったよ」
「冒険者だった頃の話を始めた時だったかしら。私が冒険者をやっていたのは有名だから聞かれて困ることもないわ。それじゃあケビン、行きましょうか?」
「うん、母さん」
玄関を出ると1台の馬車が止まっていた。その傍らには執事と呼びに来てくれたメイド長もいる。メイド長はカレンといい、30代という若さでメイド長の座に君臨している。俺の評価は完璧超人だ。
「奥様、今日の御者は執事のアレスが就きます」
「そう、お願いするわね、アレス」
「はっ、かしこまりました」
そう答えるのは若者であるアレスだ。年齢は確か20代だった気がする。若いのによくできていると父さんが褒めていたのを聞いたことがある。
母さんが馬車へ向かうと、アレスが近づく。
「足元にお気をつけお乗り下さい」
そう言うとアレスは見事にエスコートをしてみせる。やはり父さんの言った通りのできる男だな。
母さんが乗ったあと次に俺が乗るのを確認すると、アレスは御者台へ向かった。
「では、奥様。行ってらっしゃいませ」
「行ってくるわ。その間、留守は任せたわよ」
馬車は静かに住宅街を駆けて行き、教会へ向かって出発するのであった。
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