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第1章 異世界転生
第5話 初めてのお食事
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「ソフィ、俺って死んでいるはずなのに何故かお腹が空くんだが……体がおかしくなっているのか?」
「違うわよ。最初にここに呼び寄せた時には確かに魂だけの存在だったのだけれど、時間が経つにつれて存在が強くなっていったの。多分、あなたの欲求が存在を強くしていったのだと思うのだけれど、初めてのことだから私にもわからないわ」
「時間ってどのくらい経っているんだ?」
「かれこれ、もう半日は経っているわね」
そうか……半日も経っていたらお腹も空くよな。食欲は確かに三大欲求に含まれているからな。
「多分、今あなたの考えている欲求じゃないわよ?」
ん? どういうことだ……食欲じゃないのか? お腹が空いているのに?
「最初にここに来た時は、お腹は空いていなかったでしょ?」
そう言われてみればそうだな。気がついたらここにいて、言ってみたかったランキングが初っ端不発に終わってから、ソフィが現れたんだっけか。
ふと、ソフィに目を向けるとモジモジとしている……しかも、まだ居る俺の胡座の上で。そんなに座り心地がいいのかね? てか、そこでモジモジされると倅が戦闘態勢になってしまうのだが……
それはともかくとして、もしかしてソフィに一目惚れしたのが原因か?
「なぁ、聞きたいんだが。もしかしてソフィの事を好きになってしまったから、存在が強くなってしまったのか? そうなると欲求ってのは、せ――」
健が思い当たった欲求を喋ろうとしたその瞬間、ソフィーリアの体がビクッとして後ろを振り向く。
「それ以上は言わないで! 恥ずかしくて健の顔が見れなくなっちゃうから」
「それは……なんかすまん」
それにしても、凄い反射速度だったな。言い終わる前に被せてくるとは。というか、ソフィは最初から気づいていたな。知らない振りをしていたみたいだが。
「と、とりあえず、お腹が空いてるのよね? ご飯の準備をするから、ちょっと待ってて」
慌てて健の胡座の上からソフィーリアが降りると、そのままパタパタと白い世界の中を駆けて行く。その様子を健が楽しく見ていると、何もない所からいきなりキッチンが出てきた。
(ここの空間は何でもありの【万能空間】と呼ぶことにしよう。気にしたら負けだ……)
またまた何もない所からエプロンを取り出し、それを身につけるソフィーリアを眺めていると健はしみじみ思ってしまう。
『新婚さんってこんな感じなのかな? 可愛い奥さんがいて料理する所を眺めて……幸せの大盤振る舞いだな』
(~~っ!!)
ソフィがプルプル震えているな……もしかして、さっきの心の声も聞かれてしまったか?
少し自重するか……手元が狂って怪我でもしたら大変だからな。別のことでもしながら時間を潰すとしよう。
スキルってどうやって使うんだろうか、そもそも付与されたのだろうか? と健が頭の中で考えていたら、自然と【創造】の使い方が流れ込んできた。
なんとなく使い方もわかる感じだ。これは【センス】のおかげか? 生きていた頃に比べると理解力が抜群にいい。
健が色々と検証していると、キッチンからソフィーリアが料理を持ってくる。
もう出来たのか? 思いのほか、スキルに没頭していたらしい……時間が経つのが早いな。
ちゃぶ台にはソフィーリアが作った色々な種類の料理が並んでいく。
「初めて作ったから上手くできてるか分からないけど、一所懸命に作ってみたわ。美味しくなかったら、無理して食べなくてもいいからね」
初めてにしてこの完成度。むしろ食べないなんてことはありえないと思い至った健は、早速ソフィーリアの作った料理を口に運ぶのであった。
「いただきます」
「……」
ヤバい……普通に美味い。なんだこれ? ミ○ュランで紹介されているレストランよか美味いんじゃないのか? まぁ、そんな店に食べに行ったことはないが……サラリーマン舐めんなよ、こちとら大衆食堂で充分なのさ。
それにしても、料理上手な奥さんなんてポイントが高すぎだろ。改めてソフィはレベルが高いな。全てにおいて高水準を保っている。
「やっぱり、美味しくなかった? 無理して食べなくてもいいからね」
ソフィーリアが悲しげな表情で健を覗き込んでくるが、健はあまりの美味しさにトリップしていたようだ。
「美味すぎるよ。生まれて初めてだよ、こんなに美味しいと思ったのは。あまりの美味しさに固まってしまい、言葉を口に出来なかったんだ」
「ありがとう」
「さぁ、冷めないうちに一緒に食べよう」
それから程なくしてご飯は全て完食してしまい、今はソフィーリアがキッチンで洗い物をしている最中だった。そしてまた健は時間を持て余すという事態に陥ってしまった。
そういえば、風呂に入ってなかったな。死んでから半日ということは、今は完全に夜中だよな? そう思うと無性に風呂へ入りたくなってくる。この万能空間に一縷の望みをかけて尋ねてみるか。
「ソフィ、もしかしなくても、ここの空間でお風呂って出したりできる?」
「できるわよ。お風呂に入りたいの?」
「あぁ。時間的に夜は完全に過ぎてるだろ? そう思うと、無性にお風呂へ入りたくなってきた」
「わかったわ。どんなのがいい?」
ん? もしかして、風呂の様式まで変更可能なのか!? このチャンスを是非活かそうではないか。
「違うわよ。最初にここに呼び寄せた時には確かに魂だけの存在だったのだけれど、時間が経つにつれて存在が強くなっていったの。多分、あなたの欲求が存在を強くしていったのだと思うのだけれど、初めてのことだから私にもわからないわ」
「時間ってどのくらい経っているんだ?」
「かれこれ、もう半日は経っているわね」
そうか……半日も経っていたらお腹も空くよな。食欲は確かに三大欲求に含まれているからな。
「多分、今あなたの考えている欲求じゃないわよ?」
ん? どういうことだ……食欲じゃないのか? お腹が空いているのに?
