上 下
6 / 661
第1章 異世界転生

第2話 実は日本で……

しおりを挟む
 何もない空間でちゃぶ台を挟んで座る2人のうち、女神であるソフィーリアが続きを話し始める。

「あなたが今から行く異世界は、私の管理する世界の内の1つです。その世界は日本で言うところの剣と魔法の世界になります。文明レベルは中世ヨーロッパ辺りを想像しててください。あとは、勇者や魔王といった存在がいますが、特段気にする必要はありません。あなたの生きたいように生きればいいだけです」

「今までに俺のような形で異世界へ行った人はいるのですか?」

「何人もいますが、そういった方たちは異世界召喚された場合や、転生された場合とあります。前者は基本勇者になって魔王を倒してくれと頼まれるパターンですね。まぁ、騙されて元の世界に帰れないのがオチですが。後者は着の身着のまま生きられる方が多いですね。最近は現代日本に疲れ果てて、スローライフを目指す方が多いようですけど」

「召喚された挙句、騙されてるってのは癪ですね」

「それがわかっている一部の人は、早々に国に見切りをつけて自分で世界を巡る冒険に出ていますね。その後、力をつけた後に復讐に走る人もいますが」

 復讐かぁ……その気持ちはわからんでもないな。勝手に呼び出されて元の世界に帰れないんじゃあ、本人からしてみればやってられないよな。

「あとは稀に自身で異世界渡りの方法を見つけ出して、元の世界に帰られる方もいらっしゃいます。その場合こちらで身につけた技能等は引き継がれますので、俺TUEEEEを現代文明でリアルに出来てしまうんですけどね。でも、戻った世界で物足りなくなってしまって、また異世界へ旅立つのですが」

「まぁ、当然ですね。何でも出来てしまっては、日本では生きづらいでしょうから。野生動物相手に無双したところで虚しいだけですし、一夫多妻のハーレムなんて日本じゃ望めませんから」

「そうでもありませんよ? 力をもってして法律を変えたり、スキルを使用して隠蔽したり出来ますから。あながち、捨てたもんじゃないんですよ? 物足りない部分は、バトルジャンキーになった場合ですね。強者との戦闘というものがありませんから」

 ん……? そうすると、その部分さえ問題なければ日本でも生きられるのか。まぁ、俺は死んだ身だから日本に帰るという選択肢はないのだが。

「ちなみにバトルジャンキーじゃない人で、日本でしれっとハーレムしている人っているのですか?」

「いますよ。先程申し上げたスキルによる隠蔽を使って、違和感を感じないように深層心理に働きかけて戸籍とか作ってましたよ」

 戸籍を作る? えっ!? もしかして……

「異世界の住民を日本に連れて帰っているのですか?」

「はい、そうですね。異世界でハーレムを作って日本に帰る時に連れて帰り、戸籍がないと不便だからということでスキルを使って作成する。日常生活は偽装スキルによって姿を変えているので、普通の人と変わりない状態ですよ」

 気づかなかった……そんな人たちが日本に住んでいたのか。羨ましすぎるな、おい。日本でリアルハーレムかよ。

 お金なんてスキルを使えば何とでもなるんだろうし、養えないことはないんだろうな。そもそも、自力で異世界渡るぐらいの力の持ち主なんだから、不都合になることなんてないんだろう。

「ちょっと話が横道に逸れてしまいましたから戻しますね。それで、あなたには異世界へ渡る前にスキルを付与したいと思うのですが、何か希望はありますか?」

「俺の場合は、召喚じゃなくて転生になるんですよね?」

「いえ、そうとも限りませんよ。姿形は任意に変えれますので、転生が良ければこれから生まれてくる赤ちゃんに、召喚が良ければこれから召喚しようとしている所に、転移というのもありまして任意の場所に転移させる方法と、大まかに3種類ほど選ぶことが出来ます」

 なんと!? 姿形は任意なのか。てっきり、赤ちゃんからやり直しかと思っていたが選べるのか。

 でも、召喚だけはないよな。ヤバそうな感じがする……赤ちゃんからやり直すか、転移にするか悩みどころだな。

「仮に転生した場合は、今持っている知識とか技術は無くなるのですか?」

「どちらでも構いませんよ。好きに出来ますから」

 そうなると、仮に転移だったらそこから異世界の知識を学ばないといけなくなるな、赤ちゃんからやり直した方が順調に知識は蓄えられていくか……

「転生でお願いするとして、スキルってどんなものがあるのですか? 種類とかわからなくて……」

「スキルは膨大な量がありますので、一覧からお選びください」

 ソフィーリアがそう伝えると、湯のみしか置いてなかったちゃぶ台の上にモニターをいきなり出現させた。

 モニターには定番なものからよくわからないものまで、びっしりと隙間なく並んで表示されていた。

(うん、ありすぎて見づらい。カテゴリー分けとか出来ないのかな?)

「これってカテゴリー分けとか出来ないんですか?」

「えーと、ちょっと待ってね」

 ソフィーリアはそう言いながら健の隣へと移動して座りなおす。

(ちょっと、近いんですけど!? ドキドキしてしまうじゃないか。しかも、なんか良い香りがするし……ヤバいな、何も考えられなくなる)

「ここをこうしてっと、……出来たよ! ってあれ、どうしたの? 顔が赤いよ? 体調が悪いの?」

「いや、好きな人がこんなに密着した状態でいたら、顔も赤くなるっていうもんでしょ?」

「――ッ!」

 ソフィーリアも健の言葉に釣られて顔を赤らめてしまう。

「と、とりあえず、カテゴリー分けしたから見やすくなったと思うよ。確認してみて!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。 え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

二度目の異世界に来たのは最強の騎士〜吸血鬼の俺はこの世界で眷族(ハーレム)を増やす〜

北条氏成
ファンタジー
一度目の世界を救って、二度目の異世界にやってきた主人公は全能力を引き継いで吸血鬼へと転生した。 この物語は魔王によって人間との混血のハーフと呼ばれる者達が能力を失った世界で、最強種の吸血鬼が眷族を増やす少しエッチな小説です。 ※物語上、日常で消費する魔力の補給が必要になる為、『魔力の補給(少しエッチな)』話を挟みます。嫌な方は飛ばしても問題はないかと思いますので更新をお待ち下さい。※    カクヨムで3日で修正という無理難題を突き付けられたので、今後は切り替えてこちらで投稿していきます!カクヨムで読んで頂いてくれていた読者の方々には大変申し訳ありません!! *毎日投稿実施中!投稿時間は夜11時~12時頃です。* ※本作は眷族の儀式と魔力の補給というストーリー上で不可欠な要素が発生します。性描写が苦手な方は注意(魔力の補給が含まれます)を読まないで下さい。また、ギリギリを攻めている為、BAN対策で必然的に同じ描写が多くなります。描写が単調だよ? 足りないよ?という場合は想像力で補って下さい。できる限り毎日更新する為、話数を切って千文字程度で更新します。※ 表紙はAIで作成しました。ヒロインのリアラのイメージです。ちょっと過激な感じなので、運営から言われたら消します!

金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!

夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!! 国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。 幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。 彼はもう限界だったのだ。 「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」 そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。 その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。 その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。 かのように思われた。 「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」 勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。 本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!! 基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。 異世界版の光源氏のようなストーリーです! ……やっぱりちょっと違います笑 また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)

ビッチな姉の性処理な僕(R-18)

量産型774
恋愛
ビッチ姉の性処理をやらされてる僕の日々…のはずだった。 でも…

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?

わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。 ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。 しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。 他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。 本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。 贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。 そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。 家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。

処理中です...