「最初にここに来た時は、お腹は空いていなかったでしょ?」
そう言われてみればそうだな。気がついたらここにいて、言ってみたかったランキングが初っ端不発に終わってから、ソフィが現れたんだっけか。
ふと、ソフィに目を向けるとモジモジとしている……しかも、まだ居る俺の胡座の上で。そんなに座り心地がいいのかね? てか、そこでモジモジされると倅が戦闘態勢になってしまうのだが……
それはともかくとして、もしかしてソフィに一目惚れしたのが原因か?
「なぁ、聞きたいんだが。もしかしてソフィの事を好きになってしまったから、存在が強くなってしまったのか? そうなると欲求ってのは、せ――」
健が思い当たった欲求を喋ろうとしたその瞬間、ソフィーリアの体がビクッとして後ろを振り向く。
「それ以上は言わないで! 恥ずかしくて健の顔が見れなくなっちゃうから」
「それは……なんかすまん」
それにしても、凄い反射速度だったな。言い終わる前に被せてくるとは。というか、ソフィは最初から気づいていたな。知らない振りをしていたみたいだが。
「と、とりあえず、お腹が空いてるのよね? ご飯の準備をするから、ちょっと待ってて」
慌てて健の胡座の上からソフィーリアが降りると、そのままパタパタと白い世界の中を駆けて行く。その様子を健が楽しく見ていると、何もない所からいきなりキッチンが出てきた。
(ここの空間は何でもありの【万能空間】と呼ぶことにしよう。気にしたら負けだ……)
またまた何もない所からエプロンを取り出し、それを身につけるソフィーリアを眺めていると健はしみじみ思ってしまう。
『新婚さんってこんな感じなのかな? 可愛い奥さんがいて料理する所を眺めて……幸せの大盤振る舞いだな』
(~~っ!!)
ソフィがプルプル震えているな……もしかして、さっきの心の声も聞かれてしまったか?
少し自重するか……手元が狂って怪我でもしたら大変だからな。別のことでもしながら時間を潰すとしよう。
スキルってどうやって使うんだろうか、そもそも付与されたのだろうか? と健が頭の中で考えていたら、自然と【創造】の使い方が流れ込んできた。
なんとなく使い方もわかる感じだ。これは【センス】のおかげか? 生きていた頃に比べると理解力が抜群にいい。
健が色々と検証していると、キッチンからソフィーリアが料理を持ってくる。
もう出来たのか? 思いのほか、スキルに没頭していたらしい……時間が経つのが早いな。
ちゃぶ台にはソフィーリアが作った色々な種類の料理が並んでいく。
「初めて作ったから上手くできてるか分からないけど、一所懸命に作ってみたわ。美味しくなかったら、無理して食べなくてもいいからね」
初めてにしてこの完成度。むしろ食べないなんてことはありえないと思い至った健は、早速ソフィーリアの作った料理を口に運ぶのであった。
「いただきます」
「……」
ヤバい……普通に美味い。なんだこれ? ミ○ュランで紹介されているレストランよか美味いんじゃないのか? まぁ、そんな店に食べに行ったことはないが……サラリーマン舐めんなよ、こちとら大衆食堂で充分なのさ。
それにしても、料理上手な奥さんなんてポイントが高すぎだろ。改めてソフィはレベルが高いな。全てにおいて高水準を保っている。
「やっぱり、美味しくなかった? 無理して食べなくてもいいからね」
ソフィーリアが悲しげな表情で健を覗き込んでくるが、健はあまりの美味しさにトリップしていたようだ。
「美味すぎるよ。生まれて初めてだよ、こんなに美味しいと思ったのは。あまりの美味しさに固まってしまい、言葉を口に出来なかったんだ」
「ありがとう」
「さぁ、冷めないうちに一緒に食べよう」
それから程なくしてご飯は全て完食してしまい、今はソフィーリアがキッチンで洗い物をしている最中だった。そしてまた健は時間を持て余すという事態に陥ってしまった。
そういえば、風呂に入ってなかったな。死んでから半日ということは、今は完全に夜中だよな? そう思うと無性に風呂へ入りたくなってくる。この万能空間に一縷の望みをかけて尋ねてみるか。
「ソフィ、もしかしなくても、ここの空間でお風呂って出したりできる?」
「できるわよ。お風呂に入りたいの?」
「あぁ。時間的に夜は完全に過ぎてるだろ? そう思うと、無性にお風呂へ入りたくなってきた」
